〈銀子side〉
「ハァ~」
このところ体調が優れない。食欲もないし、吐き気もする。
「じゃぁ、行ってくるから。ん~」
トシが、玄関先で目を閉じてる。
「ナニ?」
「何じゃなくて、行ってきますのチュ~は?」
「馬鹿言ってないで、さっさと行け。お弁当持った?」
「うん。kissぐらいしてくれてたって良いじゃん。」
「も~う。」
ほっぺにkissする。口は、恥ずかしいしコイツの事だから舌入れてくるに決まってる。
手を挙げて、戸を閉めた。
「朝から、アツいね。」
神楽が、お腹を掻きながらやって来る。
「アイツ、kissしないと行かないんだもん。」
「ラブラブね。」
「別に、そんなんじゃないからね。」
顔が熱くなる。
「玄関先で、何やってるんですか?」
「ママとパパが、ラブラブって話ね。」
「お弁当見つめてニヤついてますしね。」
「そうなの?恥ずかしいし奴。」
「それより、お腹空いたネ。」
「ご飯にしようか。」
キッチンへ向かい、トシにもあげた目玉焼きとウインナーを焼いたのを持っていき、ご飯をよそおうとする。急に吐き気がする。たまらず、洗面所へと駆け込んだ。
「銀ちゃん?」
「大丈夫ですか?」
子ども達が、後から入ってきて背中を擦ってくれる。
「病院行くアルか?」
「う~ん。行く。気持ち悪い。」
口元を押さえ、子ども達と共に病院へと向かった。
「土方さんにも連絡しましょうか?」
「大したことないって、ちょっと気持ち悪いだけだし……」
待合室で待っている。神楽は暇なのか、幼児向けのマンガを読んでる。
「土方さ~ん、土方銀子さ~ん、診察室へどうぞ。」
ナースに呼ばれ一人で診察室に入る。
結婚して暫く経つけど、未だに“土方銀子”という名前に慣れない。総悟くんに呼ばれた時なんて、返事できなかったし……そんなこと考えながら、診察室の椅子に座る。
「どうされました?」
某アニメの名医に似た先生に訊かれ、症状を伝える。
「検査しましょうね。」
そう言われ、紙コップを渡される。尿検査らしい。
診察室を出て、向かいにある検査室と書かれた女子トイレに入る。
検査台にコップを置き、子ども達の待つ待合室に戻る。
「どうでした?」
新八が聞いてくる。
「検査待ち、もう少しかかるけど、お前たちどうする?帰る?」
「まだ、居るネ。」
「そうですよ。具合の悪い銀さんを残して帰れませんから。」
「土方さん、どうぞ。」
再び呼ばれ、診察室に入る。
「土方さん、産婦人科に行ってください。」
「へぇ?そんな重い病気なんですか?」
思っていた事とは違うことを言われ、声が裏返る。
「そうではなくてですね。………おめでたなんです。」
「おめでた?」
「はい、妊娠してますよ。ただ、私は内科なので今何ヵ月目かはわからないんです。ですから、産婦人科に行って詳しく検査して貰ってください。」
診察室を出て、お金も払って病院を後にするもどこか受け入れられなくて……。
「銀ちゃん、さっきから喋らないね。」
「まさか、重大な病気だったんですか?」
「実は…………出来てました。」
「「……?」」
二人会わせて顔を見合わせてる。
「出来てるって?」
「赤ちゃん、出来ちゃった。」
「でかしたネ。銀ちゃん、どっちアルか?」
「まだわかんないよ。産婦人科に行ってくださいって言われた。」
「ほんとか?」
帰ってくるなり、訊かれ抱きつかれる。
「なにが?」
「妊娠だよ。」
「なんで、知ってんの?教えたっけ?」
「神楽が、町中言いふらしてたぞ?」
「ハァ~、定春の散歩がいつもより遅いと思ってたら、そんなことしてたんだ。本当だけど、まだ性別わかんないからね。」
「わかってる。」
トシが、お腹を擦ってくる。
「とりあえず、ご飯にする?」
「うん、お腹すいた。」
「だいぶん、大きくなったアルな。」
「うん。」
「銀子、行くぞ。」
お腹も目立つようになり、触っているとトシが玄関で呼んでる。今日は、診察日でやっとこの子の性別がわかる日。トシに言ったら、もう何日も前から休み取っちゃって、この日だけは何も起きるなってマジで神頼みなんかしちゃって……。
「待って、すぐ行くから。………じゃあ、行ってくるからね。」
「私もう、どっちでもいいアル。」
「気をつけて、いってらっしゃい。」
子ども達に見送られ、産婦人科へ行く。
「やべぇ、緊張してきた。」
「なんで、お前が緊張してんの?」
「だってさぁ、男の子ならスポーツしたいとか言って危ないじゃん。女の子なら音楽やらせたいし、可愛い服も着せたいし……。けど、お嫁に行かせたくねぇ。」
「今からそんなこと考えてんの?まだ、産まれてもないのに……」
そうこう話していると、病院に着いた。
「やっぱり、女の子がいい。」
「はいはい。」
もう、聞き流しておこう。
「土方さ~ん、土方銀子さ~ん、1番にお入りください。」
二人で1番と書かれた診察室に入る。
「早速ですが、ベッドに寝てください。エコー検査しますね。」
言われるがまま、横になるとナースがマタニティードレスを捲り、お腹を出す。さっきからそわそわしてるトシはとりあえずほっといておこう。
「少し冷たいですよ。」
先生が、ジェルをお腹に塗り検査を始めた。
「性別は、聞きますか?出産まで聞かない人もいますが。」
「「聞きます。」」
トシと声が被る。
「女の子ですよ。」
その後、頭の位置とかいろいろ説明して貰った。
「本買って帰ろうか?」
帰り道、トシが聞く。
「なんの本?」
「名前の本。画数とか音とかでさぁ、女の子の。」
「もう、名前決めんの?」
「ゆっくり、時間かけて決めたいしな。」
近くの本屋に入り、見るも1冊じゃなく何冊もあり少し驚いたが、一番見やすそうなのを買って帰った。
「どっちだったんですか?」
新八が、すかさず聞いてくる。
「「女の子。」」
二人会わせて言う。
「やったネ。お姉ちゃんが女としてのイロハを教えてあげるネ。」
「次は、男の子をお願いします。」
「よろしくな。二人とも。」
ソファに座り、買ってきた本をパラパラと見てみる。
「
本を買おうと言った本人が、本を見ずに言う。
「理由は?」
「ラピ〇タに出てくる「無理。なにお前、今トッシーなの?」
相手が言い終わる前に、却下しておく。
「違うけど……」
「いろいろあるけど、漢字の名前がいい。」
「ん~。」
その後、いくつかの候補から周りの皆の意見も聞き、“
意味は、海のように広い心でみんなを包み込むような子。本当は、蒼って字を使いたかったんだけど、音でノランって決めちゃったし、どう考えても蒼をランとは読めないらしく、この字になった。
「ただいま。
最近、トシの親バカぶりがすごい。帰ってくるなり、お腹に手をあて
「また、買ってきたの?」
「お腹にいる時から英語とか聴かせたら良いって言うから、CD買っていた。」
「ちょっと、買いすぎじゃない?まだ、産まれてもないんだよ?」
「けど、もうすぐ産まれるじゃん。臨月だし……」
「そうだけど、もう買うの禁止ね。産まれたらオムツいるんだから、どうせならオムツ買えってぇの。」
「う~ん。」
あんまり、納得いってないみたいだけど……。これ以上は……。
「銀ちゃん、服貰ったね。」
「服?誰から?」
「日輪からネ。」
神楽が広げて見せたのは、水色の可愛いベビー服。レースもふんだんに使われてる。
「可愛い。」
「退院する時にいいかもな。」
「うん。」
その夜、産気づき2日後元気な女の子を出産。
黒髪でゆるゆるの天然パーマ、目は誰に似たのか大きくよく笑う子。トシは泣いて近藤さんと喜んでたけど……。
「…………」
「なに、見てんの?」
「………………たい。」
「へぇ?」
退院もして、ソファに座り
「俺も飲みたい。」
「………馬鹿だろ。」
「飲みたい。飲ませて♪」
「そんな、可愛く言ってもダメ。」
頬を膨らませながら、近づいておっぱいに吸い付かれた。
「ちょっと、やだってば。」
離そうとするも、
To be continued