――葉月! 助けて!――
夢の中で、そんな声が聞えた。夢叶の声を、聞き間違えるはずがない。だからか、その声を聞いた直後、意識はクリアになり、アパート前の廊下を走る足音が聞えてきた。それがどうしても、夢叶に思えて私は扉の鍵を開け、外に顔を覗かせた。
「――!!」
この時ほど驚いた瞬間はなかった。本当に目の前に夢叶がいて、私に抱きついてくれたのだ。柔らかな感触と甘い香りが私を包む。……でもその中に、私の知らない匂いがあった。それが、妙に居心地を悪くする。
「夢叶、取り敢えず入って」
どうして冷静を装ったのか、私には分からない。でも、動揺しているであろう夢叶の前で私まで動揺できないと思ったのかもしれない。
「どうしたの、夢叶?」
「彼が、彼が無理やり……危なくなって、逃げて……私、彼があんな人だなんて知らなくて……本当に……驚いちゃって……私……」
よくよく見れば夢叶の格好はかなり乱れている。事に至る前で本当によかった。でも……今の夢叶の姿は私にとって、あまりに扇情的で……落ち着いていたはずの欲望が……燃え上がるのを感じた。
「夢叶、大好きだよ」
「は、づき?」
「あんな男より、私の方が何千倍も夢叶を大事にする」
私の口から、彼女への愛が漏れ出す。もう、我慢できない。どうしても、夢叶が欲しい。
「言ったでしょ、春に。見惚れたのは君にって」
「な、なん……で」
夢叶はうろたえたような表情を浮かべる。どうして、分かってくれないの……。こんなにも、夢叶のことが大好きなのに。
「私、夢叶がいなきゃ生きられないの……」
「……は、葉月?」
やっと夢叶が私の名前をきちんと呼んでくれた。
「大好き、夢叶」
目の前にある柔らかそうな彼女の唇。そこに、自身のそれを重ねる。あぁ、柔らかそうなんじゃなくて本当に柔らかいんだ。幸せの味がする……。もっと、彼女を、夢叶を深くまで知りたい。
「じゅぶ……じゅ、じゅる! んちゅ、ちゅ、くちゅ♡」
舌も絡めて夢叶をもっと味わいたい。私の息が止まってもいい。彼女に殺されるなら本望かもしれない。
「ん、じゅぶ……やめて!」
でも幸せな時間はいつも短くて、夢叶に引き剥がされてしまった。
「何をするのよ、葉月! 葉月まで……。私、葉月のこと嫌いになっちゃうよ!?」
怒りの表情で私を見据える夢叶。さっきまでの私なら、夢叶のセリフで本当に死を選びそうだけど、本物の夢叶を知ってしまった私は止まらない。
「いいよ。夢叶が私をどんなに嫌いになっても、私は夢叶のことが大好きだから。また、好きになってもらうの」
……夢叶ともっと本物の快楽に堕ちたい。夢叶を……犯したい。
「大好きだよ、夢叶。ね、気持ちよくなろう? 夢叶ぁ」
夢叶を押し倒し、その上に覆いかぶさる。フローリングの上なのは申し訳ないけど、今から始まる陵辱プレイのことを考えると、そんな気持ちは吹き飛んでしまった。夢叶の蕩けた表情を……早く見たいよぉ。