「千冬さん、かゆいところはないですか?」
「……ない」
真宏の楽しげな問いかけと、ぶっきらぼうな千冬の返事。
常からクールで、ともすればつっけんどんに見えも聞こえもする千冬の態度だが、今日この時は特に真宏への対応が硬い。
声すらこわばり、決して真宏の方を向こうとしない。そっぽを向いているのは嫌っているというポーズよりはむしろ目も当てられないという羞恥の色からだということが頬の朱からも明らかで、普段は凛々しい千冬がこんな表情をしていると大変かわいらしいと真宏は思う。
本当によかった、としみじみ噛みしめる。
「はーい、背中にお湯流しますよー」
「んっ……」
こうして、千冬と風呂に入り、背中を流せることが嬉しくて仕方なかった。
◇◆◇
千冬と真宏の関係を一言で説明するならば。
千冬は必ず否定する。
真宏は笑顔で肯定する。
あえて表すならば「事実婚」であろう。
しかも、真宏が通い夫として。
一応、千冬も真宏も本来の家は別々のままで、同居してはいない。
だが真宏は千冬のことを心配して毎日のように家事をしに、そして世話を焼きに来るし、千冬は千冬でなんだかんだなし崩しにそれを受け入れてしまっている。結果、織斑家には真宏用の蒲団も歯ブラシもエプロンも置かれている。
千冬は用があって外食をするとき以外は大抵真宏の作った料理を食べ、真宏が洗濯した服を着ている。ぶっちゃけ既に真宏がいなければ生活が成り立たないレベルまで浸食されつつあるのだが、そこを認めると立つ瀬がない千冬は全力で目を逸らしている。
無論、それで事実が変わるわけはないのだが。
そして今日、千冬と真宏は一緒に風呂に入ることになっていた。
まあ、当然そういう関係でもあるので珍しくはあっても初めてのことではない。
初めてのことではないが、千冬の恥ずかしがりようを見てそうだと信じる者は皆無だろう。
「ふんふ~ん♪」
「……くぅぅ」
鼻歌とともに、心底楽しいですとばかりに千冬の背中を泡立てたスポンジで擦る真宏と、両腕で自分の体を抱きしめるように縮こまり、羞恥にきつく目を閉じる千冬。どちらが年上なのかわからなくなるようなありさまだが、なんだかんだと恥ずかしがり屋な千冬と風呂に入るときはいつもこうだ。
浴室の片隅に置かれた黄金立方体をスポンジに擦りつけ、たっぷり泡を立ててから使うのは女性の繊細な肌を傷つけないための嗜み。たとえ相手が世界最強を誇る千冬であろうとも、徹底的に愛し、大事にするのが真宏のスタイルだった。
真宏のスポンジが肩をこすり、背骨を伝い、脇腹をかすめ、尻の上端で折り返す。見えない背中、柔らかいスポンジ、真宏がそこに触れている。それら全てが千冬を知らず高ぶらせるに足るもので、浴室の中を反響するいくつもの音の重なりの中に、いつしか千冬の吐息が占める音量が増えていく。
「はぁっ、はぁっ……んっ」
千冬は意地でも認めないが、真宏に背中を流してもらうのは実質愛撫に等しい程に気持ちいい。
優しく、それでいてしっかりと力を込めた感触が背中を丁寧に這う。それはマッサージにも似て、しかし本職のそれとは違って足りない技術の代わりに愛情がこれでもかと込められたもの。真宏の気持ちを知っている千冬としては、自分がどれほど愛されているのかを感じられる行為でもあるわけだ。
「はい、背中は流し終わりました。……それじゃあ、今度は前を洗いますね?」
「…………ん」
真宏の言葉に、千冬はうなずくだけで返した。それだけで、伝わるからだ。
決して口には出せない、「待ちわびていた」という気持ちが。
「千冬さんの肌、本当に綺麗です。触ってるだけで気持ちよくなれますね」
「んんんっ!? お、おかしなところを触るなぁ!?」
「おかしなところって、どこです? この辺りですか?」
「そこは脇だ!?」
真宏が「前を洗う」ということは、「スポンジなんてまだるっこしい手段は使わず直接泡だらけの素手で千冬の体を味わう」という意味に他ならず、千冬はそれを知った上で受け入れた。
わざわざボディーソープをつけて泡立てた真宏の両手が体の前面に。そしてくまなく千冬の体を堪能するために寄せた真宏の体が千冬の背中に密着する。
愛しい男の全身に包まれる幸福と、体を這いまわる手つきのエロエロしさに疼く雌芯。
羞恥が体を紅に染めて、同色の炎が胸の奥に宿る。その炎に焼かれるがままに身を任せてしまえば、間違いなく真宏をこの場で押し倒して襲ってしまうので必死に耐えるしかないのだが。
「ここも、しっかり洗わないといけませんよね」
「くぁっ!? む、胸……強いぞ……!」
そして、そんなことは知らぬとばかりに、いやむしろそうなるのを待ってますと言いたげに千冬を誘惑してくる真宏のことが千冬はこの上なく恨めしい。全身を泡だらけにしてきた真宏が、最後まで取っておいたのが胸だ。
しなやかな背筋も引き締まった腹筋も真宏の指は堪能しつくし、その末にたどり着くのが真宏も千冬も大好きな、胸だ。
こんなに大きいと汗がたまりやすいからと下乳側をこすり、持ち上げて重さを楽しみながら揉みしだく。掴んで広げてその後谷間に腕を挟むなどなど、思う存分おもちゃにしてくる。
「んっ、はぁ……んっ! ぁぁぁ……くぅん!」
「千冬さん、かわいい声です。気持ちよくなってくれてるんですね?」
「言う、なぁ……!」
それでも咎める気にならないのは、真宏にそうされることが千冬自身嬉しくてならないからだ。
真宏の胸板に背を預け、夢中で自分の胸を蹂躙する真宏の腕に自分の手を添える。振り向けばすぐそこには興奮を隠せない真宏の顔があり、目が合い、見つめ合い、少し切ない気持ちを覚えるとすぐに察した真宏がキスをしてくれる。
優しく差し入れられた舌を吸うことも、逆に千冬から舌を入れて絡め合うこともたまらない。
真宏の手はついに胸の先端まで攻略をはじめ、硬くなりだした乳首をつまんで引っ張り持ち上げる。しかし悲鳴は全て重ねた唇の中に吸い込まれ、浴室に響くのはくぐもった悲鳴だけ。
ああ、もうダメだ、と千冬は自覚する。
すでに火はついてしまった。体の中から最奥を炙るこの火は千冬の体を支配して、鎮火するまで止まらない。止める方法はただ一つ。目の前の、この男を……。
うっとりと目を閉じてキスを交わしていた千冬は目を開ける。情欲に濡れ、独占欲の光が宿るその目が愛しい男を映して。
「じーーーーーーーーーーーーー……」
「……うおわあああああああああ!?」
「うわっ、ち、千冬さん? 後ろって……マドカ!?」
真宏の顔越しに見える浴室の入り口を少しだけ開けてこちらの様子をうかがう、マドカの姿もついでに見つけるのであった。
◇◆◇
「全く、姉さんは本当に油断がならない。すぐ抜け駆けをする」
「ぶくぶくぶくぶく……」
「まあまあ、これからたっぷりお相手してやるから、そう拗ねるなって」
状況は変わっていた。
湯船に籠り、鼻まで水面下に潜らせてぶくぶく泡を吐いて必死にごまかそうとしている千冬と、千冬に変わって真宏に背中を流させているマドカ。苦笑いしながらマドカの体を泡まみれにしていく真宏。
これもまた、割とよくあることだった。
千冬と真宏は事実婚と言っていい関係にあるが、それすなわち正式な夫婦ではないということで、つまり千冬以外にも懇意にしている間柄の女性がいても問題はないということだ。倫理的には致命的なほどの大問題だが。
まして姉妹揃ってというのだからヤバさしかない。
が、千冬は真宏のことを愛していて、マドカは真宏以外の男を選ぶことなどありえず、真宏も二人の世話を他の誰かに任せる気もなく、すなわちこれは必然だったと言えるだろう。
それが、織斑姉妹と真宏の関係だ。
マドカと真宏の関係もまた、千冬とは少々異なるがそこだけを切り取ってみれば事実婚と言って相違ない。
真宏は千冬と同じくマドカの食事を作り、服を洗濯し、買い物には腕を組んで出かけ、家に帰ればおかえりなさいのキスをする。
千冬と真宏の間のそれとの相違と言えば、千冬がいまだに恥じらい交じりで真宏が多少強引に迫ってしないと照れてしてくれないのに対し、マドカはむしろ自分からがっつく勢いでヤっていくところだろうか。
そんなわけなので、マドカの冷たい目で痴態を目撃されていると知った千冬の行動は早かった。
湯船から桶に湯を汲んで頭からかぶり、泡を落とす理性だけをかろうじて発揮しつつ、その他の事情を取りあえず全て放り捨てて湯船にどぼん。今に至る。
一方マドカの方は千冬を睨みながらのしのしと浴室に入ってきて、さっきまで千冬が座っていた椅子に腰かけ、真宏を一瞥。真宏は心得たものとばかりに、マドカへのご奉仕に入るのだった。
「はぁ、姉さんには失望したよ。私の帰りが遅いとみるや真宏を独り占めしようとするなんて」
「ぶぐぶぐぶぐぐぐぐ」
「いや、別に千冬さんは意地悪しようとしたわけじゃないよ? ちょっと我慢できなくなっちゃっただけで。マドカにもそういうとき、あるだろ?」
「むー……それはまあ、確かに。私も時々ムラっときて真宏を押し倒すことがあるしな。……例えば、今とか」
「うおっと?」
それは、突然風呂場に乱入する程度には我慢ならなくなっていたマドカの琴線に触れるものだったようで、泡まみれのぬるぬるボディになったことを生かしたマドカによって真宏はさっそく押し倒された。
なんだかんだとくんずほぐれつ位置を入れ替え、壁際に追い詰めるようにしてのしかかるマドカ。全裸の男女のポジションとしては上下が逆のような気もするが、マドカの目に燃える獣の情欲を見れば自然な成り行きと誰もが納得することだろう。今のマドカに理性はない。
いや、割と常から理性の足りてない子ではあるのだが、今はそれに輪をかけている。
なにせ、湯船の中でめっちゃ驚いている千冬の前で真宏を犯そうというのだから。
「ふふふ、まずはキスだ。姉さんのキスを上書きしてやろう。……んっ」
「ま、マドカ……ちゅ、ちゅぷ、れろ……」
言葉の通り、強引に押し倒した割りに最初の接触は優しかった。真宏の頬に手を添え、潤んだ目を閉じて唇を重ねる愛情たっぷりのキス。何度も唇を離して合わせて、その果てに舌を絡め合うどう見ても恋人同士のラブラブキスで、千冬への当てつけが多少混じっているのもご愛敬だった。
「んふふ……もっと夢中になってくれ。姉さんとキスしたその唇で、姉さんと同じ顔の私も愛してくれ……♥」
「ちょ、待てまどか、苦し……んむうぅぅ!?」
そして、だんだんとそういう意図も忘れて熱を帯びていく。
泡にまみれ、火照る体をぬるぬると真宏に擦りつけながら、両腕で真宏の首を抱きしめ唇を捧げ、奪う。
腰をくいくいと使っているのは、反り上がってマドカと真宏自身の腹に挟まれる肉棒を刺激するためだ。ただでさえ臍を叩く勢いの肉棒はマドカのしなやかな腹筋に裏筋を押され、とろとろと先走りをこぼしている。
当然、そのことをマドカは気付いているし、むしろ願ったり。ちょうど子宮の真上の位置を真宏の先走りで汚すのは、これから先にヤりまくるための景気づけに丁度良かった。
「ふふふ、もう射精しそうか? だがダメだ。外に出すなんてもったいな過ぎる。だから……まずは全部飲ませてもらおうか」
腹筋を揺らすたくましい熱に、マドカはそっと体を離す。
このまま全身を真宏に汚されるのも悪くはないが、その日最初の射精は必ず体内に受け止めるとマドカは決めている。体をずり下げて、唇から数ミリの位置に真宏の裏筋が来る場所へ。両腕を真宏の腰に回して固定すれば、もう逃がさない。
「じゃあ、スるぞ……んれろっ」
「くぅっ!?」
まずは、舌での挨拶から。根元から先端まで、竿を蛇行し裏筋を渡って亀頭を巡り鈴口を舌でほじる。
じわりと滲んできた先走りは既に濃い。マドカが思わずキスをするように吸い付けば、口の中に広がる真宏の匂いと、かわいい声で鳴く愛しい男。上目遣いに表情を窺うと、重なる視線に交じる羞恥と快感、期待の色。
ああ、もう。
こんな顔をされたら、全身全霊で愛するしかないではないか。
千冬と同じ、しかし少しだけ幼い顔をしたマドカが、年齢不相応に妖艶な笑みを浮かべる。
こうなるとマドカに容赦はなく、理性もない。一度ならず精を受けなければ収まらない獣となるのだ。
「んー……じゅぼ! じゅっぷ、じゅっぷ、じゅっぷ、じゅぶぶぶぶぶ!」
「んああああ!? ま、マドカ、激しい……!」
だから、最初から喉奥まで加え込むことも辞さない。
キス程度だった唇の接触が、一気に深まる。ぴったりと唇を離さず、水音高く、腰に顔をぶつけるような勢いでの口淫。顔の振りは大きく、吸い付く口内粘膜は決して離れない。マドカの口の中にある真宏の一部は隙間なく熱い粘膜に愛され、外に出た部分もすぐに再びマドカの中に吸い込まれる。
ただでさえ興奮しきっていた真宏には到底耐えられるものではなく、限界の時は近い。びくびくと腰ごと震え、鈴口が広がり、マドカは頭の中まで満たすほど濃密な精液の予兆に瞳を蕩けさせ。
「……真宏」
「え? あ、千冬……さん?」
絶頂寸前の夢心地の中で、女神を見た。
女神の名は、千冬。湯船から裸身を隠さず上がり、いつの間にかそばに寄り添う真宏にとっての女神様。
「私を、あまり放っておくな……んっ」
「んむぅ!?」
切なく、甘く。マドカだけの相手をすることにしびれを切らした嫉妬と羨望。羞恥を上回るその感情が千冬を動かした。
風呂で暖まった体は、柔らかい。ふっくらほかほかの胸はおそらくわざと真宏の腕を谷間に挟み、横を向かせた顔へと強引にキスをする。早く口を開けろとねだるように唇を舌でくすぐり、手を太ももの間に挟んでくる。
「むうぅ~~。姉さん、ずるいぞ。今は私がしているんだ。じゅるるるるるるる! えぐ、んぼ、むぶふっ!」
「くぁあ!? んぶ、むうぅぅぅぅ~~~~~!?」
その横槍にマドカも黙っていない。頬が内側から先端の形になるほどにこすりつけ、マドカ自身苦しくなるほどに喉の奥まで飲み込んでいく。たとえ自分がつらくとも、少しでも真宏を夢中にさせようという健気な乙女心というヤツだろう。
「ちゅううぅぅぅぅ~~~~~、……ぷは。マドカ、そんなに無理をするな。真宏は私たちが無理をすることは望まない。……二人で、しよう。んちゅ」
「ちょ、姉さん! 無理矢理入ってこないで……んんんーーーー! ……んっ、ちゅぱ、れるぅん」
しかし無理してまでの奉仕は真宏の望むところではなく、千冬はマドカを遮って止めた。その際少々強引に体をどかせて割り込み、マドカの唇を奪って有無を言わせないのは千冬が秘めたる織斑家に代々伝わっているっぽいジゴロの資質。
「……見てみろ、マドカ。私たちのキスで真宏がますます興奮している。れるん」
「んっ……仕方のないやつめ。いいだろう、私と姉さんのフェラで射精させてやる……れぇろ」
「うああああ!?」
千冬とマドカの顔はよく似ている。
年を重ねた成熟の色香が濃い千冬と、それによく似て、しかし危ういほどに蠱惑的な表情を見せるマドカ。その二人が、自分に奉仕している。
開いた足の間に体を寄せ合い、長く舌を伸ばして両側から肉棒を舐める。
息の合った動きでそれぞれ何度も攻めた真宏の弱点を刺激する。
カリを舌先で弾き、裏筋に吸い付き、玉を口の中で転がす。先端から滲む先走りは二人で平等に。時折姉妹同士の濃密なディープキスもして見せ、その間は二人のほっそりとした指が相手をする。
真宏の匂いと互いの唾液の味を堪能しながらのダブルフェラは、しかし長く続かない。
いくら真宏であろうとも、これほどの行為に長く耐えられるはずもなく。
「はぁっ、はぁっ……! 千冬さん、マドカ!」
「ああ、もう射精するんだな♡ いいぞ、射精しろ♡ 私たちをお前の色に染めて、においを染みつけろ♡♡」
「もちろん、そのあとぜぇんぶ飲んでやるからな♡ 私と姉さんを満足させられなかったら何度でもしてやるぞ♡♡♡」
それは懇願か、さもなくば脅しか。
左右から亀頭をくわえるようにして、その口内で激しく舌を蠢かせる織斑姉妹。
普段は責任ある大人として凛とした千冬が、クールでぶっきらぼうなマドカが、熱に浮かされたような表情で自分の子種を求めている。そんな姿を見せられればそれだけでも絶頂ものなわけで。
「く……ああああああああああ!!」
「きゃんっ、射精たぁ……♡」
「熱い、くさぁい♡」
射精の勢いは身構えていた千冬とマドカでさえ受け止めきれない奔流となって吹きあがり、二人の顔に、髪に、体に降り注いだ。
◇◆◇
「そわそわ」
と、わざとらしく口に出す真宏は言葉通りの期待感を旨に寝室に控えている。
浴室での射精の後、マドカと千冬は互いの肌の全てを舌で味わうような濃密さで真宏の精を舐め取り、飲み干した。
しかしその程度で収まるはずがないのが肉食姉妹。マドカと千冬のセックス寸前の絡みを見て萎える間もなく復活した真宏もいることだしと、どちらからともなく仕切り直しが提案された。
とりあえず急いで諸々を洗い流し、風呂を出てからすぐさま寝室へ……と思っていた真宏だったのだが、マドカから先に行っているようにと言われてしまった。
曰く、「お色直し」なのだとか。千冬さんに対しては「アレを使おう」とのこと。
その後の千冬がものすごい慌てて顔を赤くしていたことからして、どんな代物が出てくるのか楽しみで仕方ない。
千冬の様子からして、恥ずかしめのコスプレあたりだろうか。それともやたら面積の小さいエロ下着だろうか。
「うぅ……!」
「今更ヘタレないでくれ、姉さん。待たせたな、真宏」
期待に胸を膨らませて待つことしばし、ついに二人がやって来た。
扉に背を向け、目を閉じながら振り向くという念の入れようで二人を迎えた真宏は、ついに目蓋を開き。
「ブラボー……」
「咄嗟に腰を浮かせたのは私たちを襲いたくなったからだと理解するぞ」
「まさにその通りだよマドカ。エロすぎじゃないですか千冬さん」
「う、うるさい!」
二人並んだ織斑姉妹の、煽情的なガーターベルト姿を瞳の奥に刻み込んだ。
「ガーターベルト姿」である。二―ソックスとそれを吊るガーターベルト「しか」身に着けていない。
胸もへそも秘所も全てがあらわになっているが、二人の白い肌を彩る黒のガーターベルトが映える。さすがマドカ、エロというものをわかっている。真宏の中に感謝の念が温かく満ちる。
ガーターベルトオンリーというエロ以外の目的ではありえない姿の二人の様子は対照的だ。
片や横を向いて半身を晒し、髪をかき上げる仕草や自分の体を抱きしめ指先にキスをするような、あからさまに誘惑してくるマドカ。
片やさっきまでエロに浮かされて妹のフェラに割り込んできた人とは思えないほど赤くなり、危ない部分を必死に身をよじって手で隠し、結果としてエロさを倍増させている千冬。
真宏は仏のような笑みで、垂れそうになる鼻血を必死にこらえ、そして決意する。
この二人を必ず満足させてあげなければならない。
自分も思いっきり満足させてもらわなければならない。
なので、とりあえず。
「……二人とも、壁に手をついて。尻を突き出して足を広げて。早く」
「見てくれ姉さん、私たちを見て欲情した真宏が理性とかいろいろかなぐり捨てたぞ。嬉しいな?」
「待て、あの目は大丈夫なのか!? 私たち、揃ってとんでもないことにならないか!?」
「もちろん、とんでもないことにしてもらうぞ? 姉さんだって、真宏を風呂に誘ったときからそのつもりだっただろう。今更純情ぶるとは……それもまた真宏を誘惑する手管か。さすがだな」
「違うに決まっとろうが!?」
「千冬さん、早くって言いましたよね?」
「ちょ、真宏も待て!?」
聞き分けのない子はおっぱいを揉んで黙らせてでもヤる決意である。
◇◆◇
「あ、ぁ……膣内射精、子宮精液漬けにされて……イクうううううぅぅぅ~~~~~!?」
びゅるっ、びゅぶうううううぅぅ、びゅるるるっ。
実際、千冬とマドカはすごいことになった。
すでに立ちバックでさんざん膣内をぐずぐずにされ、足を生まれたての子鹿のように震えさせ、その間からこってりと吐き出された真宏の膣内射精ザーメンをこぼす千冬。
そして今まさに全身を壁に押し付けられ、つま先立ちになるほど体を持ち上げられながらの種付けをされるマドカ。織斑姉妹はすでに、受精していてもおかしくないほどの精液を胎内に受けていた。
「はーっ、ぁ。気持ちいいよ、マドカ。イってると抜くときもちゅうちゅう吸い付いてきてたまらない」
「ぁ、がぁ……♡」
にゅぽん、と音がするほど名残惜し気に吸い付いていたマドカの胎内から肉棒を引き抜くと、マドカ自身の体からも力が抜けたのか膝から崩れ落ちてしまう。
そうなるだろうと予想していた真宏が優しく抱き留めたからいいものの、目こそ開いているが焦点が合っていない今のマドカはほぼ意識がない状態なのだろう。
それでありながら、表情は幸せそうなのだけがマドカにとって唯一の救いか。
「ふう、危ない危ない。落ち着くまでベッドで寝てような。……さて、千冬さん」
「っ!」
マドカをベッドに運び、振り向く真宏の表情は満面の笑顔。
その先には、今も律儀に立って尻を突き出したままでいる。つい先ほどまで交尾していた姿、そのままで。
「今もそうしてるってことは、まだシていいってことですよね?」
「っ! ち、違う! その、ちょっと動けないだけだ!」
「またまた。新しい愛液まで滴ってるのに? ……それに、なんだかんだ言って千冬さんもマドカが感じてるところ見るの好きですよね。自分と同じ顔がアヘってるのは興奮しますか?」
「ひぃん!?」
真宏はそんな千冬に後ろから抱き着いた。挿入はせず、尻房の間に挟んで、両腕でしっかりと千冬の体を抱きしめる。互いのぬくもりを分け合うためだけの、愛しさがあふれる抱擁。さっきまで散々もっと深くつながっていたというのに、この優しさ。まるで一夏が無意識にしているジゴロ的行動のようだと憎々しく思いながら、それでも千冬の胸はしっかりと高鳴ってしまう。
「千冬さん……」
「んっ、真宏……」
そして、背中に感じるたくましい真宏の胸板。
呼吸に合わせて千冬の背中で上下しているその奥に、確かに感じる強い鼓動。真宏も自分に負けないくらいドキドキしているのだと思うと、二人の心臓がシンクロしているような、二人で一人に繋がったような気分になる。
なかなかどうして、悪くない。
悪くないのだが。
「千冬さん、好きです。……千冬さんは、俺のこと好きですか?」
「んん!?」
いきなりこんなことを聞かれれば、そりゃあブリュンヒルデであっても変な声が出る。
「俺は大好きです。いつも俺の作った料理を食べてもらうのが幸せで、千冬さんの服をアイロンがけするのが楽しいです。……千冬さんは、俺のことをどう思ってますか? 教えてください。んっ」
「んむぅぅ! んーっ!」
顔を横向けさせて、キスをしてくる。
キスをしやすい体勢でもないことから、優しいキスだ。
が、だからこそ性質が悪い。
言葉通りに千冬のことを好きで、我慢できなくなったと言わんばかりの口づけ。いや、実際にそうなのだろう。これまで真宏とは何度もキスをしてきた。千冬から求めてがっつり行くこともかなり多かったが、同じように真宏から求められることも、優しくされることも数限りない。
その経験が、真宏の気持ちを伝えてくれる。
言葉にできないほど、あなたが好きです、と。
思わず千冬の頬が赤く染まる。この男にこんなにも愛されていることが幸せで幸せで死にそうだ。
だからこそ、応えなければならない。自分の中にある、気持ちを。
「ぷはっ。わ、私は……私は、お前のことを……」
「俺の、ことを?」
にこにこと笑顔でのぞき込んでくるその顔を見て、胸に浮かんだ気持ちをそのまま言葉にするだけ。
しかし、ただそれだけのことが千冬には難しい。
もとより口が回るわけではなく、想ったことを素直に口に出すことができない性格だ。
その点、マドカ辺りであればいっそ真宏を押し倒して逆レイプ気味に襲いながらひたすら好きだと言い募るくらいのことはしそうなのだが、千冬はそういうキャラではない。
全裸で抱きしめられているというすでに言い逃れようがないほどに恥ずかしい格好をしていながら、乙女のような告白さえまともにできない。
沈黙は数秒。真宏はニコニコと笑いながら待ってくれている。
だが、これ以上待たせれば辛くなってしまうだろう。表情には出さず、他愛のない話だったから気にしないで、と引っ込める。真宏はそういう男だ。
だからこそ、ここが女の見せどころ。
どんな手段を使ってでも気持ちを示さなければならない。
わかっている。
わかっているのだ。
今だけはそれが許される。
たとえ「本当は」伝えることができない気持ちも、「今」だけは伝えることができることを。
と、いったようなことを優しいキスと精液漬けにされた子宮で悶々としながら考えた結果、千冬の取った行動は。
「……こ、こう思っている」
言葉ではなく、手で示した。
耳まで赤くなった顔をそむけながら、伸ばした親指と曲げた人差し指。左右の手をその形にして合わせれば、そこに出来上がるのはハートマーク。
恥じらいながらのその仕草、どんな言葉よりも雄弁な、「あなたにメロメロです」という気持ちの表れだった。
「…………………………………………」
「ま、真宏……?」
「先に謝っておきます。……千冬さんが悪いんですからね!」
「それは謝ってない……ひゃあ!?」
千冬はぐいと体を引かれた。
投げ出された先は、マドカも横たわっているベッド。柔らかく全身を受け止められた直後、体に重みを感じた。真宏だ。仰向けの千冬にのしかかっている。
「千冬さんの気持ち、よーくわかりました。だからあとは俺の気持ちも教えてあげなきゃいけませんよね、行動で」
「こ、こうどう……」
「はい。例えば、こんな風に。ぺろっ」
「んくぅ!?」
手首を掴まれて押さえつけられ、ちょっとキュンとする千冬に対し、真宏は容赦はないが愛はたっぷりある愛撫に出た。
手始めに千冬の首筋に舌を這わせ、キスをする。
好きです大好きですと囁きながら、耳を唇で噛む。鎖骨を唇でなぞり、あまつさえ脇にはディープキスのような勢いで顔を埋める。
すると。
「はーっ♡ はーっ♡」
「千冬さん、すっごいトロ顔ですね」
「お、おみゃえの、せいらぁ……!」
なじる言葉も甘えた響き。いつの間にやら両足を大きく開いて真宏を迎え入れ、両手を恋人繋ぎで蕩ける千冬がそこにいた。
しかし、もとより千冬はこういう女だ。真宏は千冬とマドカにぞっこんだが、千冬もまた当人は認めないが真宏にベタ惚れしている。求められればなんだかんだ言っても断り切れず、自分から求めることは恥ずかしくてできないので精いっぱいの誘惑で襲ってもらう。千冬は大体いつもそんな感じだ。たまに我慢できなくなって犯すが。
ちなみに、マドカはその辺大胆なので一切躊躇なく真宏のベッドに風呂に潜り込む。
ともあれそんな千冬がこうまでなると、当然我慢などできないわけで。
「……続き、してくれ」
「はい、千冬さん」
しばらく真宏がキスもおっぱいいじりもしないだけで、御覧の通りだ。
興奮に滾る肉棒にくちゅくちゅと音を立てて秘所を擦りつけながらのおねだり。千冬の中で膨らむ期待が荒い息を吐かせ、今や遅しと待ちわびる。
ぬちゅりと思い水音を立てて真宏の亀頭が千冬に狙いを定め。
そのまま当たり前のように下へとズラし。
「……え?」
「そぉ……れ!」
「んぐうううううぅぅ!? そ、そこは、違、おおおほおおおおおお!?」
勢いよく入り口をこじ開けるカリまでのふくらみと、その後も止まることなくずぶずぶとどこまでも入り込む感触に、千冬がこの世のものとも思えない喘ぎ声を上げる。
そうもなるだろう。千冬にとって膣内以上の弱点、アナルに容赦なく突きこまれれば。
「ま、真宏ぉ……お前ぇ……!」
「トロ顔で、半泣きになって、それなのに身動きもできない。そんな千冬さんも可愛いですよ」
「んむぅ!? き、きしゅ、するなぁ……! やめ……ひゃんっ!?」
真宏はさらに攻め手を緩めない。
千冬が大好きな優しいキスをしながら、腸内をこね回すように根本まで挿入したまま腰を大きくグラインドさせる。入り口から奥まで真宏に密着した内臓が丸ごと揺らされ、裏から子宮も押しつぶす。そんなことをされれば為す術もない。口からは舌も唾液も零れ落ち、ぽろぽろと歓喜の涙がこぼれてしまう。
織斑千冬、ブリュンヒルデ。その名を知る全ての人に決して見せられないただのメスがそこにいた。
そして。
「はぁ、はぁ……感じてる姉さん、かわいい。マジかわいい」
「ま、マドカ!? やめろ、見るなああああ!?」
そんな千冬を大好きなことにかけて真宏と並ぶ猛者、織斑マドカが隣にいた。
忘れかけていたが、現在進行形で姉妹丼の真っ最中なのだ。マドカはついさっき真宏に撃沈させられていたが、そろそろ復活してくる頃合い。意識を取り戻すなり、すぐ横で繰り広げられていた愛する姉の痴態にさっそく劣情を催し、オナニーしながらよだれを垂らしていたのであった。
千冬に負けず劣らずひどい顔であるが、それもまた魅力的と思う心の広い変態野郎がここにいる。
「マドカ。こっちに来て、千冬さんを気持ちよくするのを手伝ってくれ。がんばってくれたらご褒美にお仕置きしてやろう」
「本当か!? ふふふふふ、すまないな姉さん。ちょっと軽く壊れるかもしれないけどその分天国にイかせてあげるから許してくれ」
「や、やめ……やめろ! フリとかじゃないぞ、やめろ! ただでさえ真宏にされてるのに、これ以上は……」
千冬からが必死に制止するのも聞かず、マドカは千冬の上に覆いかぶさった。
真宏が体を揺するのに合わせてたぷたぷと揺れる胸を自分の胸で押さえ、頬を手で押さえて蕩ける表情を隠すことすら許さない。
「ほら、姉さん口を開けて。れぇー」
「はぷっ!? ん、むぐ、ごく……んっ」
乳首同士を擦り合わせながら、マドカが長く伸ばした舌から唾液を垂らす。その行き先は開かれた千冬の口。直接注ぎ込まれた妹の唾液は蜜より甘く、真宏に蹂躙される下半身をさらに一段階熱く燃やす。
「あぁん、もう、姉さん可愛すぎる……。真宏、真宏。もっと犯してやってくれ。それから、少しでいいから私の方も頼む。せっかく姉さんがアヘ顔を見せてくれているんだから、私のアヘ顔も見せてあげないと不公平だろう?」
「待てええええええ!?」
「少しでいいのか? こっちは、すごく物欲しそうにしてるけど」
「んおぉ!? そ、そこで躊躇なくアナルに指を2本も入れるなんて……そういうところが好きらぞ、まひろぉ……♡ らいりょうぶ、お前にされるなら、すぐアヘっちゃうからぁ♡♡」
「マドカ、そんな顔をして……あひん!? やめろ真宏、奥をぐりぐりするなああああ!?」
そして、姉妹はそろって真宏に溺れていく。
姉妹揃っての弱いアナルを指で抉られ、姉と同じく弛緩した表情を晒すマドカ。
真宏自身限界が近くなってきたせいでラストスパートに入り、寒気にも似た感覚がぞくぞくざわざわと脳天に向かって背筋を登っていく千冬。
太く、熱く広げられる違和感が体中から力を奪い、抵抗も我慢もできず、本能のままの絶頂を余儀なくされる。
「千冬さん」
「まひろ、まひろぉ♡ すき♡ キス、キスぅ♡♡」
「はい。望みのままに、お姫様」
「ん♡」
限界が近い。千冬に負けず劣らず快感に溺れた顔でまっすぐに目をのぞき込んでくる真宏に、千冬の理性はもはや働かない。思いをそのまま口に出し、望みをわがままにたたきつける。
しかし真宏はそれを全て受け止めてくれる。優しく降ってくるお姫様扱いのキスを上機嫌に受け止め、しかしすぐに燃え上がる肉欲が舌を絡める捕食のようなキスへと変わり。
「んぐうううううう!」
「あ、イく、イくイく、イくーーーーーーーーーーーー♡♡♡」
汗にぬめる肌そのものを使って千冬を狂わせていたマドカごと抱きしめ合い、腸内に熱く、重く、ゼリーを注入されたような錯覚さえ覚える射精を受けて、千冬の体は絶頂の極みへ、そして心は天上の幸せの中へと堕ちていく。
◇◆◇
「……………………………………………………………………………………………………」
その日、千冬は目覚めて顔を洗い、身支度を整えて寮の食堂で朝食を取り、いつも通り教壇に立ち、あるいはIS練習場にて生徒たちを指導し、昼食を取り、午後の授業を務めあげ、放課後に事務的な手続きや教師的なあれこれを済ませ、寮に戻って夕食を取り、風呂に入って、眠る。ごく普通の一日を過ごした。
「あ、あの織斑先生? その腰の刀は……?」
「気にするな。ただ、もし一瞬でも視界に入ったら必ず斬らねばならないものができただけだ」
「斬るものって人じゃないですよね!? ないですよね!?」
ただし、なぜか帯刀し、その日は片時も刀を手放すことはなかったという。
「あ、織斑先生おはようございまひょわああああああああ!? なんで斬るんですか!? それ真剣ですよね!?」
「ああ、すまんな神上。理由は言えんが今日一日はお前に隙があったら無意識に斬るだろう。出来る限り私の間合いに入るな」
「千冬さんの間合いって教室1つくらい余裕で収まるじゃないですか!」
ついでに、なぜか真宏も千冬の斬殺対象となっていて、しかし真宏の姿をちらと見るだけで妙に顔が赤くなったという。
一方、マドカは。
「ぼー……ハッ!?」
起きてしばらく呆然としたのち、自分が見た夢の内容を思い出してひとしきり暴れた。
結果としてベッドと枕はズタズタになって二度と使えない有様となったが、マドカの部屋ではよくあることなので何も問題はなかった。証拠隠滅完了。
「なんだ、なんだあの夢は……!」
そして、どれだけ暴れても絶対に標的となることがない部屋の一角、正しくはそこに置かれた1枚の写真。
写真立ての中に収められた、姉の、千冬の姿を映したそれ。
これまで唯一持っていたペンダントの中のものとは違う、先日譲り受けた、最近の千冬の写真。考えてみれば、あの夢の中に出てきたのは千冬と、そしてこの写真をくれた男だった。
「姉さんと、私が……。ハッ!? 思い出すな思い出すなあああああああああ!」
その後、記憶を失くそうと試みて壁に頭を打ち付けるマドカの姿を見た者は、悪の秘密結社的な相互不干渉によって誰も生まれずに済んだ。もし見られていたとしても、マドカが目撃者をかなり本気で殺しにかかっていたことは間違いないが。
ちなみに、その後マドカのいろんな意味でのオカズの対象が千冬以外にもう一人増えたことは、マドカだけの秘密だ。
◇◆◇
「まあ束さんはその辺もばっちり知ってるんだけどね!!」
「束さまたちの姉妹に負けず劣らずこじらせていますね、織斑千冬と織斑マドカは」
そんな様子を知ってしばらくIS学園に近づかないことを決意した二人の黒幕がニヤニヤしながら楽しんでいたことは、誰も知らない。