〈トシside〉
「パパ~♪」
屯所で、書類の整理をしている。可憐で俺の天使の声がする。
「パパってば!」
「ん?」
振り向くと、そこには
「
「来ちゃった。」
「ママは?」
「居るよ。今ね、総兄ちゃんとお話してるよ。」
「なにしに来たか言ってた?」
「わかんない。」
抱きつかれながら、話してるけどわからないので銀子を捜しに行くか?総悟の部屋か?
「行こうか。」
「ん?」
「で、どのくらい貰えるの?」
「まぁ、片手ぐらいですかねェ?」
「う~ん、もう一声なんない?せめて、8万。」
「姐さん、桁が違いますゼ。」
「ん?まさか、5千円なの?それなら、やだよ。」
「先方は、50万出すって言ってるんでぇ。」
「なんの話だ?」
案の定、総悟の部屋から、銀子の声がして聞き耳を立てていたが、金の話に思わず出ていった。
「げっ!
「げっ!ってなんだよ。人に隠れて金の話しやがって。」
「聞いてたんですか?副長が盗み聞きって感心しあせんね。」
「なんの話してたんだよ。」
“ハァ~”っと銀子が深くため息をつく。“いいよって相手に言っといて”と総悟に言って俺たちを部屋から出す。
「銀子、いい加減教えろ。」
「ちょっと、将ちゃんとご飯食べ行くだけ。」
「しょうちゃんって?」
「将軍様。」
「あの将軍、まだ諦めてないのかよ。」
将軍様は、お忍びで城下に降りてきた時、銀子に出逢い(当時、俺と銀子は恋人同士)一目惚れしたらしい。その後、幾度となく銀子に会いに来ていたが、俺との中がわかりてっきり諦めたのかと思っていた。
「ちょっと、食べに行くだけだよ?50万くれるって言うし、トシも良いって。
「まさか、次は
「違うと思うよ。歳離れすぎてるし、遅くなったけどお祝い金みたいなの。お返しはしなくていいって。」
「で、なんで俺に隠してたんだよ。」
「お前にすぐ言ったら、怒るじゃん。ねぇ~
「うん。」
まぁ、怒るだろうけど……。
「副長、桂から手紙が来てるんですが……」
桂からは、頻繁に手紙が来るようになっていた。なんでも、二人に逢うときは、見逃して欲しいらしい。攘夷の奴が、俺の家に来るのもどうかと思うが……。
「わかった。」
山崎から手紙を受け取る。いつも消印がない、屯所に直接入れ込んでいる。よく、捕まらないとこっちが感心してしまう。
「何だって?」
「ちょっと、待て。」
『近いうちに、そっちに向かう。銀子に頼みたい仕事がある。』
「なんか、来るみたいだぞ。」
「えっ~、また?」
「エリちゃんと遊ぶ~♪」
「まぁ、良いんじゃぁねぇ?捕まえたいけど。」
「じゃあ、帰るね。」
「バイバイ。」
「そんなの着るのか?」
「うん。」
その後、桂が来たが結局その話は即答で銀子により、断られた。なんでも、夜の仕事のヘルプだったらしい。まぁ、俺でも断るが……。
今、銀子は将軍様と食事に行くため着物に着替えてる。しかも、ミニ。将軍様が送ってきたらしい。
「
「うん♪」
「トシも着替えてよ。行くよ。」
「はい。」
あまり乗り気じゃないんだがな。
外に出ると、黒塗りの車が停まっていた。将軍様のお迎えか。普段は、護衛で俺が運転する事が多いが、自分が運転しないなんて初めてで、少し緊張してしまう。
「どうぞ。」
運転手がドアを開け、3人で乗る。
暫く車に揺られ、高級料亭に着く。いつも接待で使う店、だから来たがったのかと一人納得する。
「来たか♪」
満面の笑みで、将軍様が迎える。
たく、こんな着物送ってきやがって。
「将ちゃん、ありがとうね。」
「なっ!!」
銀子が、将軍様に抱き付いてる。
「そうか。気に入ってくれて余も嬉しいぞ。」
すっかり、営業モードになってる銀子。ムカつく。俺を迎える時には、抱き付いたりしないのに。
「パパ、顔怖いよ?」
「いつまで抱き合ってるんだよ。」
銀子を将軍様から離す。調子こいてんじゃないぞ。心で呟いてみる。
「なんだ、トシ嫉妬か?」
「えっ~嫉妬?」
「うるせぇ。」
部屋に行き、食事をするも落ち着かない。将軍様が、銀子の太ももを触ってる。俺にはなかなか触らせてくれないのに……イライラしながら、酒を飲む。
「ところで、なんでトシは銀子を旅行に連れていかないんだ?」
呼び捨てなのが、気に入らないが。
「仕事があるので……」
「そうだと思ってな、これ。」
差し出されたのは、飛行機のチケット。
「へぇ?」
俺ではなく、銀子が声をあげる。
「新婚旅行と結婚式をすればいい。料金は余が出すし、場所はな、海の綺麗な南の島。勝手に決めたが、良いだろ?」
「将ちゃん、大好き♪」
再び、銀子が抱きつく。
「トシはさぁ、仕事にかまけて全然してくれないんだよ。」
「おい。いい加減にしろって銀子。」
「良いじゃん、減るもんじゃないし。」
「減るわ~!!!」
俺の叫び声と共に、夜は更けていった。
To be continued