いい加減ゲス主人公も書き飽きたので、今作ではそれなりに純粋な主人公を描こう……そう思っていた頃もありました。
今日のみ日三回更新です。朝九時、昼十二時、夜九時、に投稿します。エロのある第二話を提供したかったのでこうしました。読む人は注意して下さい。
「いやぁ、やっと決まったねぇ」
「…………………………」
「あれ? やっぱり怒ってる?」
やっと決まったねぇじゃねぇよ! ふざけんな! 俺より十人以上後に死んだ人間が先に転生していったんだぞ! 俺はそんな内心を必死に押し殺した。相手は腐っても神だ。不満なんて述べたらどんな仕打ちをされるかわかったものではない。
「いや、君、私が君の心を読めること知っているでしょ」
知っている。だが心の声は止めようがない。ならば少しでも口に出さずに、押し殺した俺の謙虚さを見てもらおうと思っただけである。
「なるほどねぇ。まあいいや。話が進まないからさっさと転生について説明しよう」
OK。カモン!
「君にはゲーム、Fate/stay nightの世界に転生してもらうよ」
――絶望が、心を襲った――。なんて表現している場合じゃねぇ! snの世界だとぅ! どう考えても超危険な世界じゃねーか! ……あ。
「あの、その世界がどんな結末を迎えるかとか聞いてもいいですか?」
「聞くのは自由だよ。答えないけどね」
それでは聞いた意味がない。……しかし、結末がわからないのか。……………………それじゃあ原作介入するしかないじゃないか!
「だねぇ」
だけどあんな恐ろしい原作に介入なんてできるか! 回避できる道を探さねば。
「と、特典。特典が付与されるかも知れないという話はどうなったのですか!?」
それがあれば何とかなるやもしれぬ!
「かなり遅れてしまったからね。お詫びとして二つだけ特典を与えてあげよう」
「な、なら! 俺は原作の三百年前に生まれt」
「あ、それ無理」
ファ○ク!! クソッ、畜生! 原作から三百年前の日本に生まれれば聖杯戦争に巻き込まれなくてすむと思ったのに!
「特典は二つ許したけど、出生については決まっているんだよねェ。冬木市新都で第五次聖杯戦争が開始される時に十七歳になるよう生まれるよ」
フ○ック! ファッ○! どう考えても死ぬ! くそぅ!
「だからその為の特典でしょ。さあキリキリ決めなさい」
二つの特典か。それなら俺は…………。
§
出生:第五次聖杯戦争が開始される時に、十七歳になるよう冬木市新都で生まれる。
特典その一:魔術回路。魔力量は遠坂凛の二倍。起源は「譲渡」
特典その二:絶対催眠能力
一つ、絶対催眠とは、意思ある存在ならば必ずかかる催眠である。
一つ、絶対催眠とは、対象者の肉体・精神・魂全てに効果がある催眠である。
一つ、催眠のかける方法は二つ。
・目を合わせて頭の中で考えたことを相手に刷り込む。
・発声した内容を聴覚でとらえた相手に刷り込む。
一つ、能力をかける対象は自由自在に頭の中で選別できる。
§
「……はっ」
それから俺はあまり自由に動かない体で情報収集に走った。その結果を話そう。
まず、既に第四次聖杯戦争は終わっていた。あの大火災が発生した後なのだ。で、俺はその火災の被害者って訳。んで、当然今の俺は七歳だ。第五次から十年前の第四次の直後なのだから当然だ。どうして? 転生するんじゃなかったの? という疑問があるだろうが、ことは簡単だ。つまり俺は七年前にちゃんと転生したのだろう。だが七歳の子供にできることなどなく、大火災に巻き込まれた。そして、あまりのショックに七歳までの記憶を忘れてしまったということだ。転生前の記憶が残っている理由? 脳に物理的に記憶されているんじゃなくて、魂にアストラル的に刻まれているんじゃない? ……とにかく、今の俺は原作主人公衛宮士郎に近い。心が完全に死んだという訳だ。時折頭の奥でチリチリと赤い太陽のようなものが垣間見える。くそぅ、転生したってのに士郎と同じになっちまった。何やってたんだ記憶を失う前の俺は。絶対催眠があるならそれで家族を旅行に連れ出すとかできたじゃねーか!
今の俺は士郎と同じ状況だ。病院で火傷の治療を行っている最中なのだ。当然の如く両親(家族)はいない……火災で死んだのだろう。身よりがない。これじゃあ王様の魔力供給タンクに一直線じゃないか! いやだー! ミイラはいやだー!! ま、待て、落ち着け俺。とにかく普通の施設とかに入れるよう手続きをすればいいのだ。俺を引き取ろうとする言峰は絶対催眠で諦めさせればいい。それで当面の危機は回避できる。
と思っていたら、何と親戚が会いにきてくれました。どうやら病院側で名前がわからないから今まで会えなかったらしい。深山町に住んでいる母親の弟さんだ。彼は自分の妻である女性と一緒に、俺を引き取りに来てくれた。ミイラ問題クリアー♪ すまんな同じ境遇の子供達よ。大人しく王様の供物になってくれぃ。どうせ絶対催眠で止めたって言峰は魔力を供給できる人間を探すんだ。必ず誰かが犠牲になるのだから、誰がなっても一緒だろ(最低)。え? 言峰を殺せば供給タンクになる犠牲者を防げるんじゃないかって? そんなことしたら王様に警戒されて殺されるじゃん。そんなの嫌だよ。
さて、叔父夫婦に引き取られて半年が経過した。そろそろ動きますかね。
§
今俺は、ご町内でも結構有名な遠坂さん家に来ています。立派な洋館だなぁ。チャイムを鳴らす。
「貴方、うちに何かご用ですか?」
遠坂凛だ。うわぁ、ちっちゃい。
「魔術についてご内密に話があります」
「――!!」
首根っこを引っ掴むようにして家の中に入れられた。
「往来で魔術なんて単語を口にするんじゃないわよ!!」
ガーッと怒られた。頭が痛い。暴力系ヒロインはすぐアンチされちゃうんだぞ遠坂。とりあえず、居間に通されたので名乗る。
「
俺は平平凡凡な自分の名前を名乗る。さーて、大変だが頑張って説明しないとな。そして俺は説明した。自分が大火災に巻き込まれた被害者だと。それで両親が死ぬことになったあの災害を調べていくうちに魔術というものに辿り着いたと。この町の
普通に話せば一般人が魔術を知り得たとか、魔術を教えて欲しいとかは信じてもらえず、拒否されるだろう。だから目を合わせて絶対催眠をかけた。俺の言うことは極力信じるように。俺の頼みは同じくできうる限り叶えるようにと。しかし普通なら始末される。おっとっと。俺に攻撃できないように、とも慌てて催眠をかけた。原作の突然BadEndを踏襲してどうする。とにかく俺は例外として認めてもらわなければ。
「…………………………………………事情はわかったわ。でも魔術について教えることは……」
「遠坂さん。これはあまり言いたくなかったのですが、私は魔術の被害者ですよ。それも多分貴方の父親も関わっている災害の、です。遠坂家の当主となった貴女に、被害者である俺に説明してもらいたい」
更に催眠で説明しろと暗示をかける。普通に考えりゃ父親が関わった災害の被害者なのだ。説明する責務は確かにあるのだろうが、魔術が邪魔をする。魔術の秘匿はとても大事なものとして教えられているだろう。そう易々とは話してくれないはずだ。ってだから始末されるんだってば。物騒な思考ができないように催眠催眠。催眠のオンパレードである。
「…………はぁ。……仕方、ないわね…………」
そして会話が始まった。聖杯戦争についてだ。ここら辺は長いので割愛する。
………………説明中………………。
「そういうことだったのですか。そして私は、死んだ両親は、あの災害の被災者全員は、戦争にただ巻き込まれただけだったのですね」
「……そうね」
「大火災の真実についてはわかりました。では次です。俺に魔術を教えて下さい」
「貴方、どうしてそんなに魔術を教わりたがるの? 自分に被害を与えたものを」
普通は疑問に思うだろうな。理由はちゃんと用意してある。
「自衛の為です」
「自衛?」
「ええ。例えば変質者に襲われたら、防犯ブザーを鳴らしたり防犯スプレーを使ったり、警察に駆け込んだりして自衛するでしょう。事故や病気に遭っても、それぞれ警察や病院を頼ります。――でも、魔術はそうはいきません。これから先の人生で、同じような魔術による災害や、魔術師による襲撃などがあった場合、自分の身を守れるのは魔術だけです。ですから俺は、自分の人生で魔術による被害を受けそうな時に自衛できるよう魔術を習いたいのです」
「…………」
もっともらしい理由。しかしこれは減点だ。魔術師とは基本的に根源へと至る為に魔術師になる。自衛の為だろうが何だろうが、使う為に魔術を習うならそれは魔術使いだ。
「私はもうこれ以上、自分の人生で魔術による被害を受けたくありません。教えて、くれませんか?」
「そんなこと言われても」
遠坂は困っている。
「魔術を教えてもらって俺が魔術師になれば、先ほどの話をしたのが魔術の秘匿違反にならなくなりますよ」
一般人に魔術を知られるのは厳禁だが、その相手が魔術師になってしまえば同じ身内。秘匿もクソもない。
「じゃあせめて、俺に魔術が使えるかどうかだけ調べてみて下さいよ。魔術が使えないなら教えてもらおうと頭を下げている今の行為が全て無駄になりますからね」
魔術回路の有無を調べてもらう。遠坂は渋っていたがとりあえず調べてくれた。良し。俺はちゃんと魔術回路を持っているからな。これで後はなし崩しに魔術を習う流れにもっていこう。
§
――では、何故俺が危険な原作介入をするか、その訳を話そう。って言っても簡単なんだけどね。このFate/stay nightは原作がPCゲームだ。そしてそのEnd数は実に四十以上! しかもその内の大半をBadEndが占めている。つまり、この世界は四十分の一の確率で一つの未来へ辿り着くのだから、「確率的に言ったら、BadEndになる確率の方が圧倒的に高い」ということになるのだ。主人公の衛宮士郎が最初の教会で戦うことを選ばなかったらどうする? バーサーカーにあっさり殺されたらどうする? キャスターに、ライダーに、サーヴァントに殺されたら、マスターに殺されたら。――その時、聖杯はどうなる? 十中八九言峰に裏切られた遠坂が負けて、言峰が聖杯を手にするはずだ。そしたらどうなる? 日本どころか世界の危機である。どこにいても安全ではない。原作介入なんて馬鹿らしい、と俺を罵る人もいるかもしれないが、良く考えてみてくれ。――この世界がTrueEndやGoodEndを迎える可能性がどれだけ低いと思っているんだ。この世界がBadEndを迎えないという保証でもあるのか? ないなら俺は、原作を知る俺は介入しなくちゃいけない。衛宮士郎が死なないように。TrueEndのような幸せな終わりを迎える為に。だから、俺は原作介入する。力を持って!!
後書き
主人公の名前。他のSSで使った
遠坂との会話を読んでくれれば、どれだけ作者の頭が悪いかわかってくれると思います。催眠使いまくりのはしょり過ぎのいい加減過ぎです。ですがこのSSのストーリー部分なんてこんなもんです。エロが書ければいーんだよ。
原作介入する理由について。原作が、あれだけBadEndがあるゲームなんすよ? BadEndになる世界である確率だって十二分にあるじゃないですか。そしたら士郎が死んだりしないように手助けするのはむしろ当然でしょう。「主人公の士郎がどうにかしてくれるからへーきへーき」と安穏に構えていて、言峰が聖杯を手に入れてしまったらおしまいです。だから主人公君は頑張って原作介入するのでした。