〈銀子side〉
あの後、何軒か家を見て回り私好みの家があった。
いざ、引っ越すとなると荷物が多くちょくちょく手で運んでいた。
今日も、ある程度荷物を運び終え甘味屋であんみつを食べていた。
「うっ、まい~♪」
思わず、声が出る。一人で来てるんだけど……。
「姐さん、俺にもなんかくだせぇ。」
「はぁ、沖田くん?甘いもの食べたっけ?」
「姐さん程じゃないけど、食べなくもないですよ。たい焼きひとつ。」
メニューを見ながら話し注文する。
「あんまり、サボんないでくれない?トシの仕事増えるじゃん。」
「仕事バカなんで、仕事してないと死んじゃんですぜ。土方の野郎。」
「
「…………それは、そうと……姐さん太りました?」
………ドSだと知っていたけど、あまりに失礼じゃない?そりゃ、結婚してからお金の心配しなくてよくなったから、甘いもの食べてるけど……もう少しオブラートに包んでもよくない?
「帰る。ここ払っといて。」
まだ少し残ってるあんみつに、後ろ髪を引かれながら万事屋へ帰った。
誰もいない中、脱衣所に行き奥にしまっていた体重計を引っ張り出した。
「はぁ~、太ってないよね。」
独り言をいいながら、恐る恐る乗ってみる。針が触れ、徐々に収まってくる。…………………増えてる。
嘘、そりゃ少しお腹がぷにぷにするけど……。ダイエットしようかなぁ……。
その後、
「ママ~これ買って。」
「うん。」
今日、野菜炒めにしようかなぁ。
「パパ?」
「へぇ?」
買い物からの帰り道。遠くの方にトシがいた。一人じゃなくて……女の人と……咄嗟に
向こうはこっちに気づかず、向こうの方へ二人で歩いていった。
「パパ、お仕事だから帰るよ。」
自分に言い聞かせるように、
「ママ、今日ご飯何?」
「ハンバーグ。
「うん♪」
そう言って、アニメがついてるテレビの前に座る。今日は、神楽は沖田くんの所に行ってるし(トシには内緒だけど)新八はお通のライブに行ってるし家族3人での食事って久しぶりで……考えないようにしていてもさっき見た光景が頭から離れない。仕事だって思っていてもどこかで違うのではないかと思ってしまう。
「ただいま。」
「パパ~♪」
「早かったね。」
「ちょっと、泊まりになりそうだから着替えとりに……」
「ご飯もうすぐ出来るけど、食べていく?」
「あぁ。」
あくまで、いつも通りにしなきゃ。上品な着物だったから、幕府の人間だよな。たぶん、護衛だって……。
焼き上がった、ピーマン入りのハンバーグを二人ぶん机に並べる。
「いただきます。」
二人が食べ始め、会話がなくなる。
トシの前に行くのが気まずく、キッチンで何かを作っていないと不安で……、
「銀子は、食べないのか?」
ガシャン。
「銀子?」
トシが慌ててキッチンへ来る。
「大丈夫か?怪我は?」
トシの声に驚き、お皿を落としてしまった。
「俺がやるから、触るな。」
「ごめんなさい。」
〈トシside〉
この間、銀子が皿を割ってからなにやら様子がおかしい。ボーっとすることも多くなった。引っ越しのストレスかと思ったが、どうも違うみたいだった。
というか、最近ヤらせてくれない。それどころか、触らせてもくれないし、無視されるのは日常的。
倦怠期なのか?
まさか、離婚とか?いや、それはないか。でも……。
「今頃、離婚届取りに行ってるんじゃねぇですか?」
「はぁ~。」
沖田が部屋に入ってきて言う。いつもなら言い返すとこだが、自分でもそう思っている為なにも言えない。
「
「いや、別れないし。」
「まぁ、確かめればいいでさぁ。」
そう言われ、p.m.3:00頃帰宅した。
「ママ、これ持ってていい?」
「無くなるかもよ?大事なんでしょ?だったらやめなさい。」
「なにやってるんだ?」
帰ると、ピンクのリュックサックに歯ブラシとかタオルを積めていた。まさか、家を出るとか?
「今日、お泊まり保育なの。前に言ったじゃん。」
この間そんなこと言ってたような気もしなくはない。
「よし、忘れ物はないね。」
「もう、行くのか?」
「うん、幼稚園でカレー食べるんだって。私は役員じゃないから行かなくていいんだけど、送ってくるね。」
二人が仲良く、外に出ようとしている。
「待って、俺も行く。」
なんだか、このまま帰ってこない気がしてならない。そんなことはないと思うが……。
「別に、付いてこなくても良いのに。」
不意に、
幼稚園までの道のりが、これ程までに短いと感じたことはなかった。あっという間についてしまう。
「じゃあね。」
「ノランちゃ~ん、行こう。」
友だちに呼ばれ行ってしまう。
「もう少し、グズると思ったけどね。お泊まりなんて始めてだから。」
「うん。案外楽しみにしてて、夜に電話がある系じゃないのか?」
「そうかも。」
家に帰り、銀子に後ろから抱きつく。
「やだ。」
案の定、すぐに身体を退ける。
「なんで、嫌がるんだよ。
「他の
「本気で言ってんのか?」
「なんだよ、今まで浮気しといて。私が知らないとでも思ってんのかよ。毎回違う女の人だし、最初は仕事だって幕府の人の護衛だって思ってた。けど………けど……あのホテルに入って行ったから……トシが……プロポーズしてくれた、あのホテルに……トシにとっては、なんてことないかも知れないけど、私にとっては、大切な想い出の場所なの。他の女をトシが触ってると思うと、吐き気がして。そんなことないって信じたいけど、外に出ると煙草屋のおばちゃんや八百屋さんとかトシの事、話してくるし、正直わかんないの。不安なの。なんで、なんも言ってくれないの?トシ………本当に浮気してるの?」
「……」
なんて、声をかけたら良いのかわからなかった。浮気なんてしていない。けど、女居たのは事実で一緒にあのホテルに入ったのも本当のこと。言っても、それは言い訳になってしまうのか?銀子の涙を止める術を知らない。知っているが、今は銀子に拒否されそうで怖かった。
〈銀子side〉
時は少し遡り。
「ママ?食べないの?」
最初にトシと女性が一緒に歩いているのを見てから、徐々に食欲が無くなっていった。
ダイエットしようとしていたから、私にとってはちょうどよかった。外に出れば、嫌でもトシのことを聞かされる。それを聞くのが嫌で、
昔は後ろから抱きつかれるのが好きだったのに、今では悪寒がする。
「やだ。」
と言ってトシの腕の中からすり抜ける。
トシの顔を見ると、今にも泣きそうな顔をしてる。なんで、そんな顔をしているのかわからない。
思わず、今まで溜め込んでいた不満をぶつけてしまった。涙か止まらない。胸が苦しくて息が出来ない。
トシは何も喋ってくれない。
浮気してたのは、本当のことなのだろうか?
不意に抱き締められた。
「……ごめん。」
本当だったんだ。一人じゃ
「ごめんな。不安にさせて。ちゃんと、説明してからすればよかったな。」
頭をポンポンしてくれる。こうされると、どんな時でも安心してしまうから不思議。
「実はな………ストーカーに合ってたんだ。その~相手は複数いて、お前に黙っていたのは危害が、お前や
強く抱き締めて、トシの鼓動が聞こえてきた。トクントクンって脈打っていてとても安心する。今、トシに抱かれてるんだって実感する。
「……誤解は解けたか?」
「………うん、疑ってごめんなさい。」
「いいよ。俺も言わなかったのは、悪かった。それと………これからは、ちゃんと飯食ってくれ。」
頬のこけた私にkissしてくる。
泣き止んでいたのに、涙が一筋溢れた。
To be continued
8話のタイトルに悩んでます。なんかいいのないかなぁ?