淫次元ゲイム ネプギア~孤軍奮闘のコロシアム~ 作:ルーラー
ネプギアは呆然としていた。
M.P.B.L.で攻撃したのに、なんでスライヌは分裂したのか、と。
いや、それよりも、なぜ自分は『M.P.B.L.で斬れば分裂しない』と信じて、ズバズバとやってしまったのか、と。
調子に乗っていた、としか言いようがなかった。
最初に倒したスライヌは、たまたま体力が残りわずかだっただけなのでは。
もっと冷静に、そう疑ってかかっていれば、こんな事態には陥らずに済んだはずなのに。
スライヌたちは、分裂の際にその身体を『再生』させる。
そうやって、その数を増やしていく。
だが、その『再生』を『体力の回復』とイコールで結んでしまうべきではなかったのだ。
おそらく、『再生』によってスライヌの体力が『回復』することはない。
そうでなければ、ハイヒールスライヌが一緒に出てきた意味がない。
ハイヒールスライヌの存在は、むしろ彼女に、『スライヌの行う『再生』は『体力の回復』とイコールではない』と暗に示してすらいたのだ。
むろん、ネプギアの攻撃によって力尽きれば、スライヌは分裂することなく消えていくのだろう。
そう、パープルシスターとなった彼女が、M.P.B.L.で一番最初に敵を斬り裂いたときのように。
そうである以上、ネプギアにもまだ勝機は充分にあるといえた。
要は、ハイヒールスライヌが回復させるよりも早くスライヌたちを倒していけばいいのだ。
出来るのならば、二匹のハイヒールスライヌから先に倒してしまってもかまわない。
だが、
(長期戦になるのは、覚悟しないと……。とにかく、分裂されてもいいから確実にダメージを与えていく!)
そう
分裂した
むろん、チャンスがあればハイヒールスライヌのほうを優先的に撃破。
それが、ネプギアが頭に思い描いた『勝利への道筋』だった。
だが、ことはそう上手く運ばない。
周りをぐるりと囲むスライヌたちが、少し痛い思いをさせてやろうとばかりに体当たりを仕掛けてくる。
「ヌラッ!」
「――くっ……!」
「ヌラアッ!」
「いっ……!?」
「ヌラヌラッ!」
「このくらいっ……!」
「ヌーゥラーッ!」
「痛くなんかっ……!」
後方にいる手負いのスライヌが、ヒーリングスライヌによって回復させられていくのを視界に収めながら。
さっきまではいやらしいことしかしてこなかったのに、なんで急に普通の攻撃に切り替えたんだろう、などと考えながら。
だが、これは『戦闘』。
どちらかが倒れるまで続けられる『戦い』。
ここがコロシアムである以上、負けても殺されはしないだろうが、それでも……。
(そう、これがいつもの私がしてきた『戦い』。だからこれは、ただ、いつもの状態に戻っただけ。いままでの『戦い』が、どこかおかしかっただけ……!)
そう、自分を奮い立たせ。
スライヌたちの攻撃の合間を
M.P.B.L.をかまえたネプギアは、
「ターゲット、ロック! ――ファイアっ!!」
銃剣から放つビームで、後方で待機しているスライヌごと焼き焦がす!
そしてさらに、
「あなたたちに、私の邪魔はさせませんっ!」
スライヌの群れの中に自ら飛び込んでいき、『パンツァーブレイド』で
「ヌラアァッ!?」
「ヌラアアアッ……」
その
力尽きることなく再生を果たしたスライヌたちとて、残る体力はわずかのはず。
分裂によって新たに生まれたスライヌにしたって、それは同じだろう。
ゆえに彼女は、ここぞとばかりに畳みかける。
「――エリアルアサルトで決めます!」
風の力をまとわせた斬撃。
その三度の
だがスライヌたちも、ただ倒されるだけではいなかった。
「ヌララララアーッ!!」
「――きゃあっ!?」
よりにもよってそんなところに体当たりを食らい、ネプギアの動きが一瞬止まる。
そしてその隙を突くように、後方で待機していたスライヌたちが一斉に攻撃を仕掛けてきた。
そう、ヒーリングスライヌによって全快したスライヌたちが。
「ヌララッ!」
「――っ……!」
「ヌゥーラッ!」
「いたっ……!?」
「ヌラッ!」
「まだまだですっ……!」
健気にも攻撃に耐え続けるネプギア。
だがスライヌたちの体当たりは、プロセッサユニットによって守られていないところにも及び始めた。
「くっ……!? ――このくらいっ……!」
黒いスーツに包まれた脚に。
「わっ……!? ――痛くなんかっ……!」
ほとんど
「いたっ……!? ――まっ、まだまだですっ……!」
そして、無防備にも
「――痛いっ!?」
絶え間なくネプギアの身を襲い続けるスライヌたちの攻撃。
「い、痛くなんかっ……!」
それらを食らいながら反撃のチャンスをうかがうことなど、できるはずもない。
「いたっ……!? ――こ、このくらいっ……」
お腹や脚を防御しようとすれば、背中を。
「きゃあっ!? ――まだまだですっ……!」
後ろからの攻撃を防ごうと意識を向ければ、今度は前を。
「痛くなんかっ……。――痛いっ!?」
周囲を囲まれてしまえば、防ぐという行為すら、満足にはできなくなってしまうのだから。
「いっ……!? い、痛くなんか――いたっ!? ――痛いっ!?」
そして、スライヌたちが視聴者になにを見せようとしているのか、彼らもここに至ってようやく理解したのだろう。
しばし黙り込んでいた住人たちが、興奮した様子でスレッドへの書き込みを再開し始めた。
【俺、リョナには全然興味なかったんだけど……】
「まだまだですっ……! ――痛いっ!? こっ、このくらいっ……。――いたっ!?」
【ああ、案外リョナも悪くないかもな。ソフトなものなら】
「痛く、なんかっ……。――いたっ!? ――痛いっ!?」
【なんかSっ気が刺激されるっていうか、な】
「このくら――いっ……!? ――いたっ!? い、痛くなんか――痛いっ!?」
【どんなに痛くても強がり続けるネプギアちゃん、萌え~】
「まっ、まだまだで――いたっ……!? このくらいっ……。――いたっ!? ――痛いっ!?」
【強がろうとして失敗してるところが、またいいよなw】
「――いっ……!? 痛く、なんか――痛いっ!? ――いたっ!? ――痛いっ!? こ、このくら――いたっ……!?」
【そろそろ痛いのが快感に変わってきてたりしてなwww】
――ネプギアの身体に異変が起こったのは、誰かがそう発言したときのことだった。
「い、痛くなんか……。――んっ……!? ま、まだまだ――きゃっ!? このくら――ああっ……!? 痛く、なんかっ……。――えっ……? 痛く、なんか……? ――ふあっ……!?」
スライヌの攻撃を受けたところに、ピリッとしたなにかが走る。
頬が、肌が
それは、痛みとはまったく別の――
(痛く、ない……。痛くは、ないけど……なんなの、この感覚……? なんか、スライヌの攻撃を食らえば食らうほど……)
「ヌラッ!」
「――ふぁんっ!? そんな攻撃、痛くなんかっ……。――あぅんっ!?」
本来ならば覚えるはずのない感覚に戸惑い、ネプギアは瞳を揺らす。
(痛い、はずなのに……痛くないと、いけないのに……痛く、ない……。というより、これ……気持ち、いい……? な、なんで……? それに、身体が……身体が、熱い……?)
【あれ? なんかネプギア、モジモジし始めてね?】
【本当に痛いのが気持ちよくなってきちゃったんだろw】
【あれ? もしかして俺の書き込みのせい?】
【ないないw】
【もしそうだったら面白いけどなw】
【ちょっと試してみるか? 『女神化したせいで肌への刺激に敏感になっているネプギアは、少し風に撫でられただけでも感じるようになってしまっている』っと】
【どうせなら突風なw それもしばらくの間吹き続けるやつw】
【こんなだだっ広い場所にそんなの吹くかよwww】
その書き込みを最後に、某巨大掲示板にはしばしの沈黙が訪れた。
その間も、ネプギアはスライヌたちと戦い続けている。
その身を焦がす熱を抑え込みながら、困惑の表情を隠すこともせず戦い続けている。
「――あふっ!? な、なんで――ひぁんっ!? ――ひゃ、ふっ……!?」
むろん、それはネプギアが攻撃を食らい続けるだけの、ワンサイドゲームでしかなかったが。
しかし、その状況に油断したのだろうか、スライヌたちは体当たりをやめ、それどころかネプギアが通れるほどの道を空け始めた。
そして、その道を通って一匹のハイヒールスライヌが彼女の目の前までやってくる。
「えっ……? 一体、どういう……?」
疑問の声をあげるネプギア。
それとほぼ同時にハイヒールスライヌが触手を伸ばし、ネプギアの怪我を完全に回復させた。
おそらくそれは、彼女を
だが、そうとは
「あ、あの……、ありがとう、ございます……?」
礼を言われる筋合いはない、とばかりに後退していくハイヒールスライヌ。
そして、スライヌたちが彼女を再び取り囲む。
【あ~あ、回復されてる間は快感も一緒に覚えるってふうになってたらよかったのにな~】
【怪我を治してもらえる代わりに、ずっと快楽に悶え続けることになるってか?】
【回復されてる間ずっと? それいいなw】
【俺だったら、わざと時間かけて治すなwww】
【どうせなら絶頂間際の快感を覚えるのキボンヌ。でも絶対にイけないって仕様で】
【ま、勝手に言ってることしかできないけどな。風だって一向に吹かないし……】
【俺、ちょっと期待してたのに……がっかりだよ!】
視聴者たちは、相変わらず勝手なことばかり言っている。
彼らの妄想が実現したとして、それに
(それに、ここは人間たちの妄想から生まれた次元。いきなり風が吹いてくる可能性は、充分に……)
だが、その
人間の妄想がこの次元に反映されるのは、ここが明確な『カタチ』を持つ前まで。
ネプギアがここに引っ張り込まれ、『
そう、ネプギアは確信と共に結論づけた――のだが。
そこで、ひゅおお、という音がした。
まるで、風が吹いているかのような。
こちらに向かって、突風が吹こうとしているかのような。
そんな音が。
(ま、まさか……?)
その、まさかだった。
規則性など微塵も感じられない突風が、
「――ふあああっ……!?」
敏感になっている素肌を撫でられ、思わず身体をくねらせてしまうネプギア。
【風が吹いた!?】
【マジかよ!】
【ネプギアたん、感じてる? 感じてる?】
「ふっ……んんんっ……やっ……んっ……く、ふっ……」
【おお、耐えてる耐えてるw】
【くねくねしちゃってw ネプギアちゃん、色っぽいよ~www】
【しかし本当になかなかやまないな、この風w】
【いや、さすがにそろそろやみそうだw】
身体をくすぐる風がやみ、ネプギアが熱く切ない吐息をこぼす。
そんな彼女の表情に、一体なにを思ったのだろうか。
風に
「きゃあっ!? な、なにをっ……!」
【おっ! 風に感じさせられちゃったネプギアを見て、対抗心でも芽生えたのか?】
ネプギアにも、そうとしか思えなかった。
女神化する前にも一度受けた、ぬめぬめの身体や、舌を用いての
それをいま、スライヌたちはもう一度行おうとしているのだ。
【やっちゃえスライヌ!】
【ぺろぺろタイム、スタートですねwww】
(い、いまは女神化して身体が敏感になっちゃってるのにっ……!)
女神化する前でも、その舌に、その責めに感じてしまった。
なのに、いま、もう一度同じことをされたら……。
そこまで考え、少女は焦りを
(――ど、どうしようっ! どうすればっ……!)
そしてスライヌたちは、ネプギアのそんな様子を
どうすることも、できはしない。
ただ、幼い性感を刺激され、喘ぎ、身悶え、はしたない姿を晒すしかない。
そう、彼女の身体に教え込もうとでもいうかのように――。