※この作品はR-18です。

朱が交われば深紅に染まる   作:ですてに

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※前回の話(黒歌の解説)

アガレス家のお嬢様が急にやってきたけど、えらく大翔にご執心だったにゃ。
あれは雌の顔になってるから、すずか達と相談しないと。

ただ、「ヒロ」って愛称で呼ぶほどだったし、小さい頃の大翔は
何をやらかしたんだろうにゃあ。

ひとまず月村邸に戻って、発情状態の時間帯に入ったソーナを鎮めてから対応開始ね。
なんだっけ、使い魔みたいな扱いのプラモデルが魔法生命体になってるから、
大翔がメンテするって言ってるし、その間に色々聞き出さないと。


第84話 夜の営み(※)

 転移先は彼らが住まう屋敷の中庭だった。私やソーナの本邸に比べればこじんまりとしているということになるけれど、日本という島国で裏山も含めた敷地を所有するとなれば、ヒロに連れ添う彼女は相当な資産家の娘であるのが分かる。

 ロボットアニメに嵌まってその延長線で日本についてもある程度理解が進んでいた私は、彼女が私やソーナ達とそう規模が変わらない『良家のお嬢様』であると認識する。通された応接間の家具も華美ではないだけで質の良いものを揃えているのが分かる。アリヴィアンも感心するような息を一つ漏らしていたので、私と同じような印象を抱いたようだ。

 

 戻ってすぐにヴァーリが屋敷内で結界の影響が及ばない範囲外に出て行った理由が、この屋敷に居住している、既に夢の中にある少年少女に明朝の稽古を行うためというのにも驚きましたが。ヒロが頼むと一言だけ告げて、自家製麺を楽しみにしてると軽口を叩いて出ていった辺り、二人の深い関係性が窺えますし。強者に認められる大翔の成長に内心小躍りする思いでありますが、既に私は出遅れてしまっている状態。焦りは禁物であると、自分に言い聞かせます。

 

「ひろくんが戻ってくるまで、こちらでお待ちいただけますか」

 

「お気遣いなく。急な訪問になったのはこちらの勝手が原因なのだから」

 

 ヒロはソーナを抱き上げたまま、寝室へと連れて行くために一時的に席を外していた。セラフォルー様やソーナの女王、そして黒歌とその妹というリアスの戦車である少女も一緒に。

 黒歌に関してはセラフォルー様の預かる一件であるという説明とヒロへの接し方を見れば、こちらを害することはないと十分に判断できた。アリヴィアンは懸念を示したがそれが彼の役回りでもあり、結局のところ私の判断を尊重してくれる。得難い存在なのだ、本当に。

 

「そっか。大翔が行方不明になっていた一ヶ月の間はそんなことになってたのね」

 

 まるで初めて出逢った頃のような話し方だったけれど、女性への接し方はスマートになったかもしれない。ちょっとした段差にそっと手を差し出したり、声をかけていたり、体調が急に悪化したソーナを抱き抱えたまま寝室へ連れていったり……ふふ、なるほど。それでいて、がつがつもしていないようですし。信用のおける相手以外はそもそも接触を避けるのがヒロでしたものね……住み込みの侍女達の前でよく盾代わりにされたのを思い出してしまいます。

 しかし、体調が悪化したというソーナの表情は……体調が悪いというよりも、どちらかといえばヒロへの想いに熱を上げる女のモノに見えました。つまり、あのソーナがヒロに完全に心を……もしかすると、それ以上のものを預けているとも思えます。

 

「ええ。私も驚きました、ヒロの元にこれだけ多くの女性が集っているだなんて」

 

 この集団の長をヒロとすれば、目の前にいるアリサ・バニングスと名乗った女性が月村さんと並んでナンバー2の立場でしょう。自己紹介を交わし合った時の瞳に宿る意思の強さはヒロに負けず劣らずのものだし、相手を強く引き付ける雰囲気を持つ彼女は連れ添うヒロの価値をそれだけで高めることが出来る。

 自己紹介の後、一ヶ月間のヒロの様子を私から聞いた彼女は胸に手を当てながら少しの間目を閉じて、当時の自分達を思い起こしていたようでした。

 

「バニングスさんの話は大変興味深いものですね。正直、貴女のような素敵な女性がヒロのパートナーと言われても、玄関での熱いやり取りを見ていなければ信じられなかったというか……」

 

 ソーナを抱き上げた状態で帰宅したヒロは手短にバニングスさんに何かを囁くと、両頬を挟まれそのまま彼女のお帰りのキスを受け入れていた。そう、ヒロを渡しはしないという強いメッセージ。表向きは穏やかなやり取りをしていても、ここは私にとってある意味戦場に身を置くのに等しい。

 

「アイツの相手も増えたしね。わりと形振り構っていられなくなってるのよ、振り回されてるみたいで癪だけど」

 

「ひろくんはちゃんと答えてくれてるじゃない、アリサちゃん」

 

「そりゃそうだけど……ま、惚れた女の弱味よね。そこに漬け込んでくるようなら、思いっきり頬をはたいてやるわ」

 

「大丈夫だよ、ひろくんはひろくんだもん」

 

「……すずかがそう言うのは分かってるわよ……」

 

 でも、苦労性だというのはこの短い時間でも良く分かってしまった。集団の中で強い力を持つ月村さんがヒロに心酔し全肯定する方向へ偏っているからか、バニングスさんは全体のバランサーを努めざるを得ない部分があるようで。

 

「まー、ひーちゃんの卑屈さは今に始まったことじゃないしね。調子に乗ったらすぐに自分を捨てて離れていくと頑なに思い込んでるから、そうそう女の子が増えても急に変わらないよ。多少我が儘言っても大丈夫と思ってるのが私とすずかちゃんとアリサちゃんだけって時点でお察しというか」

 

「それが悔しいのですけれど……こればかりは年月を重ねて、大翔さんの隣に私がいるのは当たり前で簡単に離れるものではないといい意味で思い知って頂くしかありませんから……」

 

「うん。朱乃の言うように、お兄ちゃんが無意識でそう信じられる所までいけば無茶もしなくなると思う。だからこそ、そのレベルにたどり着くまで私達はお兄ちゃんに寄り添って愛してるって伝え続けていくだけだよ」

 

「お傍に仕えることをお許し頂けた以上、これまでもこれからも誠心誠意お仕えさせて頂くだけです」

 

 そんなナンバー2の二人や他の女性達が明らかに一目置いているのが、アリシア・テスタロッサという女性。彼女はどこかセラフォルー様に似てわざと軽い言動をしている節があるけれど、月村さんやバニングスさんが時折彼女の反応を見ながら私との話を進めている辺り、ヒロが不在時の影の長であると思えた。

 ただ、ヒロにとって殊更に特別な存在であろう三人を除いても、他の女性達……リアスの女王である姫島さんを始めとして、ヒロの抱える問題点を含めてずっと連れ添っていくのだという強い意思をハッキリと示している。それも好みの男性を自分から選び取れるぐらいの麗しく美しい女性ばかり。

 

 洗脳や催眠の類かと正直疑ってしまうけれど、どうにもそのような魔術が施されている気配もない。彼女達が身に付けているネックレスやブレスレットには外部からの精神干渉を退ける強力な保護が宿っているようだし……。

 というか、彼の性格上……干渉するとするなら、自分が認識できなくなるとか自分に関する記憶を別人のものとして上書きするとか、方向性としてはそちらだと思う。女の子を侍らせて喜ぶどころか、どう責任を取るのかどう養っていくのか……そんなことばかり考えていそうね。

 プラモデル造りの際の追加効果付与であるとか、魔力の影響の有無のようなことにはこれでも詳しいと自負しているから、彼女達は少なくとも自分の意思でヒロに寄り添っていると判断できた。魔術を使わず薬物などでの洗脳後という可能性は残るものの、彼女達から理性は失われていないし、会話での違和感も感じない。

 

「シーグヴァイラさんにお世話になってた時も、ひーちゃんって対処が難しいところあったでしょ? 私だとそれも可愛いなあで済んじゃうところがあるけど、お手間をかけたんだろうなあって」

 

「うふふ、屋敷の侍女達から必死に距離を取っていましたね。出来るだけ私やアリヴィアンについて回っていましたから」

 

「……確かに、信用を置いた以外の女性は本当に駄目でしたね。子供同士ならまだなんとかという感じでしたが、成人前の女性でも顔を青くして今にも倒れそうでしたし……手を焼かされました。はは、懐かしいものです」

 

 結局、私がヒロに感じていたあの一ヶ月の想いを、数ヶ月、あるいは数年という単位で重ねてきたのが彼女達なのだ。私も想いは持ち続けていたものの、日々顔を合わせることによって、意思を強固にしていった部分もあるだろう。

 

「アイツも……いえ、大翔殿も強く逞しくなられた」

 

「……ヒロはまだまだ強くなる。我がこれからも鍛える」

 

 黒いゴスロリ調の服に身を包んだ少女は『おーちゃん』と愛称で呼ばれており、自己紹介の際にも彼女は名乗らず、周りも愛称で紹介していた。

 実力を秘めた存在であるのは間違いないのだろうけど、月村さんの膝の上で足をパタパタさせる様子を見ていると年の離れた姉妹のように思えてくる。

 

「ん……セラと姉猫、こっち来た」

 

「やっほー☆ お待たせ! とりあえずソーナちゃんは落ち着いたよ☆」

 

「えっ……?」

 

 その少女が気配を察して程なく、セラフォルー様が入室されてくる。袖無しで丈が長めになっているワンピースタイプのルームウェアに薄手のカーディガンを羽織った格好に着替えていて、あの魔法少女を模した印象が強いために大人の女性の雰囲気すら漂わせているセラフォルー様に違和感を覚えてしまう。口調は相変わらずでいらっしゃるのに、どこか所作に心のゆとりや色っぽさを感じてしまい、余計に落差が激しく思えるのだ。

 後ろの黒歌の着物姿に安堵を感じる辺り、私も動揺しているらしい。この者は最初からお色気路線だからといって、安心してどうするのですか、私。

 

「かなりしんどそうな様子でしたから、落ち着かれたようで良かったです」

 

「ありがとう、祐斗くん☆ えっと朱乃ちゃん、椿姫ちゃんが呼んでたから顔を出してあげてくれる? もうちょっと経てばひーくん達も戻ってくるとは思うけど」

 

「椿姫が? 分かりました、すぐ行きますわ」

 

 姫島さんがその声に立ち上がると、続くようにすずかさんも席を立つ。膝上にいた少女は彼女に抱えられる姿勢となり、首をこてんと傾げていた。

 

「すずかも行く?」

 

「うん、アリサちゃん達をお願い」

 

「セラフォルーと我がいれば十分。アリサ、膝を貸す」

 

「はいはい、座ったらいいわ」

 

 どこか茫然としてしまっている私は、なぜかソーナの兵士の男の子が僧侶の二人に挟まれて慰められていたり、その場に割って入ろうとする兵士の女の子や茶化してからかう戦車の女性の様子もあまり目に入ってこないのでした。

 ヒロは一体、セラフォルー様にどんな魔法をかけたというのだろう……。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 耳に入ってくる艶やかな嬌声に私は目を覚ます。お腹の奥には大翔くんに注がれた大量の精が今も元気に漂っていて、お陰で私は火照りを感じることなく満たされた気持ちで身体を起こすことが出来た。そんな私の身体の内部で働いていた一つの魔術。それは眠っている間に私の内に注がれたものが零れ出すことが無いように、子宮の中で水が緩やかに円を描き続けるような流れが施されている……。

 

「会長、目を覚まされましたか?」

 

「ええ、椿姫。どれくらい私は眠っていたの?」

 

「二時間半程度です。私も少し休ませて頂きました」

 

「その、お腹の中のこれは……」

 

「ええ、大翔さんの魔法ですね。すずかさんも同じような時期にそうしていると、随分と身体の辛さが変わるのだとか。ですので、会長にも効果があると思うとのことでした」

 

 そうか、水の魔術で穏やかな流れを作るのなら、体内で動かすこともできるのね。繊細な操作が必要だろうけど。これって攻撃にもやり方によっては応用できる……?

 

「あの、会長?」

 

「あら、ごめんなさい椿姫。大丈夫、この魔術が他にも使い道がありそうって考えちゃって。ふふ、悪い癖ね。えっと、こんな感じで……うん、出来た」

 

 ああ、こういうことを考える余裕があるのも大翔くんのお陰ね。性の悦びを知った私は瞬く間に快楽の虜になり、それに強く抗えない自分を知った。今だって胎の中に残る大翔くんの精を、私の身体は喜んで消化し続けていた。残存魔力や陽の気を取り込み、大翔くんの魔術を引き継ぐような形で子宮口の辺りに水の膜まで張って……一滴たりとも溢してなるものかと躍起になっている私。

 月の満ち欠けに連動するように周期的に襲い来るすずかさんの発情期。それを幾度も越えてきた二人は緩和するための対処方法も見つけていたようです。身体が訴えるこの狂おしいほどの生殖器や精に対する飢えのような感覚は、緩和出来なければ日常生活すらままならない。

 

 ただ、私が堕ちきらずにいられるのはこの衝動を余すことなく受け止めてくれて、その上で私の心も包んでくれる稀有な男性に出逢えたから。渇きを満たしてくれて、でも悦楽だけに溺れるのを望まない大翔くんに対してちゃんと自分を誇れるソーナ・シトリーでありたい。

 

「今、大翔くんは朱乃の相手をしているみたいだけど……」

 

「ええ、セラフォルー様と入れ替わりで来られたすずかさんと、続けて朱乃の相手をされています。私やセラフォルー様、黒歌や白音さんは会長の後に抱いて頂きました。」

 

 私の意識がハッキリしたのはこの部屋に入ってから二回目からだけど、強い発情が収まるまで四回連続で愛し続けてもらったのは分かっている。獣のように叫び声を上げ続けて、激しいオーガズムを迎えながら彼の精を浅ましく求め続けた自分を薄っすらと覚えていた。

 三回目に入る頃には大翔くんと愛し合う行為そのものをゆっくりと楽しめる余裕も戻ってきていて、待機中のお姉様や椿姫から私が叫んだ言葉の一部を教えてもらったものの、その内容が情婦としか思えないものばかりで。

 

 『逞しいそのおち○ぽで私のおま○こをもっと躾て』とか、『私は貴方のおち○ぽ奴隷なの! 子宮を貴方の子種でもっと染め上げて!』とか……これじゃ兵藤くんから没収したAVの題名と変わらないじゃないと思う。

 

 そんな私が大翔くんの顔をまともに見れなくなったりもしたのだけど。ただ、大翔くんにそこまで欲しがってくれるのが俺だけならそれでいいと言われて、可愛い独占欲に恥ずかしさもどこへやら……嬉しくなって自分から唇を奪って、念話で好きだと伝え続けてしまったりとか。

 舞い上がっているんだと、自分でも自覚していた。恋愛は制御が簡単に効かないものだって、実体験として私はこの瞬間も学び続けている最中。大翔くんが相手じゃなかったら、私はセックスだけに溺れ切ることに早かれ遅かれなっていたと考えると……正直、ゾッとする。

 

「大翔くん、全く休んでない……」

 

 そんな大翔くんは私が眠る間もそのままお姉様や椿姫、黒歌に白音さん、さらにはすずかさんに今、四つん這いの姿勢で後ろから貫かれて、長い黒髪を振り乱しながら女の悦びに喘ぎ続けている朱乃の心身を満たし続けていた。

 いくら大翔くんが房中術を身につけ黒歌や白音さんのフォローを受けつつ、魔力も精力に転換出来る術を持っているとはいえ、体力に限界が……!

 

「大丈夫だよ、ソーナさん。ひろくんが普段から一番重視して鍛えているのが体力や持久力。一晩持つ体力は身につけているから。それに……どうしても辛くなったら私の血を一、二滴舐めてもらえば、急回復も出来る。後で負担がかかるから多用は出来ないけどね」

 

 ひろくんの努力を低く見積りだよと得意気に微笑むすずかさんは行為の後の充足感も相まって、思わず見惚れてしまうような艶がある。そして、その発言にも反論を拒む説得力があった。

 この場にいる白音さん、朱乃や椿姫、私だって女として相当に磨かれていると思うし、自分もその中に入れているはずだけれど、すずかさんはやはり別格だ。

 

「ひろくんの状態が限界と判断すれば、私がちゃんと止めるよ。手段を問わず……ね?」

 

 大翔くんを害する対象に向けられるのは狂気混じりの敵意。恐ろしいのはそれが私や朱乃のような、大翔くんのパートナーとして受け入れられた者であろうと、彼を害するようであれば容赦なくその威圧が襲いかかってくるという点だ。

 すずかさんのリミッターは大翔くんの存在そのもの。彼女が自分の衝動ともうまく付き合い、落ち着きを見せるのも彼がいるからこそ。

 

「ひろくんが自分の心の思うままに行動するのが私の望みでもあるけど、それも心身の健康が前提だから。ひろくんを失うわけにはいかないの、絶対に。それはソーナさんも既に分かっているんじゃないかな」

 

 だから、早くひろくんの限界点をしっかり把握してね──そう、口にしたすずかさんに私も強く頷くのだった。

 

「いぐぅ! いぐのぉ! 飛んじゃう! 朱乃、大翔さんのおちんちんでいぐぅぅぅぅぅ!!!」

 

 さて、朱乃も今日のハイライトを迎えていた。絶叫を上げて目を剥きながら、激しい全身の痙攣と共に深い絶頂の大波に飲み込まれていく。涙で頬を濡らし、汗にまみれた長い髪は額に張り付いて、口元はこほれた涎で汚れていたけれど、朱乃はとても満足げな表情で意識を半ば飛ばしてしまっていた。




クリスマス更新とかしてる作者サンたちはしゅごいのぉ……。

お待たせしまして申し訳ないです。
体調がまだ戻ってないので、とりあえず寝ます。年末なのに悔しい(びくんびくん
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