ストーリーダイジェスト。できるだけハードルを下げてくださいね? 内容はその下をくぐりますから。
アクゼリュスでの救援作業が全て終了した。アクゼリュスの民は皆国境の町カイツールを超えマルクト帝国領土に移動した。重症者や軽症者の手当てはマルクト国内でやってくれ。今まで敵国として睨み合っていたキムラスカ人とマルクト人だが、救助完了の時は皆等しく喜びを分かち合っていた。
「それじゃあな、ジェイド」
「ええ。色々ありましたが、貴方がいてくれて助かりました。感謝します」
数ヶ月の長い付き合いになったが、これで一旦ジェイドとはお別れだ。俺はジェイド及びマルクト兵達と別れると、バチカルに戻る為キムラスカ兵士長に指示を出そうと踵を返した。
「皆本当にお疲れ様。後はバチカルに戻って陛下にご報告するだけだ。その役目は私が担うから、バチカルに戻ったら後は解散してかまわない。……それじゃあ馬車に乗ってカイツール軍港へ向かおう」
結局陛下が言っていたバチカルからの後発の人員は来なかった。王宮には正義感の強いナタリアがいるからもしかしたら……とも思ったが、やはりアクゼリュスに行く人間は死ぬものとして考えていたんだろう。バチカルに戻ったら抗議してやる。
しかし今回の旅、親善で色々変わったことがある。ガイの俺を見る目がちょっと変わったっぽい。裏で繋がっていたヴァンが逮捕されたこともあるだろうが、立派に救援と親善をこなした俺に敬意をもってくれたようだ。今までは使用人というより友達という意識が強かったが、救援も後半になると俺に敬意をもって接してくれていたような……そんな気がする。
変わったといえばティアもだな。度重なる奉仕で彼女はすっかり俺の虜になった。テント暮らしで奉仕が中心だったから、バチカルに戻る船の中ではセックスしよう。彼女もそれを待ち望んでいるはずだ。彼女も彼女で、旅の始めにあった「お坊ちゃま貴族」というイメージより、「公務を立派に行う王族」というイメージにランクアップしたようだ。後々の関係を考えると、まあ性行為を強要する奴ではあるが、それ以外はちゃんとした王族、として見られているとやりやすい。
バチカルに帰るまでのゆったりした帰還の旅の最中に、俺はそんなことを考えていた。
§
「インゴベルト陛下、ルーク・フォン・ファブレ、この度任じられたアクゼリュス救援、親善大使としての活動を無事に終えて帰還したことをご報告させていただきます」
「う、うむ」
謁見の間にいる大半の人間はやっぱり動揺していた。死ぬはずの俺がこうして戻ったことで預言が、それも絶対に外れることのないユリアの預言が外れて動揺しているのだろう。そのことについても話したいが、まずは任務の報告が先だ。
「まず、バチカルを立ちました私共は~~」
ここ一ヶ月ほどの救援作業について報告する。
「~~で、アクゼリュスの民は全てカイツールの国境を超えてマルクト帝国の領土へ避難いたしました……それと、出立前にお聞きしたユリアの預言ですが、『ローレライの力を継ぐ若者、人々を引き連れ鉱山の街へと向かう。そこで……』と、それ以上の文言は譜石が欠けていてわからなかった部分ですが、私は無事命じられた救援と親善を終わらせました。それ以外では特に変わったことは起きていないので、欠けていた文言は陛下が命じられた救援と親善のことだったのでしょう」
「…………」
絶句してる絶句してる。本当はアクゼリュスと共に消滅するはずだった俺がそう言っているので頷くのも忘れて絶句してやがる。俺は死ななかったしアクゼリュスも消滅しなかった。今ごろは内心相当動揺してるな。
「……以上でご報告を終わらせていただきます。最後になりますが、アクゼリュスできつい救援作業を行った三十名のキムラスカ兵士には格段の褒美をお与え下さるようお願い申し上げます。あ、それから兵士が逮捕して牢屋に入れたオラクル六神将のリグレットとアッシュですが、ヴァンとの繋がりがありますので厳しく取り調べていただくようご指示願います。特にアッシュはカイツール軍港と船舶の破壊、軍港の兵士殺害の指示をした教唆犯ですので、どうか厳しい刑罰を望みます。……それでは今日のところはこれにて退席したいと思います」
「う、うむ。わかった。そちの言う通りにしよう」
「ああ、それと、重ね重ね申し訳ありませんが、陛下がお命じになった私の軟禁ですが、今回の預言成就で解禁になったと考えてよろしいのいでしょうか? それとも最初に命じられていた通り、今後も二十歳の成人までは屋敷で軟禁生活を送るのでしょうか?」
「あ、いや、それはだな」
言葉を濁す陛下。死ぬものと思っていたから決めてなかったなこいつ。
「陛下……~~」
何故かまだバチカルにいやがった(この席にも同席していた)モースが陛下に耳打ちしている。多分、もう一度アクゼリュスに行かせる必要があるので、軟禁は解いた方がいいとか言っているんだろう。
「む、ごほん。ルークよ。お前に命じた軟禁生活はこれをもって終了とする。だが、お前は王族の末席にいる者だ。みだりにバチカルから離れるでないぞ」
やっぱりか。どうにかこうにか再度アクゼリュス行きを命じるからバチカルから出たり怪我や病気になったりするのは控えろと言いたいんだな。わかったよおっちゃん。だけどやった! やったぞ! これで俺は王命による軟禁から解放された。これでこの世界を覆う問題を解決する為に、世界中を回っても不審に思われたり王命反逆罪に問われたりしない。これを待ってたんだ! 王命で軟禁が強制されている今までなら、世界の問題を原作知識でなんとかしようとしても、捕らえられて罰せられるところだった。けどこれからは違う、大手を振って世界の為に行動することができるのだ。王様のお墨付きだもんね! やったぜ! おっと、再び、無意味なアクゼリュス行きはごめんだから暗示をかけさせてもらうぜ。
預言に頼る心を一切捨てろ!
よし! よし! これで陛下は預言に頼らず政治を行う人間になった。タイミング的にも、絶対とされていた俺の預言が外れた後だから、「ユリアの預言が外れたから預言に頼らなくなった」と周囲の人間は思うだろう。これでいい。俺の絶対催眠がバレないタイミングで陛下に預言を捨てて欲しかったのだ。親父や大臣など、今まで陛下と同じく預言に頼っていた連中は不満に思うかもしれないが、厳粛な王制国家であるキムラスカでは、陛下の言葉は「絶対」だ。このタイミングの為、今まで催眠を隠していたと言っても過言じゃねえ。やったぜ!
「了解いたしました。それではしばらく屋敷にて休息をとりたいと思います。長旅で疲れているのでこれで失礼させていただきますね」
俺はそう言って謁見の間を退席した。
§
それからのことをダイジェストで語ろう。詳細に話すとすげー長くなっちまうからな。この世界、オールドラントの大地は全て空中に浮かんでいるのだ。外郭大地、と呼ぶ。そしてこの世界全体を支えて宙に浮かせている音機関パッセージリングが、二千年前に作られた為に耐用限界になっていたので、外殻大地は降下させなければならない。そうしないとパッセージリングが壊れて浮かんでいる外郭大地が全て崩落し、そこに住む全ての人が死に絶えてしまうからな。
しかしその為にはアクゼリュスのパッセージリングを破壊しなければならなかった。そうしないと他のセフィロトで降下作業が行えないのだ。アクゼリュスのパッセージリングにはセフィロトを守る第二のセキュリティ、アルバート式封咒を兼ねているので、まずアクゼリュスのリングを破壊する必要がある。世界全体を降下させる為にな。
俺は空飛ぶ飛晃艇を手に入れる為、飛行実験を行っているキムラスカの都市、シェリダンを訪れた。そこでキムラスカ兵を動員し、試験飛行中に墜落してしまった飛晃艇アルビオール初号機を救助した。その後、墜落した原因を取り除いたアルビオール二号機を完成させ、二号機パイロットのノエルと俺はアクゼリュスを訪れた。シェリダンの職人達には、不自然にならないように依頼する形で絶対催眠を使った。
ここら辺は、俺がもっと計画を練って行動できる人間であれば、よりスムーズな解決方法もあったんじゃないかと思う。でも仕方ねーじゃん。俺、そういう細かい計画とか立てるの苦手なんだもん。
アクゼリュスでは、ダアト式封咒がかかっていたが、その扉の横に超振動を使って穴をあけた。そう、俺は全ての物質を分解・再構成する超振動を単独(一人)で使える人間なのだ。人間っつーかレプリカですけど。本当はこの力を使えるのは俺のクソオリジナル野郎であるアッシュだが、俺は完全同位体のレプリカだから、奴と同じこの力を使えるって訳。すげー強引な方法だけどこのダアト式封咒ってダアト式譜術を使えるイオンにしか解けないし、解くとイオンの体に死ぬほどの負担をかけちまうしな。これも仕方ない。そして中に入った俺はやっぱり超振動を使ってアクゼリュスのパッセージリングを破壊し、アクゼリュスを崩落させたのだった。超振動は自分操作能力でちょちょいとね。犠牲者はでなかったと思う。アクゼリュスの住民は全員避難済みだし、アクゼリュスはもう何ヶ月も前から被災地になっていたので、訪れる人間もいなかった、はずだ。崩落するアクゼリュスに巻き込まれて死なないよう、急いでアルビオールに乗り、俺は崩れていくアクゼリュスを後にした。
§
アクゼリュスが崩落した後の話。キムラスカでユリアの預言を知る奴ら(大臣とかモースとか)は預言通りアクゼリュスが消滅したからルグニカ大地でマルクトと戦争を起こそう! となったが、預言に頼らない、頼れない人間になった陛下は強かった。戦争を起こすべきではないと一喝。これにて和平は守られ戦争は起きなかった。
次に俺が行うのは他八つのパッセージリングの降下作業だ。ダアト式封咒はアクゼリュスと同じように超振動で穴を開け、セフィロト内部へ入り込む。そして最後のセキュリティであるユリア式封咒を解く。これにはユリアの子孫で血族であるヴァンかティアが必要だが、これまた死ぬほどの負担が担当した人間を襲うので、俺がヴァンを一時的に牢から出して、世界各地をアルビオールで巡った。え? せっかく牢屋に入れたヴァンなのに外に出してどーするって? しかたねーじゃん、俺の大事なティアを死なせる訳にはいかないんだから。
まずはセントビナー。ここはアクゼリュスが落ちると負担がかかって、他七つの場所より早く崩落してしまうので、素早く降下作業を行った。
次はザオ遺跡。ここが支えているのはケセドニアと砂漠のオアシス、それからカイツールの方、かなり広範囲な大地だ。ここの何が大変かって砂漠だからアルビオールで直接降りられないことだ。だが今更徒歩移動なんてごめんな俺は超強引な手段を使った。遺跡の上空についたら、ロープのハシゴを下ろしてそこから下に着地したのだ。まあ自分操作能力を持っているので、ある程度高いところからの落下でも大丈夫だった。ヴァン? あいつは生きてればいいから適当に命令して降ろしたよ。足が折れなきゃ大丈夫だ。
次に、降下したセントビナーとケセドニア、オアシス、カイツールなどがある大地は地下世界の
他六つのセフィロトでは準備作業、降下命令の仕込みだけを行って、最後の降下作業場所であるラジエイトゲートで降下作業を行うと、残った全ての外殻大地が一斉に降下した。世界中の人間は驚いたと思う。何せ浮かんでいた空中から地下世界の魔界に降下したのだから。まあその前にルグニカ大地(セントビナーとかがある大陸)が降下して、外殻からはまるで消滅したかのように見えてたから大騒ぎにはなっていたんだろうけどね。とにかく、それからしばらく世界は大地が降下した謎を巡って大混乱に陥った。……俺がもっと上手くことを運べていたらなー。そしたら混乱も少なかったと思うんだけどね。
この混乱には、元から魔界にあった地下世界唯一の都市、ユリアシティの人間達が説明してくれた。地続きになり、存在が明るみになった彼らの提言で、キムラスカもマルクトもパッセージリングの調査隊を派遣した。どうやら外殻大地の仕組みと誰かが降下作業を行ったことが判明したらしい。それでひとまず混乱は収まった……りはしなかった。外殻大地? 魔界? パッセージリング? それってなんじゃらほいってなもんで、混乱は今でも続いている。世界中の首脳や政治家、研究者達は自分達で世界の仕組みを勉強しつつ、それを民に公布するという作業を行わねばならなかった。世界中の人達ごめんなさい。犯人は俺です。
最後に、ラジエイトゲートから全てのパッセージリングを全停止させて、長く続いた降下作業も終了した。パッセージリングを全停止したので、アクゼリュスで噴出していた、魔界に充満してた障気は地核に閉じ込められ、再び出てくることはなくなった。正確に言うならもっと細かい事情があるのだが、それは説明しなくていいだろう。とにかく魔界の二大問題であった液状化と障気は片付いたのだ。
これで、テイルズ オブ ジ アビスにおける世界の問題は全て解決した……と思う。我ながらかなりの無茶をやりまくった感があるが、アクゼリュスの罪なき人々は助けられた。あと世界中の人間も大半が救われたはずだ。救った方法に文句など言わせない。
こんな無茶をやるなら最初から軟禁を自力で解いて、世界中を回ればよかったじゃーねーかと思う奴もいるだろうけど、それは駄目なんだよ。俺はあくまで「絶対効く催眠術を使える」というだけの人間でしかないのだ。つーまーり、殺されれば「死ぬ」んだよ。わかりやすく言うと視線も声も届かない遠くから狙撃(大規模譜術とかでも可)されたり、効果がない譜業人形とかに圧殺されたりしたら、死ぬのだ。だから大手を振って、絶対者である陛下に許可を与えられた状態になる必要があったのだ。絶対催眠があるからって何でもできる訳じゃない。この世界のシステム(王制国家)を無視はできないのだ。
とにかく、これで世界の問題は片付いた。俺が死ぬ心配はなくなったのだ。
§
そして今、俺はバチカルに戻ってきた。屋敷の皆には軟禁が解かれて遊学の旅に出ていると説明&暗示をかけておいたから随分心配された。まあもうこの世界を救う作業は全て終わったのだ。ゆっくり休みたい、んが、俺にはまだやらねばならないこと、やりたいことが残っている。さあ、最低最悪の地獄がお前らを待ってるぜ。ヴァン、そしてアッシュ!
後書き
これはひどい。第2話でジェイドとイオンを助ける為にエンゲーブに行くと言っておきながら、全部自分でやっちゃうあたり彼の無計画さとお馬鹿さがにじみ出ていますね。
まあこのエロSSなどにストーリーを期待している人なんて一人もいないでしょうから、私としても気が楽なんですが。