タオルと純白の下着を手にした男は、扉をくぐって姿を現すやいなや、不躾な視線を少女の全身へと這わせ始めた。
それに不快そうな表情をあらわにしつつ、ひったくるように右手でタオルを受けとるミリア。
そうして椅子に座ったまま、彼女は顔に二の腕、腹部と拭くところを移動させていった。
当たり前のことではあるが、右手を使っている以上、秘所のガードは甘くなる。
そして、これも当然とばかり、そこに向けられる男の視線。
ミリアは彼を無言で睨みつけるが、それに動じることなく男は少女の股間をじっと見つめ続ける。まるで、それが目的であるかのように。
実のところ、それが男の目的――彼に課された役目なのだ。
挑戦者であるミリアから羞恥の表情を引きだすようにと、そう、男は上から命じられているのだ。
むろんその手段自体は、彼にすべて一任されているわけなのだが。
それを知る由もないミリアは、顔を真っ赤にしながら右手を動かし続け――ていたのだが、その動きは唐突にピタリと止まった。
だが、それは無理のないことである。
あと拭いておきたいところは、蛇に舌で散々に
どちらにも唾液がたっぷりとついており、下のほうに至っては自身の愛液でべとべとになってもいる。
だが、いま少女の隣には……。
せめて彼の姿を視界から追い出そうと、ミリアは隣に立つ男から顔を背けた。
しかし、その意図を理解するやいなや、彼は自分の姿が彼女の視界の端に入る位置に移動する。
顔を背けるという、ミリアのあまりにもささやかで、か弱い抵抗。
それすらも、男は容赦なく潰しにかかったのだ。
当然、ミリアの真正面に陣取らないのにも意味がある。
先ほどと違い、少女は極めてきわどいところを拭こうとしているのだ。
それを露骨に見ようとすれば、彼女が開き直るきっかけになりかねない。
恥じらいながら拭く姿にこそ、価値があるのだ。
頬を染めてうつむいている姿をこそ、観客には見せなければならないのだ。
ゆえに、羞恥心を捨て去る口実を与えることだけは、絶対にしてはならないのだ。
椅子に座ったまま、ミリアは右に左にと顔を動かす。
それに合わせ、彼女の視界の端に映るよう、男も右へ左へと立ち位置を変える。
やがて、キリがないと諦めたのか、はたまた休息の時間には限りがあるのだと思いだしたのか、ミリアは一度大きく深呼吸をし、覚悟を決めたように強く瞳を閉じた。
そうして、胸当ての中に右手を差し入れ、なすり込むようにつけられた蛇の唾液を丁寧に拭い去る。
胸が終わったら、次は下。
目を閉じたまま内ももにタオルを持っていき、べとべとした感触がなくなるまで
「んっ……」
たっぷりと水分を吸って重くなった布が割れ目を撫でると、ミリアの口から小さな声が漏れた。
だが、愛液を拭うのが目的である以上、ここを放置することはできないのだろう。
端目からは分かりづらいが、秘裂に沿って上下にタオルを動かしていく。
「……ふぅっ……はぁっ……」
そして、ミリアはやはり気づかなかった。
胸当ての中に右手を入れ、蛇の唾液を拭きとっていた、その仕草。
内ももだけに留まらず、秘所にタオルを当ててひたすらに愛液を拭う、その動作。
それらが、
気づかないままにその行為を終え、彼女はしぶしぶながら男にタオルを返す。
いま渡したものは、自分の恥ずかしい蜜をたっぷりと吸った布である。
本当なら、自分の手でどこかに捨てに行くなり洗うなりしたかった。
しかし、タオルは『闘技場』側が用意したものである。
そうである以上、そこまでは望めないと少女は割り切るしかなかった。
タオルを受けとった男は、続けて純白の下着を
彼女は男を睨みつけながらも受けとり――またしても固まった。
いまの状態では、下着が穿けないのだ。
椅子から立たなければいけないとか、両手を使わなければいけないとか、そういう問題ではなく。
単に、まだ脚に残っているタイツが邪魔をしているのだ。
それも当然。
ミリアの下着は『脱がされた』のではなく、タイツの一部と共に『食いちぎられた』のだから。
秘部こそ露出してしまったが、股間を覆っている黒タイツの一部はまだ残っているのだ。
もはや布切れと化した下着を内包した、そのままで。
つまり、ミリアが新しく下着を穿くためには、一度タイツを完全に脱いでしまうか、股間周辺のタイツを、下着が穿けるようになるくらいまで破り捨てなければいけない、ということになる。
どちらを選んだものかと、彼女はしばし考えて。
ふと、上半身の服といい、下半身のタイツといい、それらはなぜ中途半端に残されたのだろうか、という疑問に思い当たった。
ただ観客に自分の裸を見せようというのなら、一息に服を裂いてしまえばいいはずなのに、と。
ミリアは、男の欲望というものを理解できていない。
だから、それはアシモフの性癖によるものなのだと、ひいては同じ性癖を持つ者が観客にもいるからなのだという結論を導きだすことは、彼女にはできない。
それでも、すぐに裸にしては意味がなかったのだ、ということくらいはわかるし、服が中途半端に残っているほうがアシモフや観客たちを喜ばせることになるのだということも、なんとなく理解はできた。
ゆえにミリアは、タイツを中途半端に残すよりも一息に脱いでしまうことを選んだ。
タイツに手をかけ、腰の部分を通過させるときだけ、ほんの少し、そこを浮かす。
使うのは、可能な限り片手のみだ。
むろん、隣に立つ男には何度か秘部が見えてしまっただろうが、こればかりは仕方がないと言い聞かせた。
椅子に腰かけたまま、銀色のブーツを履いている足から右、左とタイツを抜いていき、そうしてからミリアは心細さに息をつく。
顔を上げれば、当然ながら正面にはアシモフと大勢の観客の姿があった。もちろん右の観客席にも、左の観客席にも、だ。
その全員に見られながら自分はタイツを脱いだのだと思うと、それだけで恥ずかしさに頭がクラクラしてくる。
次には、この観客たちに視姦されながら下着を穿かなければならないというのに、だ。
「あの……いい加減、どこかに行ってくれません?」
どうせ聞き入れてはくれないだろうと思いながらも、ミリアは隣に立つ男に向かってそうつぶやく。
しかし彼は初めて口を開き、彼女の言葉に応じた。
「それは聞けない頼みだ。だが……そうだな、ちゃんと立って穿くというのなら、扉のところくらいまでなら退がってやらんでもないぞ?」
「立って……?」
それだと、秘部を隠すのが難しくなってしまう。
片足ずつ上にあげて足にとおさなければいけなくなるから、よろけた拍子に手でのガードが解けてしまう、などということも起こりかねない。
だが、タイツを脱いでいたときのように隣に立たれ続けるのも嫌だった。
椅子に座って穿いたところで、完全に隠しとおせるものではない。
先ほどもそうだったように、一度や二度は必ず見られてしまうだろう。
だったら、少しでも遠くにいてもらったほうがいいのではないだろうか。
そう思考を巡らせ、そのほうがいいとミリアは結論した。
「……わかりました。立ちあがりますので、先に扉のほうへ行ってください」
「あいよ」
意外なほど、すんなりと男はうなずく。
それから扉のほうへと歩いていき、壁に背を預けて軽く腕組みをした。
立ちあがってからじゃないと動かない、などと言われるとばかり思っていたミリアは、その行動につい面食らってしまう。
しかし、いつまでもきょとんとはしていられない。
時間は有限なのだ。急がなければ休息の時間が終わってしまう。
ごねることなく壁際へと移動した男に対抗するように、彼女もまた
しかし、またしても少女に二つの選択肢が突きつけられる。
すなわち、遠くの観客たちに三方向から視姦されながら穿くか。
それとも、男と一部の観客のみに至近距離から見られながら穿くか、の二択である。
前者を選ぶのなら、たとえ隠しきれなかったとしても、股を大きく開かない限り細部まで見られる心配はない。
その代わり、否応なく大勢の観客の目を意識させられることになる。
後者を選ぶのなら、大半の観客に背を向けることができる。
しかし壁際に立つ男や、すぐ近くにいる観客には、最悪、少女の秘裂すらも見られかねない。
遠目であっても、数多くの視線に晒したいか。
それとも、ごく少数の人間にのみ、至近距離で大事なところを見せたいか。
要約すれば、これはそんな二択であった。
しかし、逡巡はわずか。
おずおずとながら、ミリアは向かって左のほうに身体を向けた。
そして、左手で秘所を隠しつつ、右手で下着を右足首に引っかけようとする。
彼女は、多くの視線を浴びようとも、遠くから見られるほうを選んだのだ。
きめの細かい、つるりとした綺麗な脚が、改めて観客たちの目に晒される。
そして地面から、わずかに右の足が離れる。
右の足首に引っかけ終えたら、次は左足首。
右手で下着を引っ張り、左足を地面から離す。
だが、順調にいっていたのはそこまでだった。
ここまでの行動はすべて、ふるふると身体を震わせながら行われていたのだ。
ゆえに、彼女がバランスを崩すのは、時間の問題でしかなかった。
右足にのみ重心がかかったところで、ミリアの身体が傾く。
なんとかバランスをとろうと、秘所を守っていた左手すら宙を泳がせるが、時すでに遅し。
脚は左右に開かれ、左足首に引っかかりかけていた下着は抜け、身体は地面に倒れ込む。
その姿に、多くの観客から歓声があがった。
その意味がわからず、ミリアはひとつ
「――あっ……!?」
脚は、大きく開いている。
「や、あ、あっ……!」
両の腕は、地面に投げ出されている。
「あ、あああっ……!」
自分は、背中から仰向けに倒れ込んでいる。
「や、やだ……。やああっ……」
そして、守るべき少女の秘密の場所には――正面にいる観客たちの視線が、容赦なく突き刺さっている。
「いや、見な……見ない、で……」
これ以上ないほど、無防備に晒されてしまったミリアの『女の子』。
「み、見ないで……! いやあぁぁぁっ……!」
必然、彼女は
しかし、それでもなんとか起き上がり、篭手を装着している両手で必死になってそこを隠した。
それから顔を真っ赤にしつつ、涙目になりながらも視線をさ迷わせ、どこにいったのかと下着を探す。
白い下着は、右の足首に引っかかっていた。
完全には脱げず足首に残っていたそれが、かえって観客たちの情欲を
「~~~っ……!」
うつむき、羞恥に身を震わせる少女。
それにまた、観客席から歓声があがった。
その声を聞き、これ以上喜ばせてたまるかと立ちあがるミリア。
秘部を隠そうなんて考えを一時的に頭の中から追い出し、早々に下着を穿き終える。
そして、いまだ飛び交っている歓声を無視し、簡素な椅子へと腰かけた。
それから、そういえばさっきの男はどこにいったのだろうと捜してみたが、その姿はもうどこにも見当たらなかった。
おそらくは、もう戻ってくるようにと言われたのだろう。
と、そこで休息の時間の終了を、審判の声が告げた。
『えー、ミリア選手。休息中におけるいくつものサービス、『闘技場』側といたしましては誠に感謝の言葉もありません。第三ラウンド以降も、いままで同様……いえ、いままで以上によい戦いを繰り広げてくださるであろうと期待しております』
彼女の痴態をいくつも思い出させるような審判の言葉に、ミリアはぐっと拳を握り込む。
『それと、こちらは観客席におられる皆々さまがたに申しあげます。休息中に挑戦者が使用したタオルですが、これは試合終了後、皆々さまがたに向けて売りに出させていただく予定でおります』
「――なっ!?」
『物は挑戦者の汗
「~~~っ!?」
汗
当たり前である。
タオルに染み込んでいるのは汗だけではない。
それは、使った彼女自身が一番よく知っているのだから。
審判の声はまだ続く。
『なお、挑戦者には今後、休息の時間ごとに新しいタオルを用意させていただきます。挑戦者次第では、売りに出されるタオルが二枚三枚と増えていくかもしれませんので、こちらのほうもご期待ください』
またしても観客席からあがる歓声。
それに負けじと、ミリアは大きな声で審判の言葉を否定した。
「もう使いません! 用意されていても、絶対に使いませんからっ!」
『それならそれでかまいません。この世にひとつだけの品、としたほうが高値で買い取っていただけると思いますので。
さて、ではそろそろ第三ラウンドを始めようと思うのですが――ミリア選手、準備のほうはよろしいですか?』
無言で立ちあがることで、ミリアは戦闘の意思を示す。
『よろしいようですね。では第三ラウンド、開始です!』
ゴーン! と鳴る鐘の音。
三度、ミリアとアシモフはフィールドの中央で対峙する。
「このラウンドで決着をつけさせてもらいます!」
そう口にし、先にかまえたのはミリア。
それにアシモフは怪訝そうな表情を浮かべる。
「決着をつける、はよいがの。なにか忘れてはおらんか? 娘よ」
「忘れて……? 一体なにを――」
『えーと、ミリア選手。第二ラウンドでのことを憶えていらっしゃらないのですか?』
割って入ってきたのは、意外そうな審判の声。
それにミリアは、嫌な予感に襲われながらも首を傾げる。
「第二ラウンドでの、こと……?」
『ええ。このラウンドに限り、開始から五分間が経過するまで、あなたはアシモフの責めのすべてを抵抗することなく受け入れるという、あれですよ。
彼が第二ラウンドの間だけ陰核責めを行わない代わりに提示した交換条件。それをミリア選手は
「――あっ……!」
しまった、というふうにミリアは顔を歪めた。
そんな彼女に追い打ちをかけるように、審判は続ける。
『ちなみに、『抵抗』とみなされる行動は、攻撃、防御、反撃、前進、後退の五つですね。それと、アシモフの指示に大人しく従わなかった場合も『抵抗』と判断させていただきますので、ご注意ください』
「わ、わかりました……」
うつむくミリア。
そこにアシモフが早速、ひとつ目の指示を飛ばしてきた。
「では、まずかまえを解いて……そうじゃの、仰向けに寝転がってもらおうか」
「なんで、そんな姿勢をとらせるんですか。別に棒立ちになっているだけでも充分――」
『ミリア選手、アシモフの言うことには
ペナルティの内容は、時間の延長。一度『抵抗』する度に、『抵抗不可』の時間を一分、
「なっ!? わ、わかりましたよ……!」
ペナルティの存在をちらつかされ、ようやくミリアは地面に寝転がった。
それを見て、アシモフは満足げに笑う。
同時に、これは思っていた以上に面白い展開に持っていけるかもしれない、と心の中だけで舌なめずりした。
実を言えば、ペナルティのことはアシモフも聞かされていなかったのだ。
だからミリアの身体を自由に
五分が経過したあとは、蛇なりなんなりで彼女を
しかし、
これなら、巧みにミリアから『抵抗』を引き出し、彼女の『抵抗不可』の時間を延ばすこともできるのではないだろうか。
むろん、ミリアの行為がどこまで『抵抗』と判断されるのかはわからない。
いかなるときも審判は公正な――いや、どちらかといえば挑戦者寄りの判定を下すのだと、アシモフは知っている。
ゆえに、どこまでがミリアにとって『セーフ』になるのかを、早い段階で見極められるように責めていかなければ。
アシモフが一歩を踏みだすと同時、ミリアは少しばかり上体を起こして彼を睨みつけた。
しかし、審判からの注意はない。
前進も後退もしていなければ、アシモフの指示――いや、命令に逆らって起き上がろうともしていない。
この程度は、ペナルティを課すほどのことではない。
審判は、どうやらそう判断したようだった。
仰向けになって地面に転がってさえいれば、上体を起こすくらいは『良し』とされるらしい。
さらに歩を進めながら、アシモフは少女の下半身に目を向ける。
これからなにをされるのかと震えている脚は、わずかに地面から離れており、合わせられた膝には強い力が込められているのが見てとれた。
だが、これもセーフらしい。……確かに『両脚を広げろ』とは言わなかったが。
しかし、それならば自分の手で開くまで。
膝の向こうに少女の顔を捉えながら、アシモフはミリアの元へと歩き続け。
手が届く範囲まで近寄るやいなや、両手を使って彼女の両膝を割り開きにかかった。
だが、そう簡単には開かない。
絶対に開いてなどやるものかとばかりに、ミリアの両膝は固く閉じ合わされたまま。
仕方なく、アシモフは『脚の力を抜け』と命じようとし――
『えー、ミリア選手。アシモフに従い、速やかに脚を開いてください』
彼が口を開くよりも、少しだけ早く。
審判からのそんな注意が、ミリアに向けて発せられた。
「なっ!? 脚を開くようになんて言われてないじゃないですか!」
『確かにそうです。しかし、アシモフには五分間という制限時間があるでしょう? そうである以上、彼の行為は速やかに行われなければなりません。
よって、それを阻害する行動をミリア選手がとられた場合も、私は『抵抗した』と判断させていただきます』
「そんな……」
『もちろん、アシモフにそれとなく促されたときにも、ミリア選手はそれを察知し、行為を速やかに行えるように動いてください。いまの場合も『脚を開くことを要求されている』のだと、容易に想像はついたでしょう?』
「それは、そうですが……」
だからこそ、脚に力を入れて必死に『抵抗』していたのだ。
しかし、それは口にすることはできない。
口にすれば、『抵抗』していたのだと認めることになってしまう。
『今回はペナルティを課しませんが、二度目はありませんよ? では、残り約四分、アシモフの望むとおりに動いてくださるようお願いします』
「…………」
沈黙し、ミリアは大人しく膝から力を抜いた。
不安に揺れる少女の眼差しを浴びながら、アシモフは彼女の両膝を割り開いていく。
そして大きく開かせたミリアの太ももの間に、器用にも座ってみせた。
ごくり、と生唾を飲んだのは、果たしてどちらが先だっただろうか。
手始めにと、アシモフは下着越しにではあれ、ミリアの秘裂に人差し指の腹をあてがい。
「――さあて。それでは、たっぷりと楽しませてもらおうかの」
抵抗を完全に封じられた少女の股間を、徹底的に嬲り始めた――。