※この作品はR-18です。

TOAでエロSS   作:月影57令

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第10話 アクゼリュス

 さて、ケセドニアについたぞ、と。先日この街に来た時と逆の手順を踏んで、出入国手続きと船の手配だ。マルクト側の港に停泊している船に全員乗り込んで、物資も積み終えた。さて次はカイツール軍港だな。

 

「ジェイド。船の上で決めたマルクト兵士の動員は……」

 

「はい、鳩を送っておきました。一週間と経たず救援の人員が組織されて出発するでしょう」

 

 今話しているのはバチカルで陛下にもらっていた通行許可証の話だ。キムラスカの街道しか使えないからといって、キムラスカ人だけでしか救助しちゃいけないってことはないだろう。だから、マルクト人がカイツールの国境を超えてキムラスカ側の街道を通り、アクゼリュスに行く救援人員になるのを、キムラスカ国王の名前で通行を許可してもらったのだ。これがあればマルクトの首都グランコクマやセントビナーから、カイツールを越境してアクゼリュスへ救援に行く兵士達がスムーズに通れるって寸法だ。バチカルにいる時に気づいてよかった~。これをやっておかないとマジに一万人を三十人だけで避難させる苦行が始まるところだった。とはいえ、マルクト側から救援人員が到着するまでそれなりに時間がかかるだろう。それまでは自分達だけで救助しなければならない。気を引き締めねば。

 

 

     §

 

 

 カイツール軍港に到着した俺達はアクゼリュスへの街道、デオ峠を目指した。当然救援物資もあるので馬車だ。数人の兵士は峠ではなくカイツールへ行ってもらった。アクゼリュスの民を避難させるのだが、彼らはマルクト人。最終的にはキムラスカ領土内のカイツール軍港ではなく国境があるカイツールのマルクト側に避難させるからだ。なんせ一万人を避難させて国境超えもするのだ。カイツールの兵士達に受け入れ準備の事務調整をしておく必要があった。

 

「やっぱ大人数で行軍するのは時間がかかるな」

 

「そうですね。しかし焦ってもスピードが上がる訳ではありません。落ち着いた行動こそが求められるでしょう」

 

 涼しい顔でそう言うけどな、ジェイド。お前がタルタロスの員数を減らすなんてことをしなければ、最初のマルクトからバチカルへもタルタロスで行けただろうし、そしたら数ヶ月じゃなくて一週間程度でバチカルに到着してただろう。今もこんな峠超えなんてせずにタルタロスでケセドニアから直接アクゼリュスに行けただろう。大幅に時間を短縮できたんだぞ。しかもその場合タルタロスには二百名近い人員がいることになる。二百人いればこれから行うアクゼリュス救援もスピーディーに行えるだろうし、それに物資も! タルタロスには首都グランコクマを出立した時に、食料や障気蝕害(インテルナルオーガン)にかかった患者に対する医療物資も山と積まれていたはずなのだ。それが全部パーである。こいつの謎行動のせいで……。まあ、もう言っても仕方ないけどな。

 

「さーて、それじゃあ出発するか」

 

「ですね」

 

「了解しました!」

 

 峠の下り道、魔物を退治したスペースでしていた休憩をやめ、再度峠超えを行おうとする。

 

「止まれ!」

 

 ん? 崖の上から声をかけてきたのは……魔弾のリグレットだ。金髪に黒い軍服、両手には譜銃を持っている。ヴァンのいるバチカルじゃなくて原作通りこっちに来たか。ならヴァンが逮捕されたことはまだ知らない……?

 

「ティア。何故そんな奴らといつまでも行動を共にしている」

 

「モース様のご命令です。教官こそ……」

 

 ティアが何か喋っているが関係ない。俺は兵士隊長に合図すると弓を武器とする小隊が攻撃を始めた。

 

「ッルーク!」

 

「悠長に会話なんてしてんなよティア。あいつはタルタロス襲撃犯、つまり和平の妨害行動をした敵だ。殺されたタルタロスの軍人の為にもあいつはここで捕らえる」

 

 もちろん後で美味しく頂く為に生け捕りだ。兵士達には峠に着いた時にオラクルが妨害してくるかもしれないこと、俺の合図で攻撃することを命じてある。あとついでにできれば生け捕りで、とも。

 

「くっ。ティア! その馬鹿な坊やから離れなさい!」

 

 あ、ムカチ―ン。あったまにきた。後で恥辱と屈辱にまみれさせてやんよ。それと、てめーが馬鹿扱いしてる俺が、懸想しているヴァンを捕らえたんだっつーの! 今に後悔させてやるぜ。

 

「崖から降りてきやがれ! この臆病者が!」

 

 戦いの罵声とみせかけて絶対催眠を、リグレットを対象にして発動させる。

 

「……!? ? !?」

 

 リグレットの奴は俺の言葉通り崖から降りる自分に戸惑っている。

 

「よし! キムラスカ兵、捕縛!」

 

 俺の掛け声で兵士達が一斉に近づく。リグレットは両手に持った譜銃で銃撃してきた。数人が撃たれたがこちらは三十人(-α)だ。そいつらが一斉に動くのだ。全員を攻撃することなどできはしない。

 

 ……………………。

 

「くっくうっ。何故っ」

 

「ルーク様、敵を捕縛しました! 譜術も封じてあります」

 

「よし。被害は?」

 

「数名が銃撃を受けましたが致命傷ではありません。今治癒術師(ヒーラー)に治癒させています」

 

「よし、それじゃ周辺の敵影を確認したら、行軍を再開しよう。リグレットには兵士を三人つけろ」

 

「はっ!」

 

 リグレット捕獲。アクゼリュスについたら拘束だけして後は暗示をかけて放っておこう。これ以上救援の人員を減らすことはできないからな。

 

 

     §

 

 

 やっと、やっとアクゼリュスに到着した。

 

「ジェイド、お前がグランコクマを出発したのは何ヶ月前だ?」

 

「…………三ヶ月、前になりますかね」

 

「そうか。出発前にもたらされた救援要請の日から、相当状況は悪化しているだろうな」

 

「…………」

 

 地面に掘られた大きな円柱状の縦穴、その縁に立って会話する。俺は意を決して街に足を踏み入れた。

 

「これは……」

 

「想像以上ですね……」

 

 街にはいたるところで怪我人がうめき声を上げている。街、穴の中には紫色の障気が充満していた。

 

「あんたたちキムラスカ側から来たのかい?」

 

 いかにも鉱山の作業員といういでたちの男が近づいてきて声をかけた。俺は一歩引いてジェイドを先に挨拶させる。

 

「マルクト帝国軍第三師団所属ジェイド・カーティスです。救援の要請を受けやって参りました」

 

「私はキムラスカ・ランバルディア王国親善大使ルーク・フォン・ファブレです。マルクトから和平の申し込みと、同じく救援要請を受けやってきました」

 

「自分はパイロープです。ここらの坑道で現場監督をしています。村長が倒れてしまっているので、自分が臨時代表として雑務を担っています」

 

 パイロープ、ジェイド、兵士長と話し合う。 

 

「まずは、キムラスカ兵士を指示して周辺状況の調査、だったな。どこの坑道が危険か、どれだけの人数がそこにいるか。重症者・軽症者の人数把握。…………だけどそれより先に提案だ。まず、この街での採掘作業は中止だ。鉱石は貴重かもしれないが、人の命には換えられないからな」

 

「そうですね」

 

 ジェイドが頷く。

 

「……わかりました。作業監督者全員に通達しましょう」

 

 もう三ヶ月もこんな状況なのに避難していないとかありえないだろう。ましてや採掘をやめないとか。この街の人間の思考はどうなっているんだ? 無事な人間で重症者の運び込みくらいできるだろうに。

 

 

     §

  

 

 一週間が経過した。重症者の運び出しは全重症者の二分の一、傷病者全体の運び出しは三分の一というところだ。そして全人口の避難は十分の六といったところか。出発前に想定していた通り、傷病者は大体人口の半数といったところだ。これでもかなり助かっている。もし総人口の八割九割が傷病者だったら手に負えなかっただろう。それでも作業は遅々として進まない。やっかいなのは預言だ。避難しなかったのは「預言で避難することが詠まれていないから」だと。…………アホっかっつーの! こんだけ全部紫色に染まった景色でなーにが預言だっつーの! 預言が避難させてくれるか? 預言が食料を、医療物資を届けてくれるか? 預言で障気が消えるのかっての!

 

 …………はぁ、はぁ、はぁ。いけない。ついエキサイトしちまった。と、とにかく、後一週間あれば重症者の運び出しは全員終わるだろう。傷病者も半数は縦穴の外に設置したテントに避難できる。障気蝕害にかかっていない人間は全員避難し終えた。預言が~と言う者もいたが、兵士に武器を振りかざさせて、無理矢理体を引っ張ってでも避難させたった。

 

 それと、ユリアの預言にあった力を災いとし、のことだけど、今のところ俺に変な兆候は見られない。預言通りになるってんなら、てっきり原作であったようにローレライに体を操られて、超振動を暴発させることが起きると思っていたんだけどな。その為にこの自分操作能力を選んだってのに。……まあ、操られないなら操られないでいーか。超振動が暴発したらマジにアクゼリュスが消滅しちまうからな。もし操ってきたとしても自分操作で体の所有権を俺のものにしてやる。

 

 ちなみに超振動とは、第七音素(セブンスフォニム)同士が干渉しあって発生する力だ。本来第七音素を使える二人の人間がいて初めて発生するのだ。だが、第七音素の意識集合体ローレライと完全同位体であるアッシュ(本当のルーク・フォン・ファブレ)は一人でも超振動を起こせるのだ。そして俺はアッシュと完全同位体のレプリカ、よって俺も超振動が使えるって訳だ。原作ではある場面でローレライの野郎がルークを操って超振動を発生させるシーンがあるのだ。だから俺はそれを警戒してたのだが、上述したように俺は自分操作能力を持っているので、もし操られても対抗できる。心配はいらない。

 

 さて、今日も皆に指示出しする作業が始まるぜ。坑道の中に入って……。

 

「奥に行くんじゃねぇ! 取り返しがつかねーぞっ!」

 

「ん?」

 

 って誰かと思ったらオリジナル・ルークことアッシュじゃねーか。原作より遅い登場だな。やっぱヴァンがいないしイオンも誘拐されてないから時期が合わなくなってきてるのか?

 

「それはそうとして、いいところに来やがったなこの野郎。おい、キムラスカ兵! こいつを捕らえろ!」

 

「!? 屑がッ」

 

 アッシュの野郎剣を抜きやがったか。しかし、

 

 動くな!

 

 目を合わせて暗示をかける。よし! よし! かかった、このアホが!

 

「ルーク様。この者は?」

 

 キムラスカの兵士には全員、俺と同じ顔の人間がきても動揺しないよう、またそれに疑問をもたないよう暗示をかけているから、急にこいつが出てきても動揺したりしない。そしてこいつが本物で俺がレプリカという作られた人間だということが判明して騒ぎになることもない。ざーんねーんだったなアッシュ!

 

「オラクル六神将鮮血のアッシュだ。タルタロスとカイツールで王族である俺を殺害しようとした奴で、カイツール軍港襲撃を指示した犯人でもある。バチカルに連れて帰って刑罰を受けさせるべき野郎だ」

 

「わかりました。おいっ! 手枷を持ってこいっ!」

 

 体の動きを止められたアッシュは困惑を表情に表すこともできずに固まっている。よーしよし。これでまた問題が一つ片付いたぜ。

 やった。やったぞ。ついにアッシュを捕まえた。こいつは決して生かしておけない。先に殺したラルゴやディストのように、後を追わせてやるからな!

 

 

     §

 

 

 はぁ。疲れたなぁ。もう数週間ぶっ続けで救援作業を行っている。まあ本当に大変なのは重症者や預言信者を運び出したり、避難先のテントの周りで魔物と戦ったりしている兵士達だけど。

 

 癒しはホントティアだけだよ。彼女がいてくれてよかったー。まあ彼女の方は冗談じゃないって感じだろうけど。それでも最近はセックスしていない。奉仕すればセックスしないでいてやるって約束したのが一つ、避難先で誰が訪れるかわからないのでバレやすいセックスはできないってのが二つ目の理由だ。だけど最近のティアはだいぶ調子が悪いらしい。調子が悪いと言っても体調が悪いとかではなく、俺がかけた暗示が聞いてきてるのだ。奉仕を行うごとにアソコが疼くようになれ、っていうやつだ。どうやら我慢も限界に達してきているようだ。でも彼女の性格からいってオナニーしたり俺にセックスしてくれるよう申し出たりはしないだろうしな。へへへ。無事バチカルに帰れたらちゃんとしてやらないとな。その為にも今は頑張りますか!

 

 意気込んだがアクゼリュスからテントへの避難は既に終わっている。二週間が経過した頃か? 鳩で送った通行許可証を持ったマルクト兵士達が救援に来てくれたのだ。その数なんと二百名。これで一気に避難が進んだ。後はここからデオ峠を超えてカイツールに行くだけだ。

 

「~~ということで。……ルーク? 聞いていましたか?」

 

「あ、ああ。ちゃんと聞いてるよ。まず半数の百名で重症者を担架で運んで移動させる。残りの百名が軽症者と無事な者を魔物から護衛、そんで峠を超えたら馬車で移動。キムラスカ兵はこのテント周辺の警護、だよな?」

 

「はい。その通りです。ちゃんと聞いていたようですね」

 

「ちょっと疲れているけど大丈夫だよ。そんじゃマルクト兵の総指揮は任せたぞ。俺はこっちで待機しているから」

 

「ええ、くれぐれもお気をつけて」

 

(はぁ、計算からいって全ての救助作業が終わるまで四週間以上……先は長ぇなぁ)

 

 俺は誰にも気づかれないように、そっとため息をついた。

 

 そして、この先のことを思った。この世界の秘密、この世界は、空中に浮いている外殻大地と呼ばれるものなのだ。外郭大地はセフィロト、星のツボから吹き上げる力によって浮上している。そしてそのセフィロトを制御しているのがパッセージリングというものだ。それはダアト式封咒とユリア式封咒というセキュリティで守られている。だが、二千年前に作られたそのパッセージリングは耐用限界を迎えているのだ。アクゼリュスに障気が噴き出しているのは、地下世界である魔界(クリフォト)というところに充満している障気が、耐用限界で崩落しかかっている大地から漏れ出しているからなのだ。

 

 この世界には十箇所のセフィロトがある。そこにある十個のパッセージリングは全て耐用限界を迎えようとしている。それはつまりこの外殻大地全てが崩落する危険に陥っているということだ。崩落を防ぐには、パッセージリングを操作して、エレベーターのように、安全に大地を降下させなきゃならない。

 

(それも、全部やらなきゃな)

 

 俺はこの先に訪れるその大変な作業を思った。

 







後書き
 今回の話、最後のところで世界の問題を記述しました。しかしこの世界の問題は次の1話であっさりすっきりさっぱり解決する予定です。ストーリーには期待すんなよ! 絶対に期待するなよ! いいか、フリとかじゃないからな!
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