※この作品はR-18です。

IS学園の中心で「エロス」を叫ぶ   作:葉川柚介

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簪のお薬編

「んんー、はふう」

 

 簪はまどろんでいた。

 夜の自室の布団の中で、半ば夢心地のまま眠りに落ちようとしている。いろいろなことがあった今日という日を振り返り、楽しいことばかりだった、と迷いなく思える幸せ。真宏という恋人ができてから日々しみじみとそう思えるようになったのは、簪にとって一番嬉しいことだった。

 

 目を閉じれば、半ば夢の世界に落ちた意識の中でも真宏が笑いかけてくれる。いつでも無駄に自信満々。簪の手を引いて優しく導いたり、時に容赦なく背を押してくれる頼もしくて楽しくて、自分でも驚くほど大好きな男の子。

 

「お休み、真宏……」

 

 もしも夢で出会えたら、きっとそれはもっと幸せなことだろう。そんな乙女ちっくなことを考えながら、今度こそ簪は眠りについた。

 

 

 

 

「その願い、聞き届けました」

 

 しかしその寝言が、聞かれてはならない者に聞かれてしまったようだった。

 

 

◇◆◇

 

 

 急須に茶葉を適量。ちょうどいい温度のお湯を注いでから更識家秘伝のお薬をさらさら。そして蓋を閉じ、お盆に急須と湯呑、お茶菓子を乗せて真宏の元へ。真宏の部屋での二人きりのお茶会の準備は、これで整った。

 

「……え、お茶会?」

 

 用意を整えにこにこと楽しげに笑いながら真宏の元へ向かおうとして、しかし違和感を感じてはたと立ち止まる簪。何故か、突然現実味がなくなったような気がした。まるで、夢の中で夢を見ていると自覚してしまったかのように。

 だが、見慣れた真宏の部屋の内装も、急須から立ち上る湯気と茶の香りにもおかしなところは何もない。立ち止まった簪に気付いて不思議そうな目を向けてくる真宏の様子も簪が良く知るものと何一つ変わらず、おいでおいでと手招きしてくれている。

 気のせいだったのだろう。簪はそう思うことにして、天井の黄金立方体が柔らかに照らすソファ前のテーブルにお盆を乗せ、お茶の支度を続けた。

 

「立ち止まってたみたいだけど、どうかしたのか?」

「ううん、なんでもない。お茶、淹れるね」

 

 手早く湯呑を並べてくれる真宏に合わせて急須を傾け茶を淹れる。実家から送られてきたお茶は真宏も気に入ってくれているようで、こうして時々振舞っては他愛のない話をする。今でも真宏と二人きりになると、不意に笑顔を真正面から見てしまってドキドキすることはあるが、決して不快なものではない。簪はこういう時間が大好きで、お茶会の度に毎回必ず自分と同じような理由で耳まで赤くなった顔を見せてくれる真宏も、きっと同じ気持ちでいてくれるのだろう。

 

 ……だから今日は、ちょっとした罠を仕込んでみたりもしたのだが。

 

 

『ワールドパージ、完了。これは、一途……というものなのでしょうか?』

 

 

「ふう……今日のお茶は、なんだか特に美味いな」

「そう? よかった」

 

 しばらくして。簪はソファの座る位置を変え、真宏の隣に寄り添って肩に頭を預けている。それをやさしく支えてくれる真宏のたくましさに甘えながらお茶を飲む。そうし続けて二人の体から緊張の強張りがなくなってくるころ、真宏の吐息が熱を帯び始めたことに簪は気が付いた。体温が上がっているのが触れている体からもわかる。少し息が荒く、そして時折簪を見る目付きはもっと激しい熱を帯びていることも。

 計画通り。思わず、そんな笑いが浮かんでしまう。

 

「……あれ、なんだ……おかしい、ぞ?」

「大丈夫だよ、真宏。……お薬が、効いてきただけだから」

「へ? ……薬?」

 

 自分の体に起きつつある異常に、真宏もようやく気が付いた。驚いて目を向ければ、メガネ越しに見上げる目を潤ませながら簪が告げたのは「薬」の一言。

 なんかもう、真宏はイヤな予感しかしなかった。

 

「お茶の中に入れたの。そろそろ効いてくるころかなって」

「く、薬って……簪さん、ちなみに何を使ったんで?」

「更識家秘伝の……媚薬」

「媚薬ぅっ!?」

 

 思わず敬語になる真宏。

 そしてとんでもないことを口走る簪。

 すでにして、カオスである。

 

 

 媚薬、などという言葉で自覚してしまったせいだろうか。真宏の目に、簪の様子はいつもと明らかに違って見えた。

 恋人になっても恥ずかしがり屋な簪は、寄り添うことはあってもぴったりと触れ合うことはあまりない。決して嫌がっているわけではなく、自分からは恥ずかしくてできないだけのようで、そういう雰囲気を感じ取った時に抱きしめてあげると嬉しそうに身を預けては来るのだが。

 ともあれそんな簪が今、真宏に抱き着いている。右腕を抱きしめ、しかも胸を押し付けるようにして。見上げる目はとろんと緩んで理性が弱まっていることを伺わせ、なんだか自分と同じように熱い息を吐いているような。

 

「お茶に入れて、私も飲んだの。だから大丈夫。体に悪いものじゃないから」

「や、その辺は信じてるけど……いやむしろ余計ヤバそうだけど! でもどうしてこんなことを」

 

 簪が腕を抱きしめる力はますます強くなっている。そうしなければ何かが抑え切れないとでもいうように。その気持ちはものすごく良くわかる。真宏自身、今にも簪を襲いたくて仕方がないからだ。

 このまま押し倒して服を剥ぎ、思うさま貪ってしまいたい。そんな獣欲が頭の中で渦巻いて今にも我慢が効かなくなりそうだった。真宏がそう思ってくれていると、簪は確信している。

 簪の体から立ち上る匂いがくらくらするほど甘い。シャンプーでも石鹸でもない女の子らしい香りがするのはいつものことだが、今日のこれは明らかに何かが違う。虫を誘う花の蜜にも似た、蠱惑的な香りだ。

 

「真宏は、いつもしてくれるときも優しいから。それももちろん好きだけど、たまには何も我慢しないで本気でしてほしいかな、……って」

「いやいや簪落ち着け! なんかすごいこと口走ってるぞ!?」

 

 今の簪の状態は、媚薬の効果によるものももちろんあるだろう。だがその行動に移る前は確実に素面だったわけで、自分の愛しい彼女のエロさに真宏は感動のあまり息もできなくなるくらい激しいキスをしてやりたくなる。

 だんだんと潤んだ瞳で顔を近づけてくる簪の顔の前に手をかざし、必死に止める。これ以上近づかれたら本気で理性も何もあったものではなくなりそうなほどまで追い詰められている。

 

「べ、別にこんなことしなくても、簪が激しいのが好きならいくらでもしてあげるから。むしろ望むところだから! だ、だから今日は……な? 取り返しのつかないことにならないうちに……」

「……だめ。ぺろっ」

「うひぃっ!?」

 

 しかし、進撃の簪は止まらない。押しとどめようと出した掌を舌で舐められ、その柔らかさと熱さに背筋が震えあがる。

 

「んちゅ、れる、ちゅぱ……んむーっ」

「ま、待って簪! 手のひら舐めないで! 指咥えないでっ!」

 

 往生際の悪い真宏を、簪はしかし容赦なく追いつめる。両手で真宏の手を掴み、手のひらにぺとりと押しつけた舌を這わせてから指を口の中へ咥えこんだ。掴む手の力は決して強くしていないが、それでも真宏は簪を傷つけることを恐がるのと同時、自分の指が簪になめしゃぶられているという状況に興奮して抵抗できないでいる。

 物欲しそうな目を向けながら、時々唇から舌をちろちろとのぞかせて指を味わう簪。その舌に吸い付いて徹底的に啜ってやろうかとすら思う。

 

「次は、中指……。んんー、ちゅぱっ、ちゅぷん、ちゅぅう」

「は……はぁ……っ」

 

 口に含んでいた人差し指は十分に堪能したのだろう。隣の指に移り、今度もまた思う存分真宏の味を楽しんでいる。舌で余すところなく感触を味わい、唾液まみれにしてからまとめてすする。その間ずっと簪の目はメガネを通さず肉眼で真宏を上目遣いに見続け、咥える向きを変えて指を歯で甘噛みするときのうっとりとした表情を見せつける。

 

 もう少しだ。

 簪は自分も夢中になって真宏の指を味わいながら、確信する。

 

「ちゅぷっ。……ね、真宏。本当に遠慮なんて、何もいらないの。私のこと、全部好きにして? 何でも好きなことをして、好きなだけして、全部……真宏のものにして欲しい」

「簪……」

 

 指を舐めて出来上がったのは真宏だけでなく簪も同じ。唇が触れあいそうなほどに顔を寄せ、甘く囁く言葉に自分自身も酔いそうになる。

 

「……んふ。でも、まずはちょっと楽にしてあげる。こっち、苦しそう」

「はうっ!? そ、そこは……そりゃ、なあ」

 

 いや、実際酔っているのだろうと簪は自分でも思う。そそくさと真宏のズボンのファスナーをおろして熱く固くなった肉棒を自分から引きずり出すなど、普段の簪ならば絶対にできないことなのだから。

 簪の細い指が股間をまさぐる感触だけで、真宏にとっては限界を越えそうなほどの心地よさだった。このまま簪をむさぼりたいという気持ちと、もう少しなすがままにされてみたい気持ちのせめぎ合いが体を押しとどめているが、それももうあまり長くは持たないだろうと確信がある。

 

「すごい……大きい。やっぱり、いつもより興奮してるんだ」

「そりゃ、当たり前だろ……っ!」

「きゃ、んむぅっ!?」

 

 それはもう、すぐさま簪の唇を奪うくらいには。

 キスではなく、その奥の舌との絡み合いが欲しくてしょうがなかった。簪を呑みこむように舌を求め、すぐに応えてくれた簪と二人の口の中で唾液の絡む音を大きく響かせる。

 簪も、驚いたのは一瞬のこと。真宏がようやく強く求めて来てくれた嬉しさに舌を絡めて応え、触れたペニスを手で擦り上げていく。

 

「んんっ、じゅ、ぷふ……真宏、好きぃ……!」

「簪! 俺も好きだ、簪ぃ……」

 

 好きと告白しあいながらのキスは脳をとろかせるようだった。他のことは何も考えられなくなるほどの多幸感に包まれながら、二人は口の端から唾液が垂れるのも構わず激しいキスをする。

 そして簪はその間も手コキをやめることはなく、滲み始めた先走り液がにちゃにちゃと音を立て、カリの段差を指が弾き、亀頭を掌が撫でまわし、指が尿道口を押しつぶす度にびくびくと震えさせる。これまでも十分すぎるほどに我慢していた真宏は、そう遠からず限界に達した。

 

「んんっ、簪……出る、出る……!」

「いひよ……らひて。私の手、どろどろにして……?」

 

 簪のその言葉がトドメとなった。

 媚薬の強精効果を受けた真宏のペニスは栓が壊れたかのように射精をはじめ、吹き出した白濁はあっという間に簪の手を真っ白に染め上げていく。

 

「あ……あ、なんだ、これ」

「あは、すごい量……。お薬、効いてるみたい」

 

 激しいキスの余韻である唾液の橋で互いの口をつなぎながら、簪が嬉しそうにつぶやいている。

 それは、真宏自身経験がないほどの射精だった。簪に握りしめられたまま、勢いこそ弱くなりつつも長く精液を吐き出し続け、どろどろと簪の手首までを白濁液が覆っていく。しかもそれでいて一向に萎える気配がない。感覚だけで言うならば、これから2回3回と言わず何度でも射精できそうな気分と欲望が胸の中を渦巻いている。

 

「熱い……それに、スゴイ匂い。んちゅっ。……味も、濃いね」

「あ、あ……っ」

 

 そして簪は、どろどろに白く染められた自分の指をためらうことなく口に含み、こびりついた精液を舐めていく。さっきまで自分の指と舌がなめまわされた簪の口の中に、今度は簪自身の指と自分の精液が飲み込まれていっている。

 指をしゃぶり、手のひら、手の甲に舌を這わせ、一滴も逃さないとばかりに精液をことごとくなめとっていく簪の卑猥な姿は、真宏の目にくっきりと焼き付いていた。すぐ隣で真宏が見ていることを、簪は忘れてしまったのだろうか。そんなことを思うほどに、熱中して精液を舐めては飲み込んでいる。

 

「ん、おいし。……こっちのも、もらうね。じゅるうっ」

「おぉおおっ!?」

 

 簪が次に目を付けたのは、ようやく射精が収まったペニス自身。そちらにも大量にこびりついている精液を、簪は真宏の前にひざまずいてフェラチオの形でなめとっていく。

 口の中に収められ、舌で丁寧に清められていく感触。キスをして精液を吸い、唇がぬるりと亀頭を呑みこんで、すぐに貪欲な舌が隅々まで清めていく。ペニスを口に含んだまま唾液と混ざった精液を呑みこむときは、そのまま喉の奥まで吸い込まれるような気さえした。

 簪がしてくれているという事実も相まって、今すぐもう一度射精したいほどの気持ちよさに真宏はうめき声しか上げられない。

 

「じゅううぅ~……ぷはっ。おいしかった。ありがとう、真宏」

「ど、どういたし、まして……」

 

 竿のみならず、玉袋まで舐めてきれいに精液をすすり尽くした簪に、真宏はもう完敗も同然だった。徹底的に好き放題されたという気分であり、最高ではあったが同時に、真宏の中にとある感情もまた生まれた。

 

 負けっぱなしではいられない。

 まだまだまったく射精し足りない。

 次はこっちの番だ。

 組み伏せて、抵抗できなくして、徹底的に簪の子宮を精液で埋め尽くしたい。

 

 更識家秘伝とやらの媚薬の効果だろうか。真宏の性欲は収まるどころか増す一方で、満足そうに艶やかな笑みを浮かべる簪を見る目に、飢えた獣じみた光が宿った。

 

「……そ、それじゃあ、次」

「簪……?」

 

 しかし、今すぐ襲いかかろうとした真宏の気配を察したのか、簪が体を離した。そういえばまだソファに座ったままでベッドにも移動していなかったが、簪は多少ふらつきながらも立ち上がり、真宏に背を向けた。

 まさか、このまま終わらせるつもりか。一瞬そんな不安を感じ、ならばいっそこのまま襲うかという剣呑な考えが脳裏を過ぎる真宏。

 

 だが心配はいらない。

 高められた性欲が収まっていないのは、簪も同じなのだから。

 

 簪が立った理由は、他でもない。

 

「すー……っ、ふー……っ。……んふ」

「おぉ!?」

 

 真宏の目の前で、スカートを履いたまま下着を脱いで見せるためだった。

 

 スカートの脇から手を入れたせいでその奥が見えることはなかったが、体をかがめたことで少しだけ持ちあがったスカートのすそが簪の太ももを根元まで真宏の視線にさらす。脚を抜く動きでゆらゆらと揺れるたびにさらに奥が見えそうになるも決定的なところまでが見えることは決してなく、真宏は身を乗り出した。

 だから当然、真宏は気づいている。今簪が脱いだ下着がぐっしょりと濡れていたことと、下着とスカートの奥を透明な液体の糸が繋いでいたことを。

 

 あまりにも淫靡な光景だ。上半身をかがめたことで尻が真宏の目の前まで突き出され、ギリギリまでたくし上げられたスカートの奥から下りる小さな布地。途端に真宏の鼻先を叩く香りは蠱惑的な淫臭で、脳まで染み込んでくる。

 無性に喉が渇いていた。今すぐのどを潤したい。目の前の、一番好きな少女の蜜で。ひりつく口の中で唾をのみ込みながら、真宏の思考はただそれ一色に染まる。

 

「よいしょ。……真宏、どうぞ」

 

 ましてや、簪自身からこうしてその身を捧げられてしまえば、これまで必死にしてきた我慢も限界だ。目の前のソファに身を預ける簪。上半身を乗せ、尻を突き出し、あとは好きなようにしてくれ、と。

 真宏の中から理性を完全に消し去る簪の誘惑は、見事なまでに成功した。

 

 

「簪っ!」

「あっ、あ……んんんーーーっ!?」

 

 簪の背に覆いかぶさる真宏。襲いかかった、と言ってしまって語弊はないだろう。身動きが取れないように押さえつけ、乱暴にスカートをめくってむき出しの下半身をあらわにし、容赦なく簪に挿入する。

 抵抗はない。喜んで受け入れた簪の膣内は既に溢れんばかりに濡れていて、いきなりの激しい突き込みにも健気に媚びて、最奥まで熱烈に歓迎しながら迎え入れた。

 

「ううっ、う、うぐ……簪、簪!」

「ああ、真宏ぉ……! んっ、かふ、あ……すごい、激しいぃ……!」

 

 腰に指が食い込むほどの強さで掴んだ真宏は全力で腰を叩き付けていく。奥をえぐり、膣道を穿り返す動きにはいつもの簪を気遣う優しさなど欠片もなく、ただ自分の快楽だけを貪ろうとする獣のような欲望だけがあった。

 入口から止まることなく突き進んだ亀頭に子宮を叩かれて、簪の頭の中が白く散る。そのたびにイっているのだと気付くころには、簪の口からこぼれる声が意味をなくし、ただの叫びになりだしていた。

 

「んあっ、あっ、ぐっ、ひぃあ……! きもち、いぃ……乱暴にされて、イっれ、るぅ……! んじゅぶ、ちゅうう」

「はあっ、はあ……! もっと、もっとだ……!」

 

 いつの間にかワイシャツの前が引きちぎられていたらしいが、そんな狼藉にすら今の簪は男らしさを感じて背筋が震える。ボタンが飛び散った下でむき出しにされた胸が乱暴に揉みしだかれるのに合わせて、膣内が締め付けを増して真宏を喜ばせ、口の中にねじ込まれた指には何も言われないのにしゃぶりつく。

 そしてその間も、真宏の腰は止まらない。簪の体を押し付けたソファごと揺らすほどの過剰な勢いでの突き込みを受け、とっくに屈服した子宮は精液を注がれる時を待ちわびて亀頭にキスを浴びせる。真宏が腰を引くことなく、密着させたまま連続して突き上げてくるともうたまらない。簪自身、子宮が亀頭に吸い付いて離れないようになった錯覚を受けるほど、何もかも忘れてしまいそうな気持ちになった。

 

「あんっ、きゃ、ぁ……。らし、て……もうらめになる、から……その前、にぃ……!」

 

 だから簪は哀願する。

 これ以上されてはあまりの快感に気絶する。その前、意識があるうちに真宏の精液が欲しい、と。そしてその言葉は獣と化した真宏にも、しっかりと伝わった。

 ばぢゅっ、と水音を立ててどろどろの愛液まみれになった二人の腰が隙間なく密着し、ぐりぐりと子宮口をこじ開けようと真宏の亀頭がねじり込まれ、震えて、弾けた。

 

「簪……! あああああっ!」

「いいよ、きて、出して……っ! 全部、一番奥にちょうだいっ! ……んああああああっ!?」

 

 簪の体を抱きしめ、一滴もこぼさないよう注ぎ込む真宏。子宮に直接注がれる精液の熱さにこれまで以上の絶頂へ至る簪。二人の声は長く尾を引いて、二人きりの部屋の中にいつまでもこだまする。

 

 

 

 

「あぇ……へぇ。真宏……ぉ」

 

 長かった余韻がようやく引き始めたが、簪はだらしなく緩んだ表情を隠せずにいた。とろんと蕩けた瞳に収まりかけた情欲の炎。湯気が立ちそうなほどに赤い頬と口からこぼれる甘い溜息。徹底的に、情け容赦なく愛された全身の満足が普段の簪からは想像もできないような顔をさせていた。

 正直、体は既に結構つらい。下半身には全く力が入らず今もびくびくと痙攣し、胸の先端は散々にこね回されたせいでジンジンと熱く、指とペニスをなめまわし続けた舌が疲れてまともにしゃべれない。

 

 だが、嬉しかった。

 ノリの良さと勢い任せなところとは裏腹に、自分とのセックスの時は優しくリードしてくれる真宏の欲望を開放した本気の交わりが、こんなに激しいものだとは。つねりあげられた乳首の痛さも、簪への気遣いが皆無に犯されるのも、かなり気持ち良かった。もしかして自分は割とドMなのでは。そんな一抹の不安すら感じるほどに、何かに目覚めかねない新たな世界の扉が広がっていた。

 

 じんわりと体に広がっていく疲労。最高ではあったが体への負担もあったのだろう。このままにしておいたら体と部屋の汚れが大変なことになりそうだが、今はただこのまま眠ってしまおうか。まどろむ心地に身を任せ、簪はうっすらと開いていた目蓋をゆっくり閉じて。

 

ずんっ、と。

 

「……んおっ!? はぁあああああっ!?」

 

 挿入したままだった真宏のペニスが再び重く子宮を突く衝撃に、いやおうなく叩き起こされた。

 

「はぁ、はぁ……ごめん簪。まだ収まらないから、付き合ってくれ」

「つ、付き合ってって……あんなに、激しくしたのに!?」

「薬の効果かな。たぶん今夜は寝られないから、覚悟して」

「そ、そんなぁっ!? んあっ、ま、また動いてええ!?」

 

 簪にとって完全に誤算だったのは、媚薬でブーストされた真宏の精力を見誤っていたことだ。2度の射精を経てなお全く萎えない真宏のペニスは今も元気に簪の膣内で自己主張を続け、一向に収まる気配を見せていない。

 しかもなお悪いことに、真宏も収まってはいないものの精神は変な方向に落ち着いたのか、簪の喘ぎ声を聞きながら腰の動かし方を変化させ、簪が一番感じるところを集中して狙うようになってきた。声の感じもそこはかとなくニヤニヤと笑っているようで、ドSのオーラが背中越しに漂ってくる。

 簪は正直、ちょっとぞくぞくした。

 

「こうなったのは簪のせいだし、それにさっきまでの様子からすると痛いのも平気なんだよな。……それじゃあ、これからは色々してみようか」

「色々……って」

「まずはベッドまでお散歩。もちろん、入れたまま。四つん這いで頑張ってくれ。……もし手間取ったりしたらお仕置きとしてお尻を叩く。こんな風にっ」

「ひぃんっ!? お尻、叩いちゃダメぇ……っ!」

 

 訂正。真宏は完全にドSと化し、簪もめちゃくちゃきゅんと来た。音高く平手打ちをされる尻肉からはさっきまでとは違う熱が宿り、真宏の命令に服従したいという気持ちが胸の奥からごぼごぼとわいてくる。

 このまま真宏の命じることに従っていれば、一体どんなことになってしまうのか。甘く蕩ける想像が簪の脳裏を駆け巡る。

 

「ああ、それからこっちもいじってやるよ。嬉しいだろ?」

「んおぉっ!? おしり、おしりの穴はだめぇえ!?」

「今は、な。大丈夫、今夜中におしりでもイケるようになるまで開発してあげるから」

 

 情け容赦なく尻穴に中指を根元まで突き入れられたのがトドメとなった。簪はもう、どうあっても真宏に逆らうことはできない。子宮口にぴったりと密着した亀頭の動き一つで喘ぎ泣かされ、気が向いたらアナルの深くを弄ばれるだろう。きっとそのたびに簪は深く感じて動けなくなり、真宏にお仕置きされるに違いない。

 既にして、ゆっくりと動く腰と腸壁をなぞる指の感触だけで頭がちかちかするのだ。これ以上は少しの刺激も耐えられないのに、ましてベッドまで這いずっていくだなどと。これから一晩中、どれほど真宏の好き放題にされてしまうのか。

 

「ほら、いつまでもソファにすがりついてないで。ベッドに行ったらまずは思いっきり恥ずかしい格好をさせて犯してやるから、今の内に死ぬほどいやらしいおねだりの言葉を考えておくように。……いいな?」

「え、あ…………はい」

 

 がちゃり。

 冷たい声で恭順を命じるその言葉に応えた瞬間、自分の首に真宏専用の首輪をかけられた光景を幻視する。それはあくまで妄想の中の光景であったが、現実ともさして変わりはないだろう。

 簪はもう、真宏という主なしでは生きていけない体になったのだから。

 

 

◇◆◇

 

 

「んぅ……もっと、して。真宏……ううん、ご主人様ぁ。……ハッ!?」

 

 

 目覚めは唐突だった。朝の光がまぶしい部屋の中、当たり前のようにすっきりと目が覚める。あまりにすっきりとしすぎていて、さっきまで見ていた夢の内容を最初から最後まできっちり覚えているくらいに。思わずすぐ隣にいるはずの真宏にしがみつこうとして果たせず、心の底からがっかりしてしまうくらいに。

 

「え、あ……ゆ、夢?」

 

 そこまでして、簪はようやく気付く。あれは現実に起きた一晩の情事ではなく、たんなる淫夢であったことに。

 

「あ、あわわわわ……」

「おはよう、簪さん。コーヒーどうぞ」

「ふぇっ!?」

 

 思わずベッドの上で慌てまくり、両手で顔を隠して慌てる簪の目の前に、すっとコーヒーが差し出された。気遣いの主は、ルームメイト。いつも同じ部屋で寝起きはするが付き合いはそれなりだった彼女が、なんだかものすごく優しい笑顔でコーヒーをくれた。

 ……だが、どういうわけか目付きが妙に生暖かい。

 

「あ、あの……つかぬことを伺いますが、ひょっとして……?」

 

 思わずルームメイトに超敬語になる簪。ガクガクブルブルと震えながら一応受け取ったカップでコーヒーの水面がすごい勢いで波紋を生む。

 しかしルームメイトは簪の質問に答えず窓際へ向かい、朝日に輝く海を眺めながらコーヒーを一すすり。その横顔はなんだかやけにさわやかな様子であり。

 

 

「……ご主人様呼ばわりは、二人きりの時だけにした方がいいよ。でないと真宏くんの人生が終わるかもしれないから」

「待って! お願いだから待って話を聞いて! 誤解を解くチャンスをちょうだい!」

 

 コーヒーを片手に朝日を眺める少女と、それにすがりつく簪。傍から見れば痴情のもつれに見えなくもないが、その実もつれているのは簪一人。朝からカオスなIS学園であった。

 

 

「……束さま、実はワールドパージはものすごく恐ろしい能力なのではないでしょうか」

 

 一方どこかでクロエ・クロニクルは、改めて自身のISが持つ能力に戦慄するのでありましたとさ。

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