2話連続でエロなし。すみません。
「ルーク様、おはようございます。今朝方、ナタリア殿下から使者が参りまして、ご登城なさるようにとのことでした」
翌日、遅い時間に目を覚ました俺はメイドからそう聞かされた。やっと俺の軟禁が(限定的にだが)解かれたか。さて、飯を食ったら王城に向かいますかね。
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城へ向かうと、ティアとモースが扉を開けたすぐそこで話していた。確かティアはモースの直属の部下なんだっけ。ゲームでも中盤までモースのことを信じてるもんな。俺の姿を認めたモースとティアは一緒に謁見の間についてきた。ティアは屋敷襲撃、多数の人物への眠りの譜歌使用、客人の暗殺という罪を許されたらしい。俺にとってはエロ相手だから釈放されたのは嬉しいが、罪を犯した人物を簡単に許しすぎじゃありませんかねキムラスカ王国。
「おお、待っていたぞルークよ」
国王陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう……。俺は七年間の教育で身についた礼儀で挨拶を述べる。一緒に入ってきたティアがすげぇ驚いた顔をしてる。あのなぁ。俺これでも王族よ。ハイソサエティなのよ? 普通なら自治区の一軍人に呼び捨てにされることなんてないんだぞ?
それはさておき、陛下から議会で決定したことが告げられた。マルクト帝国と平和条約を結ぶこと。またマルクトからは同時に救援の要請があり、鉱山都市アクゼリュスが障気なる毒素によって壊滅の危機に陥っていること。マルクト側からは街道が障気でやられていて通れず救助できないこと。キムラスカ側の道を使って救援を望むことが伝えられた。そして俺をアクゼリュス救援の親善大使に任命するとのことだった。
「ナタリアからヴァンの話を聞いた。ヴァンが犯人であるかどうか我々も計りかねている。そこでお前が親善大使としてアクゼリュスへ行ってくれれば、ヴァンを解放し協力させよう」
……承諾したくねぇ~。俺は親善大使になることを受け入れるからヴァンは牢屋に閉じ込めておいてとか超言いてぇ~。でもダメだ。これに頷いて一度ヴァンを解放しないと俺の望む通りにはならない。
「陛下、親善大使への任務、確かに承諾いたしました」
その後、この俺のアクゼリュス行きはローレライ教団の聖女、始祖ユリア・ジュエ(二千年前の人間だ)の預言に詠まれていたとのことだったと知らされる。ティアが渡された譜石を詠む。すると、
「ND2000。ローレライの力を継ぐ者、キムラスカに誕生す。其は王族に連なる赤い髪の男児なり。名を聖なる焔の光と称す。彼はキムラスカ・ランバルディアを新たな繁栄に導くだろう。ND2018。ローレライの力を継ぐ若者、人々を引き連れ鉱山の街へと向かう。そこで……。……この先は欠けています」
意訳すると、2000年にセブンスフォニムの意識集合体(精霊みたいなもの)であるローレライと、音素振動数が全く同じ人間がキムラスカに誕生する。そいつは王族で赤い髪の男。「ルーク」は古代イスパニア語で聖なる焔の光という意味。これは俺のオリジナルのアッシュのことな。俺はND2010にレプリカ製造機械で生まれたから違う。そいつはキムラスカ王国を繁栄させる人間。んで2018年に十七歳になった若者は人々を引き連れて鉱山都市アクゼリュスに向かうっつー話しだ。
ユリアの預言は一度も外れたことがない。しかしこの預言に関しては、既に狂っているのだ。2000年に生まれたのはオリジナル・ルークだが奴は今アッシュという名前を名乗っている。んで人々を引き連れて鉱山の街へ向かう若者は2010年生まれの俺。預言にはレプリカの存在が詠まれていないのだ。なので、レプリカ(俺)が作られてルークという名前になり屋敷で育てられ始めた時点で、この預言は微妙に狂っていっているのだ。
そんで、ティアが欠けていると言った続きの文言も俺は知っている。原作知識でな。
「~~人々を引き連れ鉱山の街へと向かう。そこで若者は力を災いとし、キムラスカの武器となって街と共に消滅す。しかる後にルグニカの大地は戦乱に包まれ、マルクトは領土を失うだろう。結果キムラスカ・ランバルディアは栄え、それが未曾有の繁栄の第一歩となる」
アクゼリュスへ向かった俺は災いの力、超振動を発生させ、キムラスカのマルクトに対する武器となって街を消し去り、かつ自分も消滅する。その後ルグニカ大地で戦争が始まり、マルクトは負けて領土を失う。キムラスカは栄えてそれがその後の繁栄の礎となるっつー訳だ。んで、実はこのアクゼリュスが消滅して親善大使のルークが消滅、死んじまうっつう預言はここにいる陛下や大臣、モースは知っているんだよな。譜石が欠けているのは、自分に死の預言があることを俺に悟らせない為にわざと砕いたんであって、こいつらは知っているのだ。俺が死ぬことを。
俺はこの預言を守る気はさらさらない。だって守ったら俺は消滅、死んじまうし。しかもこの預言にも続きがあって、そこにはこの世界の終わりが読まれているのだ。だから、第一目標は俺が生き残ること。次に人を引き連れて、キムラスカの武器となってアクゼリュスを消滅させないこと、その後は戦争を起こさせないこと。それが俺の目標だ。最終的にこの預言をぶっ壊す。そうしないと世界が終わって、結果的に俺も死ぬから。レプリカである俺は預言から外れた存在。原作がそうであったように、俺がこの世界に溢れる問題を解決して、世界の終わりを回避させれば、世界は滅びない。頑張ろう。
で、今まで俺がクソクズ野郎として恨んできたアッシュだが、つまりはそういうことだ。あのクソオリジナル野郎はこの預言、自分が二千年も前から十七歳で死ぬことが詠まれていたことを知っていやがるのだ。そりゃあ自分が死ぬ運命にあるなんてしったら、発狂寸前のパニックになるだろう。死にたくないと思うのは、当然のことさ。俺だって生きたいからな、奴が生きたいと願うことは否定しないさ。だけど、態度や方法ってもんがあるだろうが!!!!! 自分に預言が詠まれているなら、レプリカが預言に詠まれていないなら、そのレプリカに払うべき礼儀というものがあるだろう。レプリカとして誕生した俺にまずちゃんと教育を施して言葉などが理解できるようにさせ、次に「俺には死の預言が詠まれているけど、俺は死にたくないんだ。だから俺は名前を変えてダアトで暮らす。これで俺は死ななくてすむから、お前はお前で預言に詠まれていないレプリカなんだから自由に生きろ」とでもちゃんと対話をするべきだろう。そんで俺が自分の代わりになることを周囲の人間とかに理解させ、受け入れの態勢を作り、くれぐれも俺を死の預言から救ってくれるこのレプリカをよろしく頼む、とでも話をするべきだろうが! それを、あの野郎はただ、ただただ、自分が死にたくないというだけで、俺(レプリカ・ルーク)に何の説明も預言の内容も話さずに死ぬ運命を押し付けやがったのだ!!! これが、俺があのクソ野郎を恨む理由だ。あいつは俺に死を押し付けて自分だけのうのうと生き延びるつもりなのだ。絶対に、絶対に、ぜーったいに! 許さねえ!! あいつだけは最低最悪の屈辱を与えた後で殺してやる。
はぁ……はぁ。ふぅ。お、落ち着け俺。とりあえず、アクゼリュス行きは承諾した。同行者はマルクトの使者ジェイド、ローレライ教団からティア(♡)とヴァン、俺の世話係としてガイを連れて行くことになった。
「陛下、それでアクゼリュス救援の人員、兵士の数は何人になりましょう? アクゼリュスの人口は約一万人、仮に障気にやられて動けない人間が半数の五千人いるとしたら、せめて百人規模の兵士が必要になるかと思われますが……」
「む、むう。人員か。とりあえず先遣隊として三十人ほど連れて行きなさい。後発の人員は少し経ってから出発させる。なにぶん昨日の夜、急に決定した和平だからな。時間が必要なのだ」
上手くかわしやがったな。アクゼリュス消滅に巻き込まれると知っているから、できるだけ兵士は派遣したくないって訳だ。しかし苦しいな。後発の人員なんて寄越す気はないだろうから概算で五千人を三十人で救助しなくちゃならない。クソ! いよいよもって苦しくなってきたなぁ。もうここで絶対催眠使っちまうか。いや待て、今はまだまずい。確かに俺のこの能力は強力だが、対策が全くない訳ではない。ディストのロボのような譜業人形などであれば能力を無効化し俺を殺すことは簡単だ。自分が生きる為には、できるだけこの能力のことを知らせないように動かないと。無軌道に能力を使って放蕩の日々を過ごすなら軟禁されている時にとうにそうしている。屋敷の出入り口を見張っている兵士に催眠をかければいいだけなんだからな。だから、今はまだ使わない。使うべき時がきたら使ってやる! エロは当然別だがね。あ! と、そうだ。モースの野郎にやっておきたい暗示があったんだ。今やっておこう。
「モース殿、ローレライ教団のオラクルから人員を派遣してくれたりは……」
俺はあたりさわりのない話題を話してモースの目をこちらに向けさせた。
ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアの出生の秘密は、誰にも話すな!
よし、これでモースは偽姫騒動を起こせなくなった。ナタリアの安全と父娘の関係は保証された。ナタリアは実は王様の子供ではない。赤ん坊の時に死産だった王の娘とすりかえられたのだ。そしてそれを知っている本当の父親(俺がタルタロスで殺したラルゴ)がモースに伝えたので、原作ではモースがナタリアを偽姫として糾弾するのだ。それを防いだって訳。
§
「師匠!」
「ルークか」
「簡単ないきさつはご説明してありますので」
俺はヴァンが捕らえられていた地下の牢屋前に来ていた。ヴァンを釈放した兵士が階段を上っていく。
「ルークよ。私の元へ来ないか? 神託の盾騎士団の一員として」
キター! 話し始めやがった!
「お前はアクゼリュス行きを簡単に考えているだろうが~~」
それじゃない! その先を話せ! 早く!
「~~だから……私がお前を攫った。七年前のあの日に」
よっしゃあ! 言質とった! その後もヴァンは適当な懐柔の言葉を並べ立てていた。俺は「師匠を信頼しきっているルーク」を演じてその場を切り抜けた。
「よし。では行こうか。お前自信の未来を、掴みとる為に」
そう言うお前の未来はたった今終わったけどな! 俺とヴァンは階段を上っていく。前を行くのが俺だ。そうして上りきった先、階段の一番上の両脇には親父とティアがいた。
「ぬう!?」
驚いて一瞬動きが止まるヴァン。
「確保!!」
その俺の言葉で階段の先にあった扉が開いて兵士達が詰めかけた。
「話しは聞かせてもらったぞヴァン。お前が七年前の誘拐事件の犯人だったとはな」
親父が額に青筋を立てながら告げる。兵士達は武器の剣を構えようとしたヴァンを拘束する。これは俺の仕込みだ。「ヴァンは俺と二人きりなら必ずボロを出すから」と言って親父とティアに扉の中に入って階段下から見えない階段上両脇のスペースにいてもらったのだ。原作でナタリアが盗み聞きしていた場所だな。そして扉の外には数人の兵士を呼び寄せ、俺が確保と叫んだら中に入ってヴァンを拘束するよう命令しておいたのだ。
それにしてもヴァンの間抜けなこと! 原作でもナタリアに盗み聞きされていた。そしてその知識を活用して二人に盗み聞きさせた。この世界でも原作と同じく致命的なポカをやりやがった! アホが、大事な話なら周りに人がいない時にしろよ! ……しかし、なんで原作はこの内容を聞いたナタリアがヴァンを逮捕させなかったのだろう。ホントダメな世界(以下略。
「にい、さん……」
ティアが悄然とした表情でヴァンを呼ぶ。ふふふ、ははは、はーっはっはっはっは!
「引っかかったなヴァン! これは全部俺の仕込みだよ! お前は俺の前で必ず隙を見せると思っていた。だから父上とティアにさっきの話を聞いてもらったのさ!」
「ルーク、貴様」
両腕を後ろに拘束されたヴァンがうめく。
「兵士、こいつは
俺は傍にいる皆が引くほどの罵倒をヴァンに浴びせた。これぐらい許してくれよ。この瞬間の為にずっと、ずーっと演技して面従腹背していたんだからな!
「よし! 早速陛下の元へ報告に行きましょう。父上、すみませんが謁見の間まで付き合って下さい」
§
あの後、謁見の間へ戻った俺は国王陛下とモースに報告した。ヴァンを七年前の誘拐事件で逮捕したと。陛下もモースも驚いていた。だがキムラスカ軍元帥、王国の首脳陣の一人ファブレ公爵が証言しては信じざるをえなくなった。その次に俺は提言した。ヴァンの見張りには必ず複数人の兵士を配置して欲しいと。こうなった以上、情報が漏れれば奴の子飼いである六神将、リグレット、シンク、アッシュなどが身柄を奪還に来る可能性がある。特にリグレットはヴァンと懇意の仲なので知られたら必ず襲撃してくると話し、警備を強化してもらった。まあ実は先ほど牢屋に再収監されたヴァンの目を覗きこんで、何があってもここから出るな! と暗示をかけておいたので、最悪の事態になってもヴァンが逃げることだけはなくなったがな。他にも俺がレプリカであるとか、知られるとまずいことは催眠で片を付けた。
「心配ですわ。本当に大丈夫でしょうか?」
「心配すんなよナタリア。軟禁されていたとはいえ、俺も王族だ。勉強していた成果を見せて、立派なキムラスカの王族としてアクゼリュスへの親善を行ってみせるさ」
心配で港までついてきたナタリア。原作と違いパーティーの仲間に入ってついてこようとはしないようだ。まあ、もしついてくるなんて言ったら暗示をかけて帰すつもりだったけどね。そういえば原作であったイオン誘拐がアニスから知らされるというイベントがないな。イオンを誘拐する「漆黒の翼」のリーダー、ノワールを自首させたから誘拐できなくなったのかな?
そしていよいよアクゼリュスへと出発することになったのだが。
「中央大海をオラクルの船が監視しているようです。大詠師派の妨害工作でしょう」
船でケセドニアへ出発しようとしたらこれですよ。
「面倒臭ぇなぁ。バチカルの砲塔から砲撃して撃沈させちまえ」
「……無理でしょう。オラクルは建前上、
「知っているよ。じゃあ手間だが陛下の許可をもらってくる。ここで待っていろ」
「ルーク!」
止めようとするティア、ガイ、ジェイドの三人。こいつらは俺の保護者か。
「何で止めるんだ? 今回のアクゼリュス救援、親善はキムラスカ・マルクト両国のトップが結んだ和平の結果だ。仲介役にはダアトの最高責任者イオンだ。三カ国のトップが認める救援の為なんだから、これに反対する勢力は三カ国を敵に回したも同然だろ。陛下の許可だって下りるはずさ」
「それはそうですが、しかし……」
一刻も早く被災地へ行かなければならないのにまごついている暇なんてあるか! 俺は再度陛下とモースに会うべく天空客車を登っていった。