「うまい! 美味いよこれ!」
「もう、アルフ。そんなにがっつかないの」
フェイトに遅れて数刻後。カイトのいる場所に転送されたアルフが見たものは、テーブルを埋め尽くす料理の山だった。そして今や、その半数近くが、アルフの胃袋に収められている。フェイトが嗜めてはいるものの、カイトはそれを遮り、今日は引越しのお祝いだから彼女の好きにさせなさい、と言ったので、渋々アルフを放置することにした。
カイトの目論見はまたも成功裏に終わった。アルフの警戒心を解くことに成功したのだ。これがもう少し成長していたら、そこまで簡単には行かなかっただろうが、アルフはまだ生まれて間もない子供の狼だ。胃袋さえつかめば、懐かせるのもそう難しいことではないはずだった。シェフ・ロボットの料理でその舌を満足させられるかが不安点だったが、この反応を見る限りでは問題はないだろう。ただしロボットといっても、アルザスなどの辺境世界の郷土料理までインプットされてある最高級のものだから、かなり値が張ってはいる。
「いやぁ、プレシアの元ダンナって話だから、一体どんな人かと思ったらさ! アンタ、中々いい奴じゃないか!」
プレシアの旦那。自分はフェイトの父親だから、視点を変えればそういう見方もできると、カイトは心の中で苦笑した。
確かに、カイトとプレシアは似ているのかもしれない。或る一つの目標に向かって進んでいる点と、それを為すためにはどのような手段をも辞さない点が。プレシアは法を犯してアリシアを求め、カイトは倫理を逸してフェイトを求めた。 あくまでビジネスとして付き合っていた2人だが、ひょっとすると、案外仲良く出来たのかもしれない。むしろ、互いに自分の目的を神聖化するあまり、同族嫌悪を引き起こす可能性も考えられるが。
「アルフ! お父さんにそんな口使わない!」
「いやいや、気に入ってくれたようで何よりだ、アルフ。これからも宜しく頼むよ」
「うん、フェイトの使い魔として、カイトともなかよくしていきたいよ」
カイトはアルフに手を伸ばし、アルフはそれを握った。横から見ているフェイトも乱暴な口調を使うアルフに不安を感じていたが、カイトと仲良く出来たのをみて満足気だ。アルフの心は、既にカイトを信頼する方向に傾きつつあった。だが、もう少し押しを強くして、完璧に落とさないとカイトの「意識操作」は使えない。もっとも、カイトの方ではもとより今の時点でアルフに「意識操作」を使うつもりはなかった。そう焦らなくとも、アルフの主人のフェイトがカイトにべったりくっついているのだから、このままアルフの方からさらにカイトに歩み寄っていくだろう。もとより彼女はおまけのようなものだ。必要以上に手間をかけても意味が無い。
「こんな美味しいの、リニスにも食べさせてやりたいなぁ」
「そうだね……リニス、元気にしてるかな」
「プレシアと仲良くしてればいいんだけど……」
……にこやかに話す二人には、少々残酷な事実だろうが……
カイトは推測していた。リニスは魔力供給を絶たれて、今頃は死の淵に瀕しているはずだと。もともとリニスの契約内容は、フェイトの家庭教師だ。その任が例え曲がりなりにも終わってしまった以上、かなり魔力を食うリニスをプレシアが放棄しない訳がない。一見残酷に見えるが、魔導師にとってこれは当たり前のケースだった。フェイトとアルフのように、長期契約を結ぶケースこそが珍しいのだ。
問題は、フェイトが手にするはずの黒い戦斧、バルディッシュについてだった。これはリニスが設計するデバイスであり、勿論リニスの存在なしには生まれない。
代替として、同じくらい高性能高価格のデバイスを渡す用意はあるが、それにしても、バルディッシュほどフェイトに馴染みはしないだろう。それに、フェイトとバルディッシュが、良き相棒同士だという事を『知っている』カイトとしては、フェイト・テスタロッサの隣にいるのは、無口で実直なバルディッシュこそ相応しかった。
……だが、このチャンス、逃すわけにはいかなかった……
カイトとしても、この問題を考えていない訳ではなかった。しかし、バルディッシュが完成するということは、リニスが消滅する間際、時の庭園が飛び立つ直前の時間軸だ。
プレシアは、ミッドから秘密裏に出航する必要がある以上、自分に対する連絡手段を完全に絶っているはずだ。だから、交渉を持ちかけるには少々遅すぎるのだ。デバイスに拘って、貴重な機会を不意にしてしまえば、この次フェイトと接触できるのは第九十七管理外世界『地球』で、ジュエルシードを収集している場面になってしまう。友好的な出会いが出来るとは思えないし、「意識操作」が効く段階まで持って行くのも極めて難しくなる。だからカイトは。敢えてバルディッシュを手に入れる機会を捨てて、この段階でフェイトを取り込む選択肢を選んだ。
テーブルは宴もたけなわ、多めに用意したはずの料理は綺麗に食べ尽くされ、空の皿が並ぶだけになっていた。小さい体の何処に料理の大群を収めたのか、アルフはすっかり満腹になって、それでもまだデザートに手をつけていた。その元気な姿は、カイトの心を和ませる。カイトは何時までも見ていたかったのだが、そろそろアレを見せてやるべきかと思い立ち、テーブルから離れた。
「デザートを食べ終わったら、ここがどういう場所なのか、一通り説明しておこう。すぐ終わるから、アルフもついてきてくれ」
「はい」
「わかった!」
***
「うぉおおお、すごーい!」
「これが、次元の海……本で見たことはあるけど……」
幾つもの色彩が重なり、混ざりあう、世界の狭間。次元の海の雄大さに、フェイトもアルフも、すっかり呑まれてしまっていた。
「どうだ?この船一番の見所、巨大ラウンジから映る、次元の海は」
カイトは大きく腕を広げ、プレゼンをするセールスマンのように声を張り上げた。
――ここは、プレシアの持つ『時の庭園』以上に大型の、次元航行船の内部であったのだ。
カイト・フォレスター個人が所有するクルーズ客船として、管理局からの自由航行認可も得ているこの船の名は『パラディース』。カイトが用意した『準備』の中で、一番手間がかかったのがこの巨大な船だった。
もしも何らかの理由で犯罪組織や管理局に追われることになれば、カイトと三人を防衛できるだけの設備が必要だし、無補給での長期間航行も視野に入れなければならない。そのため、艦の基礎には、管理局次期主力艦のコンペに落選した『EL級』巡航艦の試作船体を流用することにした。大型かつ頑丈なこの艦体は、多少の攻撃ではビクともしない。船内には多数の試作型ガジェットと防衛システムが搭載し、管理局のL級巡航艦一隻程度なら迎撃出来る。本来客室とされているスペースに貯蔵されている物資は、10年間無補給で行動できるほどの量だ。
この船こそ、カイトと少女三人が暮らす『楽園』を作り出すためにふさわしい移動拠点であった。
「すごいすごい! フェイト見てよ! 本物の次元空間だ!」
アルフはすっかり窓にかぶりつき、まだ小さい2つの眼を懸命に動かした。
耳はぴんと逆立ち、尻尾は勢い余って取れてしまいそうなくらいぶんぶんと振るわれている。アルフは今まで、生まれ故郷のミッドチルダの山奥と、フェイトと共に過ごした時の庭園とその周囲しか世界を知らなかった。だから、まさに大海を知った蛙のような驚きと感動を覚えていた。
「うん、ホントだ。すごい……!」
フェイトも同じく驚き、感動しているのだが、そこかしこを動き回るアルフとは違い、その腕をカイトの大きい腕にぎゅっと絡ませ、寄りかかるようにして立っていた。次元の海の余りの大きさに圧倒されて思わず。頼ることの出来る屹立としたものに支えを求めたのだ。そのか弱さとなよらかさ、そしてほのかに伝わるフェイトの体温と幼い匂い。
カイトは自分が今、高ぶっている事をはっきりと感じた。だが、自重しなければならない。カイトは自分の忍耐と我慢に、そこまで自信を持っていなかったが、少なくとも今はそれを発揮する必要があった。
カイトは2人を集めて、この船の構造についてと、暮らす上での注意事項について話し始めた。
一階にはカジノ、ダンスホールなどがあるが、今は殆ど物置なので閉鎖していること。今いるのは二階で、大広間や食堂、艦内制御室など重要な場所はほぼ二階にあること。フェイトやアルフの部屋は三階の客室に用意してあること。注意事項というのは、基本的には自由に暮らして良いが、カイトが立ち入りを禁じた場所には入らないことや、出かける際にリニスが送った訓練プログラムについては必ず実行することなど、ごく当たり前の約束事であった。
フェイトは真剣に耳を傾けていたが、アルフは話を聞きながらもチラチラと外の光景に気を取られていた。その態度に一末の不安を覚えつつも、しかしカイトは、アルフも基本的には素直でいい子なのだし、言いつけを破るのは主の迷惑になるのだから、必ず約束を守ってくれるだろうと信じることにした。
「アルフ。今日は船内は好きなだけ見ていっていい。でも、アルフにも部屋を用意してあるから、飽きたら必ずそこに行って寝なさい。いいね?」
「はーい!」
カイトの言いつけに、アルフは元気よく返事した。
「それと、フェイト……」
「なんですか?」
「今日は慣れないことばかりで、色々と疲れただろう。案内するから、一緒にお風呂に入らないか」
この申し出を、フェイトは一も二もなく承知した。『家族と一緒にお風呂に入る』というのは幸せなことだし、大切な人と、もっと近くで触れ合いたかったからだ。
「アルフ。はしゃぎ過ぎないようにね」
「わかってるって!フェイトこそ、カイトと仲良くね」
「うん。父さん、行こ」
いよいよだ。いよいよ本格的にフェイトを
ラウンジから出る時、カイトは誰にも顔を見せないようにして、一人喜悦に顔を歪めた。
***
『パラディース』の二階中央部。ここには、カイトの肝いりで用意された大浴場があった。ミッドチルダの常識では、船内での入浴には客室にあるバスルームを用意し、余り巨大な浴場を船内に設置することはない。しかしカイトは何故か、大浴場の設置に拘りを持っていた。カイトは、これは恐らく前世の思い出に引っ張られた結果なのだろうと想像していた。天井が高く、大きい浴槽が何個もある光景が、カイトの心に不思議な望郷の念を引き起こしていたからだ。
フェイトより先に浴槽に入り、お湯加減を見る。上々だった。この大浴場を始めとして、艦内の大部分において、管理と清掃は自動化されている。二時間ほど前、ここでは清掃用ロボットの大群がひしめき合っていたことだろう。
「入ります……」
ガラスの引き戸を開けて入ってきたフェイトは、カイトの想像以上に美しく、幼く、そして女神のように輝いていた。シミひとつない白い肌は、僅かに乳臭さを残しながらも、きめ細やかに手入れされていて芸術品のように完成されていた。リニスの才能は、美容の面においても存分に発揮されていたのだ。
身体は絶えぬ訓練のおかげか引き締まっていて、年に似合わず細いながらもしっかりと筋肉がついていた。均整のとれたスレンダーな体型で、何処か刺々しく感じる程だ。フェイトは何も隠そうとはせず、ありのままの姿をカイトに見せた。そのせいで、フェイトが寒そうに身体を震わせているのに気づくまで、カイトの脳はハングアップしてまともに行動出来なかった。それほどまでに衝撃的で、理想に違わぬ体つきをしていたのだ。
慌ててフェイトを浴槽に招き、肩まで浸からせる。フェイトはお湯の暖かさに思わずほうっ、と息を吐き出した。
「湯加減はどうだ?」
「ちょうどいいです」
「しばらくお風呂に入っていてくれ、私は用意をしなければならない」
空調が操作され、空気の温度が若干上がった。カイトは浴室の隅に立てかけてあったビニール製のマットを持ち出し、浴槽のすぐ横に広げた。
「フェイト。十分身体が暖まったら、マットに横になってくれないか」
「はい、父さん」
数分後。言うとおりにマットに仰向けになって寝そべったフェイトに、カイトは小さめの瓶を見せた。
「フェイト」
「はい」
「お前は、幸せになりたいか?」
カイトは、突然フェイトにこう問いかけた。それに何の意図があるか、フェイトにはとても理解できないだろう。
「えっ――?」
「今のままでいても、お前にとっては十分に幸せだろう。でも、お前が許しさえすれば、私はお前をもっともっと幸せにしてあげたいんだ」
プレシアからフェイトを買取り、幸福を餌にして彼女を誑かし、挙句には「意識操作」という反則技を使いながらここまで来た以上、今更問う必要もない質問だ。だが、カイトはあくまでフェイト自身の意志によって、フェイトの身体を弄る許可を得たかった。
それは、カイトが持つフェイトや他の二人への、支配欲や征服欲とは違う「愛情」を表現したものだった。しかし、表現が余りにも歯抜けていて、しかもフェイトの思考を誘導した末での質問だ。小賢しく、卑怯な愛だと、評されるべきだろう。
「はい。幸せに、なりたいです」
だが、フェイトはそれを受け入れた、故に、カイトが止まる理由は何処にも無くなった。フェイトに両足を開くよう命じたカイトは、瓶を開き、その中身である粘っこい液体を左手に垂らして、無防備になったフェイトの秘所へと近づけた。
「少し……いや、かなり強い感覚に襲われるだろう。でも、抗う必要はない。感覚に身を任せて、受け入れればいい」
「分かりました」
カイトの忠告を受けて、フェイトは目をつぶり、身体を強ばらせた。カイトの言った「強い感覚」への覚悟を決めているようだったが、その体勢は逆に感覚の濁流を諸手を開いて受け止めるようなものだ。
……まあ、多少は緊張しておいたほうが、こいつの効果も大きいだろう……
カイトはそう考え、ぴちっと閉じられた柔肉のスリットを右手で開き、薄ピンク色をした秘所の中身に左手でそっと液体を塗りこんだ。
「……ッ!? んんぅ!!?」
フェイトの身体全体が、大きく二回、震えて揺れた。その瞬間、フェイトを襲ったのは、頭の中で覚悟していた痛みでも、苦しみでもなかった。とてつもなく熱く、鋭い電流のようなそれが何なのか、フェイトには分からなかった。
【これ、は、何……父さん】
「落ち着け。怖いものじゃない。受け入れるんだ。さぁ、もう一度行くぞ」
【え、待って】
フェイトは少し怯えてしまっているが、ここで止めるわけには行かなかった。
余り時間をかけて、中途半端に終ってしまったら、それこそフェイトに後遺症を残してしまうかもしれない。
フェイトに恐怖を抱かせるのは、彼女を「愛する」カイトにとっては何よりも辛く苦しいことだったが、それでもこれだけは終わらせなければいけない。もしも自分の忍耐が切れて、彼女を無理やり押し倒して犯しでもした場合、これ以上の恐怖と肉体的損傷を与えてしまうからだ。それがカイトには何より嫌だった。かといってフェイトを目の前にして、彼女の肉体が成熟するまで我慢できるはずもなかった。
今、フェイトに塗っている薬剤は、粘膜から吸収するもので、膣道を拡張させる効果があるものだ。そしてそれには、凄まじい性的快感を与える副作用がある。これを塗ることによって、フェイトの幼い身体で負担なしに性行為を行えるようにする。そして、フェイトにオーガズムの快感を覚えさせ、カイトとのセックスできちんとイケるように身体と心を整える。
セックスをするにしても、フェイトが快感を感じなければ、カイトにとってそれは悲しいことだった。これは悲しみを防ぐための、予防行為だった。少なくとも、カイトはそう信じていた。
「ッ!!?? く、う゛、ぁあ゛あ゛あ゛っ!」
再びカイトが液体を塗りたくると、フェイトは歯を食いしばり、激しく身体を痙攣させた。そして、突然ふっと力を抜いて、くたっと死んだように横たわった。余りに激しい感覚を、フェイトの脳が受け止めきれずに気絶したのだった。カイトが左手を顔に寄せて見ると、そこには微妙に甘酸っぱい、体液のような匂いが残っていた。フェイトが秘所から吹き出した、それは間違いなく愛液であった。
……よし。これでいい。フェイトはまだ気づいていないだろうが、フェイトの身体は正直にこの感覚――性的絶頂によるオーガズム――を感じている。後は、フェイトの心がそれを認めて、受け入れるだけだ……
ぴくりと、フェイトの眉が動いた。目が開き、おぼろげながら意識を回復したようだった。
「……んぅ……?父さん……父さんは……」
カイトは、寝ぼけたような声を出すフェイトの目線に、自分の顔が来るよう身体を動かした。フェイトを安心させるためだった。
「いるよ。ここにいるよ、フェイト」
「良かった……私ね? すごい何かに襲われて、どこかに飛んじゃったの」
今までカイトに話していた時の、しっかりとして敬語じみた口調と違い、今のフェイトは年並に幼い話し方をしていた。衝撃的な体験に、ほんの少しだけ意識が幼さに帰ったようだった。
「どうだったか? 飛んだ所は。気持ちよかったか?」
「わからない。ひょっとしたら何かを感じて、忘れちゃったのかもしれないけど。今は、何もわからない」
その言葉に、カイトは確かな感触を掴んだ。もう一回薬を塗り込めば、フェイトを
「そうか、フェイト。もう一回行けば、はっきりするだろう。やるか?
「……」
畳み掛けるようなカイトの言葉に、一瞬だけ、フェイトは逡巡した。
***
……この先、私はどうなるんだろうか。あの感覚は、私を何処か遠い所に連れて行ってしまうような気がする。アルフも、リニスも、父さんもいない、何処かに。それは、嫌だ――けれど……
「安心するんだ。私は、どこにも行かない」
「父さん?」
「二度とフェイトから離れない。フェイトを一人にはしない。だから、安心するんだ」
……そうだ。どうして迷わなきゃいけないんだ、フェイト・テスタロッサ。父さんはここに居る。何処にも行かない。今までのことも、これだって、私を幸せにするためにしてくれているんだ。だって、父さんは私を、私は父さんを……
「……うん。父さん。やって。私を、
……きっと、愛して、いるんだから。
この瞬間、フェイトは、真にカイトのものになって、彼と共に生きる道を選んだ。それは、まさしく永遠に続く虹色の楽園であったし、そして二度と開くことのない灰色の監獄でもあった。
「行くぞ、フェイト」
「うん、来て、父さん」
カイトの顔を見て、フェイトは微笑む。それはまるで、愛する人と身も心も結ばれようとする時のそれであった。カイトの左手は、今度は遠慮無しに、フェイトの膣肉に液体を刷り込む。
「っ……う゛、あ゛っ!」
ビクビクビクッ!
フェイトは前よりさらに大きく、激しく身体を歪ませ、ビダンッ、とマットに身体を何回か叩きつけた。
「ん、あ、あ゛あ゛っ! 父さん!とう゛さん゛っ!」
【大丈夫、大丈夫だフェイト。私がついているからな】
【来る、来る、なにか来る、すごく、大きいのが、来るよ! 父さん!】
感覚とともに押し寄せてくる溢れんばかりの感情を、念話に込めて放つフェイト。対するカイトは落ち着いて、優しい声でフェイトに告げる。
【『来る』んじゃない。『行く』んだ。フェイトが、幸せになる場所に、行くんだ】
【そうなの? 私、行っちゃうの? 父さん? 父さんは、そこにいるの?】
【ああいるとも。父さんはお前と一緒にいるからな】
【うん、分かった! じゃあ私、行くよ、飛んじゃうよ】
それを最期に、念話は途切れた。フェイトにはもはや、念話するだけの集中力も無くなっていた。あふれる快感は、フェイトの理性という堤防を破り、そして決壊した。
「ぁ、わたし、いく、いぐ、いぐぅ、いぎゅううぅうううううううう~~~~~!!」
この上なく甘い声を張り上げ、フェイトは絶頂した。意識という抑えを無くした身体が、快感に反応して、バタンバタンと全身がくねり、狂ったように暴れる。長い髪もバラバラに揺れて、乱れている。無意識にぎゅっとカイトの右腕を握っていた両手は、爪を食い込ませ、カイトの肌に赤く跡を残していた。
「いぎゅのぉ、いぎゅう! あ、まだ、いぐのぉ!」
「いいぞ、何度でもイケ、何度でも、気持よくなれ」
「に゛ゃ゛ぁあああああああああ゛っ~~~~!」
***
「ぁ゛、とぅ、さん……」
もう、最期の薬を塗ってから、何分ほど経ったろうか。フェイトの絶頂の最期の余韻が、やっと収まったようだ。身体はすっかり赤く火照って、足りない酸素を補おうと、薄く肉の少ない胸がさかんに上下を繰り返している。
「フェイト。どうだったか? 幸せに、なれたか?」
「うん、凄いね、イクって……。 夢のようで、そうでなくて……私が欲しかった『幸せ』って、これだったんだ」
「ん?」
「大切な人の手で、気持ちよくなる。今私、すごく『幸せ』だよ」
それは、まだ幼い頭が強い衝撃に惑わされて生み出した、錯覚なのかもしれない。しかし、フェイトはこの瞬間を『幸せ』だと感じ、そしてそれは終生、変わることがなかった。
「これで、父さんも気持ちよくなれれば凄い幸せなんだけど……父さん、すごく大きくなってるけど、舐めなくていいの?」
「ああ、いいさ。父さんと一緒に気持ちよくなっていくのは、これからもう少し進んでからにしよう」
……そう。フェイトは今、完全に自分のものだ。誰に奪われもしない。だから、もう少しだけ待つことにしよう。『その瞬間』を、フェイトにとっても自分にとっても、最良の時にするために……
それに、カイトが
「ところで、フェイト。ご飯食べて大分経っているしそろそろ、おしっこがしたくなって来ないか」
布石は、既に打たれていた。
「あ、そうだね。でも平気、まだ我慢できるから、トイレに……えっ!?」
フェイトは、自分の股下で起こっていることが、理解できなかった。ついさっき尿意を覚えたばかりだというのに、何の抵抗も無しに、自分の股間から金色の液体が流れだしていくのだ――
あとがき
今回も、割りとエロ薄めです。
自分がこの先何を書くのか、分かる方は分かると思いますが、一応、かなりニッチで変態な方向に行くので、嫌いな方はごめんなさい。