アシモフの指が、可憐な輪に円を描く。
「……は、あ……んんぅ……」
焦らすべく、求めさせるべく、円を描く。
「……ふ、は……はあぁ……も、やめ……」
ひっきりなしに小さく
両の手を身体の横につけ、どこを隠すこともせずに立っている。
だが、身じろぎもしていないというわけでは、断じてない。
「……いいって、言ったのに……はうっ……ちくびぃ……して、いいってぇ……ふぅん……」
切なげな声を漏らすたびに、愛液にまみれている太ももが擦り合わされる。
「……ねえ……まだ……あふっ……まだ、なんですかぁ……? もう、頃合いって……判断、するの……ふああ……」
甘く潤んだ瞳には、より強い快楽を欲しているかのような色があり、目尻にも快感の涙が粒となっている。
そして、なにより。
「……んふっ……たりな……はぁっ……たりないん、ですよお……。もの、たりな……ん、んん……」
その証拠とばかりに、ミリアは背を反らしていた。
まるで、眼前の老人に乳首を差し出そうというかのように。
「……お、ねが……ち、くびぃ……。……あ、ああ……ふあぁん……」
だが、アシモフはその
切なげに、ゆるゆると振られる首。
握ったり開いたりと落ちつきのない、少女の両の掌。
言葉だけでなく、そういった仕草からも彼女の
それでも、老人はそのことごとくを無視し続けた。
責めの矛先を変えることは、決してせずに。
焦らしに焦らし、ミリアの感度をさらに上げてやろうと。
そのために
「……あ、あ、ああ……。も、もうっ……!」
そこで、ついにミリアが動いた。
体内で『なにか』が延々とくすぶり続けるのに耐えきれなくなったのだろう。
その尖りきった先端を、軽くではあるがアシモフの指へと触れさせてきた。
「ふああっ……!」
その衝撃に、少女は全身を甘く震わせる。
言葉はなかった。
しかし、間違いなくミリアのほうから求めてきた。
彼女らしく控えめに、可愛らしく、健気に、いじらしく、求めてきた。
ならば、そろそろ次の段階へと進んでもいいだろう。
そう思い、老人は新たな蜜が垂れてきている少女の股間へと目をやった。
そこでは、濡れた太ももがしきりに擦り合わされており。
「……あっ……ど、どこ見てっ……」
「いやなに、そんなに
「しゅう、ちゅう……?」
瞬きするミリアに、老人は先ほど乳首に触れた人差し指を立ててみせた。
「うむ、そろそろ『そこ』を可愛がってやってもいい頃合いじゃろう。じゃが、そうも激しく脚を動かされておると気が
それで、じゃ。この指でお主の乳首を愛してやる代わりと言ってはなんじゃが、そこを擦り合わせるのは我慢してもらえんかのう?」
「我慢、ですか……?」
「そうじゃ。信用できぬようじゃったら、ワシのほうから先にしてやってもよいが?」
言って、少女の右胸にある頂きに、ぴとっと指先を触れさせるアシモフ。
「――ふあっ……!?」
それに、ミリアの身体が一瞬だけ硬直する。
次いで腕と脚を、電流でも流されたかのようにガクガクと震わせた。
そんな可愛らしい反応をみせる少女に、老人はここぞとばかりに畳みかける。
「よいな? 我慢じゃぞ、我慢。どんなにそうしたくとも、決して擦り合わせてはならんぞ?」
「は、はい……。……あ、あの、これも『ルール』になるんですよね? 私が、絶対に取ってはいけない行動……。私が有利になることは絶対ない、理不尽な決め事……」
そう口にしたミリアは、不安そうな表情の中に、どこか期待の色を
自分の言葉に、あるいは
もしそうであれば、アシモフにとっては好都合なことこの上ない。
だが老人は、ひとまず見逃してやることにした。
いまは彼女の問いに答えるのが先だろう、と判断して。
「まあ、『ルール』ということになるの。むろん、我慢できそうにないならば、拒否してもらってもかまわぬが?」
「そうした場合、ち、乳首は……?」
「当然、最後までほったらかし、ということになるのう」
「そして、そうされたら……左の胸だけ、大きく……」
その言葉に、まだ冷静な思考を保てておるのか、と内心でアシモフは舌打ちする。
むろん、ミリアがそれに気づくことはなかったが。
「わ、わかりました。我慢します。だから、その……お願い、します……」
「うむ、ワシなどの指に乳首を委ねてもよい、どのように可愛がられてしまってもかまわぬ、というわけじゃな? そして、先ほどまで以上の快楽を与えてほしい、と?」
その
その肯定に、しかし老人は、指を彼女の胸の先端から離した。
「なっ、なんで……?」
「ワシの問いに答えぬからじゃ。ちゃあんと言葉にせねば伝わらぬぞ?」
「そ、そんなぁ……」
「で、どうなんじゃ? ワシの指がほしいのか? 敵であるワシに委ねることに抵抗はないのか? 先ほどまで以上によくしてほしいのか?」
おそらくは、無意識のうちに行ったことだったのだろう。
意地の悪いアシモフの問いかけに、ミリアは太ももを擦り合わせ。
「ゆ、指……ほしい、です……。抵抗は、ありますけど……これは、仕方のないこと、ですから……。あと、気持ちよくも……その……して、ほしいです……」
「そうかそうか。よくしてほしいか」
「だっ、だから……あの……は、早く……乳首……」
「わかっておる、わかっておる。――ほれ」
再度指を伸ばす老人。
しかし、まだ彼の『焦らし』が終わったわけではない。
彼女をさらに追いつめるべく、先端に触れるか触れないかという位置で指先をさ迷わせるアシモフ。
「……はっ……ふ……んんっ……」
かすめるように。
いたぶるように。
少女の乳首を、もっともっと張りつめさせてやろうと。
「……あふっ……こんなの……あ、あ……」
もどかしくてたまらない。
ミリアの表情が、そう物語っていた。
無理もない。
彼女からしてみれば、ようやく強い快感が得られると思っていたところだったのだ。
約束が違う、と視線で訴えたくもなるというものである。
だがミリアは、それでもアシモフを非難はしなかった。
そして彼もまた、少女のその反応を読んでいた。
それさえ把握できていれば、彼女の文句を封じることなど、アシモフにでなくとも容易いのだ。
要は、嘘をつくことさえしなければいいのだから。
事実、闘技場のサーヴァントは、自らが口にしたことを破っていない。
ミリアの要望どおり、きちんと乳首を指で可愛がってやっている。
与える刺激の強弱に言及しないことで、老人は嘘をつくことなく少女を騙してみせたのだ。
「……は、ふっ……も、やあっ……もっと、ちゃんとぉ……ふっ、ぅんっ……」
指の腹で、硬く尖った頂点をかすめるように刺激しながら、アシモフは思う。
やはり、この娘の生真面目なところは利用しやすい、と。
むろん、ミリアのその性格は、彼女の『美点』であるともいえるだろう。
だが、この少女のそれは、いささか度を越していた。
その生真面目さのせいで、彼女はこれまでに何度、アシモフにその身を委ねざるを得ない事態に陥っただろうか。
そしてその都度、胸を、恥部を、彼にどれだけ好き放題
「……なんで……ふぅんっ……こ、こんな……はあっ……」
かすめるような愛撫はそのままに、アシモフが喘ぐ少女に問いかける。
「どうじゃ? 娘。満足できておるか?」
「……そんな、わけっ……あん……ない、で……く、ふっ……」
「なんじゃ。ちゃんと乳首を愛してやっておるというのに、まだよくなれておらんのか?」
「……た、たしかに愛しては……んふぅ……愛しては、くれてますけど……ふあ……こ、これは……ん、んん……これ、ちがう……ああ……ちがっ、でしょう……?」
もどかしさをごまかすためか、掌を握ったり開いたりを繰り返すミリア。
ときおり太ももを擦り合わせようとしては動きを止める少女に、老人は白々しく問いを重ねていく。
「違う、とな? ……ふむ、もっと強くしたほうがいい、ということかの?」
「……そう、です……。……ふっ……もっと、もっと……あふぅ……もっと、つよく……」
「そうかそうか。しかしお主、思っていたよりも快楽には
「……あふっ……ああ……。……どん、よく……?」
「うむ。先ほどから、足りぬ足りぬと言わんばかりに身をくねらせておるじゃろう? ワシはちゃんと乳首を愛してやっておるというのに」
「そ、それはぁ……」
アシモフの言葉に、少女は恥じ入るようにうつむいた。
だが老人は、そんな彼女の反応を責めることなどせず。
「なに、そのほうが愛し
そこで一度言葉を切り、アシモフはニヤリと口の端を歪めた。
「愛撫がより効果的なものになるよう、わざと焦らしてやっておったというのも、事実じゃからなあ。現にお主、もどかしさに身を
「わ、わざと……? んっ……なんで、そんなこと……」
「言ったじゃろう? 愛撫が効果的なものになるように、じゃよ。悪意など
というわけで、じゃ。次の段階に移るのは、お主がもどかしさにどうにかなってしまいそうな状態になってからにしたいのじゃが――」
「も、もうなってます……! なってますから……ふあっ……で、ですからっ……!」
その告白に、老人が目を見開いてみせる。
だが、そのわざとらしさに少女が気づくことはなかった。
闘技場のサーヴァントの反応を見て、自分がどれだけはしたないことを口走ってしまったのかに思い至ったのだろう。
しどろもどろになりながらも、ミリアは弁解を試みる。
「あ、あう……。いまのは、その、あの……」
だが、彼女の声はそこで途切れてしまい、続かない。
頬を真っ赤に染めた少女を見やり、アシモフは責めの手を止めて愉快そうに目を細めた。
「ほう、そうかそうか。もう、どうにかなりそうになってしまっておったか」
太ももを擦り合わせるのを我慢する代わりにとばかり、ミリアは両の掌を強く握りしめる。
「いえ、あの、その……。も、もうその状態にはなりかけていたといいますか……じゃなくて、えと、もどかしくてたまらなくなっているのは、事実なのですが、でも、えと……」
そんな言い訳になっていない言い訳をする彼女に、老人はニヤニヤと意地悪く問いかけた。
「ふむ……。ならば、もうしばらく焦らしてやったほうがよいかのう?」
その言葉に、ミリアがビクリと反応する。
「も、もうそれは嫌です! お、お願いですから、もう、焦らさないでっ……!」
「じゃが、まだ『どうにかなってしまいそう』ではないんじゃろう?」
「それは……、それはぁ……!」
我慢しきれなくなったか、禁じられているというのに太ももを擦り合わせるミリア。
当然、それにはアシモフが注意を飛ばす。
「これこれ、それはいかんと言うたじゃろう」
「あっ……。す、すみません……」
「まったく、ちょっと言葉で責めてやっただけでそれとはの。……ふむ、やむを得んか。――娘よ、やや早くはあるが、お主が望むのならば『次の段階』に移ってやってもよいぞ?」
口ではそう言ったが、実際には少しも早くなどなかった。
いまのところ、責めのすべては彼の思いどおりに進んでいる。
だが、そんなことなど知る
「ほ、本当ですか……?」
「うむ、交換条件として『ルール』の追加を呑んでもらえるのなら、じゃがな」
「うっ……。こ、今度は、なにを我慢させようっていうんですか……?」
「そうじゃなあ……」
思案するふりをしながら、アシモフは桜色の先端を摘む。
「――んっ……!」
そして彼女の熱が
「……あっ……ふ、やめ……だから……もう、焦らすのは……ふぅん……やめ、ふあ……やめてぇ……」
老人の
それをどうにか聞き流し、彼はなおも考えるふりを続ける。
「なにがよいかのう……」
「……あふぅ……はやく……んん……はやく、決めてくださ……あ、ああ……」
「そう
「……んふっ……目を、ですか……? はああ……」
「そう、目じゃ。快感を堪えるために閉じるのと、ついとっさに閉じるのと、どちらも我慢してもらえると嬉しいのう」
両の掌を
「わか――んっ……わかり、ましたっ……。だ、だから、もう……んふっ……じらすのは、やめて……あ、あ……はや、くぅっ……」
それにうなずき、指の動きを一度止めてから、「それと」とアシモフは続ける。
「先ほどから落ちつきなく握ったり開いたりされておるその両手なんじゃが、それもずっと開いたままの状態にしておいてくれんかのう?」
「そ、そんなっ……! あふっ……」
動揺もあらわに声を大きくした少女を、老人は少し指を動かすだけで大人しくさせる。
「……や、やめっ……ふっ……あっ……ああ……もう、こんなの……せつなく……せつなく、なって……ふぁんっ……」
硬く張りつめている乳首を、二本の指の腹で撫でさすり続けるアシモフ。
そして指の動きはそのままに、頼むような口調で『ルール』の追加をミリアに迫る。
その禁じようとしている行為が、彼女にとって必要なこと――『快感を逃がすための出口』のひとつなのだと知っていて。
「少しばかり早く『次の段階』に移ろうというんじゃ。このくらいのこと、呑んでくれてもよいじゃろう?」
「……でもっ……でもおっ……んっ……ふ、あ……」
二本の指で乳首を絶えず弱く刺激されているというのに、ミリアは首を縦に振ろうとしなかった。
これ以上『ルール』を追加されるのはまずい。
おそらくは、そう思っているのだろう。
そんな彼女に、老人は嘆息する。
少女の目に、残念そうに映るよう意識して。
「そうか、駄目か。ならば仕方ないのう。『次の段階』に移るのは諦めて、もうしばらく焦らしを続けるとするか」
「そ、そんな……あ、はっ……くふぅん……ふあ、ああ……」
乳首を弱く擦られるもどかしさに身悶え、熱い吐息を漏らすミリア。
そんな彼女を見ながら、アシモフは考える。
交換条件として提示した、『ルール』の追加。
すぐさまそれに飛びつかないくらいには、ミリアの理性はまだ残っているらしい。
そして、闘技場のサーヴァントは、そんな彼女に思わせてやりたくなる。
そんな余計なものは、かなぐり捨てておくべきだったと。
『ルール』の追加を、一も二もなく受け入れておくべきだったと。
呑むのを一度は拒まれた、『ルール』の追加。
それを今度は、ミリアのほうから『追加してください』と懇願させてやろう。
素直に快楽に溺れなかったことを、それを邪魔する理性がまだあったことを、必ず後悔させてやろう。
そう心に決めながら。
アシモフは、ミリアの乳首を指で撫で擦り続けた。
このしぶとい少女を、限界の限界まで追いつめるべく――。