脚を伸ばす私の前側に座った全裸の敷波は、恐る恐る単装砲を両手で握り、珍しい物でも見るかの如く、まじまじと眺める。
「へえ……こうして触ってみると思ったより柔らかいし、なんか可愛い気がする」
「ああ、敷波の手も柔らかくて最高だぞ」
「えっと……ありがと。じゃあ舐めるね?」
「頼む」
敷波は頬を紅く染めて恥じらいつつも大きく口を開け、ガチガチに勃起した単装砲をぬぷぬぷと呑み込んでゆく。
「ぐお……まさかいきなり咥えるとは」
「ぬぷぐぷ——んっ、ほへ……あやなひのあひがひて……あむっ、たまらなひや……」
敷波の喉から来る振動が、カリ首を執拗に刺激する。
「ぬうっ! 咥えたままそんなに喋られると……気持ち良過ぎて!」
「んっ……ぬちゅっ、ぬぶっ、ぬちょっ」
かと思えば、まるでアイスキャンデーを貪り味わう子供の様に、単装砲をじっくりと舐め回してくるのだ。
「んやぁっ……敷波が司令官の……こんなエッチに咥えてぇ……あふぁ!」
その様子をすぐ隣で寝転んで見ていた綾波は、とても切なそうに割れ目を弄り、喘ぎ声を抑えながら感じていた。
「ぬうっ——いきなり激し過ぎる!」
「ぬぷちゅっ——ぐぽぐぽ、ぐぽぐぽっ」
終いには頭を上下に動かしながら舐め、早くも私は限界を迎えてしまう。
「まずい、敷波口を離せ! 外に出すから——」
「んむぅっ——ぐぽぐぽっ、ぐぽっぐぽっ!」
忠告しても敷波は舐めるのを止めず、それどころか更に激しく顔を動かし、射精を促し続けるのだ。
「くそっ……もう駄目だ! 敷波すまない!」
「んえぇっ!?」
あっという間に限界突破した私は敷波の後頭部をガシリと掴み、単装砲を喉奥へ咥えさせ、押さえ付けてしまう。
「敷波、気持ち良い……堪らないぞお!」
「んむうっ——んえぇっ!」
「んやぁっ——またイっひゃうよおおぉぉ〜!」
敷波が苦しそうにもがこうとも、理性が壊れて抑えの効かなくなった私は彼女の後頭部を力強く押さえ付け、大量の子種をびゅるびゅると発射して喉奥から胃袋へと注ぎ込んでしまったのだ。
「ぢゅぼっ——うえぇっ、げほっげほっ!」
「ふあぁ〜良かった——あれ……敷波大丈夫?」
単装砲を抜き出して苦しそうに咳き込む敷波を見ては、蕩けていた綾波も我を取り戻して心配せざるを得ないだろう。
「敷波すまない! 私はまた、自分を制御出来ずに——!?」
落ち着いた敷波は私の体を強く抱き締め、気にしてないと言わんばかりに頭を左右に振る。
「いいよ、寧ろ嬉しかった……。だってさ、あたしでこんなに乱れてくれたもん」
「敷波……」
「むう……綾波だって、司令官が恥ずかしい姿を晒すほど乱れさせたよ?」
私が先程四つん這いになり、無我夢中になって綾波の割れ目を舐めていた事を言っているのだろう。
「あはは、綾波ったら意地になっちゃって。本当に可愛いんだから」
「むうっ、笑わないでよ。敷波のイジワル!」
「まあ怒んないで。別に綾波を馬鹿にしたわけじゃ無いんだよ?」
敷波は楽しそうに笑いながら、綾波の頭をワシワシと撫でる。
「うん……知ってる。いつも2人で張り合ってるもんね?」
「そうだよ、あたし達2人はいつも恋敵っ……なんちゃってね?」
「うふふっ、負けられないね〜!」
少し喧嘩したかと思えばすぐにふざけ合うほど、2人の絆は太いのだろう。
「じゃあ……司令官、今度はあたしが感じる番だしさ。とりあえず仰向けになってよ」
「ああ——寝転んだぞ?」
仰向けになった私の腿に敷波は跨ると、彼女の唾液でヌルヌルになっている単装砲を握っては優しく擦り、再び勃たせてくれた。
「敷波、気持ち良いぞ……」
「うん。でもこれからが本番だよ。期待せず、楽しみにしときなよ?」
「敷波、その言い方は矛盾してるよ? もっと素直に言えばいいのに〜」
「もう……仕方ないじゃん!」
楽しそうに微笑む綾波に対し、敷波は照れ隠しをするかの如く声を荒げる。
「あたしだってさ……綾波みたく素直になりたいって……」
「なれるよっ。だって敷波ったら、こんなにまで可愛い反応するんだものぉ〜」
綾波は座った状態で敷波を抱き締め、大変嬉しそうに頬擦りをする。
「やんっ、くすぐったぁ! もう……綾波ってどうしてそんなにホンワカかなぁ……」
「ええっ、知らないよぉ〜」
「うん、まあそうだろうね。でも今なら素直になれそうな気がする……かな。ありがと」
「敷波、頑張ってね?」
敷波に自信を付けさせる事が目的だったのか、綾波はベッドの端へ戻って横になり、私達を見守り始めた。
「司令官、待たせてごめん」
「なに、構わんよ」
おかげで2人が仲良く頬擦りし合う光景を見れて眼福だったのだから。
「あたし精一杯頑張るからさ……ちゃんと気持ち良くなってよね?」
「ああ、勿論だとも——ぬおおっ!」
敷波が私の股間の上へ中腰で跨ると、単装砲の先端を愛液で濡れた割れ目へ押し当て、くちゅくちゅと淫らな水音を立てながら擦り始めてしまう。
「あんっ、これならきっと……大丈夫だよっ、ね?」
「ああ、だから早く腰を下ろしてくれ……もう我慢の限界なのだ!」
「あっ、ごめん。すぐ下ろすから——んやああぁぁっ!」
「ぐおっ——!?」
敷波が慌てて勢い良く腰を下ろすとすんなり奥まで入ったのだが、やはり彼女は悲痛な声を上げながら初めての証を流すので、見ているこちらは辛くて仕方が無い。
「敷波、慌て過ぎだぞ」
「痛ったぁ……これが綾波の味わった痛みなのか。かなり痛くて……めげそうだわ」
激痛で涙を流しながらも微笑む敷波はきっと、綾波と痛みを共有出来た事が嬉しくて堪らないのだろう。
そんな敷波を心配そうに、綾波は黙々と見守っていた。
「とにかく、もう無茶はするんじゃないぞ?」
「ううん、もう平気。だってさ、だんだん痛みが快感に、うあぁっ——変わって来てる、んだもん……」
「ううむ……確かにな」
私も随分前に、大井から短鞭で叩かれながらも熱いロウを垂らされた時は激痛を味わっていた筈なのに、それが何時の間にか快楽に変わったという経験もあるので、敷波の気持ちは充分理解出来る。
つまり敷波はマゾヒストなのだろうか。
勿論、口が裂けても彼女には言えないが。
「じゃ、動かすから——んやぁんっ!」
「うおっ——いきなり激しいぞ!」
私が馬鹿な事を考えている途中に敷波が、痛い筈なのに上下に激しく腰を動かし始める。
「あっ、すごぉっ、こんな激しい痛みっ、綾波も受けてっ——痛たあぁっ——いたわけ〜?」
しかも敷波の膣内がキツく締め付けるので、快感も数倍に感じてしまう。
更に、パチュンパチュンと激しい水音が小屋中に響いて耳を感じさせるのだから、2分も経たず射精しそうになる。
「敷波、もう射精しそうだから腰を退かせ! 流石に勢いだけで、お前の膣内を汚すのは——」
「いいっ、そのままっ、出してぇ! 別に、孕んでもぉっ、かんけぇ、ないしぃ〜っ!」
「馬鹿なっ、敷波は私を愛してなど——んむっ!?」
敷波は怒りを顔に出しながらも私の唇を重ね、舌を捩じ込んでは黙らせる。
無論、腰は激しく動かしたままで。
「んちゅ、ぬちゅ——ちゅぽっ!」
「むおっ——はあ、はあ……何故そんなに怒って?」
「司令官のバカっ、あたしだってさ……んもおっ! 綾波と同じぐらい司令官を好きな事ぐらいさ——分かんないの!? ひくっ……ここまで、してるのにぃ……」
怒ったかと思えば辛そうに泣く敷波が愛おしくなった私は、彼女の体を力強く抱き締めて密着させ、腰の動きを止めさせてしまう。
「ぐすっ——司令官、ちょっと苦しいよ……」
「敷波、お前の気持ちに気付けなくて本当にすまない」
「あっ、ううん……別にいい。あたしも……いっつも素直になれないし」
「だが、これからは本気で敷波を愛する。後悔はさせないぞ?」
「んやぁっ——さっきより全然っ、激しいよぉっ!」
私の意思で敷波の腰を少し持ち上げて何度も突き上げているのだが、愛する敷波を求めるあまりに激しい動きを止める事が出来ない。
「敷波、可愛すぎるぞお!」
「あんっ、いいっ——これ気持ちいよ〜! 司令官ので、あたしの子宮が愛され過ぎてっ、おかしくなっひゃう、よぉ〜っ!」
敷波の顔が段々と艶かしく蕩けていくものだから、更に腰の勢いを上げてしまう。
「ぐううっ……敷波、このまま中に出すぞ!」
「あにゃぁっ、きてぇ〜! 司令官の○んちんっ、満足するまでぇ〜、出していいからぁ〜っ!」
「敷波っ——敷波いいぃぃ!」
敷波の甘い猫撫で声を聞いた私は興奮のあまり、彼女の膣内を壊し兼ねない程の勢いで腰を突き動かしてしまう。
「出るううぅぅ!」
「ひにゃぁっ——」
あまりにも興奮し過ぎて絶頂した私は、同じく絶頂して顔を蕩けさせた敷波の体を力強く抱擁し、腰を奥深く突き挿したまま、大量の子種を子宮に注ぎ込んでしまったのだ。
「あにゃああぁぁ〜っ、出てるっ、いっぱいぃ〜っ! 全然止まんないよぉ〜っ!」
「ぐうううっ、敷波の膣内——締まり続けるぞお!」
私が射精する度に敷波の膣壁が締め付け、搾り取ろうとする。
しかも、その度に痙攣する敷波の淫らな振動が体に伝わるので、全く興奮が冷めやらない。
結果20秒もの間、子種を植え付け続けてしまったのだ。
「ああ……止まっちゃった……残念」
「はあっ、はあっ……全て搾り取られてしまったな……もう出ないぞ」
精力尽き果てた私の体に敷波は寝そべり、胸板へ顔を埋めていた。
「うう、綾波も一緒に感じていたのに、2人とも全然気付いてくれなかった……」
「なんとっ——す、すまなかった!」
どうやら私は敷波を求めて夢中になるあまり、綾波の声を聞き取れなかったようだ。
悲しむ綾波の頭を、敷波は優しい表情のまま撫でていた。
「ごめんね綾波、ちょっとあたし達ばっか気持ち良くなり過ぎてた」
「うん……でも、いいよっ! 素直で可愛い声を上げる敷波が見られたものぉ〜」
それで綾波は元気を取り戻したのか、そもそも立ち直りやすい性格なのかは不明だが、私の上に寝そべる敷波を嬉しそうに抱き締め、また頬擦りをしていたのだ。
「ちょっと綾波、くすぐったいって〜」
「うふふっ、敷波も司令官と同じくらいだ〜い好きぃ〜!」
「全く、綾波ったら甘えん坊なんだからさ……。まあ、あたしも好きだよ?」
「うんっ! それじゃあこのまま3人一緒にしばらく休も〜」
「ああ、そうだな!」
綾波の提案に快諾した私の両隣に2人は全裸のまま寝転び、それぞれ私の肩を抱き締めながら幸せそうに会話をし始める。
最近楽しかった出来事や、オチも山も無い世間話に限らず、この小屋で残した沢山の思い出を語り合っていたのだ。
2人の楽しそうな雑談を聞いているだけですぐに1時間が経過し、外もだいぶ暗くなってきたので、私は小屋に置いてあったカンテラの灯りを頼りに制服を着用し、綾波は着物を敷波に丁寧に着付けして貰ってから、敷波がセーラー服を着用した。
その後カンテラを借りた私は2人の安全を確保する為、まず先に下へ降りたのだ。
どちらかが足を滑らせた際の保険として。
とは言え、私の心配をよそに2人は、こなれた様子で降りてきたのだが。
「やばっ、星空がぜんぜん見えないじゃん」
「うむ、もしかしたら降るかもしれないな。2人とも、早歩きで帰るぞ?」
雨に降られて2人が風邪を引いては、あまりにも申し訳が立たないのだから。
「は〜い、司令官っ」
「あたしも早く帰りたい。闇夜って、いつ奇襲されるか分からないイメージがして怖いし」
「うむ、そうだな……早く帰ろう」
とにかく私達はひたすら、鎮守府へ駆け戻ったのだ。
現在時刻は午後6時。
提督室へ戻った私達は待機していた霧島に対し、3人揃って頭を下げていた。
「霧島、独りで待機させてすまなかった」
「ありがとうございます、霧島先輩!」
「えっと……すみません」
「いいえ、お帰りなさいませ……3人とも、よく濡れませんでしたね?」
「あっ、はい。ギリギリ降られなかったですし」
敷波の姿を今更認識した霧島は、不思議そうに首をかしげていた。
「あら、敷波も司令と気持ちいい事してたの?」
「あっ、気持ちいい事ってもしかして、司令官とセッ……もがが!」
敷波が素直に吐こうとするものだから、私は思わず彼女の口を塞いでしまったのだ。
慌てふためく綾波と一緒に。
「いいや、なんにもしていないぞ。なあ綾波っ?」
「はいっ、綾波達は初詣に行っただけですもの〜っ!」
「もごごっ——うん、そうだった!」
明らかに怪しい挙動の私達を目の当たりにし、霧島はニヤニヤといやらしく微笑む。
「ふふっ、司令をからかうと楽しいわね〜。唯の冗談ですよ?」
「じょ、冗談なんですねぇ……」
「本当かなあ」
「そもそも大人しくて優しい司令が、そんな大層な事をするわけ無いでしょう?」
恐らく本心から言っているのであろう霧島の無垢な発言が、私の胸に深く突き刺さって痛いが、とにかく平然としていなければ怪しまれてしまう。
「あうぅ……とりあえず心臓に悪いです……」
「あたしはそうでもないけど」
「ま、全く……人が悪いな霧島。それよりも頼まれていた品物だぞ」
買ってきた限定苺大福4個を包んだ袋を見せると霧島は安堵し、大きな溜息を吐く。
「はあぁ〜っ! 本当に良かったです……これで金剛姉さんに叱られなくて済みますよ」
安堵する霧島を見て私は朗らかに笑い、綾波と敷波も嬉しそうに微笑んでいた。
「はは、やはり脅されていたのだな?」
「ええ、まあその通りですが……金剛姉さんには黙っててくださいね?」
「勿論黙っておくよ。なあ2人とも?」
私に同調するように、2人とも笑顔で快諾した。
「さて、綾波と敷波はもう休みなさい。入渠して体をさっぱりさせたいだろう?」
「あっ——はい!」
「早く体洗いたーい……名残惜しいけど」
「では綾波達は——」
「失礼しまーす」
最後に礼儀正しく私と霧島に頭を下げた2人は、仲良く提督室を出て行った。
「さあ、霧島も宿舎へ戻って良いぞ」
「いいえ、苺大福のお礼に少しお手伝い致しますとも。司令は現在、計画書の作製に難航しているのでしょう?」
どうやら霧島は机の中にしまっていた作製中の計画書を勝手に見たようだ。
「ううむ、あまり勝手に机を覗くのは機密的にも感心しないな……」
「申し訳ありません司令。ですが少しでも私の頭脳がお役に立てればと思うあまり、自分を止められなくて……」
心底からそう思っている霧島だからこそ、これ以上は叱りたくない。
「うむ、まあ霧島を信頼しているのでこれ以上は責めぬ。ただし、けじめとして罰は受けてもらうがな?」
「はい、どんな事でも仰ってください……」
「罰として、これから夜遅くまで計画書の作製を手伝って貰うぞ」
「司令っ……お任せください!」
辛そうに俯いていた霧島が勢い良く顔を上げ、満面の笑みを見せてくれた。
「ただし、この罰は責任重大だぞ?」
「はいっ、喜んでお受け致しますとも!」
何はともあれ霧島は、持ち前の頭脳を活かして効率的な計画を立案してくれるので、1時間相談し合っただけでも今日熟す予定の2倍も計画が進捗したのだ。
「すごいな、ここまで捗らせるとは流石、頭脳の霧島と言った所だな」
「ふふっ、本日はヤケに頭が冴えましてね。これも司令のお役に立ちたい一心のおかげでしょうね〜」
自信満々に何度も頷く霧島を見ていると、私も妙な自信が湧いて仕方がない。
そんな時、誰かが扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
「司令、私が開けましょう」
「ああ、頼む」
「——あら、敷波ではないの?」
霧島が開けた扉の先には、やたらと心配そうに慌てている敷波が居たので、思わず彼女の元へ近付いた。
「一体どうしたのだ」
「あっ、霧島さんすみません」
「急ぎなのね? 司令に聞いてみなさいな」
「はい、失礼します。司令官、綾波がこっちに来なかった?」
「いいや、来ていないぞ。2人とも入渠したのでは無かったのか?」
「ああ、うん。最初はそのつもりだったけどさ、脱衣所で脱いだ着物を隈なく探したかと思ったら血相変えてね。それで、少し司令官から貰った大切な物を探してくるって言って何処かに行ったわけ。外はどしゃ降りだし、てっきり鎮守府内を探してたのかと思ったんだけど……」
「私があげた大切な物だと……まさか、あのお守りか!」
私は血相を変え、掛けていた雨衣を羽織っては外に出る用意を済ませた。
「霧島、しばらくここを空ける!」
「行ってらっしゃいませ。綾波を頼みますよ?」
「司令官、あたしも一緒に——」
「灯台もと暗しと言う諺もある。敷波は今一度、綾波の残した着物を探してくれないか?」
敷波は納得した顔で頷く。
「分かった! 司令官、綾波に風邪ひかせたら絶対許さないよ!」
「ああ、無事に連れ戻すとも!」
とにかく急いで綾波の後を追う為、私は彼女が寄るに違いない小屋の方へと駆け付けた。
「やだ……ぜんぜ……ないよぉ……ぐすっ……」
どうやら私の勘は正しかったようで、綾波は隠れ小屋のある木の下周辺を、這い蹲りながら探していたのだ。
「綾波……やはりここに」
「うえぇっ……もらった……大切……のに……」
綾波が制服の上から雨衣を着ていて少し安心したが、こんな寒空の下で雨曝しにされては、いつ体を壊してもおかしくない。
そんな綾波を暖めたかった一心で彼女の側へ駆け付け、思わず後ろから抱きかかえてから、力強く抱き締めてしまったのだ。
「えっ、司令官……ずずっ……どうしてぇ……」
「綾波、寒かっただろう。どうしてこんな無茶を……」
「だって……えぐっ……司令官が願掛けした大切なお守りを……ううっ……落としちゃったんだもの」
「そうだな……。しかし、そんなものより綾波が体を壊さないか心配で——」
「そんなものではありません!」
こんなに怒鳴り声を上げるのだから、綾波にとっては代えの無い大切なお守りなのだろう。
「すまなかった」
「ぐすっ……怒鳴ってすみません……。でも、あのお守りがあったから綾波は……司令官と結ばれなくても……平気だったのに……」
「なんと……っ!」
「もしもあのお守りが見つからなかったら……綾波は司令官の事を……諦められないよぉ!」
それ程までに綾波の愛は重く、重厚な想いなのだろう。
ならば私がしなければならない事は最早1つしかない。
「司令官……あの、顔が近いです……」
「綾波、どうやら私も覚悟を決めなければならない時が来たらしい」
「あの……そのぉ……」
隠れ小屋で励んでいた綾波は積極的だったのに、今では顔を近づけただけでやたらと照れ臭がる。
そんな女心が、私には全く理解出来なかった。
「ならばお守りが見つかるまでは……私は綾波の愛に応えるまでだ」
「それでは司令官の……本当の気持ちはどうなるのですか?」
「それは……私自身で変えるしかなかろうな」
そう言うと綾波は泣くのを止め、クスリと微笑みながら、私の唇に指を当てて来たのだ。
「でしたらその思いは……受け止められません!」
「な、何故だ……」
「だって綾波は、飾らない司令官と結ばれたいんだもの」
「飾らない私……か。深い事を言うのだな?」
「いいえ、深くなんてありませんよ〜」
とは言え、私もその気持ちを理解出来なくは無い。
寧ろ、喉に小骨が引っかかった時のように腹が立つ。
「ふふ……言いたい事を言ったら、なんだかスッキリしました!」
「綾波、もう探さなくても良いのか?」
「はいっ、もういいです……。無くても平気ですから!」
そう言う綾波の声は震えているのだから、少なくとも平気では無い筈だ。
「司令官、その代わり約束してください!」
「ああ、なんだ?」
「司令官が心から愛している方を、絶対に幸せにしてください。もしも泣かせたり寂しい思いをさせたりしたら、綾波は許しませんからね〜!」
「うむ、分かっているとも!」
絶対幸せにする覚悟はとうの昔に出来ているのだが、やはり断られたらどうしようという恐怖が強過ぎるせいで、そこに行き着くまでの勇気が湧かないのだ。
「それと想いは言葉にしないと伝わりませんから……。ねっ!」
「ぐうう、私に告白する勇気をくれ……」
「それでしたら綾波から潮ちゃんに、きっちりと説得してあげましょうかぁ〜」
「それだけは勘弁してくれ!」
「うふふっ、冗談ですよ〜」
本当に元気を取り戻したのか、綾波は楽しそうに笑っている。
そもそも、私が潮を好きな事は綾波にも見透かされていたわけだ。
ふと気付けば雨も弱まり、気分的に晴れやかになってしまう。
「さあ帰りましょう、司令官?」
「ああ、そうだな」
「おーいっ、綾波ぃー! しれいかーん!」
そんな時、私達を追って来ただろう敷波が、持っているカンテラの光に照らされる何かを持ちながら駆け付けて来た。
「おお、それは——」
「ああっ——綾波の大切なお守り!!」
「ほいっ」
敷波から受け取った綾波は、安らかな表情でお守りを胸元に持っていき、両手でギュッと抱くように握り締めていた。
「綾波ー、帯の中に入れる時はよく考えて仕舞いなよ?」
「ああ、本当に良かった……。神様、本当にありがとうございます」
「って、聞いてないし……全く困ったもんだなー。ねえ〜司令官?」
敷波はニタニタと、嫌味な笑顔を私に向ける。
「なんだ、その顔は……」
「あははっ、司令官ったら罪作りな男だなーって思うと、ねえ?」
「うむ……否定出来ないのが痛いぞ。そもそも綾波は先程、別にお守りが無くても平気と言っていた筈なのだが……」
「あーあ、そんな戯言を間に受けるとかさ、女心知らないんだね。ますます罪な男だわー」
敷波は笑っているが妙に言葉の棘が鋭い気がしてならない。
「ううむ……私も女心を理解するよう勉強しておかねばな……」
主に、娘の渚が大きくなった時の対処として。後は、艦娘達の理解度を少しでも増やす為に。
「まっ、そんな司令官だけど、途轍もなく優しいし、あたし達艦娘の事を考えてくれてるわけだから、ちゃんと答えてあげたくなるわけ」
敷波から尊敬の言葉を貰え、光栄の至りである。
「ううむ……そういうものなのか」
「そうだよ。て言うか……あたしの口から言わせるなよー? 恥ずかしくて死にそうになるんだぞ、本当に」
「すまなかったな、敷波はこういった事が苦手なのに——」
「でも、今の綾波は素直で可愛いですよねぇ〜っ」
突然会話に加わって来た綾波は嬉しそうに微笑みながら、面倒臭そうに目を逸らす敷波の顔を覗き込んでいる。
「ああ、確かに可愛らしいぞ」
「もうっ……こんなの今日限りだよ! 明日はいつものあたしだから司令官も勘違いするなよー! じゃあ、あたし先に帰るから!」
敷波は照れ隠しの為か、スタスタと早歩きしながら帰ってしまう。
「待て、そんなに慌て無くとも——」
「待って敷波! 綾波も一緒に帰るよぉ〜」
私の言いたい事を綾波が代弁してくれたので、今は黙って見守る事にした。
「綾波は司令官と2人だけで帰ればいいじゃん。誰よりも愛してるんでしょ〜?」
「もうっ……敷波のイジワル!」
敷波の隣に駆け付けた綾波は照れながら、敷波の肩をポンポンと叩く。
「ちょっとー、割と痛いからやめてって——」
「だって敷波ったら、イジワルばかり言うんだもの!」
「ああもう、分かったってば……! 素直になれなくてゴメン!」
結局押し負けた敷波が謝ると、綾波は満面の笑顔で手を差し出したのだ。
「うんっ、叩いてゴメンね! だから仲直りも兼ねて、手を繋いで一緒に帰ろ〜」
「全く、綾波はいつも強引だよね……。そういうとこ、結構好きだけどさ」
「うふふっ——綾波も、なんだかんだで優しい敷波が大好きだよ〜!」
敷波は照れながらも差し出された綾波の手を握り締め、2人仲良く雑談しながら帰路を歩き始める。
「うむ。やはり仲良く語り合うのが一番だな」
そんな2人を邪魔せず見守る為、私は彼女達のすぐ後ろを黙って歩いた。
心の底から幸せそうに笑う綾波と敷波の横顔を、じっくりと堪能する為に。
綾波と敷波の絆が更に深まる編、完結。