胸を撫でるアシモフの
当然の反応だろう。
老人とミリアの間に横たわる隙間は、無いも同然。
彼がその気になりさえすれば、その二つの膨らみを、健気に自己主張している桜色の突起を、アシモフはいくらでも好きにできてしまうのだから。
老人は身を屈めたまま、すでにしこり勃っている少女の乳首を凝視し続ける。
しかし、口を開くことはしない。
自分が置かれている状況をミリアに正しく理解させるため、また彼女の羞恥心をたっぷりと刺激してやるために、彼は敢えて無言を選ぶ。
だが、その沈黙の時間を破ったのも、また老人からだった。
「これくらいでよいか。そろそろ可愛い声が聞きたくなってもきたしの」
「んっ……、息が、かかって……」
「うん? なにか言うたか? 娘」
「くぅっ……。なんでも、ないですっ……! さ、さあ、触るのも、舐めるのも……お、お好きにどうぞ。……ど、どれだけやっても、無駄ですからね?
あなたの好きないやらしい声は、もう絶対に出しませんから」
「ほう? 絶対に、か?」
「くっ……。ぜ、絶対に、です……」
アシモフが口を開くたび、少女の硬く張りつめた乳首に息がかかる。
だが、声を押し殺しながら、途切れ途切れに彼女は続けてきた。
「絶対、に……あなたの喜ぶ、ような……声なんか、出して……あげないんで、すからっ……」
「小娘が、強がりおって」
「っ……。強がって、なんか……いま、せん……」
「そうかそうか。いつまでそんなことを言っていられるか楽しみじゃのう。なにせ、お主はすでに一度イってしまっておるからなあ」
「んっ……。で、でも……私は堕落なんて、してません……。『堕落に繋がる天国』なんて……嘘、ばっかり……」
「嘘などついておらぬよ。イくことと堕落はイコールではない、というだけでな。
あれは堕落の『始まり』なんじゃ。イけばイくほどにお主は
そこで一度言葉を切り、老人は向かって左にある乳房の中心に狙いを定める。
そして、舌のざらりとしたところで、桜色の可憐な蕾を舐めあげた。
「――ひやぁんっ!?」
「ほれ、お主の身体は、もう性の快感に目覚めてしもうておるじゃろう?」
「……いっ、いまのはっ……! い、いきなりのことに……びっくり、したからでっ……!」
「言っておれ、言っておれ。そういうことにしておきたいんじゃったら、邪魔はせんよ。
この戦いが終わる頃には、完全に堕落し、その身に走る感覚を性の快感であると素直に認め、求めるようにすらなっておるじゃろうからな」
「んくっ……。そんなこと、には……絶対、なりませんっ……!」
「そこまで言い切るのならば、ワシもありとあらゆる手段を用いて可愛がらせてもらうとするかの。そう、『そんなこと』になるように」
そして、手始めにとばかり、アシモフは意識して息を乳首へと吹きかけ始めた。
通常ならば大した刺激にはならないだろうが、その身体が媚薬に
先端をくすぐる生温かい風に、ミリアは唇を噛みしめる。
「……っ……んっ……っ……っ……くぅ……っ……くっ……っ……」
「おうおう、なかなかに耐えるのう。そうでなくては面白くない」
そう言うやいなや、老人は少女の胸元から顔を離し、ニヤリとミリアに笑みを向けた。
「そうじゃ。ひとつ、ルールを足してもよいか?」
「る、ルール……?」
「そう、ルールじゃ。お主が取ってはならない行動を追加するんじゃよ。
なに、そう難しいものではない。単に、脚に力が入らなくなってしもうても、崩れ落ちずに我慢してほしいというだけのことじゃ」
「また、私が不利になるようなものを……!」
「
「そ、そんなわけがないでしょう!」
「ならば、かまわんじゃろう? もしも崩れ落ちてしまったときは……まあ、このあたりのことは審判に任せるかの。
そうにらむな。このルールが無用なものであることくらい、ワシにとて理解はできておるよ。最後まで声を押し殺していられるというのなら、
「あ、当たり前です……」
肯定する声は、弱々しいものだった。
彼女がアシモフに少女のもっとも敏感なところを
おそらくは、その記憶が彼女に不安を覚えさせているのだろう。
そして老人も、ミリアは十中八九、地面に崩れ落ちるだろうと踏んでいた。
むろん、すぐにとはいかないだろう。
それはおそらく、乳房全体を、それと乳首の先端を、徹底的に可愛がってやった果てのこととなるに違いない。
あるいは、達するまでは崩れ落ちたりなどしない可能性だってある。
だが、それでもよかった。
この『ルール追加』は、さらなる『ルール』の追加を行うための
いまの彼の目的は、少女を胸だけで絶頂させること。
そのためには、時間をかけて快楽を送り込み、限界まで快感を我慢させ、それを逃がすための出口を塞いでやる必要があった。
ミリアの性格からして、我慢する行為をひとつ設定するのに成功すれば、二つ、三つと増やしていくのは
そして、ひとつ目の『ルール追加』は難なく成功した。
あとはひとつずつ、時間をかけて『快感を逃がすための出口』を塞いでいけば、媚薬の効果も手伝って、いつかは胸だけで絶頂してくれることだろう。
「さて、まずは指で焦らすとするか。これならば、声を抑えるのも容易じゃろう?」
「なにをされたって……平気です。本当に……平気、ですからね……?」
少女の強がる声を
「……んっ……っ……く……っ……くぅっ……」
向かって左の胸のふちに立てた人差し指を
続いて右の胸のふちにも指をあてがい、こちらも一周。
それに目を伏せ、ミリアは何度か首を横に振る。
「……ふっ……くっ……っ……は……」
「む? 早くも
「……ふっ……。あ、あなたの聞き間違い、ですっ……」
「なんじゃ、
つまらないとは対極にある表情を浮かべながら、老人はピンと立てた人差し指を滑らせ続ける。
緩やかな曲線を描いている膨らみを、上へ上へと目指しながら。
向かって左にある乳房は、まだ放置しておくことにした。
この段階で愛撫してやるのは、片方だけだ。
「あっ、やっ……。……んっ……それ以上は、こないで……」
「ふむ? まだ乳首には触れられたくないか? では、予定変更じゃ」
そこに触れる直前、実は最初からそうするつもりだったアシモフは、桜色の蕾を
まあ、もっとも。
「……あふっ……んんっ……」
ここまで来た手間賃とばかり、ぷっくりと膨らんでいる乳輪に、わざと指をかすめさせるくらいはしたが。
そして動きかけたミリアの右腕を、言葉で素早く制止する。
「おっと、手はどちらも身体の横じゃぞ? むろん、お主の身体じゃから動かすのは勝手じゃがな、乳責めが終わったあとのことを考えてみい。果たして審判からなにを言われると思う?」
「…………」
その言葉に、少女は右手を腰につけなおした。
それに満足しながら、老人は右の乳肉を
すると耐えるためにか、それともより強い刺激を求めているのか、ミリアが太ももをもじもじと擦り合わせ始めた。
「そうそう、もの足りなくなってきたらちゃんと言うんじゃぞ? 頼まれれば、責めの手はいくらでも強くしてやるからの」
「ふっ……、けっこう、ですっ……。もの足りなくなんて……なって、いませんし……これからも、なりませんっ……」
「そうか? では聞くが、なぜお主は先ほどから、目を伏せたり、首を振ったり、膝を擦り合わせたりしておるんじゃ?」
「えっ……?」
その指摘に、少女は驚いたような表情を浮かべた。
どうやら、無意識にやっていたことだったらしい。
「ワシの目には、快楽を少しでも外に逃がそうとしておるように見えたのじゃが」
「そ、そういう……わけじゃ……」
「ほほう? では、
「あ、当たり前じゃ……ひぅんっ……ない、ですかっ……」
口を開くところを見計らって指を乳肉に沈ませてみたが、ミリアは最後まで言い切ってみせた。
だが、声に混じる甘さは増してきている。
その事実を確認し、とろけるように柔らかくも張りのある感触を楽しみながら、アシモフはさらに言葉を続けた。
「じゃがなあ、そちらの乳は、最初に一度舐められてから、ほとんどそれきりになっておるじゃろう? 片方のみを可愛がってやっておることもあって、ワシの見立てでは、こっちもこっちもと
「だからっ……そんなこと、には……ふあっ……なって、ませんっ……!」
「なら、よいのじゃがな。悪いことは言わん、うずくのならば恥ずかしがらずにそう言ったほうがよいぞ。やせ我慢は身体に毒じゃ」
「余計な……くふっ……お世話、ですっ……!」
「そうか。ならばしばらくは、こちらの乳だけで楽しませてもらうとしよう」
「お、お好きにどうぞっ……」
自分の望む返答を引きずり出すことに成功し、老人は笑みを深めた。
それから、今度は下乳を堪能しようと、撫でるように指を下のほうへと戻していく。
むろん、移動の途中で乳輪をかすめてやることも忘れない。
「……はふっ……んっ……くぅぅっ……」
「どうじゃ? お主がときどき口にしておる『変な感じ』はしてきたか?」
「して……く、んっ……ま、せんっ……。……ん、くふぅっ……」
その顔の向きでは、
あるいは、単に東西南北の観客席にいる貴族たちのほうを向きたくないだけなのかもしれないが。
何度となく両手を握ったり開いたりしている少女に、アシモフは思いだしたかのような口調で語りかける。
内心では、この娘は下の口から垂れておるよだれに気づいておるんじゃろうか、と思いながら。
「ときに、娘。お主は本当にサービス精神
「な、なに……ふあぁっ……なにを、言って……」
「乳責めを始める前に言っておったではないか。ワシが好むような声はもう出さぬ、と。じゃが、いざ始めてみれば……これじゃろう?」
「そっ……くぅんっ……そ、それは……ふっ……」
「お主は意志が強いからの。ここまで簡単に声を出させることはできんじゃろう。
ということは、じゃ。いまお主の口から漏れておる甘い声は、ワシを悦ばせようとお主が意識的に、頑張って出してくれておるものじゃということになる。
のう? これがサービスでなくて、なんじゃというのじゃ?」
「ちっ、違います……。そ、そんなサービスなんて……する、わけが……ひぁんっ!?」
否定の言葉を遮るように、老人が乳首をピンと弾いた。
「なに? 違うのか? では、この喘ぎ声はお主が本当によくなってしもうたがために、出ておるのか?」
「うっ……うぅ……」
「これ、ちゃんと答えぬか。どうなんじゃ? よくなっておったのか?」
「そ、それはぁ……」
「ほれほれ、一体どっちなんじゃ?」
答えを引き出すべく、アシモフは親指と人差し指で乳首を
「ふあっ……! や、やめっ……んああっ! こんな、いきなりぃっ……!」
「気持ちよくなっておったのか? なっておらんかったのか? ほれ、答えるまで続けるぞ?」
「……ひあぁっ! ふぁっ! いっ、言いますっ! んふぅっ! 言います、からぁっ! だからっ、こするのやめっ……! やめてっ、くださ、ぁっ……!」
それではまだ足りない。
決定的な『その言葉』を彼女自身の口から言わせようと、老人はコリコリに尖った少女の蕾を容赦なくしごき続ける。
「言う、ではなく、どっちじゃったのかを言わぬか。ほれほれ、それを口にするまではやめてなどやらぬぞ?」
「……はぁっ! きもっ……ひぅんっ! きもちっ、よかっ……! よ、よかった、ですぅっ……!」
それを聞き、ようやくアシモフは手を引っ込めた。
「そうかそうか。やはり、よくなっておったか。まあ、お主の左の乳をちょっと可愛がってやっただけで、下の口がよだれを垂らしておったからな。お主が感じておったことなど、誰の目にも明らかじゃったわけじゃが」
「……はあ、はあ、ふう……う、ううぅっ……」
恥辱のあまりにか、ミリアは脚を震わせる。
そのまま崩れ落ち、座り込んでしまえと思う老人だったが、残念ながらそうはならず、彼女は太ももをガクガクさせながらも直立の姿勢を保ってみせた。
だが、考えてみれば特に残念がることでもない。
いまのは単に情欲をそそられ、やりすぎてしまっただけなのだから。
そう、本当はもっと焦らしに焦らしてから行う予定だったのだ。乳首を指で摘みあげる、という責めは。
先走って桜色の突起をしごいてしまったのは、疑いようなくミリアの反応のせいだった。
追いつめられた彼女がみせた、あまりのいじらしさ。
それを目の当たりにし、ついつい暴走してしまったのだ。
次からは気をつけなければ、と心に強く刻みながら、アシモフは次なる責めの内容を考え始める。
次に可愛がってやりたいのは、言うまでもなく、あまり刺激を与えていない右の乳房だ。
しかし、とりあえずとはいえ放置した以上、そこはミリアからねだってくるように仕向けたい。
ならば、と老人は思考を巡らせる。
そして、ふと左の膨らみに指を沈ませていたときのことを思いだした。
あのときに得た情報を使えば、いけるだろうか。
なにせ相手は、性的な知識を欠片も持ちあわせていない少女である。
説得力さえあれば、あるいは真実と嘘を混ぜ合わせてしまえば、騙すことは充分に可能なのではないだろうか。
「娘よ、
これは真実。
ちゃんと栄養を
だが目の前の少女は、彼の言葉に複雑そうな表情を浮かべた。
「うん? どうした? 嬉しくはないのか?」
「あなたに触られたことがきっかけでわかったことですから……。なんだか、私自身も知らなかった身体の内側のことを知られてしまった感じがして、その……」
恥ずかしい、といったところか。
だがミリアの覚えている感覚は、とても的を射ているものだともいえた。
「それに、あまり大きくなったら、それはそれで近接戦闘のとき邪魔になるでしょうし……」
こちらは、なんとも『ファイター』らしい理由だった。
あまりにも『らしい』理由だったため、老人はいささか呆れてしまう。
「よいではないか、別に……。それにお主、女であることを捨てるつもりはないんじゃろう? じゃったら、無いよりはあったほうがよいに決まっておる」
「それは、そうかもしれませんけど……」
複雑そうな表情は変わらない。
まあ、武器屋の店主――もとい、この国の第三王子に
「それはそれとして、じゃ。娘よ、残念ながら吉報ばかりとはいかぬぞ。まだまだ育ちそうじゃからこその
「凶報、ですか?」
「ほれ、ワシはお主の左の乳ばかりいじっておったじゃろう? じゃから、大きくなるとしても左の乳のみ、となってしまうんじゃ。
両方とも同じ大きさにしたいのならば、ちゃんと平等に可愛がってやらねばならん、ということじゃな」
むろん、これは嘘である。
しかし、
「そ、そんなっ……!」
「察しはついておると思うが、自分でいじっても効果はないぞ? 女の乳というのはな、男に愛されねば育たんようにできておるのじゃ」
「……だから私の身体に触るとき、『可愛がってやる』って言ってたんですか?」
「うん? まあ、そうじゃな。
まだ成長の余地があるようならば、自分の手で育ててやりたい。そう思うのが男というものなのでな」
すらすらと嘘八百を並べ立ててみせる老人。
むろん、
そして彼は、困惑しているミリアに決断を促す。
「なんであれ、左の乳のみ大きくなっては困るじゃろう? よくなってきておることはなんだかんだで素直に認めたんじゃから、ここはもうひとつくらい、自分に素直になってもよいのではないか?」
その言葉に、少女は目線だけを横へと向けた。
「あなたに頼め、ということですか? 私の……む、胸を……その……して、くださいって……」
「端的に言うならば、そういうことになるの。それに、忠告はしたじゃろう? うずくのならばそう言ったほうがよい、と。やせ我慢は身体に毒じゃ、と。
あのとき、我慢せずワシの愛撫に身を委ねておれば、このような事態には
「わ、私は別に我慢なんてしてませ――」
「娘よ、もう強がるのはやめい。でなければ、今度は取り返しのつかないことになるやもしれぬぞ?」
なにを想像したのか、ミリアが身体をぶるりと震わせる。
そして、改めて目線をアシモフのほうへと向けてきた。
「た、頼めば、本当に……ちゃんと、して……くれるん、ですか……?」
いまにも消えてしまいそうな、か細い声。
必死になって絞りだしたのであろう問いかけに、老人は大きくうなずいた。
「むろんじゃ。お主が『どうしても』と頼むのならば、な」
「……わかりました。どうしても、です……」
「頼むのじゃな? お主の敵である、このワシに」
「いまは、そうするしかありませんから……」
彼女は心底悔しそうに、そう呟き。
「お、お願いします……。できるだけ、その……や、優しく……」
恥ずかしさに、唇をわななかせながら。
熱い吐息と共に、頼み込んできた。
口実を与えられたせいで、隠せなくなってしまった期待の感情。
かすかなそれを、青い瞳の奥に