※この作品はR-18です。

IS学園の中心で「エロス」を叫ぶ   作:葉川柚介

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まさかの楯無編パート2

 IS学園生徒会の業務は多忙を極める。

 ただでさえ世界中の様々な国から様々な立場の生徒が在籍しているため、円滑な運営のために必要とされる仕事が多く、しかもIS学園においては生徒会の権限も強い。教師側からの強権で押さえつけるのでは禍根が残るのでいっそ生徒同士で……という思惑があってか否かはわからないが、現IS学園生徒会長でありロシアの国家代表である楯無にとって、その責任と為すべきことは他の生徒と比べ物にならない。

 

「……ふう、やっぱり紙は重いわね」

 

 そんな楯無が、書類を抱えて廊下を歩いている。

 世界的に見ても最先端の設備を備えるIS学園とはいえ、全てが自動化、電子化されているわけでもない。まして楯無が会長を務める今の生徒会役員共は身内で固めた少数精鋭。虚に任せるのが最も効率の良い業務もあれば、楯無自身が荷物運びをした方が手っ取り早いということもままある。ちなみに本音は驚くほどに働かない、楽しみの密偵担当だ。

 

 時刻は放課後。部活やIS訓練に勤しむ生徒たちの声がグラウンドやアリーナ、部室棟から響いてくる平和な時間を愛おしく感じながら、楯無は書類を持ち直して気も取り直し。

 

「お疲れ様です、楯無さん。手伝いますよ」

「え、……あ、真宏くん!?」

 

 ひょい、と書類の束が横から伸びた手に持って行かれ、その先を目で追えばにこにこと笑う真宏がいた。

 ドクン、と楯無の心臓が強く跳ねる。いきなり真宏が現れたことと、当然のように手伝ってくれることと、もう一つ別の理由によって。

 

「これ、運ぶんですよね。どこに持っていけばいいですか?」

「それじゃあ……えっと、資料室までお願いできるかしら。ありがとね」

「いえいえ、お安い御用で。力仕事ならいつでも手伝いますよ」

 

 真宏は楯無の内心に気付いていないようで、書類の行先を聞いて楯無と並んで歩く。なんだかんだと人気のある生徒会長である楯無は、学園最強の称号に付随する生徒会長の座を狙われるのと同程度の頻度で、こうして仕事を他の生徒に手伝ってもらえることもある。もちろん、真宏や一夏も手伝ってくれる生徒たちの一員だ。そして二人が手伝ってくれるようになってから、特に一夏を目当てに他の生徒が手伝ってくれる頻度が増えたような気もする。

 しかし今は楯無と真宏の二人だけ。放課後の喧騒は遠く、楯無が気配を探る限りこの校舎の今いる階の上下には少なくとも人がいないようだ。本当の意味での、二人きり。

 ごくり、と。今度は喉が鳴った。

 

「資料室ってここですよね。楯無さん、扉開けてもらっていいですか?」

「ええ、もちろん」

 

 両手がふさがっている真宏のため、楯無が資料室の扉を開け、真宏に続けて入り、閉める。その時楯無は一瞬だけ迷い、結局あることをした。かちゃり、という音はできる限り小さくなるように。

 扉を閉めて振り向いた時、すでに真宏は持ってきた書類を部屋にある机の上に置いていた。資料室はその名の通り学園の資料をまとめた部屋で、いまだ一定量存在する紙の書類を保管するために使われている。壁にずらりと並んだ棚には、IS学園は設立から10年と経っていないにも関わらず相当の書類が並んでいるあたりから、この学園がどれほど複雑な事情の上に拠って立つかが分かろうというものだ。

 

「ふう、さすがに重かった。楯無さん、この書類はどこにしまいますか?」

「あ、時系列になってるからこっちの棚ね。ちょっと高いところだから、手伝ってもらえるとうれしいな」

「喜んで」

 

 楯無が示した書類の置場は部屋の奥にある棚の一番上の段。楯無の身長でも届かないことはないが、真宏にも手伝ってもらう方が手っ取り早い。真宏がまとめて抱えた書類を順番に楯無に渡し、楯無が整理しながら棚に収めていく。少し背伸びしながら、時に真宏が背中を支えてくれながら。

 一つ一つ減っていく書類の束。そしてそれに合わせて、徐々に高鳴る楯無の鼓動。胸の奥から体を駆け巡る血が熱くなり、どんどん体温が上がっていくのが自覚できた。

 

(あ、だめ……もう書類の整理が終わっちゃう。それに私……期待、してる)

 

 最後の書類を棚に収めるとき、真宏に背を向けている楯無の顔はほんのりと赤く染まり、ほうと熱い溜息をついた。この後に起こることは最初からわかっている。楯無も、もちろん真宏も。

 

 楯無は最後の一冊を、わずかに震える指先で、棚に収め。

 

「……刀奈さん」

「ひゃんっ!?」

 

 書類を収め終えた楯無の体は背後から真宏に抱きすくめられ、逃げられないよう棚に押し付けられていた。突然のことと囁かれる本当の名前に、ぞくんと背筋に疼きが走る。

 

「ま、真宏くん? いきなりどうし……」

「昼休み、一夏としたでしょ」

「!?」

 

 図星を指され、胸を掴まれ、スカートをまくり上げられ、楯無は悲鳴も上げられずに顔中を赤らめた。服の上から胸を揉む手の力は決して強くない。だが、真宏はいたずらをしてくる。胸の柔らかい感触を楽しむようにこね回し、スカートの下に手を入れて。それでもむしろ全身で楯無を抱きしめる意味の方が強いのだろう。全身が真宏に包まれる。

 

「匂いでわかりますよ。刀奈さんがすっごく発情したときの、いい匂いがします。一回もしないでこんな風になることって、さすがにないですから。すうううぅっ」

「あ、あ……っ!」

 

 服の上からの感触では物足りなくなったのだろう。制服のボタンを胸元だけ外して胸を出しながら、真宏の声が耳奥に流し込まれる。それだけで楯無の体は、昼には一夏に貪られて子宮に精液を注ぎ込まれた女の体は、際限なく火照り出す。身をよじりはしたものの、真宏の腕の中から逃れようとしないのが何よりの証拠だ。

 

 

 楯無は、真宏と一夏から孕ませると宣言されている。

 先に妊娠するのはどちらかの子になろうと恨みっこなし。その次には孕ませていない方を優先するという取り決めがなされていて、楯無も同意していた。そのため、危険日の前後になると二人からの求めは一層激しくなる。元から精力旺盛な二人が、抜かずの二度三度は当たり前。楯無がどれだけ休ませて欲しいと頼んでも耳を貸さず、逆に優しい愛の言葉を囁きながら膣内射精を繰り返す。

 そして以前の危険日では、幸か不幸か楯無は妊娠しなかった。だからこそ、二人は今度こそという決意に燃えている。危険日が近いことを楯無自身の口から申告させた数日前から、二人は楯無とすることがあっても射精はせずに溜めこんでいる。

 今度こそ孕ませる。言葉にすることはなくとも伝わるほどに強いその思いに楯無もまた炙られ続けて、今日。一夏と真宏のタガがついに外れた。

 

 

「くふぅぅぅん!?」

「あらら、零れてきちゃった。一夏に悪いことしたなあ」

 

 壁と真宏に挟まれた狭い空間で、楯無の体は満足に動けないまま身悶えさせられる。

 真宏が察した通り、楯無は昼休みの間に出くわした一夏にも既に抱かれている。一夏が持ってきてくれた弁当を生徒会室で食べた直後に押し倒され、時間も忘れるほど気持ちよくされ、何度も膣内射精をされた。ついでに午後の授業を一コマすっぽかす羽目になった。

 そのせいで、興奮するまでの敷居がとても低くなっている。しかもそのとき、これからが楽しくなるようにと一夏に下着を没収され、この時間までノーパンノーブラで過ごしていた。真宏にそれを知られ、体をまさぐられれば指でかき混ぜられる膣内が濡れるのなどあっという間のこと。

 

「ま、真宏くん、指……激しい……!」

「すみません、実はここに来るまでの間も大分我慢してたんで。……大変だったんですよ? 荷物なんて放り出して、廊下のど真ん中で刀奈さんを押し倒したらどんなにいいかって、ずっと考えてたんですから」

「……はう」

 

 ぐい、と押しつけられる腰。楯無の尻房に食い込む熱の正体は考えるまでもなく、真宏が見境をなくさなかったのが奇跡なほど興奮しているということが事実なのだと雄弁に語る。その熱に浮かされる楯無の脳裏には、真宏が想像していた光景が映るようだった。

 

「も、もうこんなところで、ダメ……! 離して!」

「ダメです。楯無さんのおっぱい、一度触ったら離せません。それに、刀奈さんだってこういうシチュエーション好きでしょ?」

 

 服は着たまま、そこだけ露出した楯無の豊かな胸を真宏は力を込めて揉んでくる。思わず上げそうになる声を必死で押え、楯無は力が入らない体で身をよじる。こんなことを許してばかりいてはいけない。甘やかしているとロクなことにならない。ただでさえ学校の中でするのは誰かに見つかる危険が高いのだからなおのこと。こんな風にされるのは、嫌いだ。

 だが。

 

「やあっ、そんなことない……! 嫌い、きらい! こんなの……!」

「俺のことも?」

「きら……っ!?」

「……い、とは言わないんですね。嬉しいですよ、刀奈さんっ!」

「ひゃああああ!?」

 

 きらい、と言い募る合間に滑り込む真宏の声。真宏のことも嫌いか、と聞かれ、勢いに任せてすら言い切ることはできなかったその事実だけで、楯無の本心は明らかだ。真宏が許可を得られた、と勘違いするほどに。乳首を指先で強く摘ままれ、抵抗の意思など一片も混じらない喘ぎ声が迸る。

 ここまでくれば楯無はもう、抵抗を諦めざるを得なかった。元から体の奥底では望んでいた衝動に、ついに心までも身を任す。

 

 校舎に誰もいないとはいえ、普段はたくさんの生徒が使う廊下。そんなところで身動きを取れなくされ、声を殺して交わる二人。はあぁ、と熱い息が漏れ、ぐちゅぐちゅとかき回す音の羞恥も相まって、今も体を抱きすくめている真宏に一層体重を預けてしまう。

 

「おっと、ようやく観念してくれました? とはいっても、この部屋に入ってくるなり鍵をかけてたし、最初から刀奈さんもそのつもりだったんですよね」

「……もう、言わないで……んっ」

 

 真宏はなんだかんだでドSな性格だ。放っておけばどれだけ楯無の恥ずかしいところを挙げる分かったものではない。そんな真宏の口を封じる方法はただ一つ。楯無自身の唇で、真宏の口を閉じることだけだ。

 そうでもしなければ、激しい行為を望む声が理性の制限なしに垂れ流されていただろう。

 

 もちろん、楯無の口の側から。

 

 

◇◆◇

 

 

「んぐっ、ぐぶ、じゅるる、んふぅ……んっ」

「うぅ、気持ちいいです、刀奈さん」

 

 さらさら、と優しく髪を撫でて褒めてくれるのがこんなにも嬉しい。口の中には真宏の限界まで張りつめた肉棒を咥え、唇でしごき、唾液を絡め、舌で奉仕しているというのに。おそらくとても淫らな顔をさらしてしまっているだろう。見上げた真宏の顔がとても満足げになっているのは、つまりそういうことだ。とてもとても恥ずかしい。だがそれ以上に、嬉しくてならなかった。

 一夏と真宏、どちらかを選ぶことができないでいた自分を二人で愛してくれているのだ。どれだけ感謝しても、奉仕してもし足りない。……これは刀奈の贖罪とか感謝の気持ちによるものであって、決して性欲に起因するものではない。少なくとも当人はそう思っている。

 

「ちゅう、じゅるるるうううううっ!」

「はぁうっ!? ……やり過ぎですよ刀奈さん。お口でしてもらうのはいいけど、これで出しちゃったらもったいないじゃないですか」

「じゅぽっ。はぁ、はぁ……ご、ごめんなさい。つい夢中になっちゃって」

「いいですよ。そう思ってくれたことは、うれしいですから」

 

 つい夢中になっていた楯無の顔を引きはがした真宏は、楯無の顔を両手で優しく包み込んで撫でながら笑ってくれる。だがペニスは楯無に口奉仕をされていたために腹を叩きそうなほど反り返り、萎える気配がまるでない。ついつい視線を吸い寄せられる楯無は、これから自分がアレにどれほど啼かされるのかを思い、気の早い膣道がきゅっと縮まるのを確かに感じ取った。

 

「それじゃあ……後ろ向いてください。棚に手をついて」

「あ、……はい」

 

 ひざまずいていた楯無をやさしく立たせ、棚に押し付けてくる真宏。口調こそ丁寧だが肩を掴む手には有無を言わせぬ力がこもり、楯無のM心を奮い立たせた。既に楯無は全裸だ。真宏に愛撫されながら一枚一枚服を脱がされ、部屋のあちこちへ放り投げられている。真宏を満足させない限り服を着ることも許されず、この部屋から逃れられはしない。今の楯無にできることは、思う存分この体に欲望を叩き付けてもらうことだけだ。

 

 棚につかまり真宏に背を向け、尻を突き出す。

 真宏はまだ楯無に触れない。少し離れたところからその体をじっくりと眺めて楽しんでいる。肩甲骨から、横乳のはみ出る脇とくびれた腰、たっぷりとした尻への滑らかなライン。振り向いて真宏の様子を伺う赤くなった横顔。そして膝まで愛液に濡れて震える両足。それらを学校の教室で晒す様を、全て、包み隠さず真宏に見られている。

 

「ま、真宏くん……」

「はい、刀奈さん」

 

 媚びる眼差し。控えめに、しかしはっきりと振られる尻。あからさまな誘いを、真宏はニコニコと笑ったまま無視して視姦を続けた。楯無の痴態を楽しむのが半分、もっと恥ずかしいおねだりをしろという意味が半分。どちらにせよ、もはや真宏以上に我慢ができない楯無が取るべき行動は、ただ一つしかなかった。

 顔を一層赤らめ、俯き、羞恥が極まって口からこぼれるため息はしかし甘く熱く。自分を孕ませる気でいる男を、どこまでも淫らに誘うと決めた。

 

「来てぇ……私の中、真宏くんが欲しくてうずうずしてるから、一杯奥まで……ね?」

「……」

 

 振り向き、期待に蕩けた顔を隠しもせず、尻を振って真宏を誘う。対する真宏は無言で無表情。だがそれは誘惑が効かなかったわけではない。

 

「刀奈さん」

「え、どうしたの……?」

「やり過ぎです。覚悟してください」

「やっ、ちょ……かはぁっ!?」

 

 むしろ理性のタガが外れるほどに、興奮しすぎているだけだった。

 熱い掌が尻房をこねつぶし、指が食い込み、そして真宏を求めてやまずに涙を流していた膣道は、一瞬で最奥までを埋められて歓喜に打ち震えた。

 

 

◇◆◇

 

 

「ふぁっ、ん、ひゃ、あっ……んくうぅっ!?」

「あー、また一人でイきましたね。ズルいですよ刀奈さん」

「んんっ、ご、ごえんなさい……ごめん、でも、もう許してぇ……!」

「ダメです。俺はまだ3回しか射精してないんですから、刀奈さんと同じ5回はイかせてもらわないと。……あ、今のも合わせて6回ですね」

 

 楯無はもう、まともにろれつも回らない。体ごと打ち付ける勢いの真宏を子宮口で受け止めるたびに甲高い喘ぎ声が漏れ、豊かな乳肉は好き放題に揉みしだかれてしっとりと汗ばみ火照っている。ただでさえ胸が好きな真宏だ。楯無を孕ませることを一番の目標としているため、パイズリを楽しめない分のおっぱい欲をぶつけるがごとき執拗な胸への愛撫は楯無をすら蕩けさせた。

 イかされるたびに噴き出る愛液は既に足元で水たまりになっている。奥へ奥へと突き上げられるせいで楯無の体は半ば宙に浮き、つま先立ちになっても体が安定しない。

 真宏の腰が尻肉にぶつかる度に膣奥が潰され、前に泳いだ体を棚についた手で支え、戻ってきたときに合わせたカウンターでより深く突き上げられる。がくがくと震える脚があとどれほど楯無の体重を支えられているのかは疑問であった。腰を抱える腕の力強さと、ぷっくり乳輪ごと膨れ上がった乳首をこね回す指。どちらも楯無の表情をだらしなく緩ませるのに十分な快感を注いでくる。

 

「さて、そろそろ趣向を変えましょうか」

「ひゃああああっ!? 足、持ち上げないで、まわさないでぇ!?」

 

 意識は朦朧としていても、真宏に愛されることに喜びを見出す体に翻弄されていた楯無が、また大きな悲鳴を上げた。真宏が楯無の片足を抱え上げ、つながったまま楯無の体を回したせいだ。背後から覆いかぶさるようにされていた状態から向き合う体位へ。自然と腕を首に絡みつかせて真宏にしがみついたのは、不安なのかそれとも別の理由なのか。楯無自身にも区別はつかない。だがその最中も当たるところが変わり、向き合って真宏の顔を見つめると同時にイキ顔をドSの権化たる真宏に隠しようもなく晒してしまいながらされるというのは、より一層の羞恥と快感を煽った。

 

「すき。まひろくん……すきぃ。ちゅ、んむっ。らいすきぃ……」

 

 幸せが子宮から全身に広がっている。

 危険日に中出しをされれば妊娠の可能性は極めて高い。学生の身分では決して褒められたことではないが、それでも子供を通じて自分と愛する男の人生が重なるような感覚の想像は、楯無に多幸感しかもたらさなかった。

 

「ちゅ。俺も大好きですよ、刀奈さん。でも、わかってると思いますけどもちろんこれで終わりじゃないですからね。……よっと」

「あはあああんっ!? だ、抱っこされてる……足、つかないぃ……!」

 

 まどろみながら、うわごとのように好きと繰り返す楯無を、真宏は抱えたまま歩き出した。突き上げてこそ来ないものの、体重のほとんどが膣奥にかかって今にも子宮口を突き破られそうな圧迫感に息が詰まる。真宏の歩くペースに合わせて、かふ、かふ、とかすれた声が喉から漏れる。

 だが、幸せだった。年上であること、二人の男を好きになってしまったこと、更識家当主、ロシア代表。その身をがんじがらめに縛る立場や責任も今だけは彼女の中にない。余計なものは全て溶け出し、ただの更識刀奈として素直に好きと言って、大好きと言ってもらって、口付け合うことがこんなにも幸せであることを、真宏と一夏に教えてもらった。

 

「や、らめ……深すぎるの、真宏くん、許してぇ……!」

「大丈夫、もうちょっとですし絶対に刀奈さんを落したりしませんから、心配しないで。ちゅっ」

「んん~~~っ!」

 

 懇願を願う声はキスで封じられる。貪るようなものではない、優しく宥める唇だけのキス。ただそれだけが今の楯無にはどんな甘露よりも甘く、イきそうになるのを堪えるのが辛すぎた。もしイってしまえば力が抜けてしがみついていられない。真宏も合わせてイってしまえば二人そろって崩れ落ちることもありうる。だから楯無は、優しく優しく真宏に唇を吸われながら少しでも昂ぶりを押えられればと力いっぱいに抱きしめる。

 

 

 楯無にとっては長く感じた時間も、実のところそれほどでもない。部屋はさして広いわけではなく、ほんの2、3歩の間のことに過ぎなかった。真宏がたどり着いたのは部屋の中央に据えられた机。そこに腰かけ、対面座位の形へ。

 

「は、ぁぁぁああ……」

「お疲れ様です刀奈さん。少し休みましょうか」

「え? ……え、ええ助かる、けど……」

 

 長くため息をつき、真宏に背中を撫でられる感触にまた少しぞくぞくと感じつつ、自分が全身びっしょりと汗をかいていたことに初めて気づく楯無。だがそれ以上に、真宏が気になることを言った。少し休もうか、などと。

 

 真宏は存外Sっ気が強い。楯無のことを想っているのは間違いないのだが、だからこそ気持ちよくなってもらいたいと、そのためなら手段は選ばないと思っているフシがある。そのせいで何度泣かされたことか、痴態をさらすよう命じられ、とんでもない羞恥とそれを上回る快感をこの体に刻まれたことか、と楯無は顔を赤くしながら思い出す。

 そしてその経験に照らし合わせるに、この状況で真宏が楯無を休ませるのはおかしすぎた。普通であれば、そもそもさっきの時点でキスをするのではなく、手で口を押さえて「これなら思いっきり声を出しても聞こえませんよ♪」とかなんとか言って軽くレイプじみた勢いでしてきたはずだ。だというのに休むと、時間をくれるという。時間稼ぎ、という言葉がふいに楯無の脳裏を過る。

 

「真宏くん……な、何を、考えてるの……?」

「ふふ、なんでしょうね? えいっ」

「きゃふんっ!? 休むって言ったのにぃ!?」

 

 腰を跳ねさせ、こつんと子宮口を叩いてくる真宏。これが話題を逸らそうとしてのことなのは確実で、つまり何かを企んでいるのは間違いない。そしてこういう時に真宏がする企みとは、楯無をより一層恥ずかしく、そして気持ちよくさせるための物だ。

 これ以上、と考えてしまい楯無の膣内がさらに潤む。尻肉を鷲掴みにされて下から突き上げられ、既に何度となく軽く絶頂させられている。今度は楯無からキスを望み、息が苦しくなるほどのディープキス。真宏の胸板に自分で擦りつけている胸は固くしこった乳首から電流のように走る痛みにも似た快感に狂いそうなほど。もうこんなにも激しい快感の中にいるというのに、さらになどと。楯無の胸中に、甘やかな期待が満ちる。

 

 だが、それも。

 

「ところで刀奈さん、気づいてます?」

「じゅる、んちゅ……ふぇ、なぁに……?」

 

 真宏の一言で。

 

「外から足音、聞こえてきてますよ」

「…………え?」

 

 凍りつく。

 

「コツコツ、って。まだ遠いみたいですけど、こっちに向かってきてるみたいです」

「え、えっ……ど、どうしよう……!?」

 

 真宏の言っていることは本当だ。家柄的に足音を鋭く察知するよう鍛えられている楯無の耳は、確かに静かな廊下をゆっくりと歩く足音を捉えている。誰もいない校舎に何故という思いもあるが、それ以上に今はまずい。まず過ぎる。もしも何かがまかり間違ってこの部屋に入ってこられたら、全裸で真宏にまたがっている楯無の姿を目撃されることになる。

 思い切り振りむいてみれば、いつの間にか部屋の鍵は開いている。さっき真宏がやったのだろう。とんでもない早業だ。

 

「どうしましょうか。いっそ俺達の関係、これから来る人にバラしちゃいます?」

「ら、らめぇ……! こんな姿、他の誰にも見せられないから……あっ!?」

 

 小声でささやき合っている最中に混じる楯無の甲高い喘ぎ声。真宏がこの期に及んで情け容赦なく腰を跳ねあげて楯無の奥を突いたせいだ。ただでさえ何度も射精されて子宮が下りているのだから、その一瞬だけとはいえ全てを忘れて快楽に飲まれてしまう。あとから慌てて口を押さえるも、気づかれずに済んだかどうかは全くの不明。楯無の全身にまたじわりと汗がにじんだ。

 しかも不安要素はまだまだある。特に最大の物が、この状況でなお目の前で優しく微笑んでいる真宏の顔。

 

「いま、きゅって締まりましたよ刀奈さん。やっぱり見られちゃうかもしれないと思って興奮してるんでしょう? なら期待には応えないと……」

「だ、黙って!」

「んぶっ」

 

 少しでも静かにさせるために、真宏の口はキスでふさいだ。今度は楯無から積極的に舌も絡め、これで満足してしばらくの間おとなしくしてもらえれば、と考えられる限りの奉仕をした。口中を丁寧に舌でなぞり、真宏の舌を唇でしごき、唾液を求められればたっぷりと与える。じゅぶじゅぱとキスの音は激しいが、それでも声をあげさせられるよりはマシのはずだった。両手両足でがっちりと真宏にしがみつき、突かれることがないように。

 それでも無理だろう、とは思っていた。楯無を抱え上げてここに来るまで射精を我慢していた真宏が、膣内でびくびくと震えているからだ。限界は近いらしい。

 

「じゅる、んふ、ちゅうぅ、んんんっ」

「キス、すごいですね刀奈さん。ちゅる。……こんなにしてもらったからには、お礼もしないと」

「や、やぁ……キスぅ、今はキスだけしてぇ……お願いぃ……いひぃ!?」

 

 そして楯無は忘れていた。ドSに対する「お願い」は逆効果以外の何物でもない、と。

 

 尻肉をエロエロしく撫でていた手が谷間に向かって動いていたことはわかっていた。だがまさか、この状況でいきなり尻穴に指を入れるとは。背を反らせ、かすれた悲鳴を上げるのと腰が浮くのが同時。もちろんそれを真宏が許すわけもなく、最奥を突き上げられた。それも、かなり勢いよく。

 そこからはもう、周りのことなど一切楯無の思考に割り込む余地がなかった。弾む腰、弓のように柔らかな曲線を描いて反った背筋が突き出す胸。突き出た舌から唾液がポタリと真宏の胸板に垂れる。汗にしっとりと濡れた楯無の胸肉は真宏の目の前で媚びるように跳ね、時折先端を口に含まれて強く吸われる。きっとそう遠くないうちに、母乳も出るようにされるだろう。そう考えても喜びしか湧いてこないあたり、楯無ももはや戻れはすまい。

 

「すみません刀奈さん、俺ももう限界です。射精していいですか?」

「え、あ……っ」

「膣内に射精します。一番奥に押し付けて、子宮の中に出します。……孕ませる気ですけど、いいですか?」

 

 しばらくして、真宏が腰を止める。声を出さないように息を整えながら、楯無は真宏の顔を覗き込む。ひどい状況でひどいことを言っているというのに、その表情はどこまでも真剣だった。愛する男に心から求められている。そのことがはっきりと伝わってきた。

 きゅ、と唇を噛む楯無。なんと言うべきか迷ってはいるものの、答えだけは最初から決まっている。じわりと涙が出てきたのは、快楽をすら上回る喜びの感情のせいだろう。

 

「うん、いいよ。真宏くんの精液で、私を……妊娠させて」

「……刀奈さんっ!」

 

 めり、と。

 子宮口が押し広げられる感触を、楯無は確かに味わった気がした。

 

「……んっ、んんんんんんーーーーーーーーーーーっ!!」

 

 声を抑えられはしなかった。子宮口に直接亀頭を押し付けて射精されてイかないわけがない。真宏が頭を押さえてキスをしてくれていなければ、校舎中に響くほどのイキ声を上げていただろう。

 びゅるびゅる、と精液が子宮を満たしていくのがわかる。きゅうぅ、とキツく真宏を喰い締める膣内は真宏の形になっている。これほどまでに弄ばれているのに、イっている最中にキスをされながら優しく頭を撫でられると、真宏への愛おしさで胸が切なくわなないてしまうあたり、自分もまた大分惚れこんでしまっているのだ、と楯無は思う。失神寸前にまで追い詰められ、それでも楯無は幸せだった。

 

――コツ

「……っ!」

 

 しかし、まだ何も終わっていない。すっかり忘れていたが、さっきから聞こえていた足音が、部屋の前で止まった。

 楯無は扉に背を向けているから様子はわからないが、誰かが部屋の前にいる。もしも扉を開けられてしまえば、全裸でいる楯無に弁解の余地はない。すぐに顔を見られることはないが、真宏とつながっているところだけは、一番隠さなければいけないところだけは、申し開きようもなくばっちりみられてしまうだろう。せめて隠れるくらいのことはしなければ。更識家の当主として、これだけモノが多い部屋の中に真宏と二人で隠れ、やり過ごすことは不可能ではない。……本来であれば。

 

「あ、へ……はぁん」

 

 今の楯無は絶頂後の倦怠にまどろんでいる。弛緩した体は真宏にしなだれかかって支えてもらわなければずり落ちそうで、唇が真宏のキスを求めるのを止められず、舌を絡め合うばかり。

 からり、と扉が開く音がする。

 終わりの時だ。

 

 

 

 

「お楽しみみたいですね、刀奈さん」

「ふぇ……一夏、くん!?」

 

 ……そう思わせることまで真宏の企みだったのだと、その瞬間に思い知らされた。

 

 

「悪いな一夏、来てもらって」

「まったくだ。刀奈さんの泣きそうな悲鳴が廊下まで聞こえてたぞ」

「あ、あぁぁぁ……」

 

 部屋に入ってきたのは、一夏だった。その時点で、これが真宏の仕込んだ演出だったのは間違いない。楯無に羞恥を味わわせるために一夏を呼び出し、死ぬほど恥ずかしい目に遭わせた。あやすように頭を撫でられても、現状は一夏と真宏という二人の男の前で全裸をさらしているので、恥ずかしくて顔から火が出そうだ。それでも表情はふにゃふにゃに蕩けて涙がこぼれて止まらず、扉が開く瞬間に子宮口を突き上げられて射精され、誰かに見られる背徳感に今も小さくイクのが止まらない。

 

「随分派手にやったな。……まあ、今の刀奈さん相手じゃ仕方ないけど」

「ひぅっ!? い、一夏くん……お尻撫でないでぇ……!」

「ああ、思った以上に気持ちよくて腰ごと持ってかれるかと思ったくらいだ」

「や、やあぁ……今はおっぱい揉まないで、乳首ひっぱっちゃやぁ!」

 

 しかも、一夏と真宏は当たり前のような顔でセクハラをしてくる。尻を撫でまわす一夏の手は尻肉を強くこね回し、真宏はお気に入りである楯無の胸を弄り倒す。普段の状態ならばスケベと言い返すこともできるだろうが、力が入らない今の楯無の体は二人のおもちゃでしかなかった。

 もっとも、嬉しそうに腰をくねらせ、背を反らせて真宏の掌に胸を押し付ける楯無が嫌がっているのは口だけだということは明らかだが。

 

「こっちもこんなに物欲しそうにして……最近使ってあげられなくてすみません」

「刀奈さんはこの程度じゃ足りないでしょうけど、今は我慢してくださいね」

「やああぁ!? お、お尻、指、二本……!」

 

 まして、一夏と真宏の二人がかりでアナルのご機嫌まで取られてしまっては。

 楯無のアナルは、既に二人によって調教されている。いまや排泄器官である前に二人に媚び、主人に屈服を促す性器と成り果てた。

 だから今、一夏と真宏が一本ずつ指を入れて好き勝手に穿り返されても快感しか感じない。アナルを犯される時特有の気の抜けてしまっている顔も、真宏の目にはばっちり見えてしまっている。

 

「ところで、どうでした刀奈さん。満足してもらえました?」

「……この状況でそんなことを聞いてくる真宏くんなんて、きらい」

「はは、嫌われたな」

 

 そんなおまけまで味わわされた後、ようやく落ち着いてくれた。

 楯無は体を這いまわる一夏と真宏の手を振り払おうとせず、時折ぴくりと震える体は熱い溜息をこぼしうっとりと目を閉じる。正直この二人の性欲は楯無の予想をはるかに上回るほどで、一人で受け止めきれるか不安でしょうがないのだが、その欲をすら上回る愛を持って接してくれていることもまた楯無にはわかる。だから、どうしても憎めない。愛しい男の腕の中にいる幸せから、抜け出すことができずにいた。

 

 そして、だからこそ。

 

「それはいけない。じゃあもっと刀奈さんには満足してもらわないといけませんね」

「えっ」

「俺も手伝うぞ、真宏。……今夜は寝かせませんよ、刀奈さん」

「えっ……えっ」

「わかってると思いますけど、俺もまだ打ち止めじゃないですから。今日こそ孕ませます。口も胸もお尻も使ってあげられないですけど、その分たくさん膣内射精しますね♪」

 

 逃れようもない泥沼にはまったりもするのだが。

 手始めとして一夏と真宏にそれぞれ片方ずつ、同時に両方の乳首を舐めしゃぶられながら声を抑えるという難行を課されても憎らしく思えないことから、楯無も同類であることは明らかだ。

 

 その日、楯無は気づく。

 二人が昼間に一人ずつ順番に楯無としたことはまだしも気遣っていたがゆえのことだと。

 IS学園1年生寮の部屋に連れ込まれ、各部屋の防音が万全であることに感謝しながら、二人の絶倫ぶりを思い知らされた。

 

 

◇◆◇

 

 

「むにゃむにゃ……フィーヒヒヒ……」

「……ひっどい寝顔です」

 

 過度の幸せは人を堕落させる。

 前回に引き続き楯無にエロい夢を見せに来たクロエは、恍惚とした表情で不気味な笑い声を漏らしながら眠る楯無の乙女的にNGな寝顔を見て、年齢の割に達観した心理に至るのであった。

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