※この作品はR-18です。

stay nightでエロSS   作:月影57令

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2月14日

 目を覚ました。最初に見えたのは金と白。セイバーの顔だった。昨日ヤってそのまま寝ちゃったんだ。……衛宮のサーヴァントとしてはいかがなものか。まあ俺がヤったんだけどね。時計を見ると昼飯の時間だった。よしよし。俺はセイバーが眠っているのを確認すると、発声式の催眠でもう少し眠っているように暗示をかけた。セイバーはこれでよし。後は衛宮だな。奴にも催眠をかけなくては。

 

 

     §

 

 

 衛宮には催眠をかけて教会に行ってもらった。原作再現である。それが起こればランサーは死ぬ。面倒なので原作そのままになってもらおうという訳だ。さて、それではセイバーを起こそうかね。上手くタイミングを計らないといけない。早すぎても駄目、遅すぎても……いや、遅かったらそれはそれでいいか。最悪衛宮が死んでも(以下略。

 

 タイミングを見計らってセイバーを起こす。

 

「セイバー、起きてくれセイバー」

 

「う……ん。……? はっ」

 

「おはようセイバー」

 

 優しい声色で挨拶をする。

 

「あ――う」

 

「ま、とりあえず話の前に起きようか。セイバー裸だし」

 

「う、うぅ」

 

 そうしてセイバーが身繕いを整えた後、

 

「シロウが?」

 

「うん。ギルガメッシュについて聞きたいから教会に行ってくるって」

 

「――はぁ。またですか。…………!!」

 

 セイバーがビクンと反応する。マスターの窮地を感じ取ったか。

 

「明! キャスターを貸して下さい。教会に転移を! シロウが危ない!」

 

「……了解」

 

 さて、いよいよオーラスだな。

 

 転移で飛んだのは教会の前だ。セイバーはそこから武装して飛び出していった。俺も後を追いかける。追いかけた先、教会の地下室ではセイバーとランサーが殺し合っていた。

 

「明! シロウを――!」

 

「へ、無粋な真似を!」

 

 と。

 

「そこまでだセイバー。己の主を救いたいのならば、剣を納めろ。明、お前もだ。不用意に動くなよ。衛宮士郎が死ぬぞ」

 

 ランサーのマスター、言峰綺礼の登場だ。衛宮に刃が突きつけられる。これで俺も動けなくなった。原作より早く教会に来たが状況にそれほど変化は見られない。衛宮もランサーの槍に刺されてやがるし……さて、どう動こうか。

 

 そして、原作通りの問答が始まった。

 

「お前は聖杯など要らないと言った。だが、仮に十年前の出来事をやり直せるとしたらどうだ? お前は聖杯を欲するのではないか――さあ、応えろ。お前が望むのならば聖杯を与えよう」

 

 十年前の大火災。それをやり直すことが可能な聖杯。だが、

 

「――いらない。そんなことは、望まない。……そうだ。やりなおしなんかできない。死者は蘇らない。起きたことは戻せない。そんなおかしな望みなんて持てない」

 

 衛宮は泣いている。泣きながら奇蹟が手に入らないことを嘆いている。――それでも、

 

「それを聖杯は可能にする。万物全て君の望むままだ」

 

「その道が、今までの自分が、間違ってなかったって信じている。聖杯なんて要らない。俺は、置き去りにしてきた物の為にも、自分を曲げることなんてできない」

 

 セイバーが答えを得た。これでいい。これでいいんだ。彼女の意思が変わるかどうか、それについては彼女に任せよう。でも、もし、彼女が……。

 

「そうか、おまえたちはつまらない」

 

 さて、外道神父との戦いだ。と、上から降りてくる男が一人。

 

「お前達には不要だろうが、紹介しておこう。彼はアーチャーのサーヴァント。前回の聖杯戦争で私のパートナーだった英霊だ」

 

 しれっと言いやがって。しかしギルガメッシュがきたか。原作通りになってくれればいいのだが。

 

「お、お前がアーチャーのマスターだったのか!?」

 

 衛宮、無理すんな。お前体に穴空いてんだぞ。

 

「答えろ。アーチャーは何故残っている。あの火事は何故起きた。切嗣に倒されたというお前は、何故今も生きている!」

 

 セイバーが長年の疑問をぶつける。

 

「そのようなこと、言うまでもなかろう。奴とお前は強力だったので、分断させる為の目くらましが欲しいと願ったのだ。あのような出来事が起きるとは私も驚いたのだよ」

 

「では。あの火災は、貴様が聖杯の力で起こしたと言うのか!」

 

「私でなくとも聖杯は同じことをしただろう。アレはそういう物だ。万能の杯と言うが、その中に満ちたモノは血と闇と呪いでしかない。お前も見たのだろう? 聖杯を破壊した際に、そこから溢れ出た闇を」

 

「世迷言を、聖杯は持ち主の願いを叶える魔法の釜だ。ならばあの火災はお前の願望だろう!」

 

「私はただ、あの土地から人がいなくなればいい、と思っただけだ。そもお前達は想像力が貧困だぞ。願いが叶う? では願いとはどうやって叶えるのだ? まさか願った瞬間に世界が変わるとでも思っていたのではあるまいな?」

 

「――――」

 

 絶句するセイバー。いやぁ酷い真実である。もしセイバー視点で第四次聖杯戦争から今日までの物語が描かれたら、これほど酷い目に遭うセイバー(主人公)もいないだろう。

 

「元の聖杯はどうあれ、今の聖杯は力の渦に過ぎない。緻密な計算、相互作用による矛盾の修正など論外だ。アレはな、ただ純粋な力に過ぎない。わかるか? あの魔力の釜は、持ち主の願いを『破壊』という手段でしか叶えられぬ欠陥品だ」

 

「な――それでは話が違う!」

 

「違うものか。人を生かすということは、人を殺すということだろう。この世はすべからく等価交換だ。調和など気にしていては願いなど叶わぬ。つまり弱者からの略奪による変動だ」

 

 セイバーが息を呑む。彼女が求めていたものとはあまりに違うからな。

 

「ならば、聖杯というのは」

 

「持ち主以外のモノを排除する。この上ない毒の壷だ」

 

 だからこいつにだけは聖杯を渡しちゃ駄目なんだよ。今すぐ殺したい。でもそうするとギルガメッシュに俺が殺される。全員に死ねと命じることもできるが、もうそれはしなくていいだろう。ランサーが俺の想定通りに動いてくれれば、絶対催眠を使わなくても聖杯戦争は終結する。サーヴァントを催眠で殺したら俺の身がヤバイ。ばれたら終わる。

 

「ではゴミを始末しろ、ランサーは小僧二人を、アーチャーはセイバーだ」

 

 そして言峰は後ろを振りかえることなく階段を上って行った。――で、

 

 ガキィッ!

 

 飛び出す二つの影。

 

「っ!?」

 

「なっ!?」

 

 驚く衛宮とセイバー。それもそうだろう。ランサーとギルガメッシュがお互いを攻撃したのだから。ランサーは元々別の人物に召喚されたが、言峰に奪われたのだ。そしてここにきて我慢の限界を迎え、反抗したのだ。さて、俺達は二人が争っている隙に逃げるかね。

 

 

     §

 

 

 衛宮邸に戻ってきたぞ、と。とりあえずセイバーには衛宮の近くにいるように言った。そうすると聖剣の鞘が効力を発揮して少しでも回復力が上がるだろうからな。ランサーはすぐにでもギルガメッシュに敗れて消えるだろうし、それで衛宮の傷も塞がるだろう。今は衛宮とセイバーを二人きりにしてやろう。詳しい話は落ち着いてから、かつ師匠も交えてだ。

 

 

 

「聖杯を壊そう」

 

 回復した衛宮がそう言う。

 

「それがいい」

 

「…………」

 

 師匠は黙っている。言峰さんがランサーとギルガメッシュのマスターでかつ王様の魔力タンク(非道な行為)を行っていると知らされたからだろう。

 

「言峰さんがいるのは柳洞寺だ。そこで聖杯の降霊を行うつもりだろう」

 

 今回の聖杯戦争で聖杯役を務めるのはイリヤの心臓だ。原作では生きて衛宮邸にいたところを攫われたが、この世界では既に俺が殺した。下半身を潰すという酷い状態でな。恐らく言峰か王様がアインツベルンの城に赴きイリヤの心臓を手にしているだろう。

 

「しかしあの人が聖杯を手にするには障害が三つある。セイバー、アーチャー、キャスターだ。俺達はこの三人のサーヴァントで言峰さんとギルガメッシュを相手にしなければならない。ま、そこんとこ俺は気楽に考えているけどね。ギルガメッシュはセイバーとアーチャー、言峰さんはキャスターで相手にすれば勝てるよ」

 

「……明、それは……」

 

 昨日聖剣での勝負に敗れたセイバーが不安そうにしている。

 

「だーいじょうぶ、アーチャーがいればギルガメッシュは恐れるに足らない。な、師匠?」

 

「…………明、アンタどこまで知ってるの?」

 

「詳しい原理は全くわからないけど、アーチャーにギルガメッシュと同じ真似ができるってことはわかるよ。この間の初対面の時やっていたらね」

 

「……お見通しって訳か……にしてもこんな形で聖杯戦争を終わることになるとはね」

 

 師匠も見ていたからアーチャーに問いただしたはずだ。つまり今の師匠はアーチャーの能力を十全に知っているということ。ならばわかるだろう。アーチャーこそがギルガメッシュに勝てる唯一のサーヴァントだと。そこにセイバーを加えれば勝率は更に上がる。言峰(把握していない)もギルガメッシュ(贋作者だと侮っている)もアーチャーがそこまで天敵だとは思っていないだろうからきっと倒せる。

 

 乖離剣を使われる前、余裕を見せている時に倒すよう言ってある。まあアーチャーがいれば乖離剣は使えまい。アーチャーが弾幕を張っていれば、一つの剣を取り出して魔力を込めて放つ動作ができないだろうからな。

 

 エクスカリバーの鞘については黙っていた。話しても信じてもらえないだろうし、信じてもらえたら今度は何故知っているって話になるし。

 

 

     §

 

 

 そうして全ての準備を整えて柳洞寺に到着した。これから決戦だ。

 

「来たか。セイバー」

 

 山門のすぐ前にいるのはギルガメッシュだ。奴はセイバーしか見ていない。しかし、言峰はいないのか。まあ一緒に王様と一緒にいるパターンも考えていたが、別々にいるなら面倒がなくていい。……ギルガメッシュにセイバーと戦うからお前は下がっていろとでも言われたのかな。そうでないとさすがに言峰がアホすぎる。この状態ならほぼ確実に俺達が勝つよ。いやぁ王様の手綱を握るのは大変ですなぁ。俺は絶対催眠があって良かった。キャスターは自由意思ゼロです(最低)。

 

「邪魔は要らぬ。雑種共、言峰に用があるのなら早々に消えよ。奴は祭壇で貴様らを待っている」

 

「……」

 

 俺達四人は通りすぎた。セイバーとアーチャーを残して。そして、

 

「よく来たな衛宮士郎、凛、明。このような展開になるとは思ってもみなかったが……まあいい」

 

「前口上なんて必要無い。キャスター、攻撃しろ」

 

 そうして、蹂躙が始まった。

 

 

 

 聖杯であるイリヤの心臓は持っているのだろうが、肝心のサーヴァントが三体も吸い込まれずに残っているのだ。孔など開かない。泥も出ない。一方的にキャスターが言峰を釣瓶打ちしただけで終わった。ギルガメッシュと一緒にいればもう少し何とかなったかもな。まあその場合でも二人を上手く引き離して個別に殺すんだけど。そうしていると、セイバーとアーチャーも到着した。――と。

 

「なんだ……アレ」

 

 孔が開きやがった。ギルガメッシュを倒したからか、確かあいつめっちゃ容量があるサーヴァントらしいからな。三人分一気に埋まったってか。

 

「どうやら八人目のサーヴァントであるギルガメッシュを倒したことで、聖杯の起動に必要だったものが埋まってしまったみたいだな。――衛宮。セイバーに命じてエクスカリバー使用させてくれ。どうせなら二つある令呪、二つとも使った方がいいな。確実に聖杯を壊したいなら重ねて命令すべきだろう」

 

 俺がそう言うと衛宮は顔をしかめた。イリヤとバーサーカーの時を思い出したのだろう。だが事態がもはや一刻の猶予もないことを察知すると、静かに命令を下した。

 

「セイバー、令呪をもって命ずる。聖杯を破壊しろ」

 

 そうして、終わった。辺りには何もない。何もかも吹き飛んだ山頂は、まっ平らな荒野に変わっていた。

 

「これで、終わったのですね。私達の契約もここまでです。貴方の剣となり、敵を討ち、御身を守った」

 

「いや、まだだよセイバー」

 

 万感の思いを込めた述懐を遮る。

 

 そして俺は――。

 






後書き
 同じ大火災の被害者である主人公には、言峰は問答しないの? という疑問があるでしょうが、十年の生活の中でそれなりに交流のあった二人なので、言峰は主人公が過去の救いを求めているような人物ではないと知っていたのです。
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