※この作品はR-18です。

朱が交われば深紅に染まる   作:ですてに

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ソーナさんの初夜はこれにて一旦完了です。



第76話 ソーナ(※)

「私は、私の気持ちで、大翔くんと繋がって、気持ち良くなって、満たされたいし、私だって貴方を満たしてあげたい、あげるんだからっ……! 負けないわよっ、自分の血に負けない! 私はこの力を制御してみせるんだから──!」

 

 互いの視線がしっかりとお互いを捉えている。ソーナから吸い上げた征服欲や射精欲が……俺自身を狂わせようとし、また俺にある程度吸い上げられたものの、未だ強く残る発情がしぶとく力強くソーナの身体を再支配しようとしても。

 

「私は貴方をずっと愛すると決めたの。自身に誓ったの。だから、貴方をちゃんと見れない自分なんて真っ平よ。もう、こんなに唇を強く噛んで……自分に負けないためとはいえ、自分を傷つけるなんて」

 

「ソーナこそ綺麗な身体をしているのに、自分から刃を突き立てるだなんて何を考えてるんだよ……」

 

 自然にお互いの唇から笑みがこぼれた。身を焦がそうとする肉欲は相変わらず俺達を追い立ててくるけれど、それに負けじと俺達は魔法陣を発動する。

 

「癒しの風よ──!」

 

「水よ、大翔くんを癒して……!」

 

 俺は使い慣れた、ソーナはまだ覚えてそれほど日が浅い、回復の魔法をそれぞれの傷口に施す。ソーナの起動した魔法陣は俺と同じ色に変わっていた。

 

「ふふっ、同じ色だわ。あなたの魔力や気が私を染め上げた証明ね? 今も私の子宮が大翔くんの精液から込められた魔力を吸収し続けてる。身体の外と内で抱き締められている感じなのよ」

 

 ソーナと俺の腰はゆっくりと調子を合わせて動き始めていた。俺はソーナの腰を支え、ソーナは俺の肩に手を置いて対面座位の姿勢になって、一緒に快楽を楽しんでいく。ほどなく俺は我慢が利かなくなり、次の精を放つ。その迸る勢いにソーナもつられて達してしまっていた。

 

「……まだまだ、足りない、よな?」

 

「ふぅ……まだ余韻が残ってるのに、ここはずっと啼きっぱなしよ。大翔くんが私と気を巡らせてくれているのに、もっと、もっとって叫んでる……」

 

 ソーナは自分の子宮を指差して、そう答えた。精を短時間で二度も注がれたソーナは魔性めいた雰囲気を纏いつつある。どこか気だるそうに見えるのに瞳はギラギラと輝いていて、その奥に強い快楽への渇望がちらついている。それでも、その欲望を赤裸々にするのではなく、ソーナはうまくいなしつつ自分を保っている。

 完全に拒否してしまえば、反発して飲み込まれる。だから、彼女は自分で受け入れた上で蛇口のひねる強さを調節するように、腰は休まずに悦楽を貪っていた。

 

「ああ、大翔くん。本当に逞しい……。私を染め上げようと多くの精を出しているのに、貴方の下半身は雄雄しく中をかき回してくれる……はぁ、ん……こんな風に最初に覚えされられたら、本当にどこにも行けなくなって、貴方しか考えられなくなる、う、んっ、いい、いいの」

 

「ソーナ、君の中もすごく、気持ち良くて、気を抜いたら、本当に俺を保ってられなくなりそうだよ……」

 

 組み臥せて泣き叫ぶ顔を見ながら、何度でも犯して、下腹部の形が変わるほどに注いでしまいたい。そんな強く欲求が頭に強く語りかけてくる。ソーナも望んでいるさ、喜んで受け入れて、よがり狂って、一緒に堕ちてくれるさ──などど。

 

「ごめんなさ、ぃ、ちゃんと話、したいけど、腰、動いてないと、私飲まれちゃいそうっ……! 無茶苦茶に、今の私なんて捨てて、大翔くんに壊してもらっちゃえ、って、ごめんなさ、でも、頑張る、からっ、んはぁ、また、きたぁ……」

 

 互いを巡る気は昂ぶる感覚に引っ張られて、円滑に多くの量が回る。ソーナが達すれば、協調してまた俺も自然にオーガズムに達し、また彼女の中へと注いでいた。

 

「く、あ……!」

 

「ああっ、大翔くんが、また入ってきてくれてるっ! この熱さ、覚えちゃったよぉ、だめぇ、考えられなくなってきちゃう……真っ白なのぉ……!」

 

 俺はまだ耐えられる。抗える。俺が俺のままでソーナを抱くことが出来る。ただ、繋がっているソーナの感覚は限界に近づきつつある。強制的に眠らせるか? そんな考えが頭をよぎった時、鼻をくすぐる嗅ぎ慣れた薫りがふわりと背中から漂う。

 

「ひろくん、割って入ってごめんね。三人で分けてしまえば、だいぶ楽になるよ。私は慣れてるしその時期じゃないから、大丈夫、乗り越えられるから」

 

「すず、かさん……!」

 

 ソーナの手に自らの手を重ね、すずかは俺の背中ごしに二人の間を激しく廻っていた気の流れに自分を組み込んでいく。黒歌に手ほどきを受けた気の扱いは丁寧さと手際の良さがちゃんと両立していて、改めてすずかの才女ぶりに感心している間にも、すずかは俺やソーナから陰の気を引き取っていた。

 

「んっ……確かに初めてなのに、三人で分けてそれでもこの衝動の強さ……ああ、ソーナさん、本当に頑張ったね。もう大丈夫」

 

『ソーナさんには言わないけど。これくらいならあの時期に比べても随分軽いものだから、私は大丈夫だよ』

 

 ソーナに微笑みかけながら、自分の発情期との比較を秘匿性の念話で教えてくれるすずか。すずかがスイッチが入ってる時に陰の気をたくさん吸い上げたことは、実は無かった。すずかに強く止められていたからだ、俺を壊したくないと。

 

「すずか、さん……」

 

「ひろくんに愛されたい気持ちが混ざり合ってしまって、余計にひろくんのモノが強く欲しくなってしまうわけだし……私がフォローするから、この身体の感覚を自分に慣らしていこうよ。自分の中でどれぐらいの衝動が襲ってくるかを理解して、その衝動自体を受け入れつつ飲まれないようにするには回数を重ねるしかないから」

 

『体感の差もあると思うけど、常態化している発情と周期的に来るものと衝動の強さが違うのかも。人より丈夫な悪魔の身体とはいえ、身体の防衛機能が働くのかもしれないね。……あくまでこれは推測だけど。ハッキリしたのは私がソーナさんのフォローが出来るということかな』

 

 ソーナへのアドバイスと俺との念話を澱みなく同時に出来ている辺り、確かにすずかはソーナの発情を取り込んでも問題なく普段通りに振舞えている。ただ、すずかの身体から漂う香りが少し強まったと感じるから、身体が影響を受けていることも間違いなかった。

 

「ふふ、私もソーナさんに中てられて、また濡れてきちゃった。ねえソーナさん、感覚繋げてもいいかな?」

 

「ええ、もちろん。すずかさんにはひょっとしたら物足りないかもしれませんけど」

 

「それだけ軽口が出るなら、制御出来てるね。……んっ、繋がったよ。さぁ、続けて。ソーナさんの気持ちいい感覚、私にも分けて?」

 

 それからは耳に入るのは、楽しげな嬌声の二重奏。荒くなるすずかの吐息を首筋に感じながら、ソーナは俺の形や熱さを感じられる余力を残しながら、楽しんで悦楽を貪り始めていた。そのまま快楽の勢いに飲まれるような感覚ではなく、奥を突かれたりかき回される度に疼きが甘い痺れへと変わっていく心地良さをちゃんと感じて。

 

「ああ、これが、これが大翔くんとの、気持ちいいだけじゃ、ああっ! なくてぇ、温かいのぉ! すごくぽかぽかしてくるの! 幸せっ、貴方とこれからこんな時間を何度も数え切れないぐらい、過ごせると思うと、もう! ああ、ゆっくりと、ゆっくりと跳びそうに、なっていくの、分かるのっ!」

 

「そうだよソーナさんっ。ひろくんに抱かれる感覚、しっかり感じて……っ。全部包んでもらってる、この感覚がひろくんと繋がってるってことだからぁ……! ああ、私も一緒にキてしまいそう……っ」

 

 ぎゅっ、っと強く前後から二人に抱き締められる。おでこに、頬に、首筋に、唇に、耳たぶに……。浴びせるかのようなキスの雨。触れた唇が離れる間際に囁かれる『大好き』『愛してる』の言葉。呼応するように俺の分身はまた発射準備を整え、後は引鉄を引くだけの状態となった。

 

「一緒に、一緒に! ねえ、大翔くん、お願いっ! 我慢するから、待つからぁ! あ、あぁ、まだ、まだよ、一人は嫌、一緒、一緒がいいっ!」

 

「大丈夫だ、合わせるっ。ずっと一緒だソーナ! すずか共々一生離してやるもんか! お前の身体も心も、俺のものだっ!」

 

「うん、うんっ、貴方のものだからっ! だから、イッて! 私に貴方をください──!」

 

 とっさに俺は彼女を腕の内に強く抱き寄せて、子宮口をぐいっと押し上げた。心臓が一つ大きな脈を打ち、ソーナの言葉が引鉄を引き、俺は何度目かのオーガズムに達した。

 

「あぁぁぁぁぁ──!!!」

 

 ソーナの絶叫。彼女も同じく達していた。俺の腕をつかんだ彼女の手に力が篭る。全身を震わせながら、再び長く続く俺の精の放出を受け止め続け、一筋の涙がすっと流れていく。

 

「は、ぁぁ……自分の意思でやっと大翔くんと一緒にイけた……ふふ、それだけなのに、こんなに嬉しいなんて。女の身体ってこんなに満たされるものなんて、想像もしてなかった……。お腹の中、貴方でいっぱい。子宮がみっともなくずっと悦んでいて、身体はへとへとなのに、まだ貴方にちゅう、ちゅうって吸い付いてる。また可愛がってね、って貴方に夢中になってる……身体にも大翔くんじゃなければ、私を満たせはしないって教え込んでもらっちゃったもの……♪」

 

「落ち着けたのかな、それなら良かった」

 

「ええ、欲しいって感覚が消えるわけじゃないんだけど。必ず次があるって身体も分かったから焦っていない感じ。この人なら、枷を外してもちゃんと満たしてくれると。それに流石に疲れちゃったから、休むのが優先みたい」

 

 うふふ、と背中のすずかも笑みをこぼした。ソーナの絶叫に隠される形になったものの、すずかも無事オーガズムに達したのか、振り返りに見える顔は満足気なもの。

 

「今回は私が手伝ったけど、いずれひろくんだけでソーナさんはこんな風に毎回なっちゃうから。ね、どこにも行けなくなるって分かっちゃったでしょう?」

 

「ええ、他の男性なんて絶対に無理に決まってるわ。最後はすずかさんの助けを借りたけれど、それだって私の方が壊れかけたせいなのだし。身体か心、どちらか一方じゃなくて、両方を深く満たしてくれる人だって理屈抜きに分かった……そんな不思議な感じよ」

 

 間に当人を挟んで話をするのは何というか、すごく恥ずかしいというか、こそばゆいんですが。余韻を楽しんでいると言われてしまえば動けないわけで。

 

「……こうして抱かれて、間違いないと思えたの。大翔くん、絶対に離れませんから。私の意思を無視して周りが引き離そうとするなら、その者達は濁流の渦に飲み込ませてしまうわ」

 

「ふふ、ソーナさんもいい感じに覚悟が決まったのかな。さて、ひろくんに愛してもらった後の『お掃除』は私がやろう……って、え? ひ、ひろくん?」

 

 立ち上がりましたよ、ええ。まだ駅弁状態とか、すずかを背中に背負ったままとか、色々突っ込みどころしかないけど。とりあえずお風呂だよ、お風呂。

 

「椿姫、動けるか? 汗を流してしまおうと思うんだ」

 

「ええ、ご一緒します」

 

 立ち上がる椿姫を連れ立ち、俺はそのまま歩き始める。表廊下に出なくて済む専用通路を通り、そのまま大浴場へ向かっていく。

 

「二人とも捕まってろよ、落ちるぞ」

 

「いやぁ、このまま運ばれるのは流石に恥ずかしいですっ。ねえ、大翔くん、自分でまだ歩けますからっ」

 

「問答無用ー」

 

「あらあら、私もご一緒致しますわ」

 

「わ、私も……」

 

「はい、背中にどうぞ。セラフォルー様」

 

「あう、朱乃ちゃんありがと……」

 

 大浴場から戻ってきたフェイトやカリムも再び引き返し、俺達は総出で入浴へと洒落こんで行く。ソーナは俺にしがみつきながらも、無理やり降りようとはしなかった。

 

「もう、大翔くんも強引なところがあるのですね?」

 

 その声が責めるものじゃなくて、どこか嬉しげな調子だったのは俺の気のせいではないだろう。

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「あうぅぅ……全部、全部洗われちゃった……」

 

「全部綺麗だよ、セラは。髪も丁寧に手入れしてるのが分かる。うん、洗っていてもすごく楽しかった」

 

「もう、なんで笑顔でそんな恥ずかしいこと言えるかな!? うー、このチャラ男さんめ……」

 

「嫌ならもう言わないけど、本気でそう思ってるからな?」

 

「ま、待って、これからも言って下さい! ひーくんに褒められるとものすごく恥ずかしいんだけど、すっごく嬉しいから、ほんとだから……ごぼごぼ」

 

 大翔くんの隣で入浴中のお姉様。普段は周りを振り回す側なのに、本心を真顔でそのままでぶつけてくる大翔くんに翻弄されっ放しのようです。あたふたする様子が可愛らしいと思ってしまうのですが、こういう一面を引き出したのは彼のお陰ですよね。

 

「セラフォルー様、落ち着いて下さい。お湯の中に隠れても息が出来ませんからっ」

 

 なお、お姉さまを浴槽から彼と一緒に引き上げている椿姫や、私自身も順番に彼に洗われてしまいました。さすがに人数が多いので、すずかさんを含めて先程まで大翔くんと繋がり合っていた女の子だけでしたが……案の定、吐息に色を帯びてしまう羽目になりました。一分ぐらい、彼の唇を蹂躙するようなキスをすることで事なきは得ましたが。

 なお、風呂上がりも時間が許す時は大翔くんが髪を整えてくれたり、マッサージをしてくれたりもするのだとか。これからは私達も加わることになりますが、大翔くんが手が空かない場合も互いにマッサージし合ったり、肌の保湿等も含めて、手入れには必ず時間をかけるのだそうです。日常の流れに完全に組み込んでしまうわけですね。実家では私も従者がよく補助してくれましたが、椿姫と共にこれは気合を入れ直す必要があります。

 

「すずかさん、改めて先程はありがとうございました。自分で思う以上に、血筋を色濃く私は引き継いでいるようです。本当に助かりました」

 

「ううん、こっちも勝手な判断でやったことだから。正直、今が夏休みとかの時期なら多分、流れに任せたはずだし」

 

「え?」

 

「壊れたり、もう戻れなくなるって怖さがあったと思うんだけど、たった一つのことだけ忘れていなければ大丈夫なんだよ。私の体験だけどね──」

 

 すずかさんに言わせれば、一時的に壊れた状態になってもいいじゃないかと。彼女の時は衝動を抑えられなくなってしまったのが、小学校の高学年の頃。完全にセックスの気持ち良さに囚われてしまって、しばらく寝ても覚めてもセックスばかりということがあったそうです。

 

「一週間ぐらい学校を休んだかな、発情期が終わるまで。ひろくんにはトラウマに近い体験だったと思うよ。完全に組み敷かれて、ずっと拘束された状態になって。一族の力を全開にしていたから、私を押し退けようとしてもビクともしない。止めに入ろうとしたお姉ちゃん達には魔力をわざと暴走させるから、近づくに近づけない。必死で魔力で体力を回復してひたすら持久戦で、体力が尽きたら繋がったままそのまま眠るだけ……うふふ、私は幸せの絶頂だったんだけどね。やっとひろくんと繋がれた、ずっと一生この人のモノになるんだって」

 

 初めての一週間の記憶はずっと鮮明に焼きついていて、たまに思い出してば強引に大翔くんを組み敷くプレイを楽しませてもらうこともあると口にしたすずかさんの表情は、同性の私が背筋に震えを感じるような淫蕩さと妖艶さを隠そうともしない蟲惑の微笑みを浮かべていました。

 

「身体の発情も、焦がれるような想いも、全てがひろくんに向けられるべきもので私が捧げるものだって。私は感覚すら変わっていったよ。周期がやってきてどれだけ強く発情しても、ひろくん以外の男性に一切『男』を感じなくなって、頭の中はひろくんの匂いや逞しいおちんちんのことしか考えられない。身体が壊れそうになっても、ひろくんじゃないと私の身体は決して鎮められなくなっていった」

 

 すずかさんの身体はどんどん大翔くんを誘惑するのに適した抱き心地のいい身体へと成長を遂げ、女性器の形すら彼の形に合わせるように拡張や収縮を行い、カスタマイズされていく。『自分の全ては彼のもの』という頑なで強い一つの想いが、身体の変質すら促していったんだ……。




なお、すずかさんが狂愛の一面を少しばかり発露した模様。
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