※この作品はR-18です。

BESTOWERS   作:オーセン

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Agitator Ⅲ

 城外に出たところで見送りの兵士をなんとか断り、三人だけの無言の町並みを歩き出す。ミドルードへ入った途端の出来事に、エステルは強ばった肩を揉みほぐす。

 

「で、結局、くだらない乙女心に付き合わされただけってか」

 

 流れるような赤髪を指で弄びながら、呆れたようにエイダがぼやく。そんなエイダの様子に、エステルは何よりもこの人が乙女心なるものを理解できていたことに驚愕する。

 

「いや、そうでもないでしょう。危うく買収されそうになってたわよ、私たち」

 

 大きく息を吐くベラは、相当に疲れた顔をしている。おそらくはラスプーチンとの会話に神経を使った故の疲労であろうが、エステルとエイダを横目で見るその目からは、会話に参加せずのんきに居眠りしかけていた同僚に対する恨みが積もっているのがわかる。そして、一体なんのことやらわかっていない同僚二人の間抜け面を見て、殊更大きいため息を吐いた。

 

「……いい? あんな席でラスプーチンみたいな男が、単なる深窓のご令嬢の懺悔斡旋なんてすると思う?」

 

「……相当なワガママ姫だった、とか?」

 

 エステルの言葉に、今度は額を押さえて考え込んでしまう。エステルは神学校に通ったことはないが、おそらく出来の悪い学生相手に教師はこのようなポーズを取るのだろうと唐突に思った。

 

「……当主が暗殺された国に聖職者が法皇庁からやってきて、ラスプーチンはどう思う? 本当にただの補充要員だと信じる?」

 

 ベラにはラスプーチンから召還された時点である程度予想が付いていたようだったが、エステルにはそれがわからない。しばし考え込むが、ついぞ閃きは舞い降りてこず、申し訳なさそうな顔をベラに向けた。それに対してエイダは、尼僧服の上から細い腰に手を当て、考えているのかどうかわからぬような顔をしていたが、ぽつりとつぶやく。

 

「ああ、密偵か」

 

 その答えにほっとしたように頷くベラを見て、エステルはショックを受ける。少し自慢げにエステルを見下ろすエイダの顔を見て、裏切られたような顔をした。その後、エステルにとっては恥を忍ぶ時間であった。

 

 ベラがエステルにわかるように説明をしていく。法皇庁は、列島全土に存在する各地の教会から情報を仕入れている。そのため今回のボルジア家暗殺騒ぎもどの諸侯よりも早くその情報を掴んだのは法皇庁である。そして、法皇が与える諸侯の後継者の公認は、その権威によって世に与える影響は大きい。つまりラスプーチンは、このタイミングでミドルードへやってきたエステル達を、「法皇の密偵」と見なしていたのだ。それ故、アナスタシア姫が懺悔を求めているとして神と教会を重視していることを誇示し、ミドルード城へ泊まるように要求したのだろう。恐らくエステルらがミドルード城へ泊まれば、密偵を買収して法皇への報告を少しでも好意的なものにしようと、様々な「接待」をラスプーチンが仕掛けて来る様が想像できる。

 

 そこまで言われ、エステルは深く感心して唸ってしまった。

 

「ま、あんたより私とベラの方が経験豊富なんだ。経験も見た目も、まだまだ私らには勝てはしないでしょ」

 

 そう言ってエステルを小馬鹿にするエイダは、自慢げにそのプロポーションの良さを見せつけるようなポーズを取る。これで往来に人が溢れていたらとんだ痴女である。なんとか反論して見せようとしても、自分だけがそれを理解できなかったことは事実であるし、更に自らの体型、低く小さい--あらゆる部分が--というのを気にしているエステルにとって、尼僧服の上からでもわかるほど窮屈そうなベラの胸と、すらりと長い手足に腰のくびれを持つエイダを前にすると、百万の魍魎を前にした気分になるのだ。

 

 故にエステルは、自らの体を見つめつつ将来の繁栄を誓い、今は歯を食いしばって耐えるのだった。

 

「それにしても、ラスプーチン、何者かしらね。ミドルードほどの都市なら人の移動は膨大なものでしょうし、ボルジア当主暗殺で混乱の只中なら聖職者数人の出入りなんて把握できないって局長は踏んでいたけど……もしかすると、外出禁止令はこのために彼が命じたのかもしれないわね」

 

 エイダとエステルのやりとりをいつものことと割り切り、しきりに自分の体を見てはため息と歯ぎしりを繰り返すエステルに気づいているのかいないのか、ベラは考え込む。

 

「あるいは暗殺も、か」

 

 一瞬鋭く目を光らせたのは、エイダだった。ラスプーチンを前にしても気怠そうな態度を崩さなかった彼女だが、一瞬、獲物を狩る獅子を思わせる雰囲気に変貌する。ベラはエイダのその表情を知りつつも、涼しい顔で微笑んだ。

 

「何にせよ、この会合は収穫があったな」

 

 未だに胸を押さえるエステルの言葉に小さく頷き、三人は赴任先の教会へと向かった。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「どう思う? アルバーメフ」

 

 フードの下から手を入れ、枝毛を探すことに終始しているラスプーチンは、傍らに立つ巨人に声をかける。巨人、エステルらの前ではドミンゴと呼ばれていた男は、『アルバーメフ』という呼び名に反応する。

 

「……赤髪の女、一瞬手を腰に泳がせた。金髪の女も、瞬間的に腰を落とした。……閣下の言う奴らなのかは知らんが、ただの女ではない」

 

 『アルバーメフ』は、鉄兜の中からくぐもった声で答える。すでにラスプーチン相手に敬語を使うことも止めていた。しかしラスプーチンはそれを咎めることもせず、ただ巨人の報告を聞いている。低くひび割れた巨人の声は、思い出した三人の女への警戒心を露わにするものであったが、ラスプーチンの声は対照的に、明るく、弾んでいた。事実、子供が我慢できずに漏らすような笑いを静かに立て、巨人を見上げているのだ。その様子は、アナスタシア姫に取り入って国政に参与する魔術師、というボルジア家重臣達からの評価とは著しくかけ離れた姿だった。

 

「成る程ねえ。流石だよ。どーも僕はそういうの苦手でねえ」

 

 灰色のフードから放たれる言葉は、一層軽薄なものに変わっていく。ラスプーチンは視線を巨人から外し、俯いた。そして、そこでも楽しげな笑い声を漏らす。

 

「クク、ところであの背の低い女はどうなの? 僕の話も、よくわかってなかったみたいだけど」

 

 心底楽しそうな様子のラスプーチンを、巨人は鉄兜の奥の瞳で眺める。ラスプーチンは俯いたまま、椅子に座る体勢を変える。いや、正しくは腰を強く前に出した、というところか。

 

「あの栗毛の女か。あの女は、ま(・)ず(・)い(・)」

 

 予想と反する答えが返ってきたのか、ラスプーチンは顔を上げた。くぐもった声がどこからか聞こえてくるが、それを気にせず彼はアルバーメフに続きを促した。

 

「……技術は、劣る。だが、天性のものが、ある。俺が扉を開けたとき、一番早く振り向いたのは奴だ」

 

「へー……」

 

 返した言葉こそ適当だが、一瞬ラスプーチンの雰囲気は魔術師に相応しい悪意と邪悪に満ちたものに変わる。だが、机の下から聞こえる声が大きくなると、ラスプーチンの顔は百面相のように変わり、虫をなぶり殺しにする子供のそれに変わった。

 

「……女ってのは、怖いものですねえ、殿下?」

 

 ラスプーチンの股の間、見事な刺繍が施されたテーブルクロスに隠れた机の下には、渦中の人、高貴な血筋であるアナスタシア姫が蹲っていた。

 

 目にいっぱいの涙を溜めているのは、ラスプーチンの肉棒が彼女に口に刺さっているからだ。

 

「殿下みたいに、ついこの間まで処女だったような女が、今やこんな雌犬ですからね」

 

 顔が裂けるのではないかというほど口を歪めて嗤うラスプーチンに、ぞくり、とアナスタシアに悪寒が走る。しかし同時に、彼女の股間からは一層愛液が滲み出る。被虐の恐怖と、興奮が同時に彼女を襲っているのだ。

 

「あーあ、会見中に僕をイカせろって命令したのに、全然ダメじゃあないですか。またあの貴族どもに輪姦されたいんですか?」

 

 その言葉にアナスタシアは肉棒を咥えながら必死に拒絶の意志を示す。ラスプーチンによって淫らに変えられた彼女の体は二人の貴族を悦ばせ、その乱暴な責めを誘い延々と嬲られ続けていたのだ。その結果の消耗で、重臣を集めた会議中にも彼女は意識が朦朧としていたのだ。

 

「ふーん、嫌なんですね。じゃ、せいぜいがんばってご奉仕してくれないと……ねっ」

 

 最後の一言と同時に、ラスプーチンは強く腰を突き上げる。彼の長いペニスは少女の小さな口を貫き、喉の奥まで達する。

 

「……んぶっ! んん! ぬぶ!……」

 

 アナスタシアの両目から涙が堰を切ったようにこぼれ落ちる。だが彼女は必死でラスプーチンの肉棒をその唇と喉でしごき、下で愛撫する。

 

「……んふ……ふ……んっ……んちゅ……ふっふっ……」

 

 肘掛けに片腕を乗せ、その手のひらで顎を支えながらラスプーチンはボルジア家の娘の奉仕を観察する。下を向くラスプーチンの目は、上目遣いのアナスタシアを射貫いている。その瞳に魅入られて魂を操られているかのように、アナスタシアは献身的な奉仕を続けるのだ。

 

 アナスタシアの下は唾液を滴らせ、その抽挿にあわせて肉棒の根本から先端、鈴口までを擦る。そして雁首に沿って滑らせ、肉棒全体に絡みついていく。

 

 ラスプーチンから教わった全ての技巧を凝らして、アナスタシアは奉仕していた。姫の口を犯す男は、時折アナスタシアの予想できないタイミングで腰を突き上げ、その喉奥を攻撃する。

 

「ん……ん……ん……んふっ……ふんん……んちゅ……ふぐっ!……ぶっ……ん……ん……」

 

 予想できない攻撃を受けても、必死に耐えて奉仕を続けるアナスタシア。そしてラスプーチンは、命令する。

 

「アナスタシア、自分で触れ。イクなよ?」

 

 敬語すら取り払ったラスプーチンの命令に従い、アナスタシアは自らの秘部に指を這わせた。すでに十分濡れているそこは少女の指を受け入れ、その侵入を歓迎する。

 

「ん……んんん……んふう……んっ……はっ……はっ……ん……んんん!」

 

 自ら生み出す快楽に、嬌声があがる。肉棒を咥えながらの自慰行為に、倒錯感を覚えているのだろうか。アナスタシアの目はとろんとして焦点が合っていない。

 

「んぶぶぶ! ぶぶ! んんん! んふ! んん……」

 

 アナスタシアがラスプーチンの肉棒を強く吸い、その精を絞りとろうと必死になる。同時に舌を使って彼の亀頭を丹念に責めあげていく。

 

「……ふふ、うまいじゃないか。そろそろ出すぞ。全て飲め」

 

「んん! ふぁい……ほひゅひんはは(ご主人様)……んぶぶ!……ぶっ!……んく……」

 

 ラスプーチンの宣言にうれしそうに頬を染めたアナスタシアを見て、ラスプーチンは一層強く腰を突き上げる。

 

「んん……んぶぶ!ンンンンンンン!……」

 

 ラスプーチンから精が放たれ、喉奥まで一気に犯す。アナスタシアは自らの指を強く密壺に押し込み、同時に果てた。

 

「……ふ……ん……んくっ……んくっ……んくっ……んくっ……」

 

 ぐったりした体でもまだラスプーチンの肉棒を咥えたまま、アナスタシアは喉を鳴らして彼の精液を飲み干す。その様を愛玩用のペットを見る目で見下ろしながら、ラスプーチンは傍らで無言のまま直立不動の巨人を見上げた。

 

「ふん、尼僧が三人か。ま、会って良かったよ。収(・)穫(・)は(・)あ(・)っ(・)た(・)さ(・)」

 

 彼の肉棒に残った精液を丹念に舐め取り始めたアナスタシアの頭を撫でながら、ラスプーチンは悪意ある笑みを浮かべた。

 




この小説は"ノクターンノベルズ"でも連載中です。
ノクターンでは既に第49部まで公開済で、文字数にするとおよそ30万文字といったところです。
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