※この作品はR-18です。

朱が交われば深紅に染まる   作:ですてに

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やまなしおちなしの繋ぎ回が続いてしまってる感じですが、
更新が滞り過ぎるよりはの精神で投稿させていただきます。


第85話 シトリーの女悪魔(※)

 「大翔さん、好きなのぉ……」

 

 四つん這いの姿勢を保っていられなくなりベッドにうつ伏せに身を投げ出してしまい、虚ろな意識の中で幸せそうに大翔くんへの想いを呟く朱乃。そのまま寝息を立て始める中、大翔くんはそっと結合を解いていく。

 

「合わせてあげられなかったな。ごめんな、朱乃」

 

「ひろくん、お疲れさま。はい、タオルだよ」

 

「ありがとう、すずか」

 

 申し訳なさそうに呟いた大翔くんは朱乃の髪を手で整えて、彼女の口元の涎や頬の涙をタオルで静かに拭う。下手すれば幻滅してしまいそうなパートナーのみっともない姿を目の前にしても、大翔くんの表情や仕草は朱乃への労りがにじみ出ていた。

 すずかさんもどこからかもう一枚のタオルを取り出し、大翔くんの汗を拭き取っていく。彼の動きを邪魔しないように注意を払いながら。

 

「さてと……あむっ」

 

「す、すず、か……!?」

 

『こんなに硬くしたままのおちんちんをしっかり鎮めてあげないと。ここで繋がったら朱乃さんも起きちゃうし、お口でするね』

 

「いや、このまま休めば問題ないだ、ろ……ぁっ」

 

「すずか姉さまに気持ち良くしてもらってる間に、気も整えちゃいますね。ふふ。兄さま、なんだか可愛いです」

 

『そうだよ、白音ちゃん。こうやってご奉仕しながら反応してくれるひろくんの顔を見るの、好きなんだ……♪』

 

 大翔くんが逃げられないように白音さんが背中からしがみつき、すずかさんの口と指は念話で会話を続けながら、休むことなく的確に大翔くんの感覚を高めていく。わざと吸い上げたりする際の音も大きく立てて、聴覚からも大翔くんの劣情を一気に煽る。

 

「兄さま、声は必死で我慢してるけど顔が蕩けてます……」

 

 じゅぷ、じゅる……ずずっ、じゅるぅ……!

 

 卑猥な口淫の音と、白音さんの熱の籠った声が大翔くんの耳を犯す。悶える大翔くんの様子が可愛いと思ってしまうのは失礼かしら?

 

『こっちも強く脈打って、大きさも硬さも増して……ふふ、もうすぐイキそうだね。我慢、しちゃダメだよ……?』

 

 直接の刺激に加え、念話で直接囁かれる甘い絶頂への誘い。なるほど、大翔くんを責め立てる時はこうするのですね。では、僭越ながら私も悪魔の声を囁くとしましょう。椿姫、行きますよ。

 

「大翔くん、我慢しないで声を出していいのよ……? 私の中にたぁくさん注いでくれたあの濃い精を、もう一度思い切り出してスッキリしましょう……ね?」

 

 あ、身震いしてくれた。普段は凛々しさや安心感を感じる彼だけれど、ふふっ。こんな一面を見られるのも彼の女になったからこそ見られるものね。

 

「大翔さん、自分が気持ち良くなることだけ考えて下さい……。ほら、貴方専用のおっぱいです。どうぞ、そう、ちゅーちゅー吸いながら、あのぷりぷりして濃厚な大翔さんのザーメン……すずかさんのお口の中にたぁくさん出してあげてください。そして今度、私も身動きできないようにして、私のお口を犯して欲しいです……!」

 

 椿姫は椿姫で自分の武器を惜しみなく使い、自分で卑猥な言葉を呟いて……というか、自分の緊縛願望をチャンスとばかりに刷り込もうとしてませんか?

 ともあれ、効果は覿面だったようで。大翔くんは間を置かずに精を迸らせるのでした。

 

『あはっ……すごいの、ひろくん。私のお口の中に収まり切らないよお……』

 

 そんなすずかさんの淡い悲鳴に私達三人が手を広げて受け皿を広げたり、椿姫が覚えたてのバインドリングを自分の両手足首に発現させて、擬似拘束のお掃除フェラを敢行したりしたのですが、大翔くんの笑顔が乾いて見えたのでこれ以上は触れないでおきましょう。

 自分に嫌がることを無理強いしないと信頼している相手に対して、交わることの気持ち良さを覚えてしまった女は私のみならず、あっさりと自制を投げ捨てるものだと痛感したのでした。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 待たせてしまったシーグヴァイラ様達に頭を下げた後、再合流した私達は大翔さんの研究室へと初めて同行させてもらうことになっていました。応接間からは離れた場所にあるということで、大翔くんやすずかさん達の後に続き、ソーナは椿姫やセラフォルー様と共にシーグヴァイラ様と並んで歩いています。

 

「このプラモデルも魔法生命体なんだな……姫島先輩のお母さんみたいなのを想像してたから」

 

 大翔くんの隣には匙くんや祐斗くんといった男の子達や、すずかさんが抱えている自立起動するプラモデル達を不思議そうに眺める、他のソーナの眷属の女性陣が並んでいました。

 

「朱璃さんの場合は例外的かな。機械じゃなくて生体をベースにした魔法生命体っていうのは定期診断も含めて、細かいメンテナンスが必要だからね。核になる魔石や生体に魔力を馴染ませるのも時間がかかるし、下準備もその後のケアも含めて、手間を嫌うから作成する能力があっても魔導師でもやらないことが殆どだよ」

 

 あくまで一般的な話だからね、と大翔さんは私の顔を見つめて念押ししてくる。分かっていますと微笑みを返せば大翔さんはどこかホッとした顔を見せています。

 魂の定着のための大掛かりな儀式魔法といい、大翔さんが私やお父様お母様のために手段を問わずにあのような方法を行ってくれたことに、私はもちろん、私達家族は一生をかけて彼に報いていきます。それが愛するあなたなのだから、尚更のこと。

 

「すごい、姫島先輩から言葉はなくても表情で通じる熟年夫婦感が……」

 

「お師匠さんと出逢って結界内の時間を足しても半年経ってないもんね……想いを重ね続けるのって、短い時間でも女を変えるには十分なんだ……」

 

 匙くんの腕を確保している花戒さんや草下さんの言葉にこそばゆさを感じるけれど、想いを突き詰めることで私自身の急激な成長に繋がっている自覚はあります。身体と心がちゃんと同じ方向を向いていてしっかり噛み合っているから、細かいことで悩むことはあれど根本が揺らがないので、心労を抱え込むことも殆どありませんし。

 隣を歩く、ある意味私以上に成長の著しい小猫ちゃんも身長もソーナと変わらない丈になり白銀の髪も肩下まで伸びて、女性としての曲線形も整いつつあります。もうマスコットキャラと呼ぶ生徒は誰も校内にいません。今ではリアスや私の後を継ぐ、次期『駒王学園のお姉様』として認定されていました。本人は心底どうでもいいと言って憚りませんが。

 

「兄さま、どこか楽しそうです。男の子なんですね、やっぱり」

 

「すずかさんも同じよ。機械工作が元々好きだからか、修復プランの案をあの子達を抱えながらずっと考えているわ」

 

 後方を歩くシーグヴァイラ様も信用してすずかさんに四体を預けているのは、同好の士だと分かっているから。すずかさんが一旦席を外す前に二人が専門用語が飛び交う楽しげなやり取りをされてましたけど、回りの私達は内容がさっぱり分かりませんでしたから。

 匙くんが多少は分かったようですけど、ディープなやり取り過ぎて途中からは断片的にしか分からなかったのだとか。

 

「本当に驚いたわ。色恋沙汰には全く興味を示さなかった貴女が、こうして久し振りに会ってみれば完全に色を知った女性になっていたんだもの」

 

「今までは女じゃなかったような言い種ね?」

 

「違う?」

 

「そうね、シーグヴァイラの言う通りだわ。目を背けていただけで、確かに私はどうしようもなく『シトリーの女悪魔』だった。ただ今はそれを思い知ったし、そんな自分をやっと認められたから」

 

「認めただけでここまで変わるかしら」

 

「認めただけではないわね。その上で充分に満たしてもらっているから、私は変化を恐れずにいられるのだから」

 

「ご両親には伝えたの……?」

 

「これからよ。でも、首を縦に振らせるわ。跡取り娘二人を同時に失う覚悟は無いでしょうから、どうとでもなる」

 

「ま、待ちなさいな。万が一、絶対に拒否されたらどうするの」

 

「どうなろうと、私は大翔くんと共に生きていくだけよ。もう決めているの」

 

 後ろから聞こえるソーナの迷い無き言葉に、彼女も自分なりの想いの核を定めたのだという決意が伝わってくるようでした。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 会長が切ったアガレス家の令嬢さんへの啖呵。仮にシトリー家と訣別することになっても、会長は大翔さんと共に生きる道を選ぶと言い切った。その前提として、大翔さん達が再合流した後の移動準備の数分間で俺達眷属は説明を受けて、既に結論を出していた。

 

 明日の生徒会の件の補足説明の名目で、応接間の隣の小部屋に集まり封時結界を重ねて発動。ほんとに二分が一時間弱になるこの魔術は魔力の消費と引き換えだが便利過ぎてと思うぜ。魔道具を使わずに発動するとなると、まだ会長や副会長でも難しいんだが、その辺りはセラフォルー様が魔力供給係になることで今回はクリアしていた。

 

「さて、皆。少しお時間を頂戴します。このことはお姉様や椿姫とも相談して決めたことです」

 

 会長がそんな前置きの言葉の後に続けたのは、自分は大翔さんを終生の伴侶としてこれから連れ添っていくつもりであること、そして椿姫さんも同じ心積もりであるということだった。分かっていたこととはいえ、俺達眷属の皆にも正式に伝えたということになる。

 

「今まで恋愛も全て政治的な観点から判断するべきというような発言をしていた私が今更何を言うのかとも思いますが、私は大翔くんがいなければ本当の意味で心身ともに安寧を得られることは無いのだと……この二、三日で思い知りました。シトリーの血が理性を容易く飲み込む恐ろしさに自身が翻弄され、その血の強さを真っ向からいなしたり受け止めることが出来る人は稀なのだと」

 

「いなしたり受け止めるだけなら、人外の体力を持ち合わせていれば出来る者は他にもいるかもしれません。ただ、会長や私の心をしっかり鑑みてくれる精神性があるかと言えば……」

 

 俺が会長への想いを断ち切る一番大きな理由。会長を慈しむ愛情は大翔さんに負けないと思えても、体力と精力が足りないのは分かっていた。ひょっとするとかなりついてきている自覚がある体力はどうにかなっても、毎晩何度も相手を務められる精力があるかといえば……調子のいい時なら、としか言えない。

 今の大翔さんだって、魔力を転換する性魔術に仙術や房中術をフル稼働していると聞く。会長の一族に付きまとう問題を含めて、この辺りはお節介な小猫ちゃんの姉が教えてくれたんだが、一時間に最低二回、毎晩二桁、それを毎日折れることなく続けられるかと問われれば、無理だとしか思えなかった。

 

「なるほど。絶倫である上に、会長達を魅了するような紳士である相手か。紳士の振る舞いが虚構であるとしても、それを相手に悟られないレベルとなれば……まあ、悪魔などの長命種といえどそう見つかるものではないということだな」

 

「ぶっちゃけたわね、翼紗。まあ、分かりやすいけど」

 

 翼紗の明け透けな発言に巡が呆れた口ぶりながらも相槌を打つ。結局、相手への労わりと性欲の両立ってどんな出来た男性なんだって話で。大翔さんもある意味ぶっ飛んでるところがあるから、精力と精神面を乖離させられるわけだ。

 会長も頬を染めながらも否定しないし、破廉恥ですと叫ぶ副会長も会長以上に顔が真っ赤だから説得力がない。

俺は何とか苦笑いを浮かべたものの、動揺が魔力の揺らぎに出てだんだろう。ここ数日、自重と言うものを捨て去っている花戒や草下、座っている椅子の後ろから頭にじゃれついてくる仁村のせいで別の意味で動揺してしまう。

柔らかい感触とか、不思議ないい匂いとか、俺が動揺するのを見て楽しんでるのか? 俺だってな、男なんだぞ。会長への想いが破れたばかりで、何するか分かんねえんだぞ!?

 

「前置きはこれぐらいにして、会長。話はこれで終わりではないんですよね?」

 

「ええ、翼紗。私が大翔くんを伴侶とすると決めた以上、シトリー家の後継問題と絡んで、純血悪魔と転生悪魔の結婚ということへの妨害が出てきます。まぁ、大翔くんを転生悪魔と定義していいかとなると、違う気もしますが」

 

「人間界でいう中世の貴族社会みたいなものを想像したらいい、でしたよね? ソーナ会長」

 

「そうですよ、留流子。なので、大翔くんも貴方達も焦らずシトリー領から馴染んでもらって、まずはお父様やお母様、いずれは旧七十二柱で転生悪魔に理解のある他家の方々から顔通しをしていければと考えていたのですが……」

 

 会長の顔は事情が変わったことによる苦悩の色が浮かんでいた。隣の副会長の顔も曇ってしまっている。

 

「シーグヴァイラの生家であるアガレス家は大王たるバアル家に及ばすとも、強い政治力を持っています。……事情はさらに聞き出す必要がありますが、冷静沈着で知られる彼女がここまで年相応の一面を出しているということは彼女が既に両親への話を通していると仮定するべきだと思います。そう考えるなら、大翔くんが記憶を取り戻しさえすれば……いえ、例え記憶が戻らなくても、アガレス家は大翔くんを取り込みにかかりかねません」

 

「お師匠さんの事情を考えれば、対立しちゃいますよね。アガレス家のためだけに生きることは出来ないし、絶対に受け入れない。シーグヴァイラ様の意向次第ですけど、最悪、冥界が敵に回ることもあり得ますよね……」

 

 巡や翼紗も大翔さんのお師匠さん呼びが定着してしまっているけど、口調には親しみが籠っている。俺達のために色々骨を折ってくれる年の近い兄貴分として、大翔さんの困りごとなら出来ることは協力したいぐらいには考えていた。

 

「ええ、巴柄。そうなってしまえば、大翔くんは私達や貴方達のご家族を守るためにも、冥界と人間界を繋ぐ次元を封鎖にかかるでしょう。ですから、私やお姉様はシーグヴァイラが帰った後にシトリー領に急遽帰って、両親に一刻も早く話を通そうと考えています。アガレス家の動向を見つつ、状況に応じて工作や圧力をかける必要がありますから」

 

 フェイトさんの一件を聞いているからなあ、大翔さんはやるだろう。ただ勝てない相手に突っ込む無謀さは無いから、やっぱり次元封鎖?

 

「ただね、そんなことをしたら他の神話勢力にも間違いなく睨まれちゃうから☆ お父様お母様には悪いけど、いっそ駆け落ちしちゃおうなり、逆にシトリー領ごと大型転移して冥界におさらばしちゃおうって私は思うんだけどね~☆」

 

「え? 領地ごと転移ってセラフォルー様……んな無茶な……」

 

「それがですね、匙。私も頭が痛くなったのですが、儀式系魔術としての下準備は色々必要なものの、今の私達が力を合わせれば届き得る話みたいです。普段使う転移魔術の超大型版ですから、構成術式がものすごく大きいのと魔力がものすごく必要という話をクリアすれば何とかなると……」

 

「え、会長マジっすか? いや……流石にシトリー領って日本の本州の半分ぐらいの広さが……」

 

「我の魔力は無限。えへん」

 

「あ、解決しちゃうんすね……」

 

 というかいつの間に龍神様は混じってたんだ? あ、セラフォルー様の背中にくっついてたんすか。自由っすね……。

 

「シーグヴァイラ様の出方次第ですが、少なくとも会長のご両親との顔合わせは急ぐべきという結論です。これは会長とセラフォルー様、お二人の話し合いの上で決めたことです」

 

 

 

 

 ──そんなやり取りがあっての会長とシーグヴァイラ様のやり取りなんだが、そんな二人に大翔さんが足を止め振り返る。

 

「ソーナ、そこまでだよ。俺はソーナやセラの置かれた環境も含めて丸ごと受け入れて背負っていくと言った。ソーナのご両親も俺にとっては大切な親父やお袋になる方だし、理解してもらえるまで何度でも通って頭を下げるさ。決別なんて、そんな結果にはさせないよ」

 

「ありがとう、大翔くん……」

 

 シーグヴァイラ様に胸を張るように語っていた会長は何処へやら、僅かに頰を染めて嬉しさを噛み締めるように視線を自分の胸の辺りに落としてしまった。シーグヴァイラ様はその様子を興味深そうに見て、続けて大翔さんの瞳の鋭さに気づいて息を飲む。なお、セラフォルー様はいつもの調子で『ひーくんカッコいいぞっ☆』とウインクを飛ばしていた。

 この人になら、会長を任せられる。大翔さんは既に会長を含めた女達の人生や、いずれ継ぐ会社に勤める社員達の生活を背負っている。俺とそう変わらない年齢の大翔さんが当然のように責任を背負い、ひたすらに前を向いているから、雰囲気や言葉に込められる迫力に気圧されてしまうんだ。……まぁ、いつまでも負けてるつもりはないけどな。追いついて追い越して、横に並び立って、俺はこの年上の友人と長く付き合っていく。

 さて、そんな大翔さんの覚悟にシーグヴァイラさんは息を飲んだんだと思うんだが、その後漏らした吐息が随分熱っぽいのは気のせいか? なんつーか、大翔さんに惹かれる女ってのは一筋縄じゃ行かない人ばかりっていうかさ。

 

「……お嬢様。惚けるのも程々になさって下さい」

 

「あら、いけない。また見惚れていたみたいね?」

 

「お嬢様、自制なさってください、ほんとに……」

 

 会長はこのアガレスのお嬢様をえらく警戒してたけど、大翔さんならある意味骨抜きに出来るんじゃないかなと思うのだった。会長以上にはっちゃけた時の迷いが無さそうというか……。

 

『あら。ヒロをそこまで縛り付けるおつもりなら、頑張ってもう一人後継者を産んで育ててくださいましね? 今までお世話になりました、お父様お母様』

 

 冷たくニッコリ笑って冥界にオサラバ、なんてな。何だろう、簡単に想像できちゃう辺りがヤバいかもしれねぇ……。

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