俺は死んだ。そして転生した。長々と話してもアレなので簡潔にまとめる。
「君、テイルズ オブ ジ アビスの世界に転生してもらうから」
「は?」
「転生先は原作主人公のルークね」
「はああああ!? TOAっつったら超危険な世界じゃん! しかも主人公のルークだぁ!? 生まれた時から『死亡フラグ』立ちまくりの人間じゃん!!」
「もう決まったことだから、これ決定ね」
「なんでTOAなんだよ! もっと、こう、他にあるだろうが!」
「君の前の人はシンフォニアの世界に送ったんだよ。順番なの」
「ふざけんな!」
「まあそう言わないで、二つだけ特典あげるから」
「二つ? ……ちなみにその特典で他の人物に転生したいとかは」
「駄目に決まってるでしょ。それ以外は割と何でもいいから。結構無体な能力とかでもいいよ?」
「ソウデスカ……」
俺は死んだような目で返事をした。いや、ホントに死んでるんだけどね。…………考えろ、考えろ、考えろ。ルークは原作だと死ぬし、そこに辿り着くまでにも数々の危険がある。死ぬことを回避できる能力は……。
「……体、いや、精神もか、うーん。……そうか! 『自分』を完全に操作する能力。それが欲しい」
「自分を操作する能力ね。もう一つは?」
もう一つ。うーん。ルークは作中で他人に体を操られることが多いから、自分の意思で自分を完全に操作できる能力が欲しかったが、これがあれば戦闘とか凄く楽になるよな。考えた通りに自分の体が動くんだから。「自分」を操作する能力なら、精神や魂なんかも「自分」の中に入るよな? これはいい能力を考えついた。
しかし、それ以外となると…………はっ! そうだ。これなんかどうだ!?
「あのよ、相談なんだけど、~~を○○して××な能力なんて、駄目かね」
「ん? それぐらいなら特典で付けられるよ? それでいいのかい?」
「よっしゃ! 是非それでお願いします!」
こうして、俺は転生することになった訳だ。
§
絶対催眠能力(略して絶対催眠)
一つ、絶対催眠はどんな生物、どんな状況でも絶対にかかる催眠である。
一つ、絶対催眠とは、対象者の肉体・精神・魂すべてに効果がある催眠である。
一つ、催眠のかける方法は二つ。
・目を合わせて頭の中で考えたことを相手に刷り込む。
・発声した内容を聴覚でとらえた相手に刷り込む。
一つ、能力をかける対象は自由自在に頭の中で選別できる。
§
転生した俺は生み出されたコーラル城で目を覚ますのだと思っていた。だけど俺が転生して初めて見たのは自分の家だった。どうやらコーラル城の音機関で生み出されてからしばらくは意識すらなかったらしい。そう、俺は母親の股から産まれたのではない。作り出されたのだ。この世界におけるクローン人間、レプリカとして。十歳の人間からレプリカ情報を抜き出して作られたので、十歳の人間として生まれた。この世界のレプリカ技術――フォミクリーというのだが――は情報を抜き取ったものの同位体を作る技術だ。だから赤ん坊ではなく、オリジナルと同じ年齢の十歳で生を受けたという訳だ。
そこから俺は七年間、七年間だぞ!? 一つの家で軟禁されたのだ。王制の国家キムラスカ・ランバルディア王国。その王の命令で軟禁された。未来の予知である
その間俺には凄い鬱屈が溜まった。ただでさえ軟禁されているのに、自分が将来背負う「死ぬ要因」を数えてその数の多さに目眩がしたのである。それは俺を転生前より荒んだ人間にするのに充分な時間と重さをもっていた。
(クソッ! なんで俺がこんな目にあわなけりゃならねぇんだ!!)
そのうち俺は自分が死ぬ要因であるヴァン・グランツとアッシュ(十歳の時にヴァンに誘拐された本物のルーク・フォン・ファブレ)を心の底から憎むようになっていった。そうしているうちに気づいたのだ。人を殺せるこの力、他人を思い通りにできるこの力を使えば! 奴らに地獄を見せてやることができるのではないかと。
そしてまた気づいた。
(この能力って……女の子にエッチなことし放題じゃん!)
そうして生まれてから七年後、原作が開始される年 ND2018 俺は十七歳になっていた。
後書き
コードギアスなどより主人公の性格を少しお馬鹿、無計画な人物として描いています。また、転生後の生活で精神が荒んでいます。復讐、というか半ば逆恨みですが、これでヴァンとアッシュは地獄を見ることが決定しました。
Q:何故TOA?
A:最初は別のテイルズ作品のエロを考えていたんだ。でもSSの根幹に関わる部分で挫折してな。アビスにしたのは女性登場人物が少ないから楽だと思ったんだよ。
プロローグだけですみません。夜九時に第1話が更新されますので、それまでお待ち下さい。