金剛と情事を行った翌朝、幼い姿の私は明石からこってり叱られ、少しだけ落ち込んでいた。
「提督、昨日は言い訳を考えるのに大変だったよ。もうちょっと気を使って欲しいな」
続いて提督室の隅っこで、昨日の見回り中の件で時雨に気を使わせ過ぎた事が原因で、本人からお叱りを受けている。
全く、提督として情けない限りだ。
「本当にすまない……」
「でも……昨日は可愛い提督をたくさん見られたから許してあげる」
「時雨……ありがとう!」
なんと心の広い事だろうか。
「その代わり今日は僕が提督に付き添うからね。長門さんも納得してくれたよ」
「なんと——しかし、折角の休日が潰れるのに良いのか?」
「いいよ。提督の側にいる方が一人で過ごす休日なんかより、よっぽど楽しいもの」
「そうか……ならば、私からも喜んで頼むぞ」
「うん、改めてよろしくね」
時雨が側にいてくれれば安心だが、だからと言って彼女に甘え過ぎないよう私も気を付けなければ。
「提督、助言を頂きたいのだが少しいいか?」
私の机で代わりに執務を行う長門が呼んだので、すぐに駆け付けた。
「どこが分からないのだ?」
「こちらの任務なのだが、輸送人員に無理が有るのでは?」
どうやらこの件で長門は、輸送任務にしては人数が少ないにも関わらず、輸送に不慣れな酒匂を旗艦に当てている事が気になったらしい。
そこで今回の件は、輸送任務の練度を是非とも上げたいと上申する酒匂たっての希望である事と、熟練者且つ気の利く長波も僚艦にしているので安心だと伝えると、長門は頷いてくれた。
「そうか、ならいいんだ。やはり提督の掌握術には憧れるよ」
「それ程でもないさ」
艦娘達の恋慕事情は、ほとんど掌握出来ていないのだから。
「提督、もう解決したかな?」
「ああ。それでは補給倉庫へ行こうか」
「うんっ。長門さん、あとの事はお願いするね」
「気にするな。時雨も疲れたならいつでも休息を取れ。今日は休暇だろう?」
長門も時雨の体調を気にしている様だ。
「僕は大丈夫だよ」
「ふっ、みたいだな」
「では行ってくるぞ」
「あっ、行ってらっしゃ〜い」
長門の補佐を夢中で取り組んでいた大鯨も出て行こうとする私達に気付き、長門と一緒に見送ってくれた。
補給倉庫へ向かって歩いていると、時雨がふと私の小さな手を握り締める。
「時雨、いきなりどうしたのだ?」
「うん、やっぱり可愛すぎて、つい……。駄目かな?」
「そんな事は無いが……少し照れるな」
よく見ると、時雨の頰もほんのりと紅い。
「うん……僕も同じさ」
「ならば離さないのか?」
少し意地の悪い事を言うと、少しだけ時雨が可愛らしく頰を膨らます。
「……意地悪」
「わははっ、時雨だって可愛いではないか」
「提督……もしかして可愛いって言われたくないの?」
時雨は気に掛けてくれるが、あまり気にしていない。
「そんな事は無いぞ」
「本当に?」
「本当だとも。その代わり私も遠慮なく、時雨達をたっぷり可愛がるがな!」
「ふふっ、提督なりの意趣返しかな?」
「おいおい、誰も恨んでなんかいないぞ」
思わず、時雨の粋な冗談に乗ってしまった。
「うん、知ってるっ。ああ……こんな楽しい時がいつまでも続くといいな」
「ああ、本当にな」
今は私が自由の身の様なものだからこんなにゆったりした時間を過ごせるが、元の姿に戻れば仕事に追われ、時雨ともゆっくり話せなくなる。
そう考えると幼いままでも良いとほんの少し思うが、元に戻らなければ主幹である長門達に迷惑を掛けるので、やはり積極的にサンプルを回収しなければ。
「ねえ、提督?」
考え事をしながら歩いていると、時雨が申し訳無さそうな顔で尋ねる。
「どうしたのだ?」
「昨日の潮が言ってた、提督を一人の男性として愛せないって言葉なんだけど、今でも気にしているよね……」
「あ、ああ……そうだとも」
「やっぱり……」
「やはり潮は、私の様なおっさんよりも美少年の方が好きなのだろうか」
時雨は何度も首を横に振り、否定する。
「ううん、潮は見た目なんか気にしないよ。それに本人も、提督みたいな頼れる人が好きって昨日言ってたじゃないか」
「だが……恋愛対象ではなく、親の様に好きなのだろう?」
「提督……なんだからしくないね。すごく自信が無さそうで儚く見える」
時雨は少し呆れ気味に、私の横顔を見る。
「そうさ。私は元々そんなに強くないのだよ」
特に潮から嫌われる事だけに関しては。
「ふうん……今の提督はなんだか……」
「ははっ、情け無さ過ぎて嫌いになる——ぬわっ!?」
時雨が突如背中から私を抱き締め、穏やかな表情のまま頭を撫でてきたのだ。
「その逆。可愛すぎてますます好きになる!」
「時雨……優しいのだな」
「提督とは比べ物にならないよ。僕は皆を平等に愛するなんて器用なこと出来ないもの」
時雨が屈んで私と顔を合わせ、爽やかな笑顔を見せてくれる。
「平等には愛しているつもりだが、やはり潮だけ特別扱いではな……」
「うーん……難しいね。いっそ、潮も僕の様に巻き込んでみる?」
時雨がとんでもない冗談を言う。
「なんなら僕が説得するよ。これで潮ともいい肉体関係を築けるんじゃないかな?」
「それは駄目だ。肉体関係だけでは潮の本心は掴めんよ」
「へぇ……じゃあ僕の場合はどうなるの?」
「どうとは?」
時雨の言いたい事がよく分からない。
「僕が漣から魔法の言葉を聞いて、提督に迫った事は覚えてるよね?」
「あ、ああ。時雨の想いは“あの日”に十分教えて貰ったよ」
「それで提督と繋がった後、僕はそこから提督の愛を一層求めたくなったんだよ?」
「なんと……」
てっきり時雨は私の事を諦めていたと思ったので、驚きを隠せなかった。
「だからね、潮とも関係を持ってから少しずつ築いていけばいいんだ」
「しかし……それでも私は……純粋な潮を汚す真似など……」
「そんなの……提督はズルいよっ。僕はこんなに我慢していると言うのに!」
珍しく時雨が怒鳴るが、うじうじしている私が悪いのだ。
「僕だって、提督が潮と結ばれれば諦めが付くんだ!」
「時雨……そんな顔をしないでくれ」
ボロボロと悲痛に泣き喚く時雨など、見たくない。
「それに提督だっていつまで経っても潮に想いを打ち解けないし、未だに皆を平等に愛するって言って逃げるんだもの! そんなのズルい……僕だって、提督を誰よりも愛しているのに!」
時雨からあらいざらいの言葉を聞いた瞬間、私は頭が真っ白になった。
「あっ、提督違うの……今のは忘れて……」
「ははっ、そうだよな……」
そう、私は艦娘達を愛しているつもりでいただけで、実際は肉体を求めていただけなのだ。
「改めてみれば私は、艦娘達に愛を与えるつもりが、ただ肉体関係を求めていただけに過ぎない獣物ではないか!」
「違うっ……違うから!」
「むう!?」
ボロボロと泣き続ける時雨が、私の顔を胸に埋めるよう抱く。
「提督はケダモノなんかじゃない……ぐすっ——僕達艦娘の事を誰よりも考えてくれるし、どんな無茶な要求にも……ひぐっ——応えてくれる……海の様に心の広い人だよ!」
「ひ、ひふへ……」
時雨の胸の痛みが、彼女の心音から伝わる。
「それに……僕だってケダモノみたいに……ずずっ——提督を求めていたんだから!」
「ひ、ひふへ——ふふひい! ははへー!」
いや、それよりも酸素が無くなりそうだ。
「はっ——提督ごめんね!」
「ぷは——ぜえ、ぜえ……昨日から……死にそうな思いばかり……だあ」
あと十数秒時雨が抱いたままだったら、私は気絶していただろう。
「ああ、僕というものが熱くなりすぎた……恥ずかしいな」
時雨が大粒の涙を拭いながら無理に微笑んでいたので、居た堪れなくなる。
「いや、時雨のおかげで私も決心が着いたよ」
「提督……潮に打ち解ける覚悟が出来たんだね?」
「ああ! 私は潮にこの想いを打ち明けるぞ!」
「うんっ、いつもの自信満々な提督だ」
時雨は完全に泣くのを止め、心から微笑んでくれていた。
「例え潮に断られようとも……断られたら……どうすればっ」
「提督……はあっ……」
頭を抱えて悩む私を見て、時雨が溜息を吐いている。当たり前だが。
「ふふっ……その時は提督が嫌がっても、僕がお嫁さんになるから安心しなよ」
「し、時雨……ああ、なんと優しい子なのだ」
「さあ提督、そろそろ補給倉庫に行かないと、お昼になってしまうよ?」
「ああ、それでは行こうか」
「うんっ」
とても頼りになる時雨が支えてくれるから、打ち明ける勇気が湧くのだ。
それから時雨と手を繋いで歩きながら数分後、主に弾薬や鋼材にボーキサイト、その他にも木材や艦娘達の着用する制服に使用する素材等々が、整然且つ能率的に区分けされた補給倉庫内へと辿り着いた。
「あれ……時雨っ、男の子も一緒じゃないの〜!」
私達の存在に逸早く気付いた夕張が、新たに入荷された資材の仕分け作業を中断してこちらへ来て、私の頭を撫でてくれた。
「ああ〜ん、可愛い〜」
「あははーっ」
「夕張さん、仕事は捗ってるかな?」
「ああうん、まあねえ……。ところで時雨、この間のスペシフィック按摩の心地は——もごっ」
「ちょっと夕張さん、ここで言わないでよ!」
顔を真っ赤に染めた時雨が、やたらと慌ただしく夕張の口を塞ぎ込む。
「ねー、スペシフィック按摩って何ー?」
「うっ……」
まあ大体想像は付くのだが、新たな時雨を見れそうな気がしたので、子供の振りをしたまま聞いてしまった。
「ぷはっ——あら、キミも興味あるー? 男の子用のもあるんだよ!」
「うっ——!?」
そう言えば、漣と初めての関係を持ったあの日、私の尻穴に無理矢理突っ込まれたあのウナギ型の柔らかいバイブが確か、この夕張が開発した物である事を思い出した。
そして、その独特の滑らかな感触と痛気持ち良さを思い出し、血の気がサーッと引いてしまう。
「ふふ……是非ともキミも試しなよ。そう言うの好きなんだよね?」
「はい、時雨。これ試供品だからあげる」
夕張が隠し持っていたウナギ型バイブ——正に漣が使っていた物の小型改良版を、穏やかに笑う時雨が受け取り、恐怖と妙な快感で身震いする私に見せ付けてきた。
「し、時雨お姉さん……ごめんなさい!」
「あら、綺麗な一礼。よく訓練されてる〜」
私が真摯に謝る姿を夕張が面白がっている横で、時雨はそのバイブを静かに懐へしまった。
「今日の夜は……熱くなりそうだね」
「あ、うああ……」
これはもしかしなくても、今日のサンプル採取に付き合う眼差しだ。
何せ今日は、扶桑が担当なのだから。
「さあボク、せっかくだから補給倉庫の中を見学する?」
「う、うん……頼むよ……めげそうだから」
「よ〜し、じゃあ簡単に案内するね。時雨、その子の手を離しちゃ駄目だよ?」
「任せてよ」
時雨が強くがっしりと、私の手を繋ぐ。
まるで逃がさないとでも言わんばかりに。
「では、まずはこっち——」
無理やり気を取り直した私と、やや不機嫌に感じる時雨は、まずは夕張から鋼材が保管してある区分に案内された。
「まあ見た通りの鉄置き場だけど、この沢山の資材が私達の艤装の主原料だから、これが無いと戦う前準備すら出来ないのよね」
「おおー……綺麗に整頓されてるー」
夕張達が確実に仕事を熟していると言う証拠である。
「あの子達もせっせと頑張ってくれてますからねー」
夕張が指差した先で、大潮や荒潮に霰が丹念に鋼材を積み重ねている。
どれだけかさねても崩れないよう、細心の注意を払いながら積んでいたのだ。
切りのいい所で仕事を中断した大潮達が私の方を向き、それぞれ違った色の笑顔で手を振りながら歓迎してくれる。
私も満面の笑顔で手を振り返すと、うっとりと微笑み返してくれたのだ。
「皆ー、あと二十分でお昼だからそれまで頑張ってー!」
夕張の大声を聞き、和気藹々とした声が返ってくる。
「さて、次はあっち——」
次に案内されたのはボーキサイト専用倉庫だった。
そこに入る前に私と時雨は、マスクを先に着けた夕張から同じ物を渡される。
「この中はかなり肺に悪いから、絶対に着けておいてね」
夕張は、塵肺を患いやすい事を考慮して気を使ってくれる。
故に私も時雨も積極的にマスクを着用した。
「さあ、どうぞー」
奥の方に案内されると、ボーキサイトからアルミニウムを精錬する為の巨大な水槽が有るのだが、その水槽の前で仕事をする最上と能代を見守る明石の姿があった。
「あらー、ボクったらこんな所まで見に来たのね?」
明石は私の存在に逸早く気付いたが、二人は精錬に全神経を集中させている様で気付いていない。
「この人が私の総開発師匠でも有り、途轍もなく尊敬できる工作艦の明石さんなんだ!」
もうトラウマが出来そうな程に知っているが。
「夕張ー、お子さんをこんな所に案内しちゃ駄目でしょー。肺に悪いし」
「堅いこと言わないでくださいよー明石さん。もしかしたらこの子だって将来、提督の様な凄い軍人になるかもしれませんし」
「うん、確かに間違いなくなるよね」
私の事を知っているからこその、時雨の発言である。
「あはは、じゃあ改めてボーキサイトとはどんな物なのか説明するね——」
夕張は、精錬したアルミニウムや、精錬物に溶かした銅を少しだけ混ぜて作るジュラルミンを、艦載機の資材として使用している事を子供に教えても分からないほど専門的に説明してくれた。
加えて補足事項に、防錆剤の必要性と作成方法なども教えてくれるのだから、よほど説明好きなのだろう。
「——とまあ、こんなところかな」
「へえー……すごいねー」
精錬方法自体は過去に学んでいたのだが、おまけの様に聞いた防錆塗料の話は初めて聞いたので、素直に感心してしまう。
「夕張、改めて僕も勉強になったよ」
「うんうん、時雨はこう言うの好きだものねーっ。うーん……ボク的にはどう? 説明するのが楽しくて思わず専門的になったけど、分かったかな?」
「うん、なんとなくー!」
「おお、偉いね〜」
夕張が嬉しそうに私の頭を撫でるが、その横で明石が笑いを堪えていた。気持ちはとても分かるが。
「それでは明石さん、そろそろ失礼しますね」
「じゃあ引き続きその子の面倒をお願いねー。時雨も頼んだよ?」
「うん、任せて」
マスクを外した私達が次に向かった弾薬庫なのだが、入り口を警備する摩耶に止められてしまう。
「おいおい、この先は子供にゃ危険だから通せないぜ」
「ええー。そこをなんとか出来ませんか?」
「僕からもお願いしていいかな?」
「駄目だ。そもそも規則で部外者は立入禁止なんだぞ」
うむ、摩耶がしっかりと警備任務を熟していて安心である。
「お姉ちゃん、中はいいから弾薬ってどんな物なのか教えてよー」
「あん? まあそれぐらいならいいか……おしっ、この摩耶様がいっちょ教えてやるぜ!」
「お願いしまーす!」
摩耶は弾薬の種類やその威力、使用用途を子供でも分かるよう遊び心を取り入れながら説明するが、公にしてはならない内容は伏せており、安心して聞いていられた。
「——まあ、こんなもんだな」
「うん、だいたい理解できたー!」
「摩耶さん、とても理解し易かったよ」
それに、時雨にもいい勉強になる。
「ははっ、当たり前だろ? じゃあ将来有望な坊主に……これやる!」
摩耶が懐から二十五ミリ機銃弾を掌に収まるほど小さくした精巧物を取り出し、そのまま私にくれた。
「お姉ちゃん、これ貰っていいの?」
「あたしが趣味で作った奴だし、まだ沢山あるから気にすんなって!」
「わっ——」
朗らかに笑う摩耶が、私の頭を豪快に撫でる。
「お前も将来軍人希望なんだろ? だったらそれをお守りにして頑張りなっ。そしたら弾薬庫だろうが何だろうが見放題だ!」
「うんっ、ありがとうお姉ちゃん!」
「気にすんなって!」
摩耶の爽快な面倒見の良さは、不思議と落ち着く。
「あはは、摩耶さんは上手いな〜」
「でも、頑張ろうって気が湧くね」
「へへ、あんたらも頑張りなよ。まあ時雨は落ち着いてっから心配してないけどな」
褒められた時雨は嬉しそうに微笑んでいる。
「ありがとう、摩耶さん」
「ええー、私はどうなんですかぁ!?」
「夕張はもう少し落ち着け。焦ってばっかじゃ下に舐められんぞー」
「あうう、気を付けまーす……」
落ち込む夕張の背中を、時雨が優しく摩っていた。
「夕張さん元気出して? もうすぐ昼食だし、いつものお礼で僕が奢るから」
「時雨、ありが——」
「おいおいっ、それはマジで言ってんのか!?」
奢りという言葉に食い付いたのは摩耶の方で、時雨は苦笑いしていた。
「摩耶さんも一緒にどうかな?」
「おう。是非とも行くから、ちょっくら鳥海と交代してくる」
そう言い残し、忙しなく弾薬庫内へ入っていく摩耶であった。
「あははぁ……摩耶さん忙しい〜」
「元気いっぱいだねー」
「そうだね」
それから弾薬庫から戻った摩耶は、共に来た鳥海に警備を任せ、私達三人と一緒に昼食を兼ねた休憩を取る。
間宮食堂にて私達は、昼食を取りながら他愛無い会話で盛り上がっていたのだが、なんと時雨の奢る発言に反応した摩耶が「今日はあたしの奢りだ。文句は言わせないぜ」と気前良く言い、私達全員の昼食代を奢ってくれたのだ。
これは予想外だと思った私がどうしてと聞くと、最初から皆に奢る気だったと笑顔で返される。
続けて、軽巡や駆逐艦娘達に頑張って任務に励んでもらい、自分は楽したいと声を大にして言ったので、きっとそれが本音なのだろう。
そんな摩耶に私達三人は御礼を言った頃には休憩時間も終わりを迎え、摩耶と夕張は補給倉庫に、私と時雨は提督室へとそれぞれ戻って行く。
「提督、補給倉庫の皆が真剣に働いていて良かったね」
「うむ。元から信じてはいたが、私の想像以上に働いてくれていたぞ」
これならば、仮に私が転属する事になっても鎮守府は問題なく回る。
「ねえ提督、今の提督の考えを当ててあげようか?」
「ん? 言ってみなさい」
「転属しても僕達なら大丈夫って思ってる。そう顔に書いてあるよ?」
流石時雨だ。私の思考を充分過ぎるほど理解している。
「ははっ、やはりこの鎮守府は安泰だな」
「でも、それは大きな間違いだよ?」
「何故だ? 私よりも優秀な提督など、この世に沢山いるぞ?」
「そうだね、優秀な人は沢山いる。でも提督みたいに有り余る抱擁力がある人は絶対にいないから」
時雨は少し俯き気味に言う。
「なるほど、だけど安心しろ」
「えっ……提督?」
元気付ける目的で時雨の手を私の小さな両手で握り締めたものだから、少し驚いたのだろう。
「私は定年するまでの間、ここに所属する事になっているのだ。司令長官の命令でな?」
「うん……知ってる。ありがとう、提督っ」
少し涙を溜めながら時雨が笑ってくれ、私も釣られて笑う。
「わははっ、時雨は本当に寂しがり屋だな」
「うん、僕は温かい人が隣にいないと寂しくて死んじゃう弱い子だもの」
「ならば大丈夫だな。時雨の周りは熱い艦娘達ばかりなのだから」
「ふふ……そうだねっ。特に白露なんて——」
そうして私達は白露型姉妹艦の事を面白おかしく語り合いながら提督室に戻り、そこでも長門達の邪魔にならない範疇で色んな事を話し合ったり、執務の手伝いをしていると、あっという間にサンプル採取と言う名の夜伽が訪れる。
「提督、扶桑から許可を貰っているから僕も一緒に入るね」
工廠の地下にある明石の秘密の寝床入り口前で、目を輝かせた時雨が小さなウナギを私に見せ付けた。
「ぐう……あのとき変な事を言うんじゃ無かった……」
「安心してよ。僕は提督のお尻にこれを挿れるだけの係だから」
それが一番怖いのだが、何故か胸が高鳴って仕方ない。
漣の時は快楽と激痛の狭間だったのだから。
「分かった……では入るぞ」
「うんっ」
部屋に入ると、煎餅布団の上で正座している扶桑が私に正対し、淑やかに頭を深く下げてから、安らかに微笑む顔を上げてくれた。
「提督、私はこの時がやって来るのを心からお待ちしておりました」
「扶桑、とても綺麗だね……思わず見惚れちゃうよ」
扶桑の艶姿を見た時雨が、うっとりとしている。それほど美しいのだ。
「時雨、有難うね」
「扶桑、本当に良いのだな?」
扶桑は何も言わずに着物の帯を締め、衣をずらして鎖骨を露わにする。
「うふふ、私も乱れたくて……堪りません」
「ああ、私も一緒だ!」
その姿に興奮した私は小さな制服と下着を全て脱ぎ捨て、ゆっくりと扶桑に体を寄せた。
「ああ……可愛い提督が隣に……それにもう大きくなっていて……失礼しますね」
「ぬうっ……扶桑の手、とても柔らかいのだな」
扶桑は私の単装砲を握ると、とても慎重に上下へ擦り始めた。
「どうですか、提督?」
「物凄く……気持ち良いぞ」
「良かった……次は唇を、頂きますね……」
「んむっ——」
私に唇を重ねた扶桑が舌をねじ入れ、ちゅくちゅくと清楚な水音を鳴らしながら、口内をかき混ぜてくれる。
「んちゅ……くちゅ……ちゅるんっ——あぁ……提督のお味、癖になりそうよ……」
気付けば扶桑の扱く手の速さが上がっていた。
「あ、くうっ……少し早い……手を休めてくれっ」
「あら、いけない。興奮していて加減を忘れてしまいました……」
扶桑が扱くのを止めると、何時の間にか全裸になった時雨に視線を送る。
「はぁ……うぁんっ……提督と扶桑が……淫乱な僕を見て——ひうぅっ」
「時雨、一人では寂しいでしょう? こちらに来なさいな……」
時雨は扶桑に声を掛けられ、割れ目に差し込んでいた私の尻に入れる予定の改良版ウナギを抜き取り、ゆっくりとこちらに近付いてきた。
「はぁ……ふぅ……。うん……僕も提督を……満足させたいから……」
「ふふっ……時雨の好きなようにするといいわ。ねえ、提督もそう思うでしょう?」
「ああ……私は時雨に……犯されたい」
自分でも何を言っているのか理解出来ないが、扶桑と時雨の熱に当てられた私は妙な衝動を抑えきれないのだ。
「うん……沢山犯してあげるから、僕にお尻を向けなよ」
「頼む……早くして欲しい!」
何故か私は自らの意思で、時雨に尻を差し出していた。
「時雨、壊れないように細心の注意を払うのよ……?」
「安心して……あむ——ぬちゅっ、ぐちゅぐじゅっ」
振り向いて見た時雨がウナギを口淫し、唾をたっぷりと絡めている。
「ぬじゅっ——うん、こっちはこのくらいで良いね……次は提督をほぐさなくちゃ」
「ぬあああっ——時雨!!」
時雨の指が私の尻穴に入ったかと思えば、ぐちゅぐちゅと音を掻き立てながら拡張するよう掻き回してくれた。
あまりの気持ち良さに単装砲がガチガチに勃起し、何もせずとも射精しそうになってしまう。
「うん、だいぶ拡がったね……ふふ、提督のお尻、ひくひくしてて可愛いな」
「ああ……はぐう……なんと言う気持ち良さだぁ……」
「提督、私の上へお座りくださいませ……」
「はあ……はあ……失礼する……」
扶桑の後ろ首に腕を回し、巨大なおっぱいの谷間に顎を乗せるよう座って抱き締めると、彼女が単装砲を両手で握り締めて来た。
「ぐああっ——ふ、扶桑……気持ち良すぎる!」
「あふっ……私も同じです。こんな近くに可愛い提督がいるのですから……」
「提督、少しだけ脚を広げて?」
「ああ、こうか——んぎぃっ!?」
時雨に言われて脚を広げた次の瞬間、私の尻穴へウナギバイブがズブリと挿し込まれる。
「提督っ、痛くなかった?
「あが……ぐうぅ……大丈夫だぁ……ぐ、うう……」
全く痛くは無いのだが、意識が飛びそうな程気持ち良くて堪らない。
「提督のお○んちん……とっても熱くてぬるぬるで……ふふ……こうしたくなっちゃいます」
「うぎっ——は、速い、速すぎるぞ扶桑!」
扶桑も相当興奮しているのか、竿を扱く両手の速度が尋常では無く速い。
しかもその度に彼女の圧迫感ある下乳が雁首を包むように押し当たって擦れ、加えて時雨がバイブを前後に動かすものだから、快楽の域を越えて昇天しそうになる。
少しでも意識を保つ為、私は扶桑を力強く抱き締めていたのだ。
「提督、すごい震えてる……そろそろ出そうなのかな?」
「んっ、提督、このまま出してくださいっ、とても楽に、なりますからっ」
「あっ——がっ——もう、でっ——うがああぁぁー!!」
「きゃあっ——すごいっ! すごいわ、提督の!」
あまりにも呆気なく果てた私は全身を痙攣させながら、どびゅるどびゅると尋常では無い量の子種を扶桑の下乳の谷間にぶち撒けてしまい、彼女の顎とおっぱいと腹部を汚してしまう。
「がはっ……はあ……はぐう……はあ……ぜえ……」
「今の震え方は凄かったよ……こっちにも振動が伝わったもの」
興奮気味に話す時雨に対し、私は子種まみれの扶桑のおっぱいへと力無く項垂れ、呼吸を整えていた。
「よしよし……頑張ったわねぇっ」
「あっ、もう抜くね?」
「んがっ——あぎひぃっ!?」
時雨は優しく抜いたつもりなのだろうが、それが逆に私の感部を最大限まで刺激し、完全に萎れていた単装砲を再びガチガチに勃起させる。
「提督ごめん、一気に抜いた方が楽だったのかな……」
「らい……じょうぶだ」
あまりの気持ち良さに、少し舌が回らないが。
「あらっ……とっても元気ね……このままサンプル採取、してしまいますか?」
「あっ、もう本番するんだね……じゃあ、僕は外で待って……」
「駄目よ時雨……逃がさないわ?」
「えっ……僕が、ここにいてもいいの?」
扶桑は私を抱えたまま、首を縦に振る。
「当たり前よ……時雨も気持ち良くなってくれるまで、一人にはさせません」
「扶桑……本当に、ありがとうっ」
「さあ、泣いてないで股を広げたまま、そこに座りなさい?」
「恥ずかしいけど……こうかな?」
扶桑に言われた通り、顔を真っ赤に染めた時雨は煎餅布団の端で股を広げたまま座り込む。
すると扶桑が時雨の割れ目に顔を近付けるよう四つ這いになったのだ。
「ちょっと扶桑っ、それ駄目、恥ずかし過ぎるよ!」
「うふふっ……提督は私に気を使う事なく、私のお○んこを犯してくださいませ……」
扶桑は言いながら、自分の割れ目を両指でぱっくりと開いた。
「扶桑、なんと美味そうな貝なのだ!」
「うふふっ、気に入って下さって良かったわ……。では、最後は三人でイきましょうっ」
「あにゃっ——扶桑、それだめっ、だって!」
気にせず扶桑は、顔から火が出そうなほど恥ずかしがる時雨の割れ目を舌で舐め始めた。
「ぐう……扶桑っ、私も我慢など出来んぞ!」
「あんっ、提督来て——きゃああうぅぅっ!」
自慢の単装砲から処女を貫かれて悲痛な声を扶桑は上げるが、理性が置き去りになった私は気にも留めず彼女の大きな尻を両手でがっちりと固定し、パンパンと腰を振り続けてしまう。
「うぞっ、これ——気持ち良すぎっ、ますぅ〜っ!」
「ふやぁっ、提督の、可愛い顔——目の前にっ、らめっ、扶桑やめてぇ〜っ」
蕩けそうな顔の時雨はそう言うものの、扶桑の頭を退けようとはしない。
「うぁんっ、提督〜っ、もっと欲しいのっ——だから激しく、突いてぇ〜!」
扶桑も淫らな喘ぎ声を上げ、私を求めていた。
とにかく私は、二人と一緒に心底から快楽を求め、もはやサンプル採取の事など忘却し、ただひたすら腰を振り続けてしまう。
「扶桑っ、時雨っ! 二人とも愛しているぞ!」
「んやぁっ、提督、僕も……愛しているから!」
「ずちゅっ——私もっ、時雨を愛しっ、提督を心からっ——んやぁんっ、お慕いしておりますぅ〜!」
部屋の中いっぱいに甘美な香りが立ち込め、淫らな水音が響き、それが数分も続けばもう限界が訪れる。
「扶桑っ、もはや限界だ! もう出すぞ!」
「あにゃぁっ、僕もぉ〜、いく、イッちゃいそぉっ!」
「ずじゅる——私も同じよっ、みんな、一緒にっ——ぴちゃぴちゃ、るちゅん」
扶桑の子宮へたっぷり子種を植えたい一心で、尋常では無い速度で私は腰を振る。
「ぐあっ、もうっ——出すぞおおぉぉ!!」
「ひぎゅっ——ふやああぁぁ〜っ! イッちゃいますううぅぅ〜っ!」
「僕もぉっ——ふにゃああぁぁ〜っ、ふそうにっ、かかっちゃうよぉ〜っ!」
子宮に雁首を捩込む想像をしながら腰を力強く押し付けた私は、残っている子種を全て注ぎ込む。
同時に扶桑と時雨も全身を痙攣させて絶頂し、大量の潮を吹き出して布団を湿らせていた。
「ぐっ、うう……扶桑の膣内……締め付けてくるぞ……」
「ああ……提督の熱いものが……中で暴れてぇ……」
「はあ……はあ……扶桑の顔に、こんなにいっぱい掛けちゃって……ごめんなさい」
やっと射精が止まった頃、横に置いてあった小さな試験管が目に入ったので手に取って蓋を開け、名残惜しいが単装砲を抜いてから、扶桑の初めての証が混じった精液を採取した。
「あんっ……提督のお○んちん……もっと味わいたかったのにぃ……」
「うっ、すまない……」
「扶桑の気持ちはとても分かるけど、今回は……ね?」
「そうよね……提督を元に戻す為だものっ」
時雨の言葉に納得し、扶桑が笑顔を取り戻す。
「扶桑、時雨……サンプルは無事に採取したのだし、しばらくは三人で横になって話そうではないか」
「うん、提督に賛成するよ」
「私も同意見です! ……可愛い提督の温もりを感じていたいですものっ」
三人仲良く寝そべる事が決まった瞬間、煎餅布団の上へ私を挟む様に時雨と扶桑が抱いて寝そべり、とても楽しく語り合ったのだが、一時間経っても出て来ない私達を心配して入って来た明石が若干呆れた顔でサンプルの入った試験管を受け取り、後はお好きにどうぞと言い残して部屋を出る。
最後は少しバタバタしてしまったが、私達三人の中では非常に熱く残る忘れられない想い出になり、本当に良かった。
もう二度とこんな楽しい事が出来ないと思うと少し残念だが、漢らしく諦めなければ。
そう、近い将来の為にも。