トシと暮らし始めて、毎日が満ちていた。
欲しいものは手に入るし、トシが忙しくても沖田くんが来てくれたし、まぁ、沖田くんのせいなんだけど。
けど、こればかりは慣れない。
「早く、しろってそんなこといつまでしてるんだよ。」
トシが面倒臭そうに言う。俺は布団にくるまっていた。
「嫌だ。」
「たく、少しは慣れろよ。オムツ
「慣れるわけないだろ?恥ずかしいし……。」
「嫌がんな。今更だろ?お前のなんて見慣れてるんだけど……?」
そりゃ、濡れていて気持ち悪いのはあるけど……恋人だからオムツを
「濡れたままでいると風邪引くぞ。」
トシに強引に布団を取られてしまう。
そこからは、早くあっという間にオムツを取られてしまった。
「うーん。」
「そんな不満そうな顔すんな。それとも、総悟にやって貰う方が良かったか?」
「なんで、沖田くんが出てくるの?」
おしり拭きで、きれいにしながらトシが言う。
「俺じゃ、嫌みたいだから。」
「言ってんじゃんか、恥ずかしいだけなんだって〃〃。」
顔が熱い。多分、耳まで赤くなってる。
「………。」
ん?いつもならここら辺で、“終わったぞ”って言ってズボンを履かせてお腹をポンポンしてくれるのに、今日はそれがない。
背けていた顔を、おそるおそる戻す。
「……なに、やってるの?」
トシは、俺の息子を扱いてた。
「そんなこと、しても無駄だって言ったろ?」
「わかってるよ、何回も言われたし。けどさぁ……。」
トシの気持ちがわからない訳じゃない。そりゃ、昨日までヤっていた相手が出来なくなっちゃったんだもんな。
「全然、勃ねぇのかよ。」
「仕方ないだろ?感覚ないんだって……唯一、へその下らへんかなぁ?感覚あるの。」
「………。」
なにも言わず、息子を口に含んだ。
勃つことのないソレを、音をたて舐めてる。
なんだか、変な感じ。感覚がないはずなのに、ソコが温かい。
「なんか、イケそう。」
「ん?ほんとか?」
「よくわかんないけど、温かい。」
「感覚が、あんのか?」
つぅーと、俺の息子を指でなぞる。
「………。」
「どうだ?」
「わかる。わかるよ、トシ!!」
思わず、抱きつく。同居を始めてから、半年。奇跡的に感覚が戻ったみたいです。
甘いものを抑えて、サンタさんにお願いしたかいあったかなぁ?
「足は、どうだ?」
「……ない。」
「そっか。」
トシが、リハビリと称して毎日マッサージしていたお陰なのかもしれない。
「少なくとも、効果はあったかなぁ?」
「かもね。ていうか、いい加減寒いんだけど。」
「悪りぃ。」
慌ててオムツをしてくれる。最初は、手間取っていたけどもうなれた様子ですぐしてくれる。
なんか、申し訳ないよな。
「ちょっとした、進歩かもな。」
「うーん。」
「副長、良いですか?」
ジミーくんの声が襖の向こう側から聞こえる。
「今、行く。……ちょっと、行ってくる。」
「うん。」
今日は仕事だしな。ってここしばらく休みなく働いてる。俺的には、休んで欲しいんだけど……。
「銀ちゃん?」
「ん?」
ぴこっと襖の隙間から、神楽が顔を出した。
「どうした?」
あれから、万事屋は神楽と新八が引き継いでくれてる。まぁ、俺がしていたような危ないのは出来なくなったけど……。
「迷い猫の仕事なんだけど、見つかんないね。もう、5日経っててこのままだと飼い主から怒られちゃうアル。」
神楽が、猫の写真を見せてくる。灰色のキジネコ。
まだ、仔猫で正直どこにでも居るような感じ。
「そんなんどこにでも居るだろ?」
「お腹に星の模様がアルね。」
「マジックで書いとけ。」
「銀ちゃん、自分がしないと思って手抜かないでよ。信用問題だって銀ちゃん言ってたアル。」
「そりゃ、そうだけど……。」
「旦那、土方の野郎居やせんか?」
沖田くんが、灰色の仔猫を抱いて部屋に入ってきた。
俺と神楽の目が点になる。
「…………沖田くん、その猫どうしたの?」
「可愛いでしょ?俺が、飼うことにしたんでさぁ。」
その猫を、俺に渡してくる。すかさず、お腹を見る。
「…………。」
「どうしたんでぇ?」
「この子、飼い猫なんだけど……。」
猫のお腹にはくっきりと星マークがあった。
「見つけたアル。お前にしてはよくやったネ。」
「嫌でさぁ。タマ吉は俺が………俺が飼うんでさ。」
沖田くんが、猫を奪う。
「ダメね。セバスは連れて帰らないといけないアル。」
「あの~タマ吉とセバスって?」
「「猫の名前アル。(でさぁ。)」」
二人の声が、被る。
「ただいま。」
「お帰り、トシ。」
「セバス?こんなとこでなにやってるんだ?」
沖田くんが、抱いてる猫を撫で声をかけてる。
「トシ、知ってるの?」
「まぁな。セバス、俺と一緒に帰るか?」
「ミィ~♪」
セバスが、元気よくトシの腕の中で尻尾を振る。
「ダメね。セバスは、私が依頼受けたアル。私が連れていくアル。」
「そういやぁ、居なくなったって言ってたけ。」
「………?」
気がつくといつの間にか、沖田くんの姿がなくなっていた。よっぽど、この猫の事を気に入ったのかもしない。だって、あの沖田くんが動物を飼いたいなんて言い出すなんて思わなかったから……。あの子のいうペットって奴隷の事だと思っていたから……。
「わかった。あんまり長居して迷惑かけるなよ。」
「わかってるアル。」
セバスを抱き、神楽が部屋を出ていった。
「で、どういう知り合いなんだよ。」
「ん?猫に妬きもちか?」
「そんなんじゃねぇけど………。」
「知り合いっていうか、元々見廻りをしていた時に足にまとわり付いてきて。それから、その地区を見廻りするときに竹輪とか持って行ったんだよ。」
「なんか、意外。」
「何回かしてたら、飼い主の人と会って数回話しただけだよ。だから、嫉妬するなって。」
ベッドに腰かけて、髪を撫でてくれる。こういうの好きなんだよね。
「なに、ニヤニヤしてるんだよ?」
「なんでもない。」
「書類見ないといけないから、なんかあったら言えよ。テレビ見てていいから。」
「うん。」
トシがいつもの机に向かう。テレビって言っても今日、あんまり面白いのやってないしな……。
本も読んだのばっかりだし、せっかく神楽が着たと思ったらすぐに帰っちゃうし……。どこかに行きたいけど、トシ仕事中だしな。
眉間にシワを寄せて、真剣に書類を読んでる。邪魔しちゃ悪いしな……。
「うーん。」
どっさ。
「銀時?」
「………。」
「何やってるんだよ?」
トシから起こして貰う。……ベッドから落ちた、というよりは降りた。
「どうかしたのか?」
不安そうな顔で、覗き込んでくる。
「銀時?」
2回目の台詞。
「…………。」
「銀時、どうしたんだよ。」
ベッドに戻そうと、トシが肩に触れる。
「触るな!!」
トシの手を払う。
「もう、お願いだから……俺のこと……捨てて………。」
「………銀時、なんでそんなこと言うだよ。俺は……「それ以上言うな。」
もう、嫌だ。重みになりたくない。
「………お前は、そんなに嫌なのか?」
苦虫を噛んだような顔。
「こんなことなら、死んでしまった方がよかった。」
「本気で言ってんのか?そんなこと……。」
「本気だよ。悪い?」
パシッ。
乾いた音がした後、頬が熱くなる。トシが、涙目になりながら部屋を飛び出して行った。
俺だって好きでこんな身体になった訳じゃない。
トシの傍に居たくない。もう、死にたい。
最近、気持ちがコロコロ変わって嫌になる。トシのことは今でも好きだけど………。
「万事屋、ちょっといいか?」
こっちが返事する前に中に入ってくる。
「
「なんだ?落ちたのか?トシが居ると思ったんだけど……。」
「何か用?」
「いやな、ちょっと依頼というか、お願いというかって俺のことよりお前はなんで下に落ちてたんだ?」
「あぁ、もうここじゃなくて別の所に行こうかなぁって。」
「どういうことだ。」
「もう、ここに居てもトシに迷惑かけるし、こんなことになるんなら死んだ方がよかったって……。」
「お前、ソレをトシに言ったのか?」
真剣な表情で聞いてくる。
「言ったけど?」
「トシのやつヤバイかもな。」
「ん?」
「今すぐ、探しに行こう。」
「なんで?」
「トシのやつな、昔友人を亡くしてるんだ。交通事故で……。」
そんな話、知らなかった。
トシからは、聞いたことないから……。
「普通な一番むごい死に方は、首吊りって言われてるんだけど、トシは交通事故だって言ってる。
トシの友人、ひき逃げだったんだ。まだ、それだけならよかったんだけど、その後何台もの車に轢かれて内蔵は出て目も取れていて、首はもげていたんだ。死体を見慣れた俺たちでも吐いてしまうほどだったんだ。
その犯人は、捕まえる直前に自殺した。
お前が、轢かれたって聞いてアイツ血相変えて病院に行ったんだぞ。」
「けど、実際迷惑になってるじゃん。アイツ俺の介護のせいで仕事する時間なくて、俺が寝た後にこっそりしてるし、休みだって取ってない。アイツ隠しているけど、クマもあるし……。それなら、いっそう施設に入れてくれて俺のことなんて忘れてくれればいいのに。」
「まだ、そんなこと言ってたのかよ。」
「「トシ!」」
目の前に突然トシが現れた。
「よかった。トシ、お前あの事思い出したのかなぁと大丈夫か?」
「近藤さん、心配かけて悪りぃ。もう、大丈夫だから。」
「………俺、出ていくから。」
「!!銀時、何言ってるんだよ。」
「お願いだから……俺のこと、忘れて。」
重たい空気が、流れる。トシの重みになりたくない。俺のせいで、トシが不幸になるなんてやだ。
「銀時、ごめんな。」
トシが、俺の目線に合わせ屈み抱き締める。
「お前のこと何にも考えてなかったのかも知れない。勝手に一緒に住もうなんて言って、実は少しお金貯めてて……。」
「お金?」
何のためのお金だろう?
「お前と住む為の家を買おうと思っていて、けど……嫌だったんだな。ごめん。」
「違っ!」
トシは、迷惑じゃないの?
「違うの。一緒に住もうって言われた時、嬉しかったの。けど、最近トシ休んでないし、仕事の時間まで削って俺の介護して、迷惑になりたくないし、それなら、出ていこうかなぁって。施設にでも入れてくれればいいのに……。」
「別に、迷惑じゃないよ。お前の介護楽しいし……。」
たのしい?
「いいの?」
「泣くなって。」
トシに言われて始めて、泣いていることに気づいた。
「けど、不安にさせたんだよな。ごめん。」
トシがみんなに見えないように、頬にkissする。
「バカ。」
顔が真っ赤になる。余計に恥ずかしくなる。
「一緒に帰ろうか。銀時。」
「……ぅん。」
顔が熱くて、俯きながら小さく返事をする。
さっきまで、モヤモヤしていたのにトシからのkissでなくなっていた。
完