ミリアが立ちあがったのは、アシモフの宣告から数分が経過したあたりでのことだった。
「もうよいのか? 娘。先ほども言うたが、少し苛めただけでイってしまわれては楽しめぬからの、身体の
「……けっこうです。私の身体は、もう火照ってなんかいません。それに、これ以上あなたに堕落させられることもありません」
「威勢のいいことじゃな。本当は、まだまだ身体がうずいて仕方がないのじゃろうに」
「そ、そんなことはありません……! そもそも、こんなところで休んでいること自体、嫌なんです! こんな、見知らぬ大勢の人間に、私の、その、こんな姿を見られていると……本当に苦痛で、どうしようもなく……」
「『身体が火照ってきて、どうしようもなく』の間違いじゃろう?」
「なんでそう、あなたはそういう言い方を――」
「まあ、どっちでもいいわい。……して、立ちあがったということは、その乳をワシに苛められる覚悟ができたわけじゃな?」
その『苛められる』という言葉に、少女はビクンと身体を震わせて。
「す、好きにしてください……! どれだけ苛められても、最後まで耐えきってみせますからっ……!」
「ほう? 最後までというと、ワシが満足するまで、か?」
「あ、う……。そ、そうです……!」
「いやはや、大きく出たのう、娘。それじゃと、果たして何時間かかることか……」
ニヤニヤと口を歪める老人。
それにミリアは、全身を
「なん、じかん……? ……か、かまいませんよ? 私は、あなたが苛めるのに飽きるまで、耐え続けていればいいだけ……なんです、から……」
その言葉にアシモフは、ならば絶頂するまで延々と苛め続けてやろう、と心に誓う。
「そうかそうか。ではそろそろ、心ゆくまで苛めさせてもらうとするかの?」
そう問いかけるように語りかける老人に、少女はうつむき加減になって太ももを擦り合わせた。
「ど、どうぞご自由にっ……!」
ミリアの虚勢を張る声が、アシモフの耳に心地よく響く。
だが、その仕草はいただけなかった。
むろん、いままでは敢えて見逃してきていたわけなのだが。
「ときに、娘よ。お主の『誇り』とやらはどこへいったんじゃ?」
「えっ……? な、なにをいきなり……?」
「いくつか追加した『ルール』のことじゃよ。手は身体の横から離すわ、目は閉じるわ、手は握りしめるわ、口は強く閉じるわ……。いまとて、太ももを擦り合わせておったではないか。
二度崩れ落ちたこともそうじゃが、あまりにも『ルール』に違反しすぎておるぞ?」
「あっ……、そ、それは……」
自覚がまったくなかったわけではないのだろう。
少女は、どこかすがるような目を闘技場のサーヴァントへと向けた。
老人はそれに嘆息を返す。
「まったく……。お主は『誇り高い人間』なのじゃろう? じゃというのに、これでは『誇り高い』が聞いて呆れるわ。……のう、そうは思わんか? 小娘」
「…………」
まったくの正論に、ミリアは言葉もなくうなだれた。
むろん、前提条件にはおかしいところが多々あるのだが、追いつめられている少女にそれを見抜くことなど叶わない。
畳みかけるように、アシモフは続ける。
「それでもなお、お主は自分を『誇り高い人間』として見てほしいのか? その資格がほしいのか?」
「それは……でも、そんな方法は、もう……」
「なに、そう思いつめることはない。人間は誰でも間違いを犯すものじゃ。そして、間違えたのならば罰を受け、償えばよい」
「罰を受けて、償う……?」
「うむ。うつむくことなく、目を伏せることなく、前に目を向けるのじゃ。――さあ、お主の前には、一体誰がいる?」
「あなたが……アシモフが、います……」
つぶやくように、そう口にするミリア。
老人は、そんな彼女に許しを与えるかのような口調で。
「そうじゃな。……じゃが、それだけか?」
「あっ……。こ、この戦いを見に来た、観客たちも、います……」
「そうじゃ。そして、その観客たちに、お主はその
「そして私は、これからあなたにこの胸を自由にされてしまう……。こんな大勢の人が、見ている前で……。
いえ、それどころか……もしかしたら、堕落してしまうところまで、見せることになるかもしれない……。まさか……それが、罰……?」
少女の顔は、
そして、アシモフの予想以上に、彼女は自分で自分を追いつめていく。
「堕落したら誇りを失うのに……なのに、誇りを失くさないための唯一の方法は、堕落するという罰を受けることだけ……?
堕落しないと
だが、この思考の流れはまずい。
このままでは、『快楽に溺れて、ひと思いに堕落してしまえばいい』と開きなおられてしまいかねない。
そもそも老人は、ミリアが『見知らぬ観客たちの前で、敵である闘技場のサーヴァントの手によって何度も何度もイかされるのが、自らに課せられた罰なのだ』と結論づけるだろうと踏んでいたのだ。
そこから上手く誘導し、新たな『ルール』を呑ませるつもりでいたのだ。
しかし、これでは……。
「これこれ、娘よ。そう思いつめるなと言うたばかりじゃろうが。そもそも、じゃ。そのような罰では、お主の可能性が完全に
お主はそこまで重い罪を犯したのか?
「そ、それは……」
「ワシはこう言うたはずじゃ。うつむくことなく、目を伏せることなく、前に目を向けろ、と。さあ、そうしてみたとき、お主はなにを『不快』と感じる?」
「もちろん、それは……あなたや、観客たちの存在ですけど……」
「じゃろう? そして、不快感を覚えるものこそがお主に与えられた罰。それから目を逸らさぬのが、お主にできる償いじゃ」
「あなたや観客たちの存在が、私に与えられた罰……。それから目を逸らさないことが、私にできる償い……」
「むろん、
そこまで語り終え、アシモフは内心で嘆息した。
いまの『誘導』のせいで、感謝の念を覚えられでもしたらたまらない、と。
ゆえに彼は、邪悪げに口の端を歪め、言葉をつけ足す。
「というわけで、じゃ。娘よ、『ルール』の追加に応じてもらうぞ」
「――なっ!?」
「禁ずるのは、うつむいたり、目を伏せたりすることじゃ。むろん、ワシがそうするよう頼んだときは例外じゃがな、それ以外のときは、正面か上しか向いてはいかん」
「そ、そこに繋げるためだけに、あんなことを言ったんですね! さ、最低ですっ……!」
「
「くぅっ……!」
ミリアの漏らす悔しげな声に、アシモフは笑みを深める。
そして少女の両の膨らみを持ちあげるように、下乳に手を添えた。
「おお、こうすると谷間がしっかりとできるのう。張りはあるわ、形はよいわで、うむ、なんと
「そ、そういうことをいちいち口に出すのは……」
ミリアが真っ赤な顔を左に向けつつ、小さな声で文句を言ってくる。
もちろん、闘技場のサーヴァントは取り合わない。
「苛めておるんじゃから、これくらいは言って当然じゃろう? それよりも、じゃ。横を向いておるのは、『ルール』に違反しておることにはならぬのか?」
「向いていいのは正面か上、でしょう? 私はちゃんと西の観客席のほうを見ています」
「なるほど、ちゃんと観客のほうに顔を向けておるのじゃから、確かに違反ではないのかもしれぬのう」
愉快げにそう漏らし、老人は少女の左胸――そこで生意気に上を向いている突起を、舌のざらりとしたところで
「――ひゃぅんっ!? な、なんでっ……!?」
不意打ちに身体をビクッと震わせ、ミリアがアシモフへと視線を戻す。
きっと、まだ乳首を舐められることはない、と油断していたのだろう。
それは、胸全体を舐めつくされ、唾液を両の乳房になすり込まれてからのことになるはずだ、と。
彼女のそんな甘い見通しを砕いてやろうと、老人は
「なんで、とな? これは異なことを。どこをどう苛めるのか決めるのは、このワシじゃぞ? 事前に告げた順番など、ワシの気分ひとつで変わるに決まっておろう」
「えっ……」
「つまり、こっちもこっちもと
「だ、だから『苛める』って……?」
「うむ。前もって順番を教えておいては、刺激に備えられてしまうからのう。同じ苛めるなら徹底的に、じゃよ。
まあ、どうしても不意打ちを避けたいというのなら、顔を下に向けるくらいは赦してやってもかまわぬがな」
むろん、そうした場合、少女はその代償として視覚的な興奮に襲われることになる。
だが、不意の刺激を食らうのに比べればいくらかマシだと思ったのだろう、ミリアはアシモフに言われるがまま、大人しく視線を自身の胸元へと落とした。
「おお、素直なものじゃな。よもや、己の乳が苛められておるところを、そんなにまで見たかったとは」
「そ、そういうわけじゃありません!」
「ほう? 真か? ワシの手によって
「あ、当たり前です……!」
「では、舌で
「こ、答えるまでもありません……。そんなの、汚らしいだけじゃないですかっ……」
まだ頬を若干紅潮させてはいるものの、いくらかは持ちなおしたのか、挑戦者の少女はそんな言葉をぶつけてきた。
それに心底の安堵を覚えつつ、老人はすくうように手を添えていた彼女の胸を軽く揺らす。
「そうかそうか、それは
挑発された、とでも思ったのだろうか。
アシモフの言葉に、ミリアは目線を少し上げ、
「私だって、さっき言ったはずですよ? 好きにしてくださいって。あなたが私を苛めるのに飽きるまで、ぜ、絶対に耐えきってみせるって」
「ふむ。仮に、丸一日であったとしても、か?」
「ま、丸一日であったとしても、です……!」
「まったく、虚勢を張ることに関してだけは一級品じゃな。むろん、お主にその威勢が備わってなければ、苛め甲斐もまた、ないわけじゃが」
心底楽しげにそう口にし、これ見よがしに舌を出してみせる闘技場のサーヴァント。
これでいまから胸を苛めるぞ、とでも言うように。
それを理解した少女が、視線を再び自らの胸元に落とす。
「は、早く始めてください! そして、さっさと飽きちゃってください!」
震えるミリアの声に、しかし老人は目を細め、舌を口内に収めてやった。
「そう
そしてアシモフは、しばし口を閉じたままもごもごと動かし。
やがて、唾液がたっぷりと乗ったその舌を、もう一度あらわにした。
「っ……」
いやらしく歪む老人の瞳と、口ではどう言おうとも期待の色を隠しきれていない少女の瞳。
その二つが、ミリアの整った胸越しに交差する。
真っ赤に染まる、少女の頬。だが、彼女は視線を逸らすことなく、逆に声を張ってアシモフを促してきた。
「す、好きにしていいって言ってるじゃないですか! だから、はや――ひゃうぅっ!?」
むろん、最後まで言わせはしない。
途中で右の下乳をべろりと舐めあげ、威勢のいい言葉を
そして老人は目だけでニヤニヤと笑い、今度は左の胸に舌先を当てた。
「そ、そういうやり方……う、くっ……」
挑戦者の少女を