※この作品はR-18です。

IS学園の中心で「エロス」を叫ぶ   作:葉川柚介

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千冬さんと一緒にラブホとかはしご編

 靴音の立たない柔らかな絨毯。男女二人が寄り添い歩く。

 ホテルの廊下。腕を組んでエスコートされている女性はあまりにも美しく、すれ違う誰もが振り返らずにはいられない。

 

 長く艶やかな髪は大きく開いたドレスの背中を煽情的に見え隠れさせる。赤いドレスの大きく開いた胸元は豊かな肉付きを余すところなく引き出し、しとやかに伏せられた長いまつげの下で頬が赤い。

 

「レストランの料理、美味しかったですね千冬さん」

「……ああ」

 

 千冬と真宏の二人だ。

 ドレスとスーツ。正装に身を包み、やってきたのは高級ホテルのレストラン。極上の料理とよく合うワイン。夜景を見ながらの優雅な食事はあまりにも幸せな時間で、千冬は心地よい酩酊の火照りで身を焦がす。

 今夜はこのホテルに宿を取っている。言葉少なな千冬をエスコートする真宏の笑顔に導かれるまま、二人の部屋へと向かい、あとはゆっくりと二人の時間を楽しむだけだ。

 

 いい雰囲気だった。

 自然と二人の距離は近い。

 千冬の体は火照っているのに、真宏の体の熱が欲しくて仕方がなく、どうしても離れられない。

 

 なんやかんやと忙しない人生を送ってきた千冬にとって、当たり前の男女のような時間はあまりにも尊く、年甲斐もないと当人が思うほどに胸を高鳴らせた。

 真宏が取り出した鍵の示す部屋番号が近い。その部屋に入り、二人きりで過ごす一夜。

 それはきっと先ほどの料理の最後に味わったデザートよりも甘いに違いなく、千冬の唇からこぼれる吐息が切なく熱い。

 

「――千冬さん、どうぞ」

「……」

 

 促され、部屋へと入れば、もうそこは誰の目も届かない場所。

 体がむずむずと落ち着かない気がして、千冬はドレスの裾を握り締める。

 ドキドキ、と心臓がうるさく跳ねて、いつの間にか涙で潤んだ視界に真宏の姿を追い求める。鍵を開けるからとて体を離すのではなかった。

 今すぐにでもその腕の、胸の温もりがなければ凍えてしまう。きっとそれは真宏も同じように通じ合っているはずで……。

 

 

「……何をしている」

「何って……お風呂の準備ですよ? 千冬さんも入るでしょう?」

 

 否定はしない。

 だが、千冬を部屋に連れ込んで真っ先にすることがバスタブに湯を張る事とは何事か。

 いやまあ、わかってはいる。普段から千冬のことを一番に考えてくれている真宏が、今日も今日とて優しく気遣ってくれたのだろう。

 

 だが間が悪い。今の千冬が望んでいるのがそれではない。

 スーツの上着を脱ぎ、ワイシャツの生地に背筋を浮き上がらせて蛇口から出る湯の温度を確かめている真宏に千冬は音もなく近づき。

 

「真宏」

「はい、なんですか千冬さ……んん!?」

 

 返事などまだるっこしい。

 むしゃぶりつくようなキスで、その口を閉ざした。

 

 舌は入れない。唇を重ね、擦るキス。

 しばらく驚いていた真宏はしかしすぐに察して、千冬の腰と頭に手を回し、優しく撫でながら唇を捧げる。

 その感触が嬉しくて、千冬は強く真宏を抱きしめてしまう。少し苦しそうな声が出たが、自業自得だ、バカめ。いじめっ子のような心境になりつつ、唇を離す。

 これもいいが、これだけでは足りない。

 優しく、身の回りの世話を一手に引き受けてくれるのはいいが少し所帯じみすぎている感のあるこの男に、千冬はいつものようにわがままを、必ず受け入れてくれるわがままを、言う。

 

 

 

「先に、抱け」

「――はい、千冬さん」

 

 この日二度めのキスは、真宏からだった。

 

 

◇◆◇

 

 

「ふむうぅぅぅぅぅうううううううう!? んんっ、んんーーーーーーーーー!!」

「……ぷはっ。はい、3回目」

 

 ベッドの上、シーツをじっとりと湿らせるほどの汗に濡れ、部屋の照明にてらてらと裸体を光らせる千冬が絶頂の余韻冷めやらぬまま荒い息を吐いている。

 ドレスを脱がされ、互いに肌を晒し、重ねながら寄り添う甘い逢瀬の時間……を楽しめたのはわずかな間。真宏は、なんやかやとリードするときは徹底してヤるタイプのため、千冬の体は湯気を立てるのでは、というほどに高ぶらされていた。

 

 寄り添い、肌をなぞる指先。千冬の体を横から抱きしめるようにして、首筋に鼻先を擦り付け、耳元で睦言を囁く。

 そうして気分を高めてから触れる、千冬の急所。膣口に潜り込んだ指先は焦らすように入り口だけをうごめき、耐えきれなくなる寸前に容赦なく奥まで突き入れられた。

 その時思わず上げた悲鳴は「かわいい」の連呼で絡めとられ、抵抗のタイミングを逃せば後はワンサイドゲーム。

 既に知りつくされた千冬の弱点を指先が乱暴の半歩手前の力加減で容赦なく襞奥までかき乱し、ブリッジのような姿で腰を浮かせるまで時間はかからなかった。

 

「千冬さん、ベッドの上だとすっごくよわよわですよね。俺、まだ指くらいしか使ってませんけど」

「う、うるひゃいぃ……!」

 

 千冬の体は敏感だ。

 豊かな肉付きに反して引き締まったボディライン。鍛錬と美の二重螺旋が千冬の体を構成する要素であり、かつてISの世界大会で最強の座に君臨したことを誰もが納得するだろう。

 ただし、その内面には好きな男の前でついついとろとろふにゃふにゃになってしまう可愛らしさも秘めていることを、真宏以外の者はほとんど知らない。

 

「たくさんイかせてあげます。ほら、もう一回。はむっ」

「やっ、やめ! まだ落ち着いてな……ぁあああああ!! やめ……っひーーーーー!?」

 

 指だけでは不足と思ったか、口まで使い始めた。

 ロクに触られてもいないのにぷっくりと恥ずかしく尖った乳首に、熱くたっぷりの唾液にまみれた舌が這う。唇に挟まれて強く吸い上げられると、ひきつった悲鳴しか上げられない。

 

 もう、真宏の虜、真宏の意のままだった。

 

「まひろ、まひろぉ……」

「んっ」

 

 震える両手で、いまだ胸をいじめる真宏の頭を抱きしめる。

 それにこたえるように抱きしめ返せばいいものを、膣内を攻めるのみならずクリトリスまでぐりぐりと押し込むように弄ってくるのだからたまったものではない。

 今この瞬間、あふれんばかりの愛しさが胸を満たしていなければ、文句の一つも言えたのに。

 

 

「じゃあ、千冬さん」

「……ああ」

 

 それからもさんざんに鳴かされ、恥ずかしい姿を見られ、素面では絶対に言えないような甘い言葉を言わされて。

 今は、千冬の上に真宏がのしかかっている。

 足は大きく開かされた。これ以上に恥を感じることなどありえない姿で、しかし千冬の中心に、真宏の先端が触れているとむしろ幸せに感じるのはなぜだろう。

 まっすぐに見つめあい、両手足を回して真宏にしがみつく。

 体中から伝わる熱に、柄でもなく頬が赤くなるのを千冬は感じた。

 

 真宏から求められていること、それがただただ嬉しくて。

 

「好きです。大好きです。――愛してます」

「私もだ。――愛している」

 

 誓いの言葉と口付けと、自分の中に分け入ってくる真宏の剛直。

 異物感と圧迫感に息が詰まったその先に、互いの腹部が触れあうほどのつながりとなったとき、「あるべきところに収まった」という悦びだけが千冬を満たす。

 

 

「……すんません、もう我慢できないです千冬さんエロすぎっ!!」

「んぉっ!? ぁあああああ!? い、いきなり激しすぎだバカも……のおおぉぉっ、おっ! おほぉっ!?」

 

 まあ、次の瞬間には千冬の幸せ満点のトロ顔に理性が焼き切れた真宏に徹底的に犯され、種付けプレスの膣内射精を決められることになるのだが、二人がらぶらぶいちゃいちゃしようとすると大体いつものことである。

 

 

◇◆◇

 

 

「ご利用ありがとうございました。お手続きは以上です。……お連れ様のお加減がよくないようですが、車の手配をいたしましょうか?」

「いえ、大丈夫です。ちょっと――疲れただけですから」

 

 朝のフロントは賑やかだ。行きかうホテルマンと朝食やチェックアウトの客たち。

 喧騒のただなかで、真宏がチェックアウトの手続きをしている。カウンターに立つのは真宏のみで、千冬はそばにいない。

 だが、周囲を見渡せばすぐに見つかる。さすがにドレス姿ではないが、落ち着いた色合いのロングスカートとカーディガン。ロビーのソファに腰かけ、軽くうつむいているのが千冬だ。

 

 だが、それでも周囲の目を引く。

 髪はまっすぐに下ろしただけ。化粧は薄い。プライベートと一目でわかる素朴な姿だが、うっとりするほど肌が白い。頬の紅が鮮やかに映える。真宏の言葉通り疲れているのだろう。伏せた目蓋から伸びるまつ毛が長い。纏う空気はしとやかで、たおやかな花が夜露に輝きながら咲くようだった。

 

 そんな千冬の元に真宏が戻ってくる。

 笑顔で差し伸べられた手を千冬は恥ずかし気に顔を逸らしながら取り、立ち上がり、自然に腕を組む。仲睦まじい男女が身を寄せ合ってホテルを出ていく姿はとてもとても様になっていて。

 

 

(アレ、絶対朝までお楽しみだったヤツだ……)

 

 

 と、周囲の全員が思うほどに、蕩けた顔を晒していたのでありましたとさ。

 

 

 

「……歩けます? 千冬さん」

「誰のせいだと思っている……!」

 

 街を歩く二人はぴったりと寄り添っている。

 なお、その理由は千冬が足腰立たなくなるまで徹底的に愛されてヘロヘロになったからの模様。

 

「だって、千冬さんが『もっと、もっと』って離してくれなかったんじゃないですか」

「街中でそんな話をするんじゃない……っ!」

 

 慌てて口をふさぐ千冬と、されるがままの真宏。

 千冬は間違いなく真剣なのだが、周囲の人々は「朝から美人とイチャコラしやがって……!」という生暖かく殺気の籠った視線ばかりである。

 なにせ、千冬は噛みつくような顔をしながらも抱きしめた腕を離そうとしないのだから。そうしていないと立っていられないという理由もあるが。

 

「まあまあ。……でも、真剣に大丈夫ですか? 足、まだ力入ってないみたいですけど」

「……そうだな」

 

 真宏としても、からかおうとしたわけではなく千冬の状態を案じているのだ。

 昨夜は熱く、長かった。千冬としても、どの瞬間を思い出しても恥ずかしくて死にたくなるほどのめくるめく一夜。しれっとした顔をしている目の前の男を殴り倒したくてしかたないのだが、今の状態ではまともに動けず、なし崩しのまま抱き合ってしまいそうな予感しかしない。

 

 だから。

 

「どうします、千冬さん。少し――『休憩』していきますか?」

「……っ!」

 

 耳元で囁かれる言葉。

 真宏の視線の先にある、「休憩」と「宿泊」が記載されたホテル。

 まともに歩けない千冬がこのまま帰ることは現実的には不可能で、ホテルからホテルへのはしごも割と現実的な選択肢の一つであり。

 

 真宏の腕が腰に回る。

 わずかに力を籠められただけなのに、自然と体を寄せてしまう。

 二人の間でつぶれる乳房が熱い。

 近づく首筋から漂う真宏の匂いが脳まで染みて。

 

 

「……いく」

「はい、千冬さん」

 

 

 とりあえず、今日も家に帰りつけないことだけは、間違いなかった。

 

 

◇◆◇

 

 

「ふんっ、昨日はよくもやってくれたな。んっ、じゅぷっ……今度は私の番だ……れろぉっ♡」

「うぅ、千冬さんのフェラすごい……!」

 

 ホテルの部屋に入るなり、今度は千冬から真宏を押し倒した。

 はぎ取るように服を脱がせ、自身も脱ぎ、肌と肌を重ねながらの奉仕に入る。

 普段はこういったことを人一倍恥ずかしがって真宏に蕩かされて誘導されるか、性欲が溜まりに溜まって半ば襲うような時でもない限りしない。

 つまり、昨晩の行為だけでは足りなかった、という千冬の意思表示でもあるわけなのだが、当人が気付いていないので指摘しない程度の優しさは真宏にもあった。

 

「はぁ……んっ。変態め、大きくし過ぎだ。昨日したのは何だったんだ? じゅぷぷぷっ」

「いやいや、千冬さんの上目遣いフェラって千冬さんが思ってる以上に効きますからうぐうぅぅぅぅ!?」

 

 が、自分の下半身にのしかかり、腰に体重をかけて逃げられないようにしながら口内粘膜全てで味わう勢いでしゃぶりつかれていることが嬉しくないはずもなく、ついつい素直な感想を言ってしまえばさすがに照れた千冬の容赦ないバキュームが襲う。

 根本まで飲み込み、唇を締めて1mmたりとも空気になど触れさせない。温かくぬめる舌と唇と唾液だけが触れる理想郷の感触に翻弄される真宏は、太ももでぷにぷにと形を変える千冬の胸の感触まで楽しめて、この世の極楽を味わっている。

 ぐり、ぐりり。顔の向きを変えながら、粘膜そのものをねじる動きで攻め立てられれば耐えられようはずもない。

 

 千冬は一夏の姉であり、真宏にとっても姉のようなもの。

 余裕ぶった態度を取ってはいるがその実真宏にメロメロなのは認めたがらないながらも事実であり、奉仕に籠る愛は熱い。

 喉奥すら使い、亀頭で息が詰まる苦しささえも愛おしむ瞳に移るハートの色は桜よりも鮮やかなドピンクである。

 

「ふーっ♡ ふーっ♡ んっ、んぉ、じゅちゅううぅぅぅ♡♡」

「あぁぁ……ち、千冬さん、俺もう……!」

 

 こくり、と頷く千冬。

 限界が近いのならばなおのこと容赦はいらぬと舌を動かし、カリへ、裏筋へ、休むことなく奉仕する。口元の下に手をやれば、そこで揺れる玉が可愛らしく縮こまり、もうすぐにも射精するのだとわかる。

 それだけで胸が締め付けられるような切なさと悦びに苛まれ、ついつい「ある願望」を込めて真宏の顔を見上げれば。

 

「――すみません、千冬さんっ!」

「おごっ!? んもおおぉぉぉぉぉ♡♡♡」

 

 真宏の両手が千冬の頭を掴み、自分の股間へ押し付けた。

 引くことなどできない強制。腰を引き、突き出す真宏の快楽の為だけに体を使われるイラマチオ。

 屈辱と痛苦の激しすぎる性行為に。

 

――ピュッ、プシィッ

 

 千冬が喜んでいることは、真宏の足にかかる愛液の熱さが教えてくれる。

 奉仕も好きならば、モノのように扱うほど激しく求められることも好むのが、千冬の複雑な乙女心であり。

 

「ああああぁぁぁ! 飲んで! 全部飲んでくださいね、千冬さんっっ!!!!」

「んん、んーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 白目を剥く千冬の頭は、真宏の射精が終わるまでの長い間、ぐりぐりと押し付けられたまま決して離れることはなかった。

 

 

「んっ、んくっ、ごっ、ごっ……っはああぁぁ、けほっ、けほ」

「す、すみません千冬さん。力入れすぎちゃいました?」

「……ああ、苦しかったな」

 

 射精が終わり、全ての精液を飲み干して、呼吸を整える千冬を案じる真宏。

 ぶっきらぼうな返事をしたが、寄せられる体を離そうとしない辺りから千冬が満足していたことは察せられる。なんだかんだと面倒の多い千冬と、それすら愛する真宏の相性の良さよ。

 

 

 そして、さらに。

 

 

「――なんだ、まだ収まっていないのか?」

「はうっ!? に、握らないでください……!」

 

 精液でおぼれるのでは、と千冬に危惧させるほどの射精をしてなお収まらない精力があってこその関係なのは間違いがなく。

 

「ふふふ、すけべめ。……どうする? まだするのなら、次は……胸を使ってやろう」

「是非お願いします」

 

 即答。

 両手で掴んで寄せた胸を見せられ、ガチの目つきで頼む辺り、真宏も千冬も間違いなく似た者同士なのだった。

 

「次は、お前が私の体を使え。いいな?」

「任せてください。顔にかけてべたべたにしてあげますよ、千冬さん」

「それは……んっ♡ 楽しみだ♡♡」

 

 ゆっくりとベッドに押し倒され、跨る真宏の両手が千冬の胸を掴む。

 少し痛みを感じて、指の痕が残りそうな千冬の好きな力加減。寄せられたその間から突き出される、激しく熱い真宏の肉棒。

 舌を伸ばして迎えてやれば、千冬の心も体も染め上げるまでそう長くないのだと、再び体が疼きだす。

 

 

 

 

「……ぁー、喉渇いた。千冬さんも水飲みます?」

「……頼む」

 

 なんやかんやの末。

 ベッドに力なく横たわるのは、全身白くべとべとの千冬とくたくたの真宏。

 重い体を起こした真宏がホテルに入る前に買っておいた水を取り、一口。そのまま千冬の体を起こして、口元へ持っていく。当人そして一夏が甘やかしすぎかな、と思いつつもやめられない千冬のお世話ムーブの一環であり、これはもう体に染みついた習慣だった。

 

「……んっ」

「千冬さん? やっぱり水じゃなくて食べ物ですか? ゼリー飲料とかも買ってありますけど……」

 

 だが、千冬はそれを嫌がった。

 体を支える手こそ拒絶しないものの、ペットボトルを寄せられた口をそっぽ向かせる。

 はて、機嫌を損ねてしまっただろうかと首をひねる真宏に対し、千冬は薄目を開け、仕方ないなとばかりに意思表示。

 

「……ん」

「……あぁ、なるほど」

 

 わずかに喉を反らして、きゅっと突き出す唇。何を望んでいるかは一目瞭然で、真宏はボトルを煽って水を飲む。

 と見せかけて。

 

「――んむ、ちゅっ」

「んんー♡ ちゅ、んくっ、んくっ……♡」

 

 唇を重ね、千冬の口内へと注ぎ込む。

 

「……いい温度だ。味も、嫌いじゃない」

「俺にとってはこの上ない甘露ですよ、甘えたがりの千冬さん」

 

 からかうような言葉には、頭をぐりぐりと押し付けて黙らせる。

 確かに、真宏の言う通り千冬としても少し不思議ではある。これまでしてきた何もかも、望んで履いても羞恥心やら理性やらが咎めて実行に移せるようなことではなかったのに、どういうわけか今日はとてもとても素直だ。

 これも、この妙に美味い水のおかげだろうか。黄金立方体の冷蔵庫でよく冷やされた水は、渇いた体に染みわたる。

 

「さて、さすがにドロドロですし、シャワーで流しましょうか。……よいしょっ」

「うひゃぁ!? ま、待て! なぜ私を担ぎ上げる!?」

「お姫様だっこです。やっぱりこういう時はこれでなきゃ。千冬さんをこんなにしたのは俺なんですから、責任取ってきれいにしますね」

「だから待てと言っている!」

 

 そして、間髪入れず真宏に抱き上げられて慌てる千冬。

 しかし言葉ほどに逆らおうとしないのは、ぱたぱたと申し訳程度に可愛らしく揺れる足からも一目瞭然。はっきりいってイチャイチャしているだけである。

 

 バスルームへ連れ込まれる千冬。

 すりガラスの扉越しに見える二人のシルエット。

 ほどなくシャワーの水音が響きはじめ、シルエットが少し近づく。

 時折聞こえてくるのは、跳ねるような千冬の声。

 その度に影は互いに近づき、重なり、ついには一つになって。

 

 

「――ッ♡♡ ッッ♡♡♡♡♡ !?!?!? ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡――――――――!!!!」

 

 

 この後、バスルームから出るまでに1時間くらいかかった。

 

 

◇◆◇

 

 

 公園の中を睦まじく腕を組んで歩く男女。

 二人の姿を見れば、10人中10人が「へぇ、デートかよ」と微笑ましく、あるいは恨めしく思うだろう。それほどの美女と、それほどに幸せそうだった。

 女性――千冬は妙齢と言っていい。少女の面影が美のあるべき姿に置き換わった怜悧な顔立ちながら、隣の男――真宏に向ける目は恋する乙女のそれ。

 上気した頬はバラより鮮やかで、視線に気づいた真宏と目が逢うと恥じらいに顔を背ける。

 

 きっと、ただ二人でいるだけで幸せなのだろう。そんな恋と愛に結ばれている二人は。

 

 

「……お願いですからもうちょっと我慢してください千冬さん。さっきもシたばかりなんですから」

「うるさいっ……! お前がそ、その……う、ううう後ろまで弄るからだろうがっ!」

 

 ナニをしていたか、とてもではないが公衆の面前で具体的に言えない話で切羽詰まっていた。

 

 

 ご休憩とご宿泊のホテルを出たのは、なんやかんやで日が暮れてからだった。

 というか、終電が終わっていた。二人してマジかよと立ち尽くすことしばし。そういうホテルの前で呆けている場合じゃねえとそそくさ移動し、さてどうするかと考え。

 

 24時間のカラオケルームに突入し、そこでもう一戦。

 ルームサービスで頼んだ食事を色々したあとの千冬に受け取らせるという大変アレなプレイも楽しみ、夜が明けたころに店を出る。千冬が大好きな尻穴もたっぷりと指でいじめて、防音ばっちりの個室を楽しんだ。

 なお、このカラオケルームは無粋な監視カメラなどはないうえに、部屋間の防音もパーフェクトというカップル御用達なサービス満点の店である。

 

 が、それで終われるほどの理性があれば千冬はもうちょっとおしとやかなわけで。

 とりあえず始発が動き始めている駅に向かう道すがら、千冬は真宏の腕を手放せない。火照る体が未だなお求めてやまない。

 あと、「休憩」したホテルで買っておいた、といって真宏が出してきた「おもちゃ」を見たときはさすがに血の気が引いた。

 まあ、その後「おもちゃを使いながら」街を歩かされることになり、すぐに顔は紅潮したのだが。

 興奮と、下腹から響くブブブ……という音が周囲に聞かれないかという心配のせいで。

 

 こうなってしまえば責任を取らせるしかないのだ。なんか、レストランでの食事からすでに2日近く経ってなお家に帰れていないのだが……まだだ。このまま家まで我慢できるとは、千冬はとても思えない。

 その思いは、ハートの浮かぶ瞳が余すことなく真宏に伝えてくれるのだから。

 

「……周り、人いませんね」

「…………ああ」

 

 公園、とはいってもここはそれなりに広い。

 芝生の広場や林の木立があり、だからこそ早朝から散歩など楽しむ地元住民たちの姿がちらほら見えて――しかし今、周囲に誰もいなかった。

 

 交わす言葉は短く、道の先をさっと見通して。

 

「千冬さん」

「……んっ」

 

 千冬の手を引いて、真宏たちは木立の中へと姿を消した。

 

 

◇◆◇

 

 

「ふーっ♡ ふーっ♡」

 

 千冬の背を木に押し付け、乱暴とすら言えるほど激しくキスをした。

 シャツのボタンは焦らすように外し、下着をまくり上げて白い肌を晒させ、胸に指を食い込ませた。

 つながる唇からこぼれる喘ぎ声さえ逃さないとばかりに舌を絡め、屋外での行為という興奮も手伝って、二人の熱は際限なく高まった。

 

「……木に手をついて、お尻こっちに向けてください」

「ふふふ……変態め♡」

 

 煽るようになじる千冬だが、言葉とは裏腹に素直過ぎるほどあっさりと背を向け、尻を上げる。

 まろやかな曲線。誘われるように手を伸ばし、這わせる。

 んっ、と千冬の喉がかわいらしく鳴り、興奮が収まらずストッキングごと下着を下ろす。

 

 途端、むっと香る千冬の匂い。

 木々に囲まれた林の中、湿った土と緑の匂いが充満するはずの空間に、突如メスの発情臭が混じる。

 べっとりと太ももを濡らす愛液は下着まで糸をつなぎ、千冬がこれまで、そしてこれからにどれだけ期待を積み上げてきたかがわかる。

 

 寒い思いをさせてはいけない。今すぐ温めなくては。欲望を隠す口実を、真宏は迷うことなく実行に移す。

 

「……んひぃっ♡」

 

 膣口へねじ込む指に容赦はいらない。中指薬指を一気に根本まで挿入し、膣襞を強く擦りながら2、3度出し入れすれば、それだけでべっとりと掌までもが熱い愛液に濡れる。

 その手で狙いを定めるのは、ずっとほったらかしにされていたことに拗ねる千冬のアナル。

 はじめは指先で優しく。次第に周囲を揉み込むようにして。そして。

 

 つぷ、ずぷぷぷぷ……ずにゅんっ!

 

「んいいいいぃぃぃ! イクうううぅぅ♡♡♡」

「もー、千冬さん。まだ指一本入れただけですよ? 本番前でもうこんなにチョロいなんて……アナル弱すぎです」

「か、かきまわすにゃあああぁぁまたイグうううぅ!!」

 

 ピン、と爪先立つ千冬の両足。

 尻を片手で撫でまわされても抵抗などできようはずもなく、木に縋りついてよだれを垂らす。

 

 これまでのあれこれの中でさんざんに開発された千冬の体の中でも、一番の弱点こそアナル。もはや、真宏の手にかかれば指一本でアへらされることも珍しくない、そこを責められるだけで抵抗できなくなる極上の性感帯であり、もうここをいぢめられずして終わることなどできないほどに、虜でもあった。

 

「あぁ……ぁう、ぁー♡」

「……もう、よさそうですね」

 

 引き抜く指には最後まで未練がましく吸い付いてくる千冬の尻穴。

 砕けてくずれ落ちそうになる下半身は楽になることを許さずがしりと両手で捕まえて、千冬を犯したくて仕方がない形になった肉棒を突きつける。

 

 ずにゅ、ずぷぷぷぷ……ずんっ!

 

「んぉっ♡ ぁ、あぁ……イっ、イぐうぅぅぅぅ♡♡♡」

 

 最初、わずかに挿入したことでゆっくりと慣らすのか、という千冬の予想は裏切られた。

 限界までアナルを広げ、血管の浮き出た剛直が根本まで埋め込まれる。

 ぞりぞりと削られた腸壁は悲鳴を上げ、裏筋が子宮の裏を激しくなぞり、それだけで千冬はよだれを垂らして絶頂を極める。

 尻穴が熱い。体の奥まで熱が詰め込まれている感覚がする。異物感に知らず力が入っているはずなのに、締まることを許さない頼もしさの存在がどうしようもなく愛おしい。

 

 今の千冬の脳内には、ここが屋外であることも、誰かに見られるかもしれないという懸念ももはや残っていない。

 腰を掴む真宏の指。背中にのしかかる真宏の体。耳元でハァハァと荒く跳ねる息づかい。尻房を押しつぶす腰のぶつかりと、抜かれるたびに恥ずかしく絡みついてしまう粘膜と、それが押し戻される悦び。膝まで滴る熱い自身の愛液。

 それらをまとめてかき混ぜ消し飛ばす絶頂の波。ただそれだけによって満たされた幸せの中に、千冬はあった。

 

 だが。

 悲しいことにこの時点で、真宏はまだ全く満足しておらず。

 

ずにゅううぅぅぅぅ~~~、ぬ、ぱんっ!

 

「あっひぃ!? んぉおあ♡ ま、真宏ぉ……♡」

「千冬さんのアナル、いつも最高です。たっぷり射精してあげますから、味わってくださいね」

 

 景気づけに、長いストロークで一度。そのまま腰をひねるようにして、両手で掴んだ千冬の尻もねじって腸奥の粘膜をいじめぬく。

 千冬が大好きな、一発で腰砕けになる技であり、既に膝から力が抜けている。

 体を支えているのは木に縋りつくもはや頼りない腕力と、腰を掴む真宏の手と、尻穴に熱く突き刺さる肉棒のみ。

 

「おっ♡ ぉんっ♡ ほぉぉ♡♡」

 

 口、ですらなく喉からひり出されるのは

 乙女の声ではなく獣の唸りにこそ近い。だがその表情は、あらゆる苦悶を知らないような天上の極楽。

 ブリュンヒルデ、世界最強、織斑千冬。それらの名を一つでも知っている者なら信じられないような法悦の極致に千冬はいる。

 

 そんな千冬を知っているのは真宏だけ。

 そんな境地に至らせることができるのも真宏だけ。

 

 千冬にとってその事実は何より愛しく幸せなことで。

 

「ま、まひろぉ……♡」

「はい、千冬さん。……んっ」

「ンっ、ちゅう♡♡」

 

 名を呼ぶだけで、想いが通じる。顔を寄せられ、唇を重ねるとそれだけで背筋が震える。

 舌を入れられ、絡めあうと信じられないほどに胸が高鳴る。

 いつの間にかはだけられた胸へと直に食い込む真宏の指。千冬が好きな、少し痛みさえ覚える力加減。指先でぴんぴんと弾かれる乳首は跳ねとんでしまいそうなほどに固くなる。

 下腹に添えられた掌がやさしく腹筋の上をなぞり、時折子宮の上を指先で強く押し込めば、尻奥の亀頭と挟み撃ちにされた子宮口がぐにぐにと潰される。

 きゅうきゅうと真宏を締め付けてやまない尻穴は燃えるように熱くなり、ぞりぞりと竿とカリで削られるたびに意識が飛びかけて。

 

 

「千冬さん――イけ♡」

「んぐうううううううううううう!!! イグっ、イグううううぅぅぅぅぅぅうううううう♡♡♡♡♡」

 

 

 最後の最後には全ての行為と愛と、そしてその言葉によって、イかされた。

 

 

◇◆◇

 

 

「……帰ってきましたね、千冬さん」

「…………ああ」

 

 腕を組んで、というか千冬に肩を貸すような有様で、二人は家に辿り着いた。

 思えば、ホテルのレストランでの食事に出かけ、その日は泊まる予定でこそあったがまさかそこから家に帰りつくまでさらに2日近くかかるとは予想していなかった。

 

 体にはずっしりと疲労が蓄積している。髪も肌も妙につやつやしているのはむしろ癪に障る。それに、途中途中で食事はしたがしこたま腹も減っている。

 まずはシャワーを浴びて、何か食べて、その後ぐっすり眠りたい。ある意味生物としての欲求に極限まで素直になった千冬は、慣れた我が家にしばらく引きこもろうと固く固く決意して。

 

「――そうだ、千冬さん」

「なんだ、真宏」

 

 鍵を開け、玄関にひと先ず千冬を座らせながら真宏が言う。

 腰を下ろせる幸せに涙が出そうなほど感動しつつ、半ば無意識に返事をして。

 

「実は、出かける前に買い出しを済ませておいたんです。――なんなら、3日くらいずっと家で過ごせるくらい、食べ物もありますよ」

「――っ♡」

 

 どき、と心音が跳ねた。

 思わず顔を上げれば、触れ合いそうな距離に真宏の顔。笑顔。目が、離せない。

 

「どうします、千冬さん?」

 

 その問いが、何を意味しているかは分かっている。

 この場で頷けばどうなるかは分かっている。

 とりあえずその後千冬が人としての心と体を維持していられるかは大いに疑問であり、ついさっきまでヤりにヤりまくったことを考えれば反省とともに突っぱねて、年上としての威厳を示すべきことは間違いなく。

 

「……ん♡」

「――はい、千冬さん」

 

 どう答えたか、どうなったかは、二人しか知らない。

 

 

 なお、後に一夏は「この時期1週間くらい千冬姉と真宏と連絡がつかなかった」と首をひねっていたと言うが、因果関係は不明である。

 

 

◇◆◇

 

 

「………………………………………………………………………………………………」

 

 その日、千冬は久々に家に帰っていた。

 一夏はIS学園の寮にいる。久々に一人の時間を一夏と真宏が持たせてきた手料理をつまみに酒を飲み、ゆっくりと過ごし、たっぷりと眠り、健やかに目が覚めた。

 

 はずなのに、どういうわけか心の方は肉体がしこたま疲れていると錯覚しているような気がするのは、目覚める直前まで見ていた夢のせいか。

 なんか夢の中では1週間くらい時間が経過していたように思えるのはいわゆる胡蝶の夢的なもので説明がつくとして、寝汗のじっとり感が夢の中でさんざんに味わわされた別のナニカのような気がして不快――のはずなのに、どうしてもそう思えない何か――だった。

 

 シャワーを浴びよう。軽く食事を済ませよう。

 ……その前に、千冬以外誰も家の中にいないことだけは絶対に確認して。

 

「……出てこい束。今なら苦しませずに殺してやるぞ」

 

 とりあえず1週間くらい、刀を絶対に手放さないことを、赤く染まる顔で深く深く決意した。

 

 

◇◆◇

 

 

「ちーちゃんかわいい! 直に見ようとしたらちーちゃんてば差し違えてでも束さんを殺しにくるから行けないけど!」

「退廃的というかなんというか、実に爛れた良い趣向です。織斑千冬なら、あれくらいしても平気でしょうし」

「くーちゃんもしてみたい? なんならいっくんかまーくんをおさるさんにしてあげるよ?」

「……………………結構です」

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