ミリアの両手が、背中に伸びる。
震える指先が、胸当てを固定している金具に伸びる。
口から「ふう、はあ……」と息を漏らしているのは、心を落ちつけるためだろうか。
しかし、順調だったのはそこまで。
あるいは強く瞳を閉じ、あるいは
そうしては留め金に手をかけたまま、恥ずかしげに目を伏せる。
「娘、いつまでそうしておるつもりじゃ? そこは第二ラウンドで、すでに一度見せたところじゃろう? いまさらためらうでない」
「あ、あのときといまとでは、状況が全然違うじゃないですか……」
無理やりに奪いとられるのと、自分の意思で取り払うのとでは、感じる羞恥の種類が違うのだ。
要は、そう言いたいのだろう。
その感覚は、アシモフにとて理解できる。
理解できるからこそ、言葉を重ねたくなるのだ。
「ふむ、そうして
「わ、わかってます、それくらい……。でも、胸当てを外せば興味を失うというわけでもないじゃないですか……」
「まあ、そうじゃな。どうあってもお主は、観客たちを欲情させることになる。
それに、じゃ。気づいておるか? 先ほどからずっと、下の口が観客たちの目に晒されておることに」
「――っ……!?」
後ろに回していた両手を前に戻し、秘部を隠すミリア。
やはり、胸当てを外せという指示ばかりに気を取られ、股間のほうはすっかり失念していたらしい。
「いやはや、なんとも
「~~~~~っ……」
うつむき、少女は羞恥に身を震わせる。
そんな彼女に老人は、容赦など微塵もすることなく問いかけた。
「しかし娘よ、その状態から一体どうやって胸当てを外すつもりじゃ?」
「は、外すだけなら、右手があればこと足ります……!」
そう絞りだすように口にして。
ミリアは右手を自らの背へと回した。
胸当てを固定するための留め金は、全部で四つ。
着けるときはそうもいかないが、外すだけなら片手だけで充分だ。
左手を秘部に残し、彼女はひとつずつ留め金を外していく。
その動きは、丁寧ではあれど
ミリア自身にその気はないだろうが、それは見ている者を焦らす、男性を大いに
「っ……」
三つ目の留め金が外されたところで、胸当てが傾く。
あとひとつ外されれば、銀色のそれは重力に逆らうことなく地面へと落ちるだろう。
火を見るよりも明らかなその事実を前にして、再び止まる少女の動き。
そしてアシモフもまた、そんな順当な結末をよしとはしなかった。
「ときに娘、その左手はいつまでそこに置いておくつもりじゃ?」
「えっ……?」
「いつまでも隠されておっては、ワシも観客たちも楽しめんじゃろう?」
だからどかせ、と言われていることは理解できたのだろう。
右手を背中に、左手は股間にやったまま、ミリアは
だが、いくらそうしたところで、闘技場のサーヴァントたる彼が
「……うっ、く……」
目尻に涙を浮かべながら、彼女はゆっくりと左手を己の恥部からどかしていった。
そして、せめてもの抵抗とばかりに前屈みになり、少しばかりずれている胸当てに左手を当て、正常な位置に戻してしまう。
それは、本当にささやかな抵抗でしかない。
しかし同時に、老人がもっとも望んでいた抵抗でもあった。
「おお、てかっておるのう。実によい眺めじゃ。……しかし、この量はなんじゃ? 胸当てを外すところを観客たちにまじまじと見られ、また新たに濡らしてしもうたか?」
「そ、そんなわけが――」
「まあ、追及はせんでおくか。見られて濡れたなどと知られるのは嫌じゃろうしな」
「だ、だから違うと――」
「ああ、別に否定せんでよい。ワシも観客たちも、ちゃんとわかっておるから」
そう言って、否定の言葉を封じ込めるアシモフ。
それから彼は、ミリアの左手越しにある銀色の胸当てへと目をやって。
「さて、そろそろ四つ目の留め金を外してもらおうかの? なに、いきなり地面へ落ちたりはせぬよ。お主が左手で押さえておる限りは、な」
「……情けを、かけたつもりですか?」
「いやいや、まさか。――さ、
「わかってますよっ……!」
そしてついに、最後の留め金が彼女自身の手で外される。
むろん、それによってあらわになるものなどなにもない。
老人が、その左手をどけるように言わない限り。
「さて、娘よ。使い終えたその右手じゃが――」
アシモフがそう呟くと同時、ミリアの身体がビクンと跳ねた。
「なんじゃ、その反応は。その手でヘソでも隠したらどうじゃ、と言おうとしただけじゃったのに」
「……えっ? あっ、えと……」
隠すための手はあるのに、使用を許されたのは腹部に対してのみ。
観客たちの目から秘部を守ることはできないままであり、そこはずっと無数の視線に晒され続ける。
だというのに、少女は素直におへそを隠し、あろうことか安堵に表情を緩ませさえした。
明らかに感覚が
だが、その安堵も長くは続かない。
「では、そろそろ左手を下げてもらおうかのう?」
「――っ……」
瞬間、恥じらいに揺れる瞳がアシモフに向けられた。
それにしばし考え、彼は四本の腕を動かす。
しかし、強引に彼女の左手をどかすつもりなど、老人にはない。
「――あっ! や、やめっ! やあっ……!!」
そう、胸当てには目もくれず。
アシモフは、言われても左手をどかさなかった罰だとでもいうかのように、彼女の着ている青い服を破きにかかった。
彼の腕が動くたびに歓声をあげる観客たち。
ビリビリという音を立て、単なる布切れへと成り下がっていくミリアの服。
ややあって、隠れていた少女の
「あっ、ああっ……!」
右手ではおへそを隠し、左手では胸当てを押さえ。
とうとう限りなく全裸に近くなったミリアは、背中を丸めながら絶望に染まった声をあげた。
むろん、老人はかまうことなく追い打ちをかける。
胸当てを外すのは、やはり少女自身の手でやってもらわねば、と。
「さあ、もうヘソなんぞ隠していても仕方なかろう? 右手を使って胸当てを取り去るんじゃ。ああ、左手はそのままでもかまわん。胸当てさえ地面に置いてくれればの」
左手はそのままでもかまわない。
追いつめられたミリアであれば、その言葉を『まだ左手で隠していてもいい』と解釈し、胸当てを外すという行為のハードルが下がったように感じることだろう。
そして胸当てと膨らみの間に隙間を作り、そこに震える左手を滑り込ませた。
「そうじゃ。そうすれば、誰にも見えん」
――乳首は、じゃがの。
そう内心でこぼしながら、老人が無言でミリアを促す。
それに応え、少女は銀色の胸当てを外し、右手で地面へと静かに置いた。
それから用を果たした右手を胸元に持っていき、胸の前で交差させる。
「これで……ま、満足ですか……?」
誰の目にも
それにアシモフは素直にうなずいた。
「うむ。それにしても、よい乳をしておる。むろん、第二ラウンドで二度ほど服越しに揉ませてはもらったが、いやはや、あのときは乳肉の色まではわからんかったからのう」
「や、やめてください。そういうことを言うのは……」
「なに、恥ずかしがるでない。いやいや、本当によい色をしておる。まさしく、発情しておるときの『女』の色じゃ」
「は、発情なんてしてませんっ……!」
「いやいや、どうかな」
少女の胸の膨らみは――いや、露出しているすべての肌は、例外なく淡い桃色に染まっている。
おそらくは媚薬のせいなのだろうが、両手を胸の前で交差させるという仕草も相まって、いまの彼女は、少女のものとは思えぬ色香を全身からただよわせていた。
「ところでお主、確か身長は152でバストのサイズが80、胸の大きさは『並』じゃったな? いや、その割にはなかなかのものではないか。あれか? 脱げば意外とある、というタイプか?」
「もうっ……いい加減にっ――」
「それと、娘。両手を乳の前で交差させておるのは、ワシや観客たちの視線を遮るためか? しかしお主、気づいておらんじゃろう? 隠そうと必死になるその姿は、男の情欲をより
しかも、じゃ。自分でもよく見てみい。両手を乳の前にやっておるせいで……」
「――あっ……!」
「気づいたか? お主にはそんなつもりなどなかったのじゃろうがな、乳を隠そうと
観客たちの目が釘づけになってしまうのも、
だが、だからといってどうすることもできないのだろう。
限界まで身体を
むろん、それに
「さて、そろそろ次の段階に進もうかの」
「……つ、次の……ですか……?」
「うむ、お主にも想像はつくじゃろう? 見れば触りたくなるのが男の
そしてミリアがなにかを言うよりも早く、アシモフは彼女の下乳に触れた。
彼はニヤニヤと笑みを浮かべ、少女に告げる。
「さあ、いまから持ちあげるぞ? 気をつけねば、せっかく隠せておる乳首がワシらの目に晒されてしまうかもしれんのう?」
「……や、やり口が
「ワシにとっては褒め言葉じゃな、それは」
そう言うが早いか、老人が二つの掌で少女の膨らみを
「あっ、あっ、あっ……」
見え隠れする桜色の蕾と、それを晒すまいと健気に頑張るミリアの反応。
そして両の掌に感じる心地よい柔らかさと、確かな重さ。
それらをたっぷりと
むろん、言葉で
「ほれほれ、しっかり隠さんと見えてしまうぞ? まあ、そうは言うても、乳首はすでに何度となく顔を出しておるから、いまさらか?」
「やっ、やだっ、やっ、やっ……」
無駄な抵抗とわかっていても、手段がある限りはやめることなどできないのだろう。
老人の両手に
これならば、いっそ『隠すな』と命じられたほうがまだマシに違いない。
そう読んだアシモフは、一度手を止め、彼女に意地悪く問いかけてやることにする。
「どうじゃ? 半端に隠す手があるという状況は」
「……あっ、うう……」
「『隠すな』という指示がほしいのならば、してやってもよいのじゃぞ? その場合、両手は身体の横につけてもらうつもりでおるがの」
その言葉に勢いよく首を横に振り、ミリアは拒否を示してきた。
老人は「そうか」と特に残念に感じることもなく呟き。
「では引き続き、このままで楽しませてもらうぞ。観客たちも悦んでおるようじゃしな」
そして再び、揺らし、弾ませ、翻弄する。
少女はそれをなんとか押さえようとし、見え隠れする蕾も晒してなるものかと
「やっ、ちょっ、あっ、もうっ、ああんっ、やめっ、はあっ、やだっ、やあっ、ふあっ、声、やだあっ……!」
むろん、これで終わりというわけではない。
むしろ、ここからが本番とすらいえるのだ。アシモフが行おうとしている『乳責め』は。
「……ふう、はあ、ふう、はあ、ぁ……」
両手を胸の前で交差させたそのままで、熱く艶めいた吐息を漏らすミリア。
だが休ませるようなことはせず、老人は次なる指示を飛ばしてやった。
「さて、次はいよいよ立ってもらおうかのう。へたり込んだままでは、観客たちにお主の全身がよく見えんじゃろう?」
「…………」
少女が彼に向けたのは、なんと助けを求めるような視線。
それほどまでに、追いつめられているということか。
むろん、そのようなものが通用する相手など、この闘技場内にはひとりとしていないわけなのだが。
「ほれ、
「……はい。わかり、ました……」
隠してもいいという一言が決め手となったのだろうか。
弱々しくうなずいてから、ミリアは両膝を地面から持ちあげる。
だが、胸で遊ばれたときに甘い感覚を覚えてでもいたのだろうか、立ちあがろうとした瞬間、ほんのわずかではあるものの腰が砕け、バランスを崩してしまった。
むろん、本当にわずかのことである。
再びへたり込む
しかし、どれだけわずかであろうとも、確実に快感は彼女の中に
そのことをアシモフは目ざとく見抜き、隠すことなく笑みを浮かべた。
そしてミリアが立ちあがり、胸元を隠しながら北の観客席へと向く。
その恥じらいに満ちた立ち姿に、観客すべての視線が突き刺さる。
しかし、見れば誰もが気づくことだろう。
目の前の少女は、今日という日を境に穢れてしまったのだということに。
それを証明するように、無毛の恥部が、太ももが、彼女の内側から垂れ出た愛液によって濡れてしまっているという、その事実に。
だが、それでもなおミリアは美しい。
羞恥に瞳を揺らす彼女の可愛らしさに、多くの者が見入ってしまう。
そんな少女の魅力をより引き出してやろうと、老人はさらなる指示を口にした。
「その姿、見れば見るほど半端じゃのう。どうじゃ? いい加減に両手を下ろしては。ここまでくれば、もうそこだけ隠しておる意味などないじゃろう?」
「…………」
その要求は、遅かれ早かれ必ずくる。
そう悟り、心の準備を終えていたのだろう。
無言で目を伏せ、
あらわになった桜色の乳首、それもすでに勃ちきってしまっている淫らなそれに、改めて観客席が湧く。
「うむうむ。そして、両手は身体の横じゃ」
その指示にも、彼女は大人しく従った。
第二ラウンドで黒タイツの中に手を入れられたときにもとっていた、『気をつけ』の姿勢。
恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら、ついに少女はその
どこを隠すこともせず。
羞恥に膝を曲げることもせず。
ただただミリアは、その全身を余すところなく
いや、まだ隠れているところはある。
鎧のように無骨な、銀色の二つの装備品。
だが、これらはこのままでいいだろう。
篭手とブーツは敢えて残しておいたほうが、その無骨さも相まって、よりいやらしい雰囲気を
そう結論しながら、アシモフは少女の顔を覗き込む。
「さて、ここまでえらく時間がかかったが、そろそろ乳責めを始めるぞ? お主の乳首も、それを期待しておるようじゃしの」
彼女の了承を得ることなく、ミリアの胸元に顔を近づける老人。
「っ……」
そのあまりの距離の近さに、銀髪の少女は逃げようとするかのように身をよじった。
それは無理のない反応といえるだろう。
なにしろ、彼の顔はミリアの胸のすぐ前にあり、彼女の素肌は、老人の
アシモフがその気になれば、彼女の蕾を舐めあげることもできる距離。
その事実を前にして怯えるなというのは、あまりにも
だが、それにもかかわらず、老人はさらに距離を詰めてやった。
「ちょっ……!」
焦ったようなミリアの声を楽しみながら。
己の視界に桜色の乳首しか映らなくなるほど、近くまで。
そう、まるで少女の可憐な蕾に口づけようとするかのように――。