「貧相な身体でごめんなさい、大翔くん」
思わず謝ってしまう私。彼と愛し合う日々を重ねることで、この身体が赤ちゃんを育むのに適した状態へと変化するのは聞いていますし、塔城さんを見ていれば一目瞭然です。それでも今は、他のパートナーに比べて抱き心地の悪い私の身体。どうしても劣等感や申し訳なさを覚えてしまって。
「なんで謝るのさ。それなら俺もイケメンじゃなくて申し訳ないって話になる。ソーナに限ったことじゃないけど、街を歩けば確実に目を引くレベルの美人さん達が傍にいてくれてるんだから……怨み妬み混じりの視線がすごいよ、毎度のことだけど」
その度にすずかさんが本気で呪い返そうとするのを止めるまでが一連のお約束なのだとか。
すずかさんやフェイトさんは大翔くんが外見も内面も含めて自分の理想の男性という意識が確立していて、一般的なハンサムさんには全く反応しなくなっているため、すずかさん達からすれば大翔くんより格好良くなってから初めて文句を言えと本気で思っているそうで……大翔くんやアリサが苦労性なのが分かりますね。
「開き直らないと、こんな美人ぞろいの中でやっていけないよ。萎縮してどうしようもなくなる。だから、俺はソーナが俺の女になって間違いなかったと誇れるように、毎日を真剣に頑張るだけだ」
こうして話をしている間も、彼から注がれている魔力や気が私の体内を巡り続けている。彼の腕の中にいる私は直接肌に感じる温もりと内側から温められる二重の感覚に包まれながら、お腹の疼きが徐々に強まっていくのを感じていた。
「じゃあ、まずは私の身体に貴方のモノになって間違いなかったと思い知らせて……?」
大翔くんはシトリー家だけじゃなくて、冥界にとっても重要な存在になる。悪魔と堕天使の幹部と親しい関係にあり、無限の龍神を師であり友としている現時点でも、既に代えのきかない唯一の人。
だけど、私は彼をただの大翔くんとして愛するのだ。理詰めで凝り固まっていた私を解き解し、さらに私元来の強い性衝動を受け止めると誓った彼を。そう、この気持ちは理屈では量れないのだから。
「ああ、思い知らせてやる。……ただ、最初は身体を慣らさないとね。焦らされるのと似た感覚になる。どうしても衝動が抑えきれなくなったら、ちゃんと言ってくれよ?」
このベッドの上には、感覚を共有している椿姫とお姉様が私達を挟むように身を横たえている。身を隠すものは何もない。私達はありのままの自分を大翔くんの前にさらけ出していた。
「……ええ。逆に大翔くんこそ、これだけ血管が浮き上がって、ガチガチになっているのに痛くないんですか? 我慢せずに貫いて頂いても構いませんから、ね?」
私の後ろ側で椿姫がなんて逞しい……と、熱の籠った吐息を吐いているけれど、私の下腹部に当たって今も強く大きく硬さを保ったままの彼の生殖器。
そのある種の凶悪さに唾を飲み込み、喉を鳴らしたのはお姉様。お姉様も大翔くんに口説き落とされた結果、私達と一緒に初夜を迎えることになったものの、見られる恥ずかしさに耐えきれず、彼の背後にピタリくっつくような体勢を取っていた。
魔法少女の格好で人前に出るのは恥ずかしくないのに、意中の人に裸身を見せるのは恥ずかしくて仕方ないお姉様。知らなかったお姉様の可愛らしい一面が次々に表に出てきて、お姉様がこれまで以上に身近に感じられる。それを引き出してくれた大翔くんに、私はどんどん惹かれていく。恋愛に頑なだった私をこうも容易く変えていく。そんな自分を嫌だと感じないぐらいに、もう変えられている。
「だ、大丈夫。まじまじと見られると恥ずかしいけど、ソーナ達に正常な反応をしているだけだから」
「……嬉しい。ふふ、女の魅力など二の次と思っていた私が、貴方に焦がれてこんな風に感じるようになりましたから」
「変えた責任は取るよ。変わったことを後悔させるもんか」
ええ、後悔なんてしませんから。うふふ、早く貴方を受け入れたくて仕方ないの。強まる疼きと心の昂ぶりが、全部貴方へ向いている。変わった私に貴方を刻み込んで欲しいと。
「あうぅ……ソーナちゃんが強いよぉ……。なんでこんな皆に見られてるのに、堂々とひーくんを見ていられるの?」
むしろお姉様がヘタレ過ぎなのではないですか。ふむ……疼きがまだ耐えられる間に、先にお姉様に助け舟を出すべきですか。感覚共有をしているはずなのに、尻込みしてしまってる部分が強いですからね。
「椿姫」
「なんでしょう、お嬢様?」
「大翔くんに身体と心を解して頂くばかりでは、彼のパートナーとして精進が足りないと思うのです。たとえ今日が初夜としても」
「言わんとしてることは分かります、お嬢様。大翔さんのパートナーは愛されるばかりでなく、愛することについても一生懸命ですもの」
何を言い出すんだ、といった大翔くんの発言はひとまず聞こえぬ振りです。これだけ寄り添っているのに、聞こえないわけはありませんけどね。
「それに緊張のあまり、身体が凝り固まっていては上手に大翔くんを受け入れることもままなりませんから」
この言葉にベッドの周りで一早く反応してくれたのが、すずかさん、フェイトさん、カリムさんの三人であった。大翔くんに愛され続けることで、同世代とは思えぬ色香を纏うに至った見事な裸体を一切隠すことなく、三人は堂々と傍へと近づいてくる。
「感覚共有して、いいのかな?」
「ええ、すずかさん」
術式を組む動作は最小で最速のもの。それだけでも彼女が日々の鍛錬にいかに励んでいるかが見えてくるようだ。そうね、これからはすずかさんとそういう話も出来るんだわ。
「は、ぁ……すごいね、ソーナ。こんな疼きをずっと耐えていたの? 一人で耐えるなんて、狂っちゃいそうだよ」
「ふふ、随分と崩れかけましたけどね。でも、今はもう平気だから。大翔くんのものになれると分かっているから、怖れる必要は無いもの」
同じ女であってもぞくりとくるほどの色艶を増したフェイトさん。発情によって肌の赤みが増し、潤んだ瞳に見つめられれば、男の理性を吹き飛ばす威力を持っているのでしょう。
「そうだね、うん。……お兄ちゃんに、『ご主人様』に貫いてもらえるんだもん、蕩けきった身体を食べてもらえばいいんだもんね……その前に、しっかりとご奉仕しなきゃ……」
「フェ、フェイトちゃん、なんかスイッチ、入った?」
「ええ、フェイトさんは昂ぶると、大翔様が愛しい『お兄様』から絶対の服従を誓う『ご主人様』に変わるのですわ」
お姉様の言葉に答えてくれるのはカリムさんだった。彼女は最初から大翔くんを神聖化している部分が強く、主人として仕えることを名誉に感じているのだという。すずかさんとは違う立ち位置であっても彼を絶対視していることには変わりなく、二人は気の合う部分も多いのだとか。
「さて、二人とも。ひろくんへのご奉仕の実演だよ? ソーナさん達の見本になるように、ね」
私達は大翔君の背中側に移動して、彼が三人の奉仕に集中できるように彼の背中を支えるような体勢になる。ベッドに上半身だけ身を起こした大翔くんに対して、正面と左右の斜め対面に移動した三人は声を揃えて、彼への宣言を行うことから始めた。
「ひろくん」
「ご主人様」
「大翔様」
『今から、私達をいつも気持ち良くさせてくれるおちんぽ様に私達のおっぱいを使ってご奉仕させて頂きます』
「……念話か何かで下打ち合わせまでして、声の調子まで揃えなくても……」
「こういうのは導入も大事なんだよ? ひろくんに今から尽くしますって宣言するところから始めるの」
「あえて口に出すことで、自分が大翔様にご奉仕させて頂くのだと気持ちが入りますし」
「自分に私はご主人様のモノだと、ちゃんと再認識させる意味もあるんだよ……? 分かってるつもりでも、自分でそう考えることで初心に戻れるからね」
性奉仕の精神を説かれてしまった大翔くん。なんだかとても複雑そうな顔になってしまいましたが、アリサの『アンタだけに向けられる感情なんだから、諦めも肝心。度量を見せるんでしょ』と諭され、宜しくお願いしますと頭を下げるのでした。
「ふふ、ひろくんが頭を下げる必要は無いのに。でも、それがひろくんだよね。あぁ、すごい脈を打ってる……」
「大翔様らしい、ということですよね。ああ、大きくて逞しいですわ……」
「熱もすごいよ。私達だけじゃなくて、ソーナや椿姫達との初夜だから、ご主人様は余計に興奮してるんだ……ああ、この臭いだけでキちゃいそうだよ……」
言った先からフェイトさんは微かに震えました。あの反応は軽く達してしまったのでしょう、口にはしませんが。感覚を共有する私達もやはり、身を震わせることになりましたので。ただ、この程度じゃ全然足りませんから、まだまだ楽しむこととしましょう。ふふふ、誰かが達してしまえば、他の皆もつられていく。ある意味、体力あるいは情欲が身体を凌駕する者だけが最後まで楽しめるサバイバルです。
「はぁ……すごい風景、ですね。三方から大翔さんのモノに胸を押し付けあって……」
ええ椿姫。圧巻ですね、これは。お姉様も息を飲んで注視している様子。また、三人の表情が大翔くんに尽くせる行為自体に女としての悦びを感じているのが伝わるがだけに……こちらまでさらに熱くなってきます。
「こうやってよだれを垂らして滑りを良くして……」
「三人で調子を合わせて強めに押し付け合いながら、上下に擦り上げるんだよ……あ、んっ……」
「乳首を擦りつけることで、自分達も気持ち良くなれますからぁ……そして、欲情している自分の顔も大翔様に楽しんで頂くのです……んぅ、先走りがたくさん出てきましたぁ……!」
「臭い、すごい強い……ひろくん、嬉しい、よぉ……!」
三人の奉仕に熱が篭る中、大翔くんの顔も何かを堪えるように歯を食い縛ったように変わっていきます。ただ、痛みを耐えるといった風ではない……?
「ソーナ。うふふ、大翔さんは喘ぎ声を出さないように必死なのですわ。男の喘ぎ声はみっともないからと……だから、三人とも余計に熱心に奉仕をするんです」
「朱乃、余計なことを、うぁっ、くぅっ……!」
「ご主人様ぁ、もっと聴かせて下さい……気持ちいい声、聞きたい……。あむっ、ちゅぅ……」
「うわっ、あ、ぐっ……フェイト、駄目だっ!」
「我慢しなくていいんです、大翔様。欲望のたけをぶつけて頂けることが私達の大きな悦びなのですから……」
突端に吸い付き、フェイトさんは独特の苦味がある液体を嬉しそうに舌で舐め取り味わいながら飲み込んでいく。ああ、これが彼の子種が入った、精液の味……。
「ひろくん……遠慮なく出して、私達に思い切り掛けていいんだよ? マーキングして、いいんだからね……?」
「ご主人様の、おちんぽ汁……もっと味わいたいの……」
三人の奉仕がさらに熱心なものになり、搾り出すための動きに変わっていく。ツンと硬さを増した六つの突端を強く擦り上げることで刺激を増し、自分達の興奮を高めながら、代わる代わる彼の雄々しい肉棒を唇で吸い上げていき、言葉で、念話で絶えず卑猥な言葉を発しながら、彼の精をねだり続けて──。
「ぐっ……駄目だ、もうっ!」
勢い良く打ち出された白く濁った液体が、すずかさんの、フェイトさんの、カリムさんの顔を染めていく。瞳を閉じながら、その熱を恍惚とした表情で受ける三人は女としての満足感を強く得ていました……。
「あんっ、とっても濃くて強い臭い……大好きなひろくんの味……」
「この苦みが癖になってるから……お兄ちゃん、ご馳走様」
「尿道に残っているものも吸い出してしまいますね……あむっ……」
脳髄が痺れるような強烈な雄の臭い。苦いはずなのにずっと味わいたくなる味。自分の行為で彼を絶頂に導けたという深い充足感……。
これが奉仕……確かに見させて頂きましたわ、ってあら? お姉様、焦点が虚ろに……。
「ひーくんの精液。苦いのに、どうしてこんなにももっと欲しいって思うんだろう……私も、シトリーの娘だから? 違う、私はひーくんのだから、もっともっと欲しくて、私はひーくんのモノになりたいし、なるんだから……」
お姉様の羞恥心を抑え込むほどの強烈な感覚が、とうとうお姉様の情欲を剥き出しにしたのです。
「ソーナちゃん、私達もご奉仕、しよっか」
暗い炎を瞳に宿し、お姉様はシトリーの女悪魔としての一面を初めて顕わにします。うふふ、今のお姉様、淫靡でとても魅力的に見えますよ?
「私が正面に回るから、ソーナちゃん達は左右からひーくんのモノを気持ち良くさせて」
「はい、お姉様」
「はい、セラフォルー様……ふふ、私達の番ですね」
イった直後だからちょっと待ってと願う大翔くんですけど、魔力や気を精力に転換できますもの、大丈夫ですよね?
「ふふ、頑張ってねひろくん。今度はセラフォルーさん達がたくさん気持ち良くしてくれるよ……はむっ」
耳も責めるポイントなのですね、参考になります。あ、はい、お姉様。すぐに始めるのですね。
「フ、フェイト。お姉ちゃん、そこまで言葉教えたっけ?」
「日々勉強だよ、ね、カリム」
「ええ。感覚共有も終えたことですし、私達は汗を拭うタオルや着替えを用意しましょうか」
「その前に汗を流そうよ、カリム。就寝用の特注キングベッドが別にあるとはいえ、今晩は長くなるだろうし」
あちらに同じサイズの巨大ベッドがあるのはそういうことだったのですね。……いけません、今は大翔くんへのご奉仕に集中するとしましょう。
「お姉ちゃんの話はまだ終わってないよ?! フェイト、ちょっと!」
「仕込んだ結果、自習してパワーアップしちゃったんだから仕方ないのにゃ。まぁ、アリシアが蒔いた種だけど」
「そもそも、お兄様にしか使いませんから。こういう劣情をそそるような言葉なんて。普段使うものでもありませんし、夜の恋人同士のエッセンスの一つですよね」
「そーいうことにゃ。昼は淑女、夜は情婦のように。古典的だけど、フェイトやカリムのように純粋だったり清楚な雰囲気を持っているならドンドン活かせばいいのにゃ」
「お姉様も最近、料理や裁縫に凝り出しましたね」
「……うー、大翔の愛情をたくさん欲しいから、やれることはやらないと……失敗しても絶対に大翔は笑わないし」
遠くから慌てた様子のアリシアさんや、いじらしい一面を見せている黒歌の姿があったようですが、それはまた別の話です。
だが、一話で終わるとは言っていないんだなぁ……。
(導入回ですねワカリマス)