活動報告で去年中に一個上げるようなことを言っておいて、結局三が日すらできませんでした。
唇が離れ、アンジェラはやっと呼吸を許された。
「アンジェラ」
アンジェラが言葉を返す前に、アッシュレイの口が再び開かれる。
「アンジェラ・コーンウェル。……そう言ったな?」
「……、……そうよ」
アンジェラは、アッシュレイの剣呑な視線に心身を刺され、自由をその手にできない。先の雰囲気とは比べものにならない重圧感。このあどけなさが残る年端の少年に、どうにしてこのような風格が宿るのか。微塵も理解できそうになかった。
そして、
「選択肢をやろう――――隷属か、傀儡か」
叩きつけられたのは、冷酷悲嘆。
アッシュレイの目は冷酷そのもので、後頭部に回された手が、まるで首に当てられているように感じられた。
底冷えするとは、まさにこのことであったか。
されども、アンジェラは自身のプライドにかけて、気丈に振る舞おうとせずにはいられなかった。
「ナンセンスだわ、アッシュレイ君。女性の唇を強引に奪っておいて、あなた何様のつもりなの?」
「はは、立場……分かってねぇだろ?」
なぁ?
呼応するようにして、アッシュレイの瞳が怪しく輝いた。
危険な香りがした。迷わず目をそらそうとしたが、身体は言うことを聞かなかった。
間もなく、体中がむず痒いような、熱に照らされ始める。
「……!? なに、なにをしたの?」
「うるせぇよ、淫乱」
「淫乱!?」
「胸のほぼ半分、足のほぼ付け根、白衣はボタンのひとつもかかっていない。
さて。これは淫乱でなくて、なんだ?」
「あ、あなたにはわからないわ。女性は色々とあるのよ」
「まぁお前くらい巨乳だと、下から掬い上げるような胸を強調した服の方が、確かに楽かもな。形も崩れないし」
「そうよ、分かっているなら――――」
「足と白衣は何なんだ?」
「そ、それは……」
実際のところ、アンジェラは別段淫乱ではない。
露出が多い方が、身軽な感じがするし、風が当たって気分がいい。
ただ単に、身体の火照りと圧迫尋問で、たじたじになっているだけに過ぎない。だが、本人がそれを水面下でわかっているだけでは……、自覚できなければ冷静さは帰ってこない。
それに、アッシュレイには伝家の宝刀があった。
魔法《
「期待していた、とかな?」
「そんなわけないでしょうっ」
腰に回されている手がびくともしないので、せめてもの思いで、上体だけでも遠ざけようとアッシュレイの胸を両手で押した。
すると、後頭部に添えられていた手が、するりと前に移動してきて、アンジェラの胸の間にするりと入り込んだ。
(えっ)
気付いた時にはもう遅く、服がズレ、ふくよかな双丘が零れ落ち――――なかった。
いったいなぜか。
それは……、
「良かったな、
「くっ~~~~///。放して! 放しなさい!」
不埒なその腕は、引いても叩いても、爪を立てても、何をしても動かない。ただただ自分の非力を痛感させられる。叩いていて、今さらながら自分の腕にある、ブレスレットを認めた。……これを使えば……、けれども、この少年にこれに込められた程度の
迷っているうちに、追い打ちが来た。
「(どうしてほしい……?)」
ぐいっと顔を寄せられ、耳もとでささやかれる。
刹那、甘美であると感じた自身を、呪わずにはいられない。
「ッ!!」
カッと、赤い炎が顔を覆ったかと思った。
湧き上がる羞恥を保身のために怒りで染め上げ、勢いのままに白衣のポケットから竜綺華晶を取り出す。
ブレスレットでは弱い、しかしだからといって、これではやり過ぎだと理性ではわかっていた。
分かっていたが――――アンジェラはすでに、ロスタイムなしで放てる
「
アッシュレイの顔に押し当てられた竜綺華晶から、閃光と炎が爆裂した。
ブレスを象った
それはつまり、エネルギーが前方に集中しており、なお収束力があることを示していた。
ちっぽけな人間の一人、簡単に死に追いやってしまう。
だから当然。
アッシュレイ・ブレイクは良くて瀕死の重傷、悪くて死。
いや、
「……ぁ……!? あ、ぁ…………!?」
「なかなかどうして。肩書に似合わず苛烈じゃないか」
「ど、……どうして……!」
正しくは、どうやって、か。
アンジェラは、平常でいられなかった。
「なァ? 博士よ」
「ぁ、あなたは……何者なの……?」
「アッシュレイ・ブレイク。アンサリヴァン竜騎士学園きっての問題児さ」
ひょうひょうとした体ではぐらかすアッシュレイに、アンジェラは要領をえられない。
さて、とアッシュレイは続けた。
「隷属か傀儡か、そろそろ選んでくれないか」
「そ、そんなの……」
どちらも到底頷けるものではなかった。
アンジェラの人生は研究だ。研究で汗を流し、涙を流し、血を流し。研究で息抜きをし、ため息を吐き、歓喜の声を上げる。……次にやっと“美”が来る程度だ。
アッシュレイが興味を示しているのは、自分のこの肢体。
考えずとも予測はつく。
彼の
アンジェラは常に先駆者でありたかった。
「じゃァ……」
「っ!」
押し黙っていると、アッシュレイは勝手に答えを出した。
「傀儡だな」
抗おうと口を開いたが、指を突っ込まれて、言葉がままらない。
それどころか、身体の火照りが一段と、いや二、三段も増し、ただ指が咥内をうごめいているだけなのに、快楽を感じてしまった。
意図しない声が明いた隙間から漏れてしまう。
そして、身体の疼きは、羞恥に比例するように肥大化していった。
「そうだ、アンジェラ、本能に身を任せろ。それが今のお前を唯一救う」
いわれなくとも、分かっている。
分かっているからこそ、余計に腹立だしいのだ。
「屈服じゃないさ、素直になれと言っている」
「……素直に…………?」
返答はない。
アッシュレイの口は、アンジェラの耳を噛み、首筋を愛撫し、左手は股関節から内腿にかかりうごめく。
「ふ……っ、ぁう……く……!」
我慢の必要はないんだぜ? アッシュレイがそう目で語るが、アンジェラはアッシュレイのシャツを握る手を強くするのみ。
あと少しで昇ってしまう、といったところで、アッシュレイの手は止まった。
言葉が紡がれる。
「ピアスが欲しいんだろ?」
濡れた瞳がアッシュレイの瞳を捉えた。
そうだ。そういえば……、そんな取引だった気がする。
「いらないのか?」
「……ずるいわね、あなた」
「世の中狡猾な奴が勝つんだよ。まぁ、あとは圧倒的な力だな。
で? どうするんだ」
「ぁ、愛してなんて言わないわ。だけど、奴隷みたいに扱うのはよして」
「さぁ。それはお前次第だな」
「……期間は…………?」
「ピアスを研究し終えるまでで良いだろう」
一年。いや、二年あれば何とかできる気がした。
ピアスは確かに先進技術の塊だが、全く解せないレベルの代物ではないのだ。アンジェラには自信があった。
「いいわ。あなたの物になりましょう」
「契約成立だな」
「――――ひゃぁ!?」
強く胸を吸われれば、足を大量の愛液が伝った。
その、愛液の沸く恥部を下着の布越しに、撫でられる。突起をしつこく擦られれば、たちまちに新たな汁がほとばしった。
「いぅ、ん、……激し、い……っ」
「もうギブアップかよ?」
「無理なものは、無――――ぅあ!」
じゃぁとっとと終わらせるか。
アッシュレイがアンジェラの片の足を持った。
ナニカが、下着越しの当てがわれたのが分かった。
「っ! 待って……ッ」
反射的に、伸ばした手は、なにやら熱いものを握っていた。
「ほお?」
「え? ――――っ! ち、違うわ! これは、そのっ!」
慌てて手を放した直後、下着が床に落ち、アッシュレイのが、容赦なく膜を破り自身を突き刺していた。
深かった。
呼吸が止まり、視界が揺れる。
しかし、――――甘美だ。
そう、言わざるを得なかった。痺れるような快感は、アンジェラが初めて王城で
「ホントはな、個人差はあるが、破瓜の痛みってのはこんなもんじゃないんだ」
「…………」
飴色の瞳が問いかける。
アッシュレイは魔法《
「――は? いや、気遣ったわけじゃねえさ。オレがやりにくくなるだけだから、そうしたまでだ」
「……あ、あなた――――んっ、恋人は」
しかしアッシュレイは愉快そうに笑う。
やはり只の嗜虐主義者だろうか。いいや、それとは笑いか別のような気が……。
「
その答えに、アンジェラは何も言わなかった。
あのアンサリヴァンの生徒会長の人柄は良く知っている。頭脳明晰、性格良好。しかし、少しばかり異性の理想が高過ぎる御仁だ。
そのレベッカ・ランドールが恋人。
もしかして、この少年は信用に足るる人物なのではないだろうか。
「いい、わ。貴方に尽くンっ、しましょう」
仮に間違っていたとしても、さっさと解析を終えてしまえばいいだけの事。
「当然。隷属……奴隷ってのは主に尽くすものだ」
「そう――――ぁ!!」
アッシュレイがアンジェラの、地に付いていたもう片方の足も抱えた。
必然的に、落ちないようにとアンジェラはアッシュレイに抱き着かなければならない。
だが――――
「――――――――ッッ!!!」
いわゆる駅弁の体位。
これの特徴は、逸物が深くまで刺さること。はっきり言って、初体験の女にやるものではない。ディメリットは、体力を使うことだが、この程度の事アッシュレイには関係ない。
「勝手に飛ぶなよっ」
そんな無茶な話があるか。
だがアッシュレイは、アンジェラの臀部を鷲掴むと、なおも激しく攻め立てた。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ――――――――」
声にならなくなった嬌声は、屋敷の一階まで再び侵入していた王女と侍女の足を止めた。
『な、ななな…………!!?』
『……っ、姫様、戻りましょう』
それから、三分弱。
アンジェラはアッシュレイに持たれるようにして意識を手放した。
◇ ◇ ◇
清算を終え、アッシュレイは魔法で周囲を清める。
「こんなもんか」
そして、ずっとアッシュレイとアンジェラの行為をガン見していた幼竜に向き直った。
「お前、よく見てられたな」
エーコは放心していた。
おそらく、あの行為がどういうものか、はっきりとは理解していないのだろう。
しかし寝台に固定されたその幼体の足は、てかてかと光に反射している。
どうやら充てられたらしかった。
「おい」
ぱん!
アッシュレイが眼前で柏手を打つと、エーコはやっと意識を覚醒させた。
「へ? ……、ぁ、ああ、へ、変態!!」
アッシュレイはエーコの恥部を撫でると、
「ぁンっ!」
顔まで持っていき、指を開いて見せた。
愛液が糸となって橋を作っている。
「変態はお前だ。目でも閉じてろ」
「うっ。く、くの~~~~っ」
次回はもうちょっと内容を持たせます。