「……は、ああ……。こんなの……いつまで、続けるんですかぁ……?」
両の手を強く握りしめながら、ミリアが弱々しく問いかけた。
「……目、閉じないって……いったのに……んっ……交換条件、ちゃんと……呑んだ、のにぃ……」
少女の右の胸にある突起。
それを摘み、二本の指の腹で撫でるように擦りあげながら、アシモフは嘆息してみせる。
「交換条件のひとつは、の間違いじゃろう?」
「……ふっ……だって、だってぇ……あ、ん……」
「なに、呑めぬというのなら、それはそれでよいのじゃよ。当初の予定どおり、もっとも効果的な愛撫をお主にほどこしてやれるわけじゃからな」
「あ、あうぅ……」
「そんな声を出すでない。これこそが、お主をもっともよくしてやれる方法なんじゃから」
焦らしを続けながら言う老人に、ミリアは軽く目を閉じ、もどかしげに首を振る。
「……は、あ、ああ……だからって、いつまで……はぅん……」
「それはワシにもわからぬなあ。それと娘、目を閉じるのはいかんと言うたじゃろう?」
「つ、強く……あふっ……強く閉じては、いないじゃないですか……く、ふっ……」
「ほう? ならば『ルール』を変更させてもらおうかの。強くであろうと弱くであろうと、目を閉じるのは我慢じゃ。かまわぬな?」
それに抗議しようというのか、ミリアが快楽にとろけた目を向けてきた。
「……か、かまうに決まっ……ふあ、ああ……」
だがアシモフは、少女の言葉を二本の指で甘く乱す。
そして、熱く切ない吐息を漏らし続けているミリアに語りかけた。
「じゃが、ワシとて鬼ではない。先ほど目を閉じたのは、まあ、見逃してやってもよいぞ?」
その言葉に、右胸の中心を可愛がられている少女は表情を明るくする。
「……あ、ふ……ほ、本当、ですか……?」
「うむ。最初に『強く』と言うたのは、ワシのほうじゃったからな。こればかりは、見逃さぬわけにもいかんじゃろう。むろん、次はないがの」
「は、はい。わかり……ぅん……わかり、ました……」
ミリアは、本当にわかっているのだろうか。
いまの『わかりました』をもって、自分は『軽く目を閉じるのも我慢する』に同意してしまったのだと、彼女は本当に理解できているのだろうか。
おそらくは、わかってなどいないだろう。
会話の流れから、ただうなずいてしまっただけに違いない。
またしても老人に、言葉巧みに丸め込まれてしまっただけに違いない。
アシモフは愛撫を続ける。
「……はぅ……んっ……」
少女の乳首に指の腹を這わせ、張りつめているそこを優しく優しく撫でさする。
「……はあ、あ……く、ふっ……」
彼女の身体に、限界が訪れるまで。
「……ん、く……はああっ……ち、くびぃ……」
なにもかもをかなぐり捨て、より強い愛撫を頼みたくなるように。
「……は、ふぅ……お、ねが……もっと、つよくぅ……」
老人は無言を貫く。
「……ねえ、ほんと……いつまで、こんな……あふっ……」
目を向ければ、見ただけでそうとわかるくらい、少女の太ももには力が込められていた。
きっと、擦り合わせてしまいたいのをどうにか堪えているのだろう。
だが、どれだけ懸命に抗ってみせようとも、アシモフが焦らすのをやめない限り、身体の火照りは強まる一方。
代わりとばかりに忙しく握ったり開いたりしている両の手も、それだけでは気休めにもならないことだろう。
「……も、もう……わかり、ましたよぅ……。わかりました、からぁ……」
やがて、とうとう限界まで追い込まれたのか、ミリアがそうつぶやいた。
「……あふっ……『ルール』、呑みます……。……両手……あ、ああ……開いたままに、しますからぁ……」
しかし老人は、それに意地の悪い答えを返してやる。
「じゃが『ルール』の追加は、お主にとって不利なものじゃろう? なに、この『焦らし』もいつかは終わるんじゃ。無理して呑む必要など微塵もない」
「……いつかって、いうのは……ふ、んっ……いつ、ですかぁ……?」
「さあて、そればかりはワシにもわからんのう。あと数分後か、数十分後か、数時間後か……」
「すう、じかん……? そんな……ふああ……そんなの、やあ……やああっ……」
「なんにせよ、永遠にこのままということだけはない。それだけは保証してやろう。どうじゃ? これで少しは安心できたか?」
「……できなっ……んふっ……安心なんて、ぜんぜんっ……!」
表情を切なげに歪めながら、ミリアがたどたどしく訴える。
「……お、ねがっ……つよくっ……つよくしてぇっ……は、ふっ……『ルール』、追加……してぇっ……!」
「なんじゃ? 『強くしてほしい』のではなく、『ルールを追加してほしい』のか? それがお主の本当の望みじゃったのか? まあ、どちらも同じと言われれば、そうかもしれぬが……」
「……ふ、は、ぁん……。おなじっ……おなじ、でしょうっ……? だからはやく、『ルール』の追加、呑ませてくださいっ……!」
「そこまで頼まれてしもうては、さすがに断れんのう。では、望みどおり『ルール』を追加してやるとするか。そして……どれ」
つぶやくようにそう口にし、アシモフは人差し指のみを乳首に這わせた。
そしてその指を根元へと向かわせ、ぷっくりとした乳輪に到達させる。
むろん、刺激の弱さはそのままに。
「……あふぅん……ふ、あ……な、なんでぇ……」
「なんで、とは?」
指を頂きまで戻しながらの老人の問いかけに、ミリアが喘ぎながらも答える。
「……んん……だって、それ……ぜんぜん強くない……あ、はあっ……」
「そうじゃな。じゃが、『ルール』の追加はしてやったぞ? ……これ、いま右手を軽く握ったじゃろう。それを我慢するのが、追加してやった『ルール』の内容であるはずじゃが?」
「……ふっ、は、ああ……その、代わりに……強くして、くれるんじゃ……?」
「むろん、強くしてやるとも。しばし、このまま焦らし続けてもなお、手をちゃんと開いたままにしておけるようならの」
「……あ、ん……いじ、わるぅ……はぅん……」
そうアシモフを非難しながら、少女は両の掌に力を込めた。
握り込むためではなく、なにをされても開いたままにするために。
そんなミリアに、老人は弱い刺激を与えていく。
まず、最初にしたように乳輪をなぞり。
「……んっ……ふ、また、そこっ……」
指の腹が先端をかすめるように動かし。
「……ひんっ……急に先のほうをするのは、やめ……あ、はっ……」
そして、横から乳首に指をあて。
「……ふ、ああ……も、もう……これ、以上はぁ……」
先端から根元までにかけてを、何度となく往復させた。
「……はあ、あん……もう、ほんと……やめ、やめぇ……ん、んんっ……」
どこまでもゆっくりと、いやらしく、
その
アシモフの『いじわる』に屈しまいと、何度、指先をビクッと震わせただろうか。
だが、少女は耐えた。
一度も手を握りしめることなく、耐え抜いてみせた。
もっとも、代わりに幾度となく首を振り、目を
しかし老人は、そこには敢えて言及せずに。
「うむ、これなら心配はなさそうじゃの。そろそろ強めの愛撫をほどこしてやってもよいか」
「はあ、はあ……。ほ、本当に……?」
「むろんじゃ。しかし……」
「な、なんですか……?」
しばし、考え込むような間をおいてから、アシモフは目をミリアの首筋へと向けてみせた。
「いやなに、その首を振るのも我慢してもらえぬものか、と思ってのう」
「そ、そこまでしなきゃ、駄目なんですか……?」
おそらく、少女に残された『快感を逃がすための出口』は、それが最後。
そこさえ塞いでしまえば、もう彼女には、気を紛らわせる方法などほとんど存在しないはずだ。
だが、だからこそ、老人は前言を撤回することにした。
「いや、さすがに言いすぎたの。お主はもう充分に耐えた。いい加減、次の段階へと進んでやらねば」
その言葉に安堵の表情を浮かべるミリア。
そんな彼女に、アシモフは「じゃが」と続ける。
「口を強く閉じるのは、なんとか我慢してもらえんじゃろうか? ほれ、お主には素直に、感じたままの声を出してほしいのでの」
「えっ……。ま、まあ、それくらいなら……」
声は、出るに任せること。
右胸の愛撫を始める前に老人がそう言っておいたからなのか、少女は意外なくらいあっさりとアシモフの要求を受け入れた。
それに老人は「すまぬのう」と笑みを浮かべ。
「さて、ではお主の望みどおり、強くしてやるとしようかの」
そう言うが早いか、ミリアの乳首をピシッと弾いてみせた。
「――ひあっ!?」
漏れ出る声。
それと共に、早くちゃんと愛してほしい、と健気に主張していた桜色の先端が可愛らしく揺れる。
「ほれ、もう一度じゃ」
「――ひゃうんっ……!」
二度目の衝撃に、少女はおとがいを跳ね上げた。
そしてそのままの姿勢で、全身をガクガクと甘く震わせる。
「はあ、あ……ふあ、ああ……」
「どうじゃ? 焦らしの効果がよく出ておるじゃろう?」
そう問いかけるアシモフに、しかし、少女からの返答はない。
強烈な快感に突然襲われ、それどころではなくなっているのだろうか。
そうであったとしても無理はない。
現にいま、ミリアは。
「これこれ、目と口を閉じてはならぬ。手も開いたままにしておかんと」
闘技場のサーヴァントが指摘したとおり、目を強く閉じ、口をキュッと引き結び、そして両手もまた、快感に耐えるかのように固く固く握りしめられているのだから。
むろんそれは、反射的な行動であったに違いない。
その証拠にミリアは、言われて初めて気がついたとばかりに、急いで目と口を開け、握っていた両手を開いてみせた。
そしてさらに、律儀にも老人へと頭を下げてくる。
「す、すみません。つい……」
「まったく、いまからこれでは先が思いやられるのう」
言って、少女の胸の先端を立て続けに三度弾くアシモフ。
「――ひぁんっ!? ふああっ!? はぅんっ!?」
そのたびにミリアは、反射的に目を瞑り、口を強く引き結び、両の掌を強く握り込む。
「じゃから、いかんと言うておるに……」
「す、すみま――ぁんっ!? で、でもこれ――あふっ……!」
「なんじゃ? 強くしてやっておるというのに、まだ不満があるのか?」
「だって、これ、つよ――うぅんっ……! これ、つよすぎ――ひぅんっ!?」
「じゃが、痛みはないじゃろう? ここへの刺激に敏感になるよう、焦らしに焦らしてやったからのう」
アシモフはそう言ってみせたが、むろん、それだけが理由というわけではない。
この闘技場内に
それが少女の肉体を犯し、痛覚をも性的な刺激へと変換させ始めているのだ。
とはいえ、与えられる痛みをミリアがどれだけ『快感』と認識するのかはわからない。
こればかりは、段階を追って強い刺激を与えていく以外、確かめる方法はなかった。
そう、少女の反応を見ながら、文字どおりに手探りでやっていくしか
そしていまのところ、ミリアに痛みを覚えている様子はなかった。
「……た、確かに、それはそうですけど……」
「ならばよかろう? ほれ、もう一発」
「――ふぁんっ!? で、でもこれ……どうしても目と口を閉じてしまって――あっ!? ああっ……! あぁんっ……!」
「そこはどうにかして我慢してもらわねばな。そういう『ルール』じゃからして」
「は、反射的に閉じてしまって、全然、我慢できないんです……! おねが――はあっ……! もう、そこをピンピン弾くのはやめてぇっ……!」
乳首を指で弾かれるたびに目や口を閉ざし、熱い吐息を漏らす少女。
そんな彼女に
そうしてから、口を強く引き結んだままでいる少女に語りかけてやった。
「まあ、お主がどうしてもと言うのなら、他の愛し方をしてやってもよいがの」
「ど、どうしても、です……。おねがい、します……」
「ふむ……。確認しておくが、可愛がってほしいのは、あくまでも乳首なんじゃな?」
その問いかけに、ミリアは赤くなって顔をうつむかせるも。
「は、はい。そうです……。もっと、乳首……可愛がって、ほしいです……」
しっかりと言葉にして伝えなければ、最悪、また焦らされるとでも思ったのだろうか。
蚊の鳴くような、いまにも消え入りそうな声ではあったものの、それでも少女は素直にうなずいた。
それを認めたアシモフは、彼女の乳首を二本の指で摘み、ぎゅっ、ぎゅっ、と力を加えてやる。
「ああっ……! そ、それぇっ……!」
たまらないとばかりに首を振り、快感にその身を震わせるミリア。
ともすれば崩れ落ちそうにもなっている彼女の状態を見抜き、老人は摘んだ乳首を強く引っ張ってやった。
むろん、圧迫する力はそのままに。
「んんんっ……!」
「これこれ、口を閉じるでない。まったく、これで何度目じゃ」
「そ、そこ……ひっぱっちゃ、だめえぇぇっ……!」
そう言う割には、気持ちよさげに鳴く少女。
「ふうぅぅっ……! とれちゃっ……! ちくびっ……とれちゃうぅぅっ……!」
――この程度なら、まだ痛みを感じることはないようじゃな。
ミリアの
そして先端を圧迫し続けながら、彼は背中の右腕を動かした。
久しく使っていなかった、背中から生えている両腕。
その右人差し指の爪を老人は鋭く伸ばす。
そして、二本の指で固定した、少女の可憐な乳首の頂きへと、その長く尖った爪を向けた。
「さあ、次にいこうかの。娘」
「はあ、はああ……。え……? つ、つぎって……?」
「いやなに、次は『これ』で乳首の先をつつき回してやろうかと思ってのう」
刃物を思わせるその爪に、ミリアの顔がわずかに青ざめる。
「え、あ……。でも、それ……」
「案ずるな。怪我をさせる気など、いまのワシにはありゃせんよ。形状こそこうじゃがな、これは人間の爪とさほど変わらんのじゃ。
それに、ワシはちゃんと言うたじゃろう? いまはできる限り優しく愛してやる、と」
「そ、それは、そうですが……」
「じゃから、お主はワシに大人しく身を委ねておれ。そうすれば、この爪のよさをしっかりとその身に刻み込んでやろう」
「ほ、本当に、それで気持ちよくなれるんですか……?」
「むろんじゃとも。そう、すぐにまた身悶え、甘い声を漏らし、股間から美酒のごとき女の蜜を溢れさせることになる」
「そ、そういう言い方は……。せめて、『感じる』と言ってください……」
頬を赤く染めながら、少女がそんなことを言う。
強制されたわけでもないのに、まさかミリアがそんな言葉を口にするとは、と内心で驚くアシモフ。
そして、順調に感覚が麻痺してきている少女に、彼はニヤニヤと笑みを向けてやった。
「じゃが、敢えていやらしい物言いにしてやったほうが興奮するじゃろう? ……おっと、じゃからといって太ももを擦り合わせるでない。ほれ、我慢じゃ我慢」
「は、はい……。すみません。つい……」
「まあ、よい。――では、そろそろ始めようかの」
「――んっ……!」
そして、老人は。
その桜色の先端を決して逃がさぬよう、もう一度力を込めてしっかりと固定し。
ゆっくりと、長く尖らせた爪を右胸の頂きへと近づけていくのだった――。