びっくりしましたでしょ?
私はびっくりしました。
時に。
大分空いてしまいました。
申し訳ないです。
ちょっち、資格の勉強で忙しいのです。許してくださいませ。
誤字脱字の報告機能が新設されたようなんですけれど……、
――――いっちょん分からんとですね(´・ω・`?)
pcなら分かりやすいのかもです。うーむ。
エーコの後を真っ先に追いかけたのはレベッカだった。
シルヴィアは追いかけるというより、ただ現場に急行しようとしただけである。コゼットも主の後にピッタリと追従して、いつでもシルヴィアの前に出られるよう動いていた。
先行するエーコたちが聖ダラーム広場にたどり着くと、そこには異形が存在していた。
地元の住人も観光客も、誰もがただただ呆然と立ち尽くすそれは、あきらかに非常識である。
早急に非難するべきであることは誰の目にも明らかであり、そうしなければならないと理解しているのも明らかである。それでいて、なお誰しもが恐怖で動けずにいるのだと、理解するのは難しくなかった。
「な……なんなのだ、やつは!」
シルヴィアの叫びは人々の総意に違いなかった。
異形は、広場へと舞い降りる。
「ドラゴン……なのか?」
レベッカが呟いた。
全身が毛におおわれているという観点では――確かに。
だがその毛並みは、
「躰が朽ちているの……?」
その光景にエーコは慄然となった。
けれども、彼女が語った内容よりも驚くべきは、その異形の巨大さにあろう。
実に千人を収容できる聖ダーラム広場の四分の一を、一頭のドラゴンが占有しているのだ。鎌首をもたげただけだというのに、並び立つ塔の高さと比肩した。
異形のドラゴンが動く。
何百という角笛を集め、一斉に不協和音を鳴らしたら、こんな音色になるのかもしれない。死者でさえ揺り起こしてしまいそうな、壮絶な鳴き声が空に響き渡った。
魂を揺さぶる咆哮。
ただ鳴いただけで暴風が渦巻き、偉大なる『聖ダーラム象』を吹き飛ばした。
たちまちに、腐乱死体を思わせる悪臭が漂い始める。
この時点で、ようやく人々は蜘蛛の巣を散らす。しかしあまりにも現実離れした事態を前に、混乱が極まっていた。アンサリヴァン市も保安官も出動はしていたが、手が足りていないのは嫌でもわかる。
これ正に阿鼻叫喚。
転倒する者が続出した。広場に面した店に入っいた客たちも、次々に外へと飛び出し、逃げまどっていた。
エーコは、同じ竜族である自分の言葉ならやりようはあると思ったのだろう。
ベレー帽をかなぐり捨てて、象徴である角を露出させた。
「控えよ、下郎! このあたしを誰だと思っているの? この街にはねえ、素敵なお店がたくさんあるのよ!」
一瞬、広場が静まり返ったかと錯覚するほどに大きな声だった。
レベッカは、思い出す。
――――アヴァロン聖竜皇家の姫が宿っている〈星刻〉だ
初夜で、いや昼間だったが。ともかく、アッシュレイは自らの〈星刻〉を指してそう言っていたのだ。
故に、今のエーコの上に立つ者がするような物言いに納得がいった。エーコは
そんなエーコを、ドラゴンはゆっくりと、しかし確かに捕捉する。
両者の視線が交差したと見えた瞬間、異形の体躯から数本の触手が生えエーコに襲いかかった。
「きゃぁぁああああ!?」
エーコ! シルヴィアが叫ぶ。
期待は裏切られたのだった。
◇ ◇ ◇
〈竜牙亭〉からは――――不運というべきか幸運というべきか――――通りが全貌できた。
店内の人々は、非現実の怪異を前に声が出せず、場は凍り付くような静寂となっている。
アッシュレイは未だに呆けるウェイトレスの胸ポケットに金貨を一枚入れる。少々チップが多いようだが、一応の食事代であった。
胸をまさぐられた不快感で意識を復帰させたウェイトレスは、たちまちに眉を吊り上げて、変態の頬を張らんと平手を振りかぶった。
ぱんっ!
「っ!?」
乾いた音が鳴った。
鳴ったが……ウェイトレスの手が捉えたのは頬ではなく、手の甲であった。
アッシュレイは素直に喰らっていやるほど殊勝ではないのだ。
アッシュレイはウェイトレスの手をそのまま掴んで、憧系魔法(瞳を介する魔法)で自由を奪うと、号令をかけた。
「見ての通り外は怪獣映画の撮影中だっ。
この店には結界を張るッ。
いいかっ、安全が惜しければ店外に出るな!」
ちょうどその時。
店内の客が悲鳴を上げた。
客の視線を辿ってみれば、一つの塔が破壊され、その破片がこちらに吹き飛んできているのが分かる。
破片といえども人ひとりを優に超える巨岩であるそれは、運の悪いことにこの店に飛来していた。
運の悪い〈竜牙亭〉の者たちだが、完全に神に見放されているわけではないようだ。
何故なら、ここにはアッシュレイ・ブレイクがいるのだから。
「……―――《シーズ》」
店の窓と壁を突き破った巨岩は、いつの間にかウェイトレスごと移動していたアッシュレイによって静止した。
彼が突き出した右手の前で、ぴたりと動きを止めている。
あたかも、初めからその場にオブジェクトとして浮遊していたかのように。
片腕で抱かれているウェイトレスの目が、信じられないようなものを見たかのようにぱちぱちと瞬いていた。
アッシュレイがぐっと手のひらを握った。
塔の破片がさらさらと風化し、床に落ちる。
ウェイトレスは天井を仰いだ。
「いいか、決して外に出るなよ」
力なく座り込むウェイトレスの頭にぽんっと触れて、アッシュレイは壊れた窓枠から空へと飛んだ。
「え……?」
「うそ……!?」
「あぁ……」
それが、アッシュレイが飛翔したことによる驚愕の声なにか、次の瞬間に飛来してきたモノに対する恐怖なんのか、はたまたその両方なのかは分からない。
飛来物は、店に当たる直前に半透明の壁に衝突した。ひしゃげていたベンチはその運動エネルギーをなくし、重力に従順し落ちていった。
店内の者たちは、ただ静寂を守っていた。
◇ ◇ ◇
「ああ、でかいな……」
上空に静止するアッシュレイの口から率直な第一印象が紡がれる。
エーコを宙吊りに捕え、広場で暴れている灰色のドラゴン……に良く似たナニカ。
――――どんっ!
魔法はかなり高位であることが窺えた。
(
建物内の者たちの反応が消失ないし減少しないことを受け、アッシュレイは感心した。
煙が四散したその場には、
「〈カフェ・エサロワ〉には乙女の夢が詰まっている。アンサリヴァン生徒会長として絶対に死守してみせるぞ!」
朗々と宣言したレベッカに市民の間から声援が飛んだ。
ここで気を抜くレベッカではない。
既に呪文を唱えていた。
「顕現せよ……一撃必中の
レベッカの頭上、召喚された魔導兵器がその威容を現す。
「その
魔槍が忌まわしきドラゴンに向けて放たれた。
しかし魔槍は突如として現れた七重の障壁に阻まれた。
「あいつ……防御魔法まで使えるのか!」
シルヴィアが目を見張った。
ゲイ・ボルクの先端が、障壁の第一層を突き破る。
第二層も、容赦なく突き破る。
だが、明らかに威力が落ちていた。
ゲイ・ボルクの軌跡を、大衆が祈るように見ていた。
「やった!」
誰かが歓声を上げた。
同時、レベッカの魔槍は見事にその七枚目の障壁を破壊し、ドラゴンの眉間に炸裂する。
閃光と轟音が広場を支配し、もうもうと立ち込める黒煙が標的の巨躯を覆い隠した。
その瞬間、誰もがレベッカの勝利を確信した。
事実、市民らを避難誘導していた保安官たちの間からも、大きな歓声が沸き起こったほどだ。
やがて、煙が晴れた。
そして、誰もが言葉を失った。
グズグズと溶解した頭部のあまりにも形容しがたい惨状に、勝利の味などまるで初めから無かったかのように吹き飛んだのである。
それでも、脳を破壊された以上、ドラゴンは再起不可能であり、勝利は確実であった。
そのドラゴンが、『
「なんて奴だ……」
シルヴィアがまたも呻く。
不意に、頭部の傷口がぐにゃりと蠢いた。
あたかも、傷痕自体が確立した生命体であるかのように。
そして、瞬く間に傷痕がふさがるのを、人々は絶望した目で視界に収めていた。
あっという間に傷口は再生し、ドラゴンは初めと何ら変わらない原型を取り戻してしまう。歪んだ双眸に、悪意としか言いようのない、どす黒い気配が満ちた。
頭に受けた攻撃の仕返しとばかりに、ドラゴンの尾が振るわれる。
先ほどの光球の魔法と違って、原始的な攻撃だ。
魔法攻撃を警戒していたレベッカは、そのために反応が遅れてしまった。
致命的な隙。
ドラゴンの尾がレベッカ周辺を薙ぎ、煙が立ち込める。
「会長!!!」
偶然街に出ていたのだろう、生徒会会計のマックスが、その光景に慟哭の叫びをあげた。
アッシュレイはそれを、上空より黙って見ていた。
レベッカは――土煙で他者は目視していないだろうが――背後の〈カフェ・エサロワ〉の壁を突き破って吹き飛んだ。尾の直撃はアッシュレイが贈ったピアスが防ぎ、壁との衝突には
シルヴィアは怪我をした市民の救出に追われている。足を負傷するなど、自力での非難が困難な者がいるのだろう、難航しているのが伺える。保安官たちだけでは間に合わず、死者が出てしまうかもしれない為、シルヴィアの択は間違っていないだろう。
エーコは論外で、いまだに
マックスは周囲が見えていないようで、レベッカの元に駆け寄っている。
これはアッシュレイの判断だが、マックスは、レベッカの状態が何であろうと、避難経路の逆側へ
通らない攻撃でも構わないのだから、中遠距離攻撃に努めれば自身の安全もある程度保てるだろう。
今、だれも元凶たるドラゴンと相対している者がいない。
「……おぉ」
新たな展開に、アッシュレイ場違いなトーンで反応する。
アッシュレイがこの世界で意識を覚醒させてから、ここまで魔力の波動を感じたのは初めてだった。
あれが放たれれば街も人々も塵芥となるだろう。
「(まぁ、所詮学生だよな……)」
アッシュレイが呟きと共に、足場にしていた障壁の上から掻き消える。
「ッ!? マックス!」
「え――――!? ああっ」
時既に遅く、レイモンの無慈悲な光芒が弾けた
ドゴンッッッ!!
ドラゴンの巨躯が宙を舞った。
「……
「「アッシュレイっ!?」」
直前までドラゴンがいた広場の空高くに、蹴りを放ったモーションで浮いていたのは、もちろんアッシュレイ。
姿が見えないアッシュレイのことなどとっくに忘れていたシルヴィア達は、登場と共に度し難い結果を残してた問題児に刮目した。
「さぁ愉快にいこうぜ……!」
近況。
ただいま、大変親切な読者様により誤字脱字のピックアップをいただきまして、ありがとうございます。中々、時間が取れないもので、とってもありがたいです。面倒を押し付けてしまい申し訳ありません。並びに、ありがとうございます。
この場を借りてお礼を言わせていただきます。
※半分弱ほど手を入れ終えたところです。