セイバーとのエロは日曜日までお預けです。それまで待ってね。
目を覚ました。見慣れない部屋だ。……ああ、そっか。バーサーカーから衛宮の家に転移して、そのまま雑魚寝したんだっけ。師匠は当然客間だ。さて、朝に弱い師匠を起こしますかね。弟子なので部屋に入るなんて当たり前だ。十年も共に過ごしていればそこら辺の遠慮はなくなる。
§
「な、え――――!?」
衛宮が家にいる師匠に驚いている。
「もう忘れたのか衛宮。昨日俺達は家に泊めてもらっただろう」
「……佐藤、あ、ああ」
なんつーか普通の高校生の反応だなぁ。もっとピリッとして欲しいぜ。それはそれとしてセイバールートの衛宮特攻(笑)がなかったので、衛宮の体に埋め込まれている聖剣の鞘が力を発揮しなかった。エクスカリバーの鞘は最高の防御力と治癒能力を誇る。だが怪我していないんだから治癒の力を発揮する訳はない。俺は頭の行動計画表にチェックを入れた。
「じゃあ真面目な話をしようかしら」
落ち着いた衛宮と三人で話をする。セイバーは衛宮家にある道場(道場付きの家なんてすげーな)、キャスターは霊体化して俺の傍に。ちなみに令呪で消されたアーチャーは遠坂邸で治療中だ。
「真面目な話……? いいよ、聞こう」
師匠は衛宮の今後の行動方針について聞いた。
「正直、わからないよ。競い合うって話だけど、魔術師同士の戦いなんて経験がない。第一俺は殺し合いは避けたいし、聖杯なんていう得体の知れないモノに興味はない」
「言うと思った。貴方ね、そんなことを言うとサーヴァントに殺されるわよ」
師匠は話す。サーヴァントの目的も聖杯だから。彼らは聖杯を手に入れられるから人間の召喚に応じている。聖杯を手にできる可能性があるからマスターに従う。だってのに聖杯なんていらないと言えば斬り殺されても文句は言えまい。……特に、セイバーの目的と衛宮の主義は反するからな。
「話を戻そう。人殺しが嫌いな衛宮は、他のマスターが何をしようが傍観するのか?」
「そうなったら止めてやるさ。サーヴァントさえ倒せばマスターは大人しくなるだろ」
甘いなぁ。それで大人しくなるマスターなんていないよ。
「問題点が一つね。昨日のマスター、イリヤって名乗ったあの子、私達を簡単に殺すって言ってきたあの子だけど、必ず私達を殺しにくるわ。それは衛宮くんにもわかってると思うけど」
そう、受けに回っても相手が攻めてくる場合があるのだ。
「あのサーヴァント、バーサーカーは桁違いよ。未熟なマスターである貴方にアレは撃退できない。貴方は身を守ることさえできないわ」
ちくちくと嫌なとこを突くなあ。
「悪かったな。けれど、そう言う遠坂達だってあいつには勝てないんじゃ?」
その通り、アーチャーが全力になっても厳しい。白兵戦で倒すのは難しいだろうな。
「だからっ、もう、ここまで言ってわからない? ようするに私達と手を組まないかってことよ」
「むむむ?」
変なうなり方。
「そ、これは明から提案があったんだけどね。私達は理想的なパーティーになれるのよ。前衛のセイバー、中衛のアーチャー、後衛のキャスター。特に貴方は、サーヴァントは申し分ないけど、マスターが足を引っ張って半人前だもん。力を合わせればいいでしょ」
「むっ。俺、そこまで半人前なんかじゃ」
「俺が知る限りでもう三回も死にそうになっているけどな。一日で三回も死にかけるとはある意味凄い奴だよお前は」
「ぐぐ」
「同盟の対価くらいは払うわよ。マスターとしての知識と、暇があれば衛宮くんの魔術を見てあげてもいいけど、どう?」
この上ない誘惑だな。
「衛宮、俺も一般人に被害が出ることをよしとしないマスターだ。できれば協力して欲しい」
声の方で催眠をかける。できれば協力、でかけたから、承諾してくれるはず……。
「――わかった。その話にのるよ。遠坂、佐藤。正直、そうしてもらえれば凄く助かる」
よし。これで同盟も結べた。また一つ問題がクリアされていく。
「決まりね」
「同盟期間はバーサーカーを含め残りの四体のサーヴァントを倒すまで、それでいいか?」
最終意思を確認する。
「わかった」
「OKよ」
師匠と衛宮が握手する。と、衛宮が慌てて手を引っ込めた。ははぁん。この童貞めが、照れてやがる。次にサーヴァントのステータスや宝具(英雄の象徴の武具、真名解放で威力を発揮する)について説明。説明は師匠がやってくれるので楽だ。ああお茶が美味い。
「協力関係になったといっても勘違いしないでね。私達と貴方はいずれ戦う関係よ。最後の日になって他のマスター達が倒れた後かもしれないけど、それだけは変わらない。だから――私を人間と見ない方が楽よ、衛宮くん」
ナイスツンデレ。
「それじゃあそろそろお暇しようか。あ、衛宮、セイバーなら道場にいると思うぞ」
そう言って自宅へ一時的に帰る。一時的にな。
§
で、荷物を持ってとって返してきた俺と師匠である。そいそーい。
「むむ? 何しに来たんだ?」
「何ってなぁ。家に戻って荷物を取ってきたんだろ。今日からこの家に住まわせてもらうんだから」
「っ……!!!? す、住むってお前ら二人が……!?」
俺達二人というより師匠の方に反応しているな。
「協力するってのはそういうことでしょ。……貴方ね、さっきした話を一体なんだと思ってるの」
「あ――う」
うーん、もっとシャンとして欲しいぞ衛宮。隙だらけじゃないか。
「で、私の部屋は? 指定がないなら好きに選ぶけど。そうそう、彼女にも部屋をあげたら? 同衾するならともかく、アーチャーやキャスターと違って彼女は場所を取るでしょう?」
「ど、ど、同衾なんてするかばかっ! セイバーは女の子じゃないかっ……!」
まーだそんなこと言っているよ。いいじゃないか同じ部屋で寝るくらい。
「ですってセイバー。士郎は女の子と同じ部屋が嫌だって」
じとっと、衛宮を見つめるセイバー。衛宮がそうであるように、彼女もこれまたわかりやすいな。これで王様やってたんだからなぁ。
「困りますシロウ。サーヴァントは主を守護するものなのですから。同じ部屋でないと」
「そんなこと困るっ。お前ら二人とも女の子じゃないか!」
「……………………」
「……………………」
沈黙が降りる。
「サーヴァントはサーヴァントとして、人間扱いしなくてもいいと思うけどね。士郎にそんなこと言っても無駄のようね。セイバー、士郎がこの調子だと同室は難しいわよ」
「シロウは困るといっただけだ。嫌とは言っていない」
「だーってさ。どうなの? 士郎」
「腹くくったら? 衛宮。俺も成人女性のキャスターが霊体化して傍にいるんだし」
「れ、霊体化している奴と一緒にするな!」
「シロウ、睡眠中の警護は私の役割です。マスターとして自覚して下さい」
むぐぐ。とうめく衛宮。往生際が悪いやっちゃ。
「ダメだ。セイバーにはできるだけ近い部屋を用意するからさ。それで我慢してくれ」
「――――」
「すごんでも駄目なものは駄目だ! こればっかりは男として譲らないからな!」
この話し合いは、結局衛宮が「れいじゅつかうー!」と情けなく言うことによって収束した。その後は三人そろって屋敷を案内してもらった。。
今は与えられた部屋で荷物を整理している。今の衛宮とセイバーは……魔力がないってことを話している頃か。衛宮からは全く魔力の供給がないのだ、あの二人は。ま、それも解消する案がありますけどね。
§
時間が過ぎ夜になった。夕食は交代制ということになったが、俺は辞退した。作れることは作れるがそこまで上手じゃない。なら上手い人間にやってもらうさ。実を言うと一人暮らしか家族と一緒に暮らすことしか経験がないのだ。自分一人分なら作れるが、複数人分作るというのは経験がないのだ。
「今後の方針は決まっているのですか、凛、明」
「今集まっている俺達三者。残り四体の内ランサーとバーサーカーは確認した。残るはライダーとアサシンだな。俺としてはまずマスターを殺される危険性が高いアサシンをどうにかしたいところだが……」
衛宮が夕食を作る間、居間で作戦会議。
「ほら。飯時に物騒な話をするなよな」
なんだ? 衛宮の奴なんか怒っているみたいだけど。あ、そっか。嫉妬か。俺や師匠がセイバーと親しげに会話するのが気に食わないのだろう。独占欲強いねぇ。
「方針を決めていただけよ。安心なさい、別に『貴方の』セイバーをとったりしないから」
顔を赤くする衛宮。純情ぅ。
「お、おま、おま」
オマール海老?
「あら違ったかしら。ならごめんねぇ、衛宮くん」
相手が悪いよ衛宮。この人はあかいあくまなんだから。飯ができた。腹が減っているのでありがたく頂戴する。
「さっきの、今後の方針ってやつだけど。他のマスターを探すって具体的にはどうやるんだ?」
「どうするも何も、足で地道に捜すのよ。そうだ、士郎。魔術師の気配はわかる?」
わかるわけないだろ。二年近く学校にいて、俺と師匠に気づかなかったんだから。
「セイバーはどう? サーヴァントはサーヴァントを感知できるって話だけど」
「あくまで身近で能力を行使している場合だけに限ります。私では半径二百メートルほどしか感知できませんね」
「なるほど。じゃあまずは相手の出方を見るしかないな。マスターが行動すれば痕跡は残るからな」
町中を捜すということはしない。相手にバレてしまうから。
「とりあえずは現状維持ね。今まで通りに生活してマスターと悟られないこと」
そう言って師匠は注意事項を挙げる。
「霊体化できる俺達と違う衛宮はセイバーを常に連れて歩くようにしないとな」
「――わかった。努力する」
わかってないんだな、これが。ゲームをプレイしている時にどれだけ歯噛みしたか。
夕食をとりおえて、セイバーと少し話をする。
「それで? 話とはなんですか?」
うーん、いちいち仕草が可愛い。
「君のマスター、衛宮についてだよ。……バーサーカーと戦っている時、最後の方だけど、傷ついた君を見てあいつは飛び出しかけていたんだ。俺がセイバーに戻ってくるよう言ったから実際には突っ込まなかったけどな」
「…………」
バーサーカーに押し負けて傷が開いたことを思い出したのだろう。顔色が優れない。
「君のマスターはどうやらそういうタイプの人間らしい。目の前で傷ついている人間――サーヴァントだろうが知ったこっちゃない――を見捨てられないっていうね」
「シロウが……」
「だから、今後は注意して欲しいんだ。もちろん俺や師匠も気をつけるけど、君自身が自分のマスターはどこか危うい、と思って注意していて欲しい。あいつは同じ状況になったらまた同じことをしようとするだろうから」
「…………………………わかり、ました。気をつけることにします」
「うん。わかってくれればいいんだ。じゃあ話はこれだけだから」
「……貴方は」
うん?
「私達は本来敵同士だというのに、どうしてそう私達を気にかけるんです?」
ふむ。理由か。
「衛宮は……俺と同じ境遇だった奴だから、かな。あとセイバー、君のことを純粋に好ましい人だと思っているから、かな」
そして説明してやる。第四次聖杯戦争が原因の大火災で家族を失い、自分も死にかけたこと。衛宮士郎も同じ境遇だということ。
「――――そう、ですか。シロウと貴方は前の聖杯戦争で……」
「ああ、だからあいつには仲間意識のようなものがあるんだよ」
実際はそうでもないけどな。建前だ。でも彼が死ぬとそれは大きな損失となる。セイバーもいなくなるし……戦力が激減するのだ。それはさけなければいけない。
「ま、そういうことだ。他意はないよ」
「わかりました。忠告、ありがとうございます」
貴女が好ましいと言ったことは完全にスルーですかそうですか。まあいいや。今はこれで。
そしてその日は終わった。
後書き
同盟の期間について。原作ではバーサーカーを倒すまでとしていましたが、別に最後まで同盟しようと言ってもいいと思うんですよね。他全部を倒し終わった後にやりあえばいいだけですからね。なのでそうしました。