人間界に来て半日たった頃、深い森の中で二人の獲物を見つけた。
私は透明化の魔法を使い彼らに近づ事にした。近づいて彼らを観察すると、彼らの持つ武器に勇者の紋章があるのを見つける。
どうやら二人は勇者らしい。つまりは多少の無茶をしても許される。私は自分の体が高揚していくのを感じた。
そして、私は二人を値踏みする。
片方は30代位の男、筋肉粒々で身長は190センチ位、顔は髭をこさえた濃い系。私の趣味じゃない。評価1、落第。
もう一方は、10代の後半位の少年。身長は150センチ位。細身、かわいい系。髪はサラサラの茶髪。評価4、合格。
落第の方は殺すとして、どうやって相手しようか。
最初の獲物だし、魔王ぽく力でねじ伏せようか、それとも、淫魔らしく搦め手でやろうか。
迷う。久しぶりの娯楽にワクワクする。
あーでも無い。こーでも無い。と考えていると、合格の方が、こちらを向き叫ぶ。
「そこに居るのは誰ですか」
その声に落第の方も私がいる方に剣を向ける。
私は素直に驚いていた。私の魔法を身分けれるとは、この少年は若くして、魔法の才に富んでるらしい。
ただ、困ってしまった。バレてしまった今、考えてた搦め手ができなくなった。仕方がなく私は魔王らしい事をする事に決めた。
「ほう。私の存在に気がついたか」
そう言いながら私は透明化の魔法をといて姿を現した。
「女の子?」
落第の方がそう呟いた。
自分が今、年端か無い少女の姿で、薄いピンクのワンピースを来ている事を忘れていた。
これでは威厳なんて存在しない。
私ががっかりしていると合格の方が口を開く。
「油断しないでソーン。こいつ、相当強い魔族だ」
どうやら、落第の方はソーンという名前らしい。
「私の力を見抜くか。やるじゃないか少年」
私は少女の姿のまま、声だけ作り替えて合格の少年に喋りかけた。
しかし、少年は私の言葉を無視して、此方を睨み付けてくる。
つれない態度を残念に思ったが、それならそれでやり方は有る。私は力の差を見せつけることにした。
「万物よ。我が物となり、敵を縛る鎖となれ」
私がそこまで言うと、少年は懐からナイフを取りだし、何の躊躇もなく自らの喉に振るう。
良い反応だけど遅い。
「もうお前の体は、自由に動かん」
空間に存在する空気を使役し、敵を縛る魔術。魔王に伝わる秘伝の魔術。
こんな、気軽に使って良いものじゃないけど、力を見せつけるには丁度良いだろ。
「さて、次はお前だ」
私はソーンの方に目を向ける。
ソーンは剣を構えると、少年の方に走り出す。
そう来るか。良い判断だ。相手が私で無ければ。
私は二人の間に転移する。
「こんな可愛い少女が殺し会おうって誘ってるんだ。余所見されると傷つくぞ」
「そこを退け!」
ソーンが剣を高らかに掲げ、私に向かって降り下ろす。しかし、剣は私の体に触れることなく、何か固いものに弾かれる。
「さっきの魔法か」
私はそれに否定する事も肯定する事もなく指を鳴らした。
その瞬間、ソーンの全身は切り刻まれ、辺りに真っ赤な花を咲かせた。
一仕事終えた私は伸びをしながら、少年の方に向く。
「ねぇ、お兄ちゃん。今から私と楽しい事しようか」 私は少女らしい声で言った。
それを聞いた少年は顔を真っ青にし、ガタガタと震え始める。
私はそんな少年の顔を優しく触りながら、目を見つめる。すると、少年の震えはだんだんと治まっていき、目はトロンとしてくる。そして、10秒もそうしていると、少年は幸せそうな顔で眠りについた。