土日はネットを利用できないのだ。なので感想返しは月曜の朝にやります。まあ、こんな中編のエロSSにそんなに感想はこないと思いますが、念のため。よろしくねー。
あーたらしい、朝がきた! と。
「おはよう師匠」
「……おはよ」
相変わらず朝が弱い師匠であった。と、チャイムが鳴った。間桐桜が来たんだな。高校の後輩、一年生で魔術師の家系である間桐の娘。その実態は十年以上前に遠坂から間桐へ養子に出された遠坂凛の妹だ。
師匠が勝手に出迎えている。そこに衛宮がやってきて修羅場の誕生である。ああ、横から眺める修羅場は面白いねぇ。師匠が下宿するということを伝え、桜の反応が止まる。だが彼女はやがて師匠の挑発的な言動に腹を立て、どすどすと台所に向かった。
「マズった……!」
恒例のポカですねわかります。師匠は戦場になるかも知れない衛宮邸から桜を遠ざけようとしたが、衛宮を慕っている桜には逆効果になってしまったようだ。その後、衛宮はセイバーに部屋で待機しているように言いに行った。俺は居間に顔を出し、宿泊するのは師匠だけじゃないんだよ。だから間違いとか起こらないよ、と示した。
「どうぞ遠坂先輩。佐藤先輩もいかがですか?」
飯時には穏やかな桜に戻った。なんとか落ち着いてくれたらしい。もぐもぐとご飯を食べる。確か元弓道部の衛宮が怪我をして、それを見舞う&助ける為に食事を作りにきて、それから毎日通い妻状態が続いているんだったか。高校の後輩に毎日通われるとかお前はギャルゲーの主人公かよ。……エロゲーの主人公だった。
あ、ちなみに俺の叔父夫婦には絶対催眠をかけて外泊することを認めさせた。まあ数週間の辛抱だ。
「おはよーいやぁ寝坊しちゃったよう」
我が学園の教師、藤村大河先生が顔を出した。衛宮の奴完全に考えてなかったという顔をしている。あー面白。
「おはようございます、藤村先生」
「おはようございます、藤村先生」
ユニゾンする師匠と桜。俺も少し時間をおいて挨拶する。
「?」
藤村先生はまだ気づいていないようだ。……いや鈍すぎでしょ! 一杯のご飯を平らげてから、衛宮にぼそぼそと尋ねている。……遅いよ。
「って、下宿ってなによ士郎ーーーーー!!!!」
爆発した。どっかーんとテーブルがひっくり返る。知っていたので食事を避難させていた俺。
「あちーーー!」
朝から鍋物になんぞするからそうなるんだよ衛宮。
「うるさい! アンタこそなに考えてんのよ士郎! 同年代の女子を下宿なんてどこのラブコメじゃい! ええいわたしゃそんな風に育てた覚えはないぞ!」
やかましいなぁ。いくら子供の頃から衛宮を知っているご近所さんだからって。
「同い年の女の子と一緒に暮らすなんて、そんなのお姉ちゃん許しませんえー!」
虎のように吠える先生。仕方ない、ここは第三者の俺が説明しますかね。
…………説明中…………。
「遠坂さん家が全面的な改装かぁ」
「ええ、ホテル暮らしではお金がもったいないからと衛宮が申し出まして」
「むむっ、それは確かに士郎っぽい発言」
「で、それを聞いた遠坂さんの遠縁の親戚である俺が心配しまして。若い男女が二人きりでは間違いがあってはいけないと思い、俺も一緒に下宿させてもらうことになったんです。既に二泊していますが、俺が衛宮を見張っていることもあり、間違いは起こっていません」
その後もなんやかやと言葉を尽くして説得した。こういう時は口が回るんだな、俺。
「じゃあ衛宮と一緒に学校に行くけど、衛宮のガードは任せてくれ。いざとなったらキャスターをこの家に転移させて、セイバーを連れて学校まで転移させるから」
「はい、わかりました。ありがとうございます、明」
わーい。せいばーにおれいをいってもらったー。――思わず幼児化してしまった。
衛宮、師匠、俺、桜の四人で固まって登校する。すると当然ながら周囲から奇異の目で見られた。師匠は慣れていないからか落ち着かない。
「師匠、こういう時はどーんと構えていればいいんだよ」
「そうは言うけどねぇ……」
普通に登校すればいいのだ。校門前でワカメのような人間がいた気がするが、気のせいだろう。
§
ただいま昼休み。昼飯を買って屋上へ行く。師匠と衛宮と三人でランチタイムだ。
「単刀直入に聞くけど、士郎。貴方、放課後はどうするつもり?」
その質問に対して、予定はないとか答える頓珍漢な衛宮。ちゃうっちゅーねん。
「――――」
ほら、師匠も呆れているぞ。
「師匠、衛宮をあまりいじめるなよ」
「いじめてなんていないわよ。ただ士郎が学校の結界に気づいてないようだから未熟だって言ってるの」
そして学校に仕掛けられている結界の説明。広範囲に仕込まれた結界は学校の敷地をほぼ包み込む。種別は人間から血肉を奪うタイプ。現在準備段階だが、それでも学校のみんなに元気はない、と。
「つまり――学校に、マスターがいる……?」
「そういうことだな。確実に敵が潜んでいる。そのあたり覚悟しておかないと死ぬぞ衛宮。まあ俺の考えとしては、残り二体の内一体が向こうから姿を現したんだ。願ったりかなったりというところかな」
まあ実は既に全サーヴァント揃い踏みなんだけどね。八体目も含めて。だが慎重にことをすすめなければな。俺の絶対催眠も無敵じゃない。いきなり遠方から狙撃でもされたら終わりだ。殺されれば、死ぬのだ。
「マスターについてはわかっているのか?」
「うちの学校にはもう一人魔術師の家系がいるのよ。アンタみたいなへっぽこでもマスターになれたんだもの、そいつにも万が一ってことがあるかも知れないわ」
だけど。
「けどそいつからはマスターとしての気配は感じられないのよ。最初に調べたけど、令呪もなければサーヴァントの気配もなし。まずそいつはマスターじゃないわ」
残念! そいつがマスターなのでした。
「ようするに半端に魔術をかじっただけの奴がいるって言うのか。でもそれじゃあ結界なんて張れないんじゃないか?」
いやいや、衛宮さんよ。聖杯戦争の主役を思い出せって。
「サーヴァントが張ったのかも」
「あ、そっか」
「結界の基点は弱めたけど、消去はできなかったのよ。先延ばしにしただけ。アーチャーの見たてではあと八日程度で準備が整うらしいわ」
「――じゃあ、それまでに」
「この学校に潜んでいるマスターを探し出して倒す。それが俺達のやるべきことだ」
あえて殺す、という言葉は使わなかった。
「といっても、隠れているそいつが表に出てくるのは結界を発動させる時だ。それまでは待ちだな。覚悟だけは決めておけってことさ」
まあ俺の計画が上手くいけば、その前に始末できるはずだけどね。
「私、帰りは用事があるから」
「りょーかい。俺と衛宮は一緒に帰るよ。護衛も兼ねてな」
「悪いな佐藤」
「気にするな。これも同盟の妙味よ」
「そ、そっか」
チャイムが鳴った。さて午後の授業だ。
§
家(衛宮邸)に帰ってきたぞ。セイバーが出迎えてくれる。彼女は今日の出来事を教えて欲しいとのことなので、衛宮が茶を入れる間に学校の結界について話した。次にサーヴァント、ランサーについてとうとうと話をする。彼の真名はクーフーリン。魔槍ゲイボルクを持つアイルランドの大英雄だ。と、桜が訪問してきた。
「セイバー、悪いけど、その」
「わかっています。部屋に戻っています」
俺もセイバーと一緒に引き上げる。
「……別に師匠と俺が泊まっていることを説明したんだから、セイバーも表に出してやればいいのにな、衛宮の奴」
「私を……ですか? 特に意味があるようには感じませんが……」
「いや、大事なことだよ。俺から機を見て衛宮に話してみるわ。それに、いつまでもごまかしていられないだろうしな」
「…………」
「衛宮、ちょっと話が」
夕食を作っているのは師匠だ。師匠の中華料理は絶品だからな。
「ん、どうかしたか? 佐藤」
「セイバーのことなんだけど……」
俺は一人で放っておかれるセイバーについて話をした。一人寂しく部屋に待機させているなんて可哀相じゃないか。ちゃんと桜と藤村先生に紹介してやれ、と。
「……やっぱりそうした方がいいのかな?」
「大事なことだと思うぜ。それにあの二人はお前にとって家族みたいなもんなんだろ? 隠し事は良くないぜ」
「……………………わかった。言ってみるよ。あ、そうだ。そういえば聞き忘れてたけど、キャスターは治癒の魔術とか使えないのか? セイバーの傷を治して欲しいんだけど」
「無理。そういう魔術は使えない」
バッサリ切り捨てる。彼女にもアーチャーにも傷を負ったままでいてもらわないと困るのだ。
と、いう訳で、夕食前にセイバーを紹介することになりましたとさ。で、また女子が同居ということで、予想通り藤村先生が爆発して、何故か剣道場でセイバーと対戦することになりました。何故だ。
「士郎を守るのはわたしだもん! 士郎が一人前になるまで、わたしがずーっと、傍にいるんだから!」
やれやれ、セイバーにかなう訳がないというのに。ああほら、あっさり負けた。
「うわぁぁぁぁぁあああん! ヘンなのに士郎とられちゃったーーーー!」
……やれやれ。そうして、夜はふけていった。