アシモフの背中から生えている右腕。
その人差し指が――長く鋭く伸ばされた、悪魔のそれを連想させるような爪が、少女の右胸の頂きに近づいていく。
対するミリアの表情は、不安と期待とが入り混じった、なんとも複雑なもの。
恐怖に支配されていては感じるものも感じなくなってしまうだろう。
そう考え、老人は彼女の恐れを取り除いてやるべく、鋭く尖っているそれを乳首の先端に軽く触れさせた。
「ぁ……」
安堵からか、それとも快感からか。
少女の口から、小さな吐息がひとつ漏れた。
その反応を見たアシモフは、先端にぴとりとつけた爪をわずかに、本当にわずかに押し込んでみる。
「んぅっ……。あの、アシモフ。ちょっと、チクッとします……」
「ふむ、痛かったかの?」
「あ、いえ、痛くは……ふあっ……ない、です……」
ならば、と無言で爪をグリグリと回すように動かしてみる老人。
「あっ、あっ……。痛くは、ないのに……なんか、チクチクして……。――ふあっ……! い、いま、ピリッて……」
「じゃが、特に痛くはないのじゃな?」
「は、ああ……。はい、ピリピリするのが、むしろ気持ちいいくらいで……」
「そうかそうか。ならば、そろそろ深く突き入れていってみるとするかの」
そう前もって告げ、アシモフは爪の先を乳首の中に挿入するかのように押し込んでいった。
だが、そうすれば当然、先端はそれを拒み、逃げてゆく。
老人は逃がすまいと二本の指でさらに強く固定し、乳首の頂きを爪のほうへと向けさせ――
「はああぁぁんっ……! らっ、乱暴にしないでぇぇっ……!」
「おっと、これは少々強引にやりすぎたかの」
強く目を閉じ、口を引き結んで耐える少女に、アシモフは悪びれた様子もなくそう言ってから。
「じゃが、見てみい。とりあえずは上手くいったぞ。あとは突き入れるだけじゃ」
硬く尖った桜色の先端と、これまた硬く尖った長い爪。
老人は再び触れ合ったそれらを見るよう、ミリアに促した。
そして、彼女の甘く潤んだ瞳が向けられるやいなや。
「あっ、あああっ……! そ、そこっ、だめっ……! 押し込ま、ないでぇぇぇっ……!」
「じゃが、痛いとは少し違うようじゃの。しかし、なかなかに弾力のある乳首じゃ。硬くしこり勃っておるからなのじゃろうが、潰れん潰れん」
「つ、潰さないでぇっ……! おねがいですからっ、そこっ、潰さっ……!」
両手を強く握りしめ、激しく身悶える少女に、アシモフは意識して
「そうは言うても、しっかりと感じてはおるようじゃな。
「やめっ、そこっ、だからっ……! そこっ、本当、だめ、だめぇっ……! あっ、ああっ……! あああっ……!」
その瞬間、絶えず震えていた少女の身体が硬直した。
次いでその全身から力が抜け、老人が乳首から手と爪を離すと同時に、ガクンと地面に崩れ落ちる。
おそらくは、軽くイってしまったのだろう。
愛液に濡れた地面にへたり込み、荒い息を繰り返すミリア。
やがて彼女は、もの問いたげな視線をアシモフへと向けてきた。
いまのは一体なんだったのか、とでも言いたげに。
この少女が今日味わわされた絶頂は、生まれて初めて経験した一回のみ。
そのときのといまのとでは味わった衝撃に差がありすぎて、いまのもまた『絶頂』なのだと、理解できずにいるのかもしれない。
あるいは単純に、軽くであれなんであれ、自分が『イかされてしまった』という事実を認めたくないだけなのかもしれない。
どちらも、ミリアであればありうる話だ。
そして、そのどちらであっても、闘技場のサーヴァントには好都合だった。
本格的な絶頂を迎えてしまえば、いくら彼女であっても、その事実から目を逸らすことなどできはしないだろう。
そしてそれをミリアが認めてしまえば、最悪、この『乳責め』をここで終了とするよう、審判に告げられていたかもしれない。
いや、その可能性は、まだ残っている。
ゆえにアシモフは、へたり込んでいる少女にすかさず声をかけた。
「立てるか? 娘」
「は、はい。でも、いまのは、一体……」
「うむ、いまのはじゃな……」
大丈夫だ、と。
自分たちの考えが一致している限り、自分は彼女を丸め込める、と。
そう確信しながら、老人は言葉を続ける。
「どうも、少しばかり激しくしすぎてしまったようじゃ。おそらく、そのせいで身体が少々驚いてしもうたんじゃろう」
「そ、そう……ですよね……。それだけ、ですよね……」
アシモフは、ミリアを絶頂させたくはない。――少なくとも、いまはまだ。
ミリアは絶対、絶頂を味わわされたくない。――少なくとも、この戦いが終わるまでは。
イかせたくはない老人と、絶対に絶頂を迎えたくない少女。
そんな二人の思考は、間違いなく一致している。
『ミリアが絶頂を迎えた』という事実だけは絶対に認めたくない、という一点において、間違いなく一致しているのだ。
ゆえにアシモフは、お前は絶頂などしていない、と語りかけ。
ミリアもまた、私はイかされてなんかいない、と立ちあがる。
それこそが老人の望んでいた対応なのだと、気づくこともなく。
そして挑戦者の少女は、内股気味に直立し。
身体の横に両手をつけ。
誰に促されることもなく、もう一度『気をつけ』の姿勢をとってみせた。
「うぅ……」
むろん、その姿はあまりにも無防備である。
なにしろ、限りなく全裸に近い格好で、どこを隠すこともせず立っているのだから。
そして、ともすれば男を誘っているようにすら見えるミリアの右胸に、アシモフは改めて指と爪を伸ばした。
「ふあっ……! あ、ふっ……ん、くぅ……」
硬く自己主張している先端を摘み、老人はその頂きを爪でカリカリと刺激する。
「……あっ、くふっ……それっ、いい、ですっ……はぅんっ……!」
もちろん、爪の先を軽く押し込むことも忘れない。
「んっ……! それ、は……よすぎてっ……! は、ああっ……ひっかくのも、あふっ……」
もの足りなさを感じさせないように。
されど、自分の足で立ってはいられるように。
「……ひぅっ……は、あぁん……そこ、潰そうとしちゃ、やあ……。……あっ、指で擦らないで……は、あ、ああっ……!」
アシモフは刺激の度合いを巧みに加減し、少女が快楽の
「……ふああっ……ジンジンしますぅ……。ちくびぃ……ジンジン、してきちゃってぇ……――あっ……! そこっ……さきっちょ、いいっ……。もっと、もっとぉ……」
熱に浮かされたような甘い声で、恥も外聞もなく敵の指を求めるミリア。
それに気をよくし、闘技場のサーヴァントもまた『愛撫』と呼ぶに相応しい責めを加えていく。
「……もお、熱い……。さきっちょ、ジンジンして、あついぃ……。……でも、これで……んふっ……これで、もう、だいじょうぶ……。ちゃんと両方、おなじ大きさに……あ、あん……」
その言葉に、アシモフは目を見開いた。
そして思考を巡らせながら、生意気にツンと勃っている乳首を、意識せず、やや強めにいたぶってしまう。
「……あっ! や、やあっ……! そこ、潰すのっ……! く、ふぅんっ……!」
確かにミリアは、自分の指を、快楽を、素直に受け入れ始めた。
甘く潤んでいる瞳や、口から漏れ出る熱い吐息も、彼女の理性がとろけかけていることを示している。
だが、それだけだった。
「ひゃうっ……! そこ、あんまり強く、ひっかかないでぇ……。――んっ! はっ……!」
そして、ことここに至って、老人はミリアの保有している
彼女が有しているのは、十中八九、『鋼の意志』。それもおそらくは、Bランク以上の。
ゆえに、その意志を砕かなければ、この少女が理性を手放し、快楽に溺れきることはありえない。
「……どっ、同時はだめですっ……! 擦るのと、ひっかくのと、押し込むのと、同時にやるの、は……ふああっ……!」
だが、いまのアシモフにミリアの心を砕く術はなかった。
むろん、このまま彼女を追いつめ、心を破壊し、
しかし、それをしてしまえば、これ以上ミリアを観客たちに『見世物』として
そうなれば、彼はこの戦いに負けたも同然。
ゆえにアシモフは、少女の羞恥心と戦意とを残しつつ、彼女の有する『鋼の意志』だけを砕かなければならなかった。
だが、老人にそれはできない。少なくとも、現段階においては。
そう結論づけ、アシモフは愛撫の手を少し緩めながら、ミリアに語りかける。
内心では、彼女の理性をとろけさせることができなかった口惜しさに歯噛みしつつ。
「どうじゃ? 娘。この爪もなかなかによいものじゃろう?」
「……ふ、ああ……。は、はい……あっ、そこっ……爪でつんつん、されるのっ……すごく……あ、ふぅ……」
「そうかそうか。なら、嘘をついた甲斐もあったというものじゃのう」
そう、無知な少女にバラしてやった。
「う、そ……?」
快楽にとろけた瞳はそのままに、呆然とつぶやくミリア。
それにアシモフは、笑みをさらに深め。
「うむ。お主が快感を抵抗なく受け入れられるよう、少しばかり嘘をつかせてもらったんじゃよ。
それと、お主にはいままで敢えて意識させんようにしておったんじゃが……ほれ、周囲をよく見てみい。お主が素直に乱れてみせたことで、観客たちは皆が皆、言葉を発するのも忘れて見入っておるじゃろう?」
「あ、う……。うぅっ……」
「これこれ、目を閉じるでない。――ともあれ、お主の痴態にはそれほどの価値がある、ということじゃな」
「そんなこと言われて嬉しいわけ――ひゃぅっ!? 爪っ、やめっ……」
『大勢の観客に見られている』と気づいてもなお、自己主張をやめようとしない恥知らずな乳首を爪の先でつつき回しながら、老人は続ける。
「大体じゃな、娘」
「やめっ……く、ふっ……つつくのっ、しないでくださっ……」
「女の乳房は男に愛されねば育たん、じゃと? そんなわけがないではないか」
「いまになって……あふっ……そんな、言い方っ……あ、あっ……」
「よいか? お主の胸の大きさは、80の『並』じゃろう? 仮にワシの言ったことが真実じゃとしたら、お主の胸は一体誰に愛されて、そこまで大きくなったというんじゃ? ん?」
「そ、それは――んんっ……!」
「じゃから目を瞑るのは我慢せい。口を閉じるのも駄目じゃ。――して、どうなんじゃ? まさかとは思うが、すでに誰か他の男に、その胸を好き放題弄ばせてやったことがあるというのか?」
「そんな、わけっ……ふ、うぅっ……あなたが初めてに、決まってっ……決まってる、でしょうっ……!」
そんな可愛らしいミリアの返答に、観客たちが沸いた。
そしてアシモフも、「ほほう」と満足げに漏らし、
「そうか、ワシが『初めて』か。なのにワシの嘘に気づかなんだとは、とんだ間抜けっぷりを晒したものじゃなあ。
「ううっ……」
悔しさに表情を歪めるミリア。
その姿に、老人の
むろん、だからといって責めの手を緩めるつもりはない。
だが、ひとまずアシモフは、少女の張りつめた乳首から指と爪とを離してやる。
『大勢の観客に見られている』という状況に変化はないのに、それでもミリアは安堵の息を漏らした。
それは、先ほどまでと変わらず熱く、どことなく切なげで、名残惜しさすら感じられるような甘い吐息。
それを見抜き、身体には一切触れることなく、老人は少女に問いかけた。
「なんじゃ? 身体が
「そ、そんなわけがないでしょう!」
「ふむ、違ったか。ワシがその気になれば、すぐにでも
「必要ありません! そもそも私は、もどかしさを覚えてなんかもいません!」
「これこれ、ワシは『もどかしさを覚えておるのではないか?』などと尋ねてはおらんじゃろう? それでは『もどかしさを覚えている』と、お主自ら告白したのと同じじゃぞ?」
「いっ、いまのは言葉のあやです! 私の身体は、そんないやらしいことになんかなっていません!!」
「そうかそうか。ではしばし、このままでいてみようかの? 本当に身体がうずいていないのであれば、観客たちにどれだけ
「あ、当たり前です! 見られてるせいで気持ちよくなっちゃってるとか、そういうことは全然ありませんから!」
ところどころで口を滑らせながらも、しかしミリアは、
だが、そんな彼女の股間からは、透明な少女の蜜が零れ落ちている。
ミリア自身がそれに気づいていないなどということは、さすがにありえないだろう。
そして垂れ続けているその恥ずかしい蜜は、おそらく、ほんのわずかな刺激ですぐさま大量に溢れてくるに違いない。
ゆえにアシモフは、その『ほんのわずかな刺激』を与えるべく。
少女のきめ細やかな肌を撫でるように、