淫次元ゲイム ネプギア~孤軍奮闘のコロシアム~ 作:ルーラー
「いきますっ!」
そう気を吐き、ネプギアがスライヌに斬りかかる。
「ヌラッ!?」
「えいっ!」
横薙ぎに振るった一閃が、その青い身体を両断。
同時に、ネプギアの口から謝罪の言葉がこぼれ出る。
「ごめんなさいっ……」
むろん、だからといって戦いを
光の
そして、
「こんなことはしたくない……。けど、やるしかないの!」
勢いよく
「ヌラアァァーッ!?」
これで、残るはハイヒールスライヌ二匹のみ。
高い戦闘能力など持ちあわせていないであろう、ふよふよと漂うその二匹に、ネプギアは敢えて
「これでも、まだ戦うつもりですか!?」
それにハイヒールスライヌたちは顔を見合わせ、ネプギアから逃げるように背を向けた。
(えっ? まさか、本当に逃げてくれるの? じゃあ、これって……)
敵の
客観的に見てみても、そうとしか思えない状況である。
だが、ネプギアは慎重だった。
敵は明確に負けを宣言したわけではない。
また、『管理人』からネプギアの勝利が告げられたわけでもない。
なら、まだ戦いは終わっていないはず。
そう、彼女は冷静に思考を巡らせる。
しかし、
(でも、逃げていくモンスターを後ろから攻撃するなんて、そんなこと……)
そんな気持ちが、ネプギアの足をその場に縫いつけた。
むろん、勝利を確実なものにしたいのならば、追って一気に倒してしまうべきだ。
しかし、ネプギアの性格的に、それはできない。
なら、と彼女は考える。
あの二匹が振り向いて攻撃しようとしてきたら、すぐに『スラッシュウェーブ』――衝撃波を放つ剣技で迎え撃とう。だからそれまでは、技を繰り出すかまえのままで、と。
残る敵はたったの二匹。
ちゃんと警戒していれば、不意打ちを食らう危険性はゼロであるはず、と。
(だから、お願い。ここは大人しく逃げて……!)
半ば祈るような切実さで、ネプギアは声に出さず訴えかける。
だが、そんな彼女の思いを
「――きゃっ!?」
衝撃が走ったのは、右の肩。
「いたっ!?」
といっても、言うほどダメージがあったわけではない。
どちらかといえば、驚きのほうが大きかった。
(な、なんで!? ハイヒールスライヌたちは、確かにあそこに……。あんな、遠くにいるのに……)
背後から攻撃を食らわせてきたモンスターの正体はわかっている。
いまもなお、彼女の肩に、背に乗ったままでいる、弾力のある身体が、その正体を告げてきている。
だが、それでも信じられなかった。
先ほど倒したはずの二匹のスライヌ。
なぜ彼ら(?)がまだこの場に残っているのか、ネプギアには理解が追いつかなかった。
(と、とにかく、考えるのはあとっ!)
いくら思考を巡らせたところで、『倒しきれなかった』という事実は変わらない。
ゆえにネプギアは、剣の届かないところに乗っかっている二匹のスライヌを振り落とそうと、力いっぱい身体をよじった。
「ヌラッ!?」
「ヌララッ!?」
ゲル状の身体を飛び散らせ、ネプギアの肩や背中から落ちていくスライヌたち。
飛び散った青いそれらは、少女の頬やら髪やら指先やらに付着し、ネプギアを「き、気持ち悪い……」と
だがむろん、身体を少しばかり汚された程度で
一度、ハイヒールスライヌたちから目を離すことにはなってしまうが、ネプギアは即座に背後を振り向き、スライヌたちへと剣を振るう。
「一閃! リンドバーグっ!」
回数にして、八度の斬撃がスライヌたちの身体を斬り裂いた。
二匹のスライヌが細切れ状態になったのを今度はきちんと確認し、ネプギアはハイヒールスライヌの姿を探すべく、素早い動きで身体を反転。
そうして、目の前にいたモンスター――否、モンスターたちの存在に絶句する。
「ヌラッ!」
「ヌーラーッ!」
「ヌラヌラッ!」
「ヌララッ!」
その数は、二匹や三匹では
ざっと数えてみただけでも、間違いなく八匹はいる。
「な、なんでっ……。――えいっ! ええいっ!!」
(まさか、わたしが有利になりすぎないよう、あの『管理人』がどんどんスライヌを送り込んできてるんじゃ……!)
そう考えながら、剣技『シルヴァーテイル』でスライヌの群れを斬り刻んでいくネプギア。
しかし、
「ぶ、分裂した!?」
そう、ネプギアが思わず口にしてしまったとおり、八つに切り裂かれたスライヌは八匹に、という具合に、その数をどんどん増やしていた。
となれば当然、先ほど『リンドバーグ』で倒した二匹のスライヌも、
「ヌララーッ!」
「ヌーラッ、ヌーラッ!」
「ヌララララッ!」
口々にそんな鳴き声を漏らしながら分裂、その身体の形を元通りのものにしていた。
そして、十六匹に増えた後方のスライヌたちがそのまま大人しくしているはずもなく、
「きゃああっ!? 足にまとわりつくのはだめぇっ!? 転んじゃう! 転んじゃうっ!」
どう
それにネプギアは、両手を水平にしてバランスを保ち、転ばされるまいと踏んばった。
だがむろん、前方のスライヌたちがそれを黙って見ているはずがない。
「ヌウゥー……ラッ!」
ニーソックスにその身を擦りつけていた前方のスライヌたち。
そのうちの一匹が勢いよく飛び跳ね、ネプギアのスカートをめくりあげる。
「や、やめてくださいっ!?」
見えた下着は、白とピンクのストライプ。
それに顔を真っ赤にし、ネプギアは慌ててスカートの前を押さえた。
使ったのはもちろん左手。右手はスライヌたちを追い払うため、シェアブレイドを振るうために空けておく。
「離れてくださいっ!」
剣の切っ先が少女の足首のすぐ近く、なにもない
だがその動きは、突然耳に飛び込んできた複数の人間たちの声にピタリと止まった。
『おおっ、俺の嫁だ! ネプギアだ!!』
『なあなあ、いまの見たか? 一瞬だったけどさ』
『見た見た! ニーソックスと同じ
『おい! 本当にスライヌが分裂してるぞ! 俺の妄想してたやつとおんなじだ!』
『バッカ、その妄想は俺がしたんだって!』
『うわ、スライヌの青いのが髪やほっぺたにくっついてて……ネプギアちゃん、エロっ!』
「……っ!?」
声はどれも男性のもの。
そして、そのどれもがあの『管理人』のものとは違っていた。
(そ、そんなことより……いま、スカートの中見られた!?)
この戦いの様子は、全世界に配信されている。
そう前もって聞かされてはいたものの、向こうの声が聞こえてくるとこないとでは大違いだ。
これでは『見られている』という意識が強くなり、どうしたって
「は、早く終わらせないと……!」
だが、『見られている』ことでネプギアの動きが鈍くなることはなかった。
彼女はスライヌが足元に集まっているのを逆にチャンスと見なし、スカートがめくれるのもかまわずジャンプする。
そして、
「この、一撃ならっ!」
力強く、剣を地面に叩きつけた。
「ヌラッ!?」
「ヌラアアアッ!?」
「ヌラヌラヌラヌラッ!」
その一撃でやられたスライヌはいなかったが、それでもモンスターたちは少女の突然の反撃に逃げまどう。
『おおーっ、かっけえーっ!』
『いまの『ラジカルセイバー』か!?』
『いいぞーっ、ネプギアちゃーんっ!』
形勢逆転したネプギアにかけられたのは、純粋な声援の数々――
『ネプギアちゃん、可愛い上にカッコいいーっ! 萌えーっ!!』
『おい、またパンツ見えたぞっ!』
『ネプギアたんの縞パン最高ーっ!』
やはり、純粋なものだけとはいかないらしい。
「うう、また見られた……」
恥じらいに身をすくめるネプギア。
だがその瞳は、喉元すぎればなんとやらとばかりに向かってきたスライヌたちへと据えられている。
そして、
「剣が駄目なら――」
そうつぶやきながら、彼女は逆にスライヌの群れへと自ら飛び込み、
「――
気合いと共に、
「えいっ! えいっ! ええぇぇいっ!!」
「ヌラッ!?」
「ヌラアアアッ!?」
「ヌーラヌーラヌーゥッ!」
これなら増えることはないはず。
そのネプギアの読みどおり、スライヌたちは身体のあちこちをへこませながらも、分裂することなく次々と吹っ飛んでいく。
(ところでいま、最後に倒したスライヌが『バイバイキーンッ!』って言ってたような……?)
そして、そんなことを考えられるくらいには、ネプギアの心の余裕も戻ってきた。
むろん、油断はできない。彼女を取り囲むように近づいてきているスライヌたちは、まだ二十匹以上いるのだから。
だが、それでもスライヌはスライヌだ。体力の高さと分裂能力は厄介だが、剣を使わずに攻撃していけば、いつかは勝てる。
(うん、これならいける! キリがない、なんてことはない!)
しかし、そんな思考がネプギアの油断に繋がった。
否、相手の姿形がスライヌであるという事実が、結局は、常に彼女の意識を緩ませていた。
現に、ネプギアは忘れている。どれだけ打撃を加えようとも、多少のダメージであれば瞬時に回復させることのできる――ハイヒールスライヌたちの存在を。
そして、その二匹の存在を思い出すことなく、ネプギアは攻撃を続けていく。
「ちょっと、実験させてもらいますね」
実験。
それはむろん、どの攻撃手段を用いれば、スライヌを分裂させることなくダメージを与えられるかを見極めるためのもの。
言うまでもなくその行為は、残るスライヌが最後の一匹――最低でも一桁単位になるまでは、実行に移すべきではない。
だというのに、この段階でそれをするあたりに、彼女の油断と
「ティンクルスターですっ!」
まず使ったのは、星の輝きを魔力に変え、敵を圧倒する剣技『ティンクルスター』。
それはスライヌの身体を両断はしたものの、込められていた魔力がどのように作用したのか、再生や分裂までには至らなかった。
『げっ! 分裂しない!?』
『つーかあれ、ちょっとグロくね?』
『微妙にグロいな。切断面丸見え……』
「――ボムを使います!」
聞こえてくる声を無視して、自分の作った特別製の爆弾を投げ放つネプギア。
黒く、鈍く輝く
「ヌッ!? ヌラアアアーッ!!」
そして、二つに分かれていた青い身体を
「やりました! 続けて、ファンタジック――ひゃあっ!?」
しかし、スライヌたちとて『ずっとネプギアのターン!』とはいかせない。
『やりすぎだよ、嬢ちゃん!』とでも言いたげに、一匹のスライヌが肩へと跳び乗り、ネプギアの頬をぺろりと舐める。
『おっしゃあ! スライヌたちのターン、キターーーーーッ!!』
『ぺろぺろされるネプギアたんハアハア。こ、これで勝つる!』
「な、なに言って……!? ――ひうっ! や、やめてください!」
調子に乗ったか、スライヌは少女の耳にも舌を伸ばしてきた。
それに慌てて剣を振り回し、ネプギアは近くにいたスライヌを斬り裂いてしまう。
「くぅっ……。――いやぁ!?」
そして、逃走や防御から攻撃に移ったスライヌは、一匹だけではなかった。
ゲル状の身体を液体のようなそれに変え、何匹ものスライヌがニーソックス越しに上へ上へと這いずりあがる。
スカートとニーソックスの間にある、素肌
あるいは、その果てにあるネプギアの秘密の場所に触れたいとでも思っているかのように――。
やっと戦闘開始です。
といっても、まだ全然エロくはありませんが(苦笑)。
ちなみに、もし感想で『これ、作中での野次に使えそう』と思ったものがあったら、『リアルタイム』感と『全世界に配信されている』感を出すために、無断で引用させていただくかもしれません。ご了承ください。