※この作品はR-18です。

淫次元ゲイム ネプギア~孤軍奮闘のコロシアム~   作:ルーラー

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第三話 女神ネプギア、ここに誕生です!

 唐突に責めを中断され、ネプギアはスライヌたちに切なく潤(うる)んだ瞳を向けた。

 むろん、あのまま続けてほしかったわけではない。

 スライヌたちの攻撃にも似た愛撫(あいぶ)を、自分は間違いなく嫌がっていたのだから。

 

(うん、嫌だった……。あんなの、全然気持ちよくなんてなかった、はず……)

 

 だが、それならなぜ、自分の身体はこんなにも熱いのだろう。

 どうしてもどかしさを、物足りなさを覚えてしまっているのだろう。

 嫌なのに、なぜ、

 

(でも、あともう少しの間だけ、あの攻撃を食らっていたかった、かも……)

 

 などという、はしたない気持ちが湧き起こってきてしまうのだろう。

 戸惑いと、身体を苛(さいな)む内なるうずき。

 それらに瞳を揺らす少女の耳に、ふと、スレッドに書き込みを続ける視聴者たちの声が聞こえてきた。

 

【なんだよ、あそこまでやっておいてイかせないのかよ】

 

【寸止めってやつだな】

 

【ま、これはこれでいいんじゃね? ほら、ネプギアちゃんウズウズしてるし】

 

【『なんでそこでやめちゃうの……?』ってか?】

 

【思ってそう思ってそうwww】

 

【あからさまに『物足りない』、『ちゃんと最後までしてほしかった』って顔してるもんなw】

 

「――えっ!? し、してません! そんな表情(かお)っ!」

 

 そうは返したものの、ネプギアにもその自覚はあった。

 だが、それを素直に認めて、受け入れられるかと問われれば、答えは『否(いな)』だ。

 しかし視聴者たちは、ネプギアの覚えているもどかしさなどお見通し、というふうに書き込みを続けていく。

 

【ネプギアちゃん、別に物足りなくはないんだってよw】

 

【じゃあ、なんでさっきからもじもじと太ももを擦り合わせてるんだろうな?】

 

「――っ!?」

 

【あ、顔真っ赤になったぞw】

 

【無意識のうちにやってたってことか。エロい娘(こ)だな~w】

 

【清純風淫乱派優等生のネプギアたん、萌え~w】

 

【おいおい、そんなに苛めてやるなよwww】

 

【そうそう、エロい表情たくさん見せてくれたんだからさw】

 

【あの表情はマジでエロかったな】

 

【永久保存版だな】

 

【俺のところは文字だけだけどな……】

 

 称賛(しょうさん)や擁護(ようご)を装った辱(はずか)しめの言葉の数々に、ネプギアはうつむいて顔を真っ赤にしてしまう。

 そして、そこでようやく、ぐっしょりと濡れた下着の冷たさを思いだした。

 

(うう、気持ち悪い……)

 

 だが、それから逃れる術(すべ)などありはしない。

 むろん、脱いでしまえばそれは叶う。逃れること自体は、容易(ようい)にできる。

 しかし、いくら不快感があるとはいえ、それは自分の大切なところを守ってくれている大事な布。

 なにより、この戦いを『動画』という形で見ている男性たちの前で下着を脱いで晒(さら)すなど、無垢(むく)で初心(うぶ)な少女にはできるはずもなかった。

 

(でも、わたしにできるのかな。このままで戦うなんてこと……)

 

 と、そこまで考え、ネプギアは「あっ!」と声をあげる。

 

(女神化! 女神化すればいいんだ! うう、どうして忘れたんだろう……)

 

 大量に増えたスライヌの群れに集(たか)られ、性感を刺激され、恥部を舐められて喘(あえ)がされ。

 その一連の出来事の衝撃が、大きかったせいだろう。

 あるいは、女神化しなくてもスライヌくらい簡単に倒せる、という思いがまだ心のどこかに残っていたのかもしれない。

 

 だが、もう甘く見ることはできなかった。

 絶頂を迎える直前で、刺激から解放されてしまったネプギア。

 その彼女の反応を見るために、敢えて手出ししようとしてこないモンスターたちを『たかがスライヌ』と侮(あなど)ることは、もうできなかった。

 

 このスライヌたちは、きっと、いままで戦ってきたどのモンスターよりも手ごわい。

 そう、認識を改めて。

 シェアブレイドを空に向けてかざし、ネプギアは変身するべく声を張る。

 

「――活目(かつもく)してくださいっ!」

 

 刹那(せつな)の間をおき、ネプギアがまとっている服が光の粒子(りゅうし)となって弾け散った。

 

【おおっ!】

 

【女神化キタコレ!】

 

 だが、女神候補生の裸身(らしん)が露(あら)わになったのは、ほんの一瞬のこと。

 輝き煌(きら)めく光の粒(つぶ)がネプギアの身体に再び集(つど)い、頭部、両の腕、脚、そして胴(どう)の順に、プロセッサユニットと呼ばれる戦闘用スーツを形作っていく。

 むろん、その順番には『管理人』の悪意とでもいうべきものを感じたが、各部位の形成(けいせい)にはそれほどのラグもなかった。

 ゆえにネプギアは、

 

(この程度なら変に騒がないほうがいいよね。恥ずかしいところは、ほとんど見られてないと思うし……)

 

 と、自分を半ば無理やり納得させることにした。

 そして、続く視聴者の反応が、彼女を心底安堵させる。

 

【くっそ、乳首全然見えなかった!】

 

【誰か見れたやついるか?】

 

【見れた】

 

【見れた】

 

【見れた】

 

【お前ら、それ絶対嘘だろwww】

 

【スローモーションでもう一度!】

 

【つか、スライヌの動き完全に止まるのな】

 

【本当だ。跳ねてる途中だったのか、空中で止まってるやつもいる】

 

【変身モノのお約束だなw】

 

 そんなやり取りが行われている間にも、光の粒子はネプギアの右手に集まり続ける。

 それは女神形態時に彼女が愛用している白い銃剣(じゅうけん)――『M.P.B.L.(マルチプルビームランチャー)』を形作った。

 そして、形成されたそれを手に握り、桃色に変化した長い髪をなびかせて。

 ネプギアは再び大きく声を張る。

 

「女神ネプギア、ここに誕生です!」

 

【パープルシスター、キターーーーーッ!】

 

【いや、女神ネプギアって名乗ってるぞw】

 

【本名バレバレの変身ヒロインwww】

 

【思ってたより露出度高いな】

 

【色が黒ってのがまたそそる!】

 

【胸もけっこうあるぞ!】

 

【いぢめてオーラすげえw】

 

【お尻のライン、はっきり出すぎw】

 

【おへそぺろぺろ】

 

【じゃあ俺は太ももぺろぺろ】

 

【ネプギアたんの脇は俺がもらっていきますね】

 

 女神化したネプギアを見て、さらにヒートアップする視聴者たち。

 だが、それは仕方のないことと割り切るしかないのだろう。

 いまのネプギアが装備している黒いプロセッサユニットは、ビキニアーマーを思わせる露出度の高い形状をしているのだから。

 それにネプギアには、聞こえてくる声に耳を傾けている余裕もなかった。

 

「嘘っ! な、なんでっ……!?」

 

 コアと頭部のユニットと共に、ネプギアの戦闘能力を大きく上げてくれる残り四つのプロセッサユニット。

 それらが、いつまで経っても形成されないのだ。

 むろんネプギアに、『TYPE(タイプ):BLANK(ブランク)』に換(か)えた覚えはまったくない。

 

「一体、どうして……」

 

 ただただ困惑することしかできないネプギア。

 そんな彼女を見かねたのか、唐突に『管理人』の声が聞こえてきた。

 

『どうということはない。単に、その姿が多くの人間に望まれている、というだけのことさ』

 

「望まれて、いる……?」

 

『そう、望まれている。パッケージイラストでも、告知イラストでも……いや、公式、二次創作問わず、きみは必ずと言っていいほどコアユニットと頭部のみの姿で描かれている。

 それはすなわち、『そうあること』を望まれているからだということに他ならない。ゆえに、この『淫次元(いんじげん)』においては、その『望まれた姿』にしか変身できないというわけさ』

 

「じゃあ、私の戦闘能力は……」

 

『おっと、その心配は要らない。目に見える形で顕現(けんげん)しているユニットはコアと頭部のそれのみだが、能力そのものは六種類のプロセッサユニットを装着しているときと変わらないからね』

 

 その返答に安堵の息を漏らすネプギア。

 だが、彼女が安心するのはまだ早かった。

 

『あと、これも人間たちの望みによるものなのだが、この『淫次元』で変身している間のみ、きみの感度は大幅に上昇する。まあ、戦闘能力が上がる代償(だいしょう)だとでも思ってくれ』

 

「感度が……」

 

 さすがのネプギアも、それが意味するところは理解できた。

 そもそもプラネテューヌには、他の国に比べて比較的セクシャルなゲームを出してきたという歴史があるのだ。

 その事実を考えれば、自分は、知識だけならどの国の女神よりも豊富に持っているのかもしれなかった。

 

『もちろん、女神化を解けば、感度は元の状態に戻る。そして、解くか否かを決めるのはきみ自身だ。――さて、私からはこれで以上だが……他に、質問はあるかな?』

 

 その問いに、ネプギアは無言で首を横に振る。

 そして彼女の予想どおり、それに返ってくる声はなかった。

 代わりに少女の耳に飛び込んできたのは、視聴者たちの歓喜の叫び。

 

【女神化したら感度が上がるってマジかよ!】

 

【そういうふうになったらいいのにっていつも思ってはいたけど、まさか実現するとは!】

 

【うはw いまスライヌに舐められたら、ネプギアちゃんどうなっちゃうんだw】

 

【女神化する前でも思いっきり感じてたからなw もう本当に大変なことになるんじゃねwww】

 

【ごくり……】

 

【イっちゃいますか? 今度こそイっちゃいますか?】

 

【うおお、たまらねえw】

 

【たまらなくなっちゃうのはネプギアちゃんだってw】

 

【ヤバいw テンション上がってきたwww】

 

【さあスライヌ、早くネプギアのおへそをぺろぺろするんだ!】

 

【感じさせまくってイかせてしまえ!】

 

【脇を舐めるのも忘れずにお願いします!】

 

「……んっ、ぅ……」

 

 感度の上がってしまったネプギアは、そんな言葉の数々にすらも性感を煽(あお)られてしまった。

 まだ、身体にはなにもされていないにもかかわらず。

 視聴者たちの、欲望にまみれたいやらしい反応だけで。

 

【あれ? もしかしてネプギア、いまので感じたのか?】

 

【え? 俺たちの言葉で?】

 

【マジ? 俺でも言葉責めでネプギアちゃんを気持ちよくできちゃうってこと?】

 

【よーし、おじさん頑張っちゃうぞ~w】

 

【ねえねえネプギアちゃん、もう乳首勃(た)ってるんじゃない?】

 

【アソコからエッチなおつゆもトロトロ出てきちゃってるだろ?】

 

【黒いプロセッサユニットだからわかりにくいけど、こうしてお股をじっと見てみるといけない染みが出来てるような、出来てないような……デュフフww】

 

【ま、アソコのところの色が濃い黒になるのは、時間の問題だろうなw】

 

「やっ、やぁんっ……! やめて、くださいっ……! そういうこと言うのっ……!」

 

【『やぁん』だってよw 『やぁん』だってよw】

 

【真っ赤になっちゃってw ネプギアちゃん可愛いなあw】

 

【ほら、俺たちの言葉でイっちゃえイっちゃえ!】

 

【スライヌの舌でイかされちゃってもいいよ~w】

 

【パープルシスターのトロ顔キボンヌ!】

 

「はうっ……んっ、くっ……も、もうっ……」

 

 なにを言っても無駄とようやく悟り。

 ネプギアは、身体をゾクゾクさせながらもスライヌたちのほうへと向く。

 そして恥ずかしさ、頬の熱さを振り払うように、彼女は手にしている銃剣を振りあげて。

 

「全力でいきます!」

 

 その刃の部分で、一匹のスライヌを両断した!

 

「……って、いけない!」

 

 それは果たして、女神化して少しばかり好戦的になったからなのか。

 はたまた、羞恥(しゅうち)に身を焦がされるあまり、『その事実』を忘れてしまっていたからなのか。

 どちらにせよネプギアは、反射的にとはいえ、このスライヌにだけは絶対にやってはいけない攻撃を繰り出してしまった。

 

「ヌ、ラアァァァ~……」

 

「あ、あれ……?」

 

 だが、斬りつけたスライヌが分裂することはなかった。

 それどころか、ネプギアを苦しめた青いモンスターは、光の粒子となって瞬(またた)く間に消えていく。

 

(な、なんで……? あ、もしかしてM.P.B.L.で攻撃したから?

 そっか、このスライヌたち、これで斬られると分裂できないんだ! もちろん、M.P.B.L.の攻撃力がすごく高いだけ、分裂する前に一撃で倒せただけって可能性もあるけど……)

 

 どちらであっても、ネプギアにとっては問題なかった。

 女神化したことで感度が上がり、視聴者たちの言葉にすら軽く感じてしまったときには少しばかり焦ったが、スライヌの分裂を阻止できるのならば、そう致命的なことにはならないはず。

 あとは、この身体に触れられる前に、スライヌたちを倒しきってしまえばいいだけだ。

 

 そう考えて不敵な笑みを浮かべる女神候補生に、さすがのスライヌたちも嫌なものを感じたのだろう。

 青いゲル状の身体を震わせながら、我先にとネプギアから距離を取ろうとする。

 だがそんなスライヌたちを、女神化した彼女が大人しく逃がしてやるはずがない。

 

「手加減しません!」

 

 斬り裂く。

 

「このM.P.B.L.で!」

 

 斬り裂く!

 

「女神候補生だからって、甘く見ないでくださいっ!」

 

 斬り裂く!!

 

「この間合いならっ!」

 

 銃剣を振り回し、ネプギアは怒涛(どとう)の勢いでスライヌたちを斬り刻んでいく。

 まるで、『女の子の大切な場所』を舌で散々(さんざん)苛められた恨みをぶつけるように。

 あるいは、恥ずかしい声を出してしまった自分を頭の中から消し去ろうとでもいうように。

 そして、とどめとばかりにネプギアは、

 

「この攻撃からは、逃げられませんっ!」

 

 先ほど中断させられた剣技、『ファンタジックスター』を広範囲に渡って繰り出した!

 

「ヌラッ!?」

 

「ヌラアアッ!?」

 

「ヌーラーッ!?」

 

「ヌ、ヌラアァァッ……」

 

 スライヌたちは、半液状の欠片(かけら)となって、ただひたすら身じろぎするばかり。

 それを見ながらネプギアは、声を弾ませて銃剣を高く掲げる。

 

「やったぁ! 撃破っ!!」

 

 だが、消えない。

 あとは消滅するのみであるはずのスライヌたち。

 その身体が、一向に光の粒子に変換されない。

 

「え、あ……、ま、まさか……」

 

 つぶやくネプギアの額に、汗が浮かぶ。

 その、まさかだった。

 半液状の物体となって飛び散ったスライヌたちが、次々と元の姿を取り戻していく。

 そう、まるで『M.P.B.L.で攻撃すれば、分裂することはないはずなのに』と困惑するネプギアを嘲笑(あざわら)うかのように――。

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