唐突だが我々海軍にとって、確定的情報とは生死を左右するほど重要事項であり、敵陣を一方的に撃滅する為の最大級の凶器でもある。
そんな確定的情報という名の凶器を我々海軍だけでなく、鎮守府内における自由奔放な個人取材を行っては、指揮官である私を社会的に殺し兼ねない、とある少女も隠し持っている。
「司令官、青葉は彼此3ヶ月もの間、あなた様の動向がどうしても気になりまして、個人的に取材を続けていたのですが……これはどうなんですかねぇ?」
「そ、それはだな……」
その少女とは、本日の秘書艦である青葉型1番艦重巡洋艦の青葉で、私の机上へ2桁に及ぶ写真を並べ、ニヤニヤと笑っていた。
写真の内容は勿論、私が艦娘達を積極的に犯している様にしか見えない状況を撮った、偏向的なものである。
「いいんですかぁ? 上司が部下にこんな、破廉恥な事しちゃって」
「ああ、良くない……。だが艦娘達は何も悪くないぞ。この全ては私が仕向けた淫行なのだから、彼女達を傷付けない為にも大っぴらな記事にしないで欲しい」
「ほうほう、そう来ますか」
「ああ、だから私が全ての責任を取り、罪を背負おうではないか」
そう、これも私の強き性欲と意思薄弱さが原因だ。
だから、艦娘達は何も悪くない。
「そうですかぁ……それは残念でしたね、司令官」
「ああ。性的な事以外なら、どんな罰でも受けるぞ」
「ふむふむっ。それでは罰として明日から1泊2日、青葉と一緒に市街地観光の取材を付き合って頂きます!」
「なんだと?」
観光と聞いた私の頭に疑問符が浮かぶ。
「えへへ、そんなにポカンとしないでくださいよぉ。実は読者の皆さんから、楽しい休養を過ごせる観光地を調べて欲しいと言う取材依頼がありましてねぇ」
読者とは、間違いなく艦娘達の事だ。
「しかし、それが何故私の罰に繋がる?」
「だって、1人でりょこ——いえいえ取材なんてつまらないし、意見を共有できる相手がいないと面白味が無いじゃないですかぁ」
「ぐう……司令官である私に、2日も提督室を空けろと?」
私は年に一度の元旦しか、公に席を空ける気は無いと言うのに。
「そこは大丈夫です。明日から2日間、長門さんと陸奥さんがちょうど暇を持て余していると仰ってまして、司令官の代わりに鎮守府を守ると確かな言質を頂きましたからぁ」
「お前、そこまで計算して……仕方ないな」
ここまで大っぴらに裏調整されて懸命に頼まれては断る余地が無い。
「それでは司令官、明日からよろしくお願いします!」
「ああ、最早断れんよ……。だが、それでこの件は目を瞑ってくれ。無理ならば私は明日の取材を断るぞ?」
「そこはご安心をっ。青葉、安心と信頼を売りにする記者ですから」
安心と信頼を売りにすると言いつつ、私を脅迫するのは如何なものか。
「まあ良い。では、明日はよろしくな?」
「はい司令官っ! 青葉、司令官とのでー……取材、楽しみにしてまぁ〜す!」
「うむ、では仕事に戻るが……その前に写真は私が預かるからな?」
「はいっ、思い出にどうぞぉ〜」
「イヤミなヤツめ……」
ここまで拡散された思い出など、消したくとも絶対に消せないのに。
翌日、私は青葉と共に数年ぶりに観光目的で、市街地を訪れた。
やはり、市街地はいつも活気があって良いものだ。
「司令官〜、あちらの甘味処とか定番でいいと思いませんかぁ?」
「うむ、確かにそうだな。入ってみるか?」
「ええ、是非とも入りましょぉ」
久しぶりに甘味を食べたかった私は、喜びはしゃぐ青葉に着いて行き、甘味処の暖簾をくぐった。
店内は落ち着いた和の雰囲気を保っており、とても心が安らぐ。
ひとまず空いている席へ、青葉と向かい合う様に座った。
「司令官、餡蜜で良いですか?」
「うむ、頼むぞ」
「すいませーん——」
青葉が注文して数分後、私の前には量のある餡蜜が、彼女の前には抹茶と餡子を挟んだ小さめな最中3個が、それぞれ置かれた。
「青葉、餡蜜でなくて良かったのか?」
「大丈夫ですよぉ。司令官から頂きますので」
「うむ。では食べるといい」
私は木製の黒い匙で餡蜜を掬い、青葉の口元へ運んだ。
「えっ、いきなりですかぁ……」
「どうした、食べないのか?」
「あっ、いえ。頂きま〜す」
青葉は少し恥じらいつつ、掬った餡蜜を頬張る。
「うわぁ〜、美味しいですねぇ」
「はは、良かったな」
私も青葉の様に大きく口を開けて餡蜜を食べたが、割と甘くなく、あっさりして美味い。
「うむ、食べやすいな」
「えへへ、司令官って天然ジゴロですよねぇ……」
「ん? なんの事だ?」
「い、いえいえ、なんでもありませんよぉ!」
青葉は両手を振り、焦っていた。
「変なヤツだな」
「えへへぇ……すみません」
「青葉、最中を1つ貰うぞ?」
「あっ、はい。どうぞぉ〜!」
私は遠慮なく最中を1つ掴み、一口で食べた。
すると抹茶の渋みと餡子の甘さが調和して口に広がり、実に美味である。
「わははっ、すごく美味いぞ!」
「えへへ、いい笑顔ですねぇ」
「うむ、青葉は選定の達人だな」
「そんなぁ、恥ずかしいですってばぁ」
褒められた青葉は満更でもなさそうだ。
それからも私達はじっくりと甘味を堪能し、店主に美味かった旨を伝えて店を後にすると、次の目的地を探して町内を歩いて散策した。
「ねえ、司令官?」
「うむ、どうした?」
「こうして皆さんが平和に暮らしてる市街地を散歩するだけと言うのも、乙なものですねぇ」
確かに市街地をじっくり眺めてみれば、皆が笑顔を絶やさず町を練り歩いていたり、談笑の声もあちこちから聞こえる。
とても平和な証拠なのだ。
「そうだな、平和な事は良いものだ」
「はいっ。それにこうして青葉達が戦わずに暇してるのも、平和な証拠の1つですもんね」
「ああ、確かにその通りだが……青葉はそれで良いのか?」
少し考えてみたが、青葉を含む艦娘達は、大海での実戦を主任務とする少女達であり、この様に平和な世界を維持し続ける事はつまり、彼女達の存在意義が揺らぐ可能性のあるもどかしい問題だ。
まあ、軍人である私の存在意義も彼女達同様に失われるのだが。
しかし、勿論ながら秩序ある平和とは、何物にも変えられない大切な事なので、例え私が軍人であろうとも祈らずにはいられない。
「はいっ。できれば青葉は誰とも争わず、このような平和な世界を……大切な人と共に過ごしたいですねぇ」
「青葉の大切な人か……案外、近くにいるかもな?」
「あはは、そうですねぇ……」
青葉は何か思う所があるのか、あまり元気が無い。
だが、悪戯に聞いて傷付けるのも悪いので触れないでおこう。
「さあ青葉、次は何処に行くのだ?」
「あっ、はい。そこの骨董屋に行きたいです」
「ほう、何か欲しい物があるのか?」
「はい! 実はこの間に衣笠と訪れた時なんですけど、個人的に大好きな年代物のカメラが売ってましてね!」
嬉しそうに語る青葉を見ていると、こちらも元気が出てくる。
「そうか。ならば行くぞ、青葉?」
「えっ」
私が手を差し伸べると、青葉は困っていた。
「すまぬ、歩き疲れただろうから引っ張ろうと思ってな」
「あっ、はい! では……遠慮なく失礼しますねぇ〜♪」
青葉は困惑しつつ私の手を握るが、すぐ嬉しそうに微笑んだ。
それから私達は骨董屋に訪れたものの、青葉が欲しい例の品が売り切れたらしく、相当がっかりしていたので、気分を変えさせようと骨董屋から少し離れた呉服屋まで彼女を案内した。
そこで私は1着の美しい着物を選び、店主に頼み込んで青葉に試着させる許可を貰った。
「あーあ、あのカメラだけは絶対に欲しかったのになぁ……。うう、あの時お金さえあればぁ!」
どうやら欲しい物が手に入れられなかった事が相当悔しいらしい。
「まあ落ち着け青葉。気分転換にこの藍色を基調とした百合柄の着物を着てみないか?」
「えっ、青葉にですか?」
「ああ、きっと似合うぞ」
「はい……それでは失礼しま〜す!」
悔しがる青葉が一瞬戸惑ったので着て貰えないかと冷や冷やしたが、すぐに笑って着付けに応じ、奥の部屋に行ってくれたので万々歳である。
数分後、予想通り着物が似合う青葉が、照れ臭そうな表情で戻ってきた。
「えへへ〜。司令官、どうです?」
「うむ、まるで京美人の様に美しいし、とても似合ってるぞ」
「本当、ですかぁ?」
「本当だ。男なら誰でも一目惚れする程だぞ」
「はい、それなら青葉も嬉しくて……嬉しくて堪りません!」
どうやら青葉は選んだ着物をとても気に入ってくれたので、思い切って彼女の為、その着物を買う事に決めた。
青葉は初め、「そんな悪いのです。自分で払いますよぉ!」と全力で嫌がっていたが、今回だけの特別サービスだと私がごり押し、どうにか彼女に諦めさせた。
その後も様々な店を回り、気付けば夕方4時を向かえていた。
私達は今、人力車に乗り、青葉が予約している旅館へ向かっている。
因みに青葉は買った着物姿のままで、制服は風呂敷袋に包んで私が持っていた。
「司令官、こんな高くて綺麗な着物……買って頂いて申し訳ないです」
「気にするな、青葉に似合うから買っただけだ」
「もうっ……。青葉は司令官を脅した悪い子なんですよ?」
「だが、青葉は大切な艦娘の1人だ。これで士気が上がるのなら、買ってあげて損など何も無い」
青葉の顔が珍しく紅潮している。
「司令官、あなたは本当にどうしようもなく優しい人ですねぇ」
「わはは、優しいのでは無い。美人や可愛い子に弱いだけだ」
「そういう所が本当にズルいです……」
何故だが青葉は、所々で元気が無い。
ここは少し気に掛けなければ。
「青葉、たまに元気が無いが何か悩み事でもあるのか?」
「えっ、青葉ですか?」
「そうだ、もしも悩みがあるなら言ってみろ。少しは楽になると思うぞ」
「そうですねぇ……。実は、司令官の一大スクープが撮れなくて悩んでるんですよぉ〜」
どうやら、青葉は私に悩みをぶつけるつもりは無いらしい。
「うむ、それは大変だな。頑張ってスクープを撮ってみろ」
「はいっ、これから頑張って撮ってみせますともぉ!」
まあ余裕ある冗談も言っているし、心配しなくとも大丈夫な筈だ。
人力車に乗って20分も経つと、青葉曰く、自然豊かな家族風呂で有名らしい旅館へと辿り着いた。
「さあ司令官〜、こちらが青葉の用意した2人部屋でございま〜す」
女将から案内された和室は質素だが、2人で過ごすには充分な広さであった。
そこを青葉が胸を張って自慢する所を見ていると、思わずほっこりしてしまう。
「そうか、では寝室に仕切りを置かないとな」
「えっ、そんなの要りませんよぉ〜」
「しかし、男女の間で気にしないのはどうも……」
「あれれ〜、司令官ったら青葉にすら発情するお猿さんなんですかぁ?」
青葉の言葉には棘しかないが、まさにその通りなので、ぐうの音も出ない。
「悪かったな……青葉が美しいから悪いのだ」
「そっかぁ、青葉は美人さん記者なんですかぁ……うんっ、いいね!」
青葉は極度の照れ隠しからか、衣笠の声真似をしつつ、親指を上に立てて舌をペロリと出していた。
「わざわざ衣笠の真似をしてまで照れずとも良い。美しいものは美しいのだ」
「うう……分かりましたよ! 女将さんから仕切りを貰って来ますってばぁ!」
「ああ、頼んだぞ?」
青葉はバタバタと部屋を出て行くと、すぐに仕切りを持ってきた。
「では、ここで仕切りますからね……」
「うむ、私も手伝うぞ」
私は少しむくれている青葉と協力し、敷いてある布団2枚を遮るよう仕切りを置いた。
寝床の準備も済ませ、早速風呂に入りたくなった私は、青葉に提案する。
「青葉、少し早いが風呂にしないか? もちろん、先に入っていいぞ」
「あっ、それでしたら司令官からどうぞ。青葉は後で入りますのでぇ」
「良いのか?」
「勿論です! どうぞ遠慮なく〜」
青葉には悪いが、甘えさせてもらおう。
「分かった、では先に失礼するぞ」
「はい〜っ」
床の間の畳に置いてある浴衣を一着持つと、床の間と家族風呂浴場の中間にある脱衣所のカゴに脱いだ制服と共に入れ、手拭いを肩に掛けた。
それから移動した浴場の家族風呂は、大人3人は余裕で入れる程に広く、周囲は柵で囲まれているものの、自然色豊かで湯気が立ち込め、非常に落ち着く。
手拭いを畳んで頭に乗せ、桶に水を汲んで体を流し、ゆったりと風呂に浸かった。
「ふう〜、気持ちいいなあ」
私は本来の年齢らしく、普通のおっさんの如く気を緩めている。
それ程までに気持ち良いのだから仕方ない。
しばらくこの癒しの湯で、いつもの仕事疲れをたっぷり取らなければ。
「司令官〜、お湯加減どうですかぁ」
「ああ、最高だぞ〜……青葉か!?」
相当驚いた私が思わず振り向くと、胸から股に掛けて白タオルを巻いた青葉が、ニコニコしながら浴場に入って来ているではないか。
彼女の白いうなじと股下が怖ろしく艶やかで、私を興奮させて止まないので、とにかく股間を隠す為にも手拭いを腰に巻き直した。
「司令官、折角ですし一緒に入りましょうよ〜」
「待て、流石にまずい! 私は先に上がる!」
一気に体が火照った私は、急いで浴場を出ようとした。
「あっ、ちょっと待ってくださいよぉ!」
「うおっ!?」
だが、無理やり手首を引っ張られ止められてしまう。
「どうして逃げるんですかぁ……」
「逃げるのではない。上がるのだ」
「もう……鳥人間ですか司令官は?」
「違うと言って——おい! タオル、タオル!」
「えっ……」
私が振り向くと、腕を引っ張る際に緩んだであろう青葉の巻いたタオルが、ヒラリと舞い落ちた。
「きゃあ〜!?」
青葉も想定外だったらしく慌ててタオルを拾って巻き直し、恥ずかしそうに震えていた。
私は青葉の露わになった前身を見て興奮したが、彼女の恥じらいある姿を前にそれも覚め「わははははっ」と、変な笑いが込み上げてしまう。
「うう、そんなに笑わないでくださいよぉ……」
「はははっ。いや、すまなかった。あまりにも青葉の反応が乙女らしくてな?」
「失礼なっ。まるで青葉が乙女じゃないみたいな言い方ではないですか」
ぷんすかと怒る青葉が可愛くて堪らなくなり、思わず頭を撫でてしまう。
「本当にすまなかった」
「うう……。まあ、いいですけどぉ」
「よし、寒空で少し冷えたから再び浸かるとするか」
「あっ、はい。では、横を失礼しますねぇ」
青葉は少し照れ臭そうに、私の隣にちょこんと座った。
「う〜ん、気持ち良いですねぇ。生い茂る草木が仄かな夕陽に照らされて綺麗です」
「本当にな。とても癒されるぞ」
「はい。そう言えば、もうすぐ元旦なんですねぇ」
「そうだな」
また1年の月日が流れるのかと思うと、時の流れは残酷である。
「司令官はいつもの様に、田舎へ帰るんですか?」
「ああ、そうだ。すまぬが青葉達にはその間、鎮守府の護衛を頼むぞ?」
「はいっ、お任せくださいませ」
私には理解ある部下達がいるから、安心してお袋や娘の暮らす田舎へ帰省できる。
「うむ、信頼している。あと、何か不都合があれば長門や金剛達に頼むと良いし、緊急時は即座に帰還するぞ」
「大丈夫です。司令官は親族の方と元旦をゆっくり過ごしてください。これは我々、艦娘達の総意ですので!」
「全く……皆優しいな」
最近私は涙腺が緩いらしく、ちょっとした事で涙を溜めてしまう。
「皆さん、それだけ司令官の事が大好きなんですよぉ」
「ああ……ありがとう」
数分後、私達は風呂から上がって浴衣に着替え、床の間に戻り、女将に夕食の手配をした。
その20分後に、2脚の御膳と私の分の地酒が入った徳利が届けられた。
用意された御膳や半年ぶりに呑んだ地酒は最高に美味く、肴に合うせいもあって即座に平らげてしまい、地酒だけでも何杯もおかわりしてしまう。
それから青葉と共に、しばらく至福の時を過ごし続けていた。
「いやぁ〜、美味しかったですねぇ」
「本当になあ。それにしても今日は充実している。この事を記事にすれば皆も喜ぶのではないか?」
「きっと喜びますね! それより司令官、日頃の疲れは取れましたか?」
「ああ、充分取れたぞ。たまにはこうして羽を伸ばすのも悪くないな」
仕事の関係上いつも働き詰めだった事もあり、ここまで落ち着いた休暇を過ごしたのは本当に久しかった。
「また機会がありましたら是非とも来ましょうよ〜。癒されたら任務だって捗りますよぉ?」
「うむ……。だが、やはり艦娘達に悪くて休もうとは思えぬ」
「もう、そんなに気遣わなくていいんですよぉ?」
「まあなんだ。私は働くのが趣味だしな」
私が捻くれて無趣味である事をぶち撒けると、青葉の顔が奇妙な物でも見る様に引きつる。
「へぇ〜、本当にタフなんですねぇ」
「仕方なかろう。他に趣味など無いのだし」
「うーん……まあ司令官が仕事大好きなら、構いませんけどねぇ」
「うむ、理解して貰えると私も助かる」
それからおよそ3時間に渡り、私は青葉に勧められて呑みが止まらず、合わせて彼女との談笑も続き、あっという間に午後10時を迎えた。
「ふわぁ……っ。司令官、眠くなってきましたねぇ?」
「おお〜、もうこんな時間だものなあ!」
私は酒に呑まれてすっかり出来上がり、気分が高揚しきっていた。
「あのぉ……今更ですけど、飲み過ぎでは?」
「わははっ、大丈夫だあ! 若い頃は24時間呑みっぱなしでも平気だったからなあ!」
「あちゃぁ、駄目ですねこれは……少しお布団で横になりましょ。ほら、こっちですよぉ?」
青葉は酔どれな私の腕を引っ張り、寝室の布団へ連れて行ってくれた。
「はい、こちらで寝てくださいませ」
「うおお〜い! すまんな青葉〜」
「うう、流石に少し呑ませ過ぎたかも……反省しな——きゃわあっ!?」
何故か青葉が悩んだ顔をしてるので、私は
「青葉、何を悩んでいるのだ〜。元気出せよ!」
「し、司令官——駄目ですよぉ!」
「何を言うか、スキンシップは大事だろう?」
「意味がわかりません〜!」
なんとも青葉の髪はふさふさしていて気持ち良い。
こうして撫でてるだけで、たっぷり癒される。
「よ〜し、よしよしっ」
「うわぁ〜ん、離してくださいよぉ!」
「駄目だあ。しばらくこのまま抱き寄せておくからな〜」
「うう……。もう……どうなっても知りませんからね!」
「どうにも……ならない……ぞ……」
気付けば私は夢を見る事もなく、そのまま落ちてしまった。
あれからどれ程経ったろうか、寝苦しいというか股間の辺りがやたらと熱く疼いて仕方なく、思わず目を覚ましてしまった。
「うーん……私は酒を呑んだ後……何をしてたのだ?」
「はむっ——ぴちょっ——れろっ」
「なんだ……先程から息子が熱くて仕方な……青葉、何をしている!?」
私が言うまでもなく青葉は、単装砲を根元から先っぽに掛け、舌先で器用にツーっと舐めているのだが。
「あっ、司令官、目を覚ましましたか——ぺちょっ」
「ぐうっ! どうしてこんな事を……」
「えへへぇ——ぬちゅっ——だって司令官が青葉を強引に抱いて、誘ってくれたんですものぉ」
話を聞いた私の額から血の気が引く。
酒の勢いで彼女を抱き寄せた記憶が曖昧にあったのだから。
「だからと言って……ぐう!」
「えへへ、司令官の大きい……。そろそろ沢山、気持ち良くしてあげますよぉ?」
「そんな事しなくていい……ぬおお!」
青葉は私の言葉を無視し、淫らに口を大きく開け、ギンギンに勃ち上がった単装砲をぬぷぬぷと咥え込んでいく。
すぐに根元まで咥え込むと、今度は激しく上下に頭を動かして、単装砲の先端を刺激し続けた。
「青葉——駄目だ! 今すぐ止めろ……!」
「んっ——んむっ——あむっ——ぐちゅっ」
私が何を言おうと青葉は止める気がなく、それどころか動かす速度を徐々に上げてゆく。
「ぐうっ——もう駄目だっ——離してくれっ——このままでは射精してしまう!」
「ぐちゅっ——ぐぷっ——ぬぼっ——ずちゅっ」
「駄目だっ——出すぞ!!」
「んぐっ——!!」
我慢出来なくなった私は青葉の頭をがっしり掴み、喉奥まで咥えさせたまま、どっぷりどくどくと子種を発射してしまう。
青葉の喉奥は腰が抜ける程気持ち良く、私の射精をぐんぐん促す。
「青葉! 青葉ーっ!」
「うあうっ——んむうっ!」
単装砲を奥まで咥え込んだ青葉は苦しそうに悶えるが、理性を壊した私に気を使う余地など無い。
ただ欲望のまま、彼女の喉奥目掛けて子種を発射し続けるだけだ。
やっと射精が終わって抜き取ると、青葉は激しく咳き込んでしまう。
「げほっ——ごほっ——!」
「はあ……はあ……。青葉、本当にすまなかった!」
もう何度目だ。
我を忘れて艦娘の1人である青葉を汚したのは。
「えへへぇ……。司令官、気持ち良かったですかぁ〜」
「青葉……こんなに愚かでどうしようもない私を軽蔑しないのか?」
青葉は酷い事を受けた筈なのに、蕩けそうな顔で私を喜ばせようとするのだ。
「怒りませんよぉ。だって司令官を誘ったのは私も同じですし〜」
「そうか……ならばいいが、これで終わり——おいっ!」
青葉は浴衣を淑やかに脱いで全裸になると、萎れた単装砲を激しく擦って再び勃ち上がらせ、私の股間に跨り、しっとりと濡れた割れ目に先端を押し付けた。
「駄目ですよぉ。今度は青葉が気持ち良くなる番なんですからぁ〜」
「分かった……だが本当に良いのだな?」
今まで艦娘達にしてきた数々の情事を思い返せば、今更断る理由など思い浮かぶわけがない。
「焦らさないでください〜」
「ああ、分かった」
つまり私は、この時から真に腹を括る事に決めたのだ。
艦娘達の愛情表現には出来得る限り応え、自らの欲望にも嘘を吐かないと。
「青葉、遠慮なく腰を下ろせ。私も遠慮など一切しない」
「はいっ。では失礼しま——うあぁん!」
青葉が腰を下ろすと割れ目が単装砲をゆっくり咥え込み、数秒しか無い快感が数分に感じられる程に気持ち良い。
割れ目から青葉の初めての証が流れるのも、私の性欲を悪戯に刺激してくれる。
「うう……やはり痛いです……ね」
「青葉、無理はするなよ」
だが、青葉を含めた艦娘達が尋常ではなく痛がる顔だけは寛容出来ず、私の胸を締め付ける。
「いいえ、こんな痛みは深海棲艦相手に比べれば……なんて事はありませんっ。では動きますね——うぁん!」
「ぐうっ——気持ち良いぞ!」
青葉は痛みを必死に我慢しながら、腰を上下に振り続ける。
そんな青葉の懸命さに心打たれた私は、どうにか彼女の痛みを紛らわそうとたわわに実る乳房を鷲掴みにし、感触を堪能するよう揉みしだいた。
「きゃわあっ——! 司令官、もっと強く揉んでぇ〜!」
「青葉——堪らないぞ!」
「はいっ——青葉も幸せっ——ですぅ!」
痛みに慣れてきたのか、青葉の腰が速くなっていき、単装砲の発射を促してくれる。
「青葉っ——もうすぐ射精するっ——腰を退かしてくれ!」
「うあぁんっ——良いですっ——そのままっ——中に出してぇ〜っ——司令官の濃ゆいのでっ——青葉を孕ませてぇ〜!」
単装砲を咥え込んだまま、青葉の腰が尋常ではない速さで動き続ける。
「バカ言うな——止めろ——!」
「だしてっ——ちょうらぃっ——青葉の——にゃかぁっ!」
「もう駄目だっ——ぐおおぉっ——!!」
我慢の限界を迎えた単装砲から、青葉の子宮目掛けて子種がびゅるびゅると発射され、彼女を容赦無く種付けしてしまう。
「うにゃっ——あにゃああ〜んっ! 司令官のぉっ——たくしゃん出てりゅっ——出てりゅよぉ〜っ!」
私が射精したと共に青葉も絶頂を迎え、蕩けきった表情で呂律も回らない淫らな言葉を連呼していた。
青葉は感極まりすぎて疲れたのか、息も絶え絶えに私に体を重ねる。
「はあ……はあ……。青葉、どうして抜かなかった……」
「ぜえっ……んみゃぁっ……! えへへぇ……だって司令官とのぉ……愛の結晶が……欲しかったんですものぉ」
「何故だ! どうしてそんな……私などの子が欲しいと思う!?」
私は艦娘達の処女を奪い去る悪い人間であり、そんな愚か者の子を欲しがる理由が分からないのだ。
「だって司令官の眼に……青葉は眼中にありませんもの……」
「何を言って?」
「青葉、こんな軽い性格でも分かるんです……。司令官の愛している女の子ぐらい」
「漣から、聞いたのか?」
「えへへ、漣さんのおかげで確信できましたけどねぇ」
毎度の事ながら漣には頭を悩まされているが、元はと言えば悪いのは私であり、彼女は悪くない。
「ううむ……」
「でも、やっぱり青葉は悔しくて、せめて司令官を愛した証が欲しいのです……」
「しかしだな……」
「大丈夫っ、本当に赤ちゃんが出来たとしても、司令官には一切迷惑を掛けませんから」
そんな屈託の無い笑顔で言われたら、尚更責任を取らなければ私が押し潰されてしまう。
「駄目だ……その時は、私も責任を取る」
「えぇ〜、そんな無責任な事言っていいのですかぁ?」
「構わぬさ。例え何人隠し子が出来ようともどうにかして尻を拭うのが、私の最大の責務なのだしな」
「うーん……。恰好いいですけど、最低な発言ありがとうございま〜す」
その皮肉には、何故か悪意を感じない。
「ああ、私は最低な司令官だからな」
「えへへ、ですがそんな司令官が……私は好きですよぉ!」
「うむ、私も青葉に好かれて嬉しいぞ」
「えへへぇ……」
私は無意識に、青葉の頭を優しく撫でていた。
「では司令官、お風呂でさっぱりして寝ましょうよぉ。なんならお風呂でも……したいですかぁ?」
「ああ、そうだな。たっぷりと背中を流してやりたいぞ」
「えへへ、流石司令官ですっ。青葉も流しちゃいますよぉ〜?」
「うむ、頼むぞ」
何はともあれ、普段から個人を殺し兼ねない情報を求めて彷徨っている青葉の本心が分かった事が、とても嬉しくて仕方ない。
今後は青葉が行う個人取材に対し、もう少しだけ寛容でいられそうだ。
因みにこれからの話は後日談になるが、青葉が悔しがる程欲しがっていた年代物のカメラの行方の事である。
青葉との旅行が終わった2日後に、衣笠が秘書艦として提督室で仕事をしていたのだが、昼の大休止が訪れ、彼女が青葉を呼んだ。
その時に衣笠は青葉を驚かせる為に目を瞑らせ、風呂敷包みから年代物のカメラを青葉の前に取り出した後、眼を開けさせたのだ。
カメラを目に入れた青葉の顔は、それはもう笑顔満開で可愛く、心底嬉しそうに衣笠を抱き締めていたので大変微笑ましかった。
やはり、青葉の近くには衣笠という大切な人がいるし、2人はお揃いの姉妹であると私は心の中で密かに思い、顔を緩めるのであった。