(おむつ・幼児退行・スカトロ【小】注意です。それでも許せるという方のみ御覧ください。)
……え、うそ、なんで。止まらない、力を入れてるのに、おしっこ、止まらない……
フェイトの小水は、股下からぴっちり閉ざされた太腿をつたい、タイル貼りの床へ染みこむかのようにじんわりと広がっていく。フェイトはさっきからしきりに下半身に力を入れて、どうにか失禁を止めようとしていたが、しかしその努力は全くの徒労に終わっていた。尿道から何の抵抗も受けずに、膀胱に入っていた尿の全てが流れ出る。指で尿道を抑えてせき止めようとするが、やがて隙間からまた淡く黄色い液体がにじみでて行くのだった。
浴室に、つん、とアンモニア臭が漂う。カイトにとってそれは予測されていたものであり、また微かながらに陶酔感をもたらすものであった。しかし、フェイトはその刺激臭を嗅いで、痴態を見られる羞恥心と、どうにもならない無力感を感じ、目にじわりと涙を含ませていた。
「うぅ、ひっく、父さん……ごめんなさい。おしっこ止まらないのぉ」
「気にするなフェイト、後で流せばいいんだから、全部出してしまうんだ」
全てを知っているカイトの声は優しく寛大に聞こえ、それがフェイトにとって少しだけ救いになった。
「ふぇ……わかり、ました」
父親から許されたからか、フェイトは指を尿道から離した。その先に塞がれて溜まっていた尿が吹き出し、フェイトの手を汚す。その一吹きで、フェイトは膀胱にあった全ての尿を出し終わってしまったようだった。
……見られちゃった。おしっこおもらししてるとこ、父さんに見られて……
カイトの目線は、いつもフェイトを見つめるときのように暖かいものだったが、フェイトはその目で自分の心全てを射抜かれているような錯覚を感じ、ゾクッと身体を震わせた。
「あぁ……」
『こと』の終わった虚無感がフェイトを襲い、腰がぺたんと降りた。向かい合ったカイトも、フェイトと目線を合わせるためにしゃがみ込む。カイトはフェイトに呼びかけたが、フェイトの返す声は何処か力のない、ぼんやりとしたものだった。無理もない。人生で初めて絶頂し、しかもそれは、普通に生きていたら味わえないかもしれない最高レベルのオーガズムだったのだ。そして、追い打ちをかけるようにこの失禁である。フェイトの精神が飽和していてもおかしくはなかった。
少し経って、フェイトが落ち着き恍惚状態から脱するのを待ってから、カイトは淡々と話し始めた。
「フェイト。よく聞くんだ。今お前がおもらしをしたのは、お前のせいではない。さっき塗った、薬の副作用だ」
あの薬は、膣道を拡張し、未だ未熟な身体で正常にセックスを行うためのものだったが、二つの副作用があった。その一つは、先程フェイトが体験した凄まじい程の性的快感であり、もう一つの副作用というのが、膀胱排尿筋の弛緩なのである。
膀胱排尿筋とは、膀胱に尿を貯め、意識的に排尿するための筋肉である。それがフェイトのコントロールを脱したことで、尿意を感じても我慢できずにおもらしをしてしまったのだ。
「じゃあ、私……おしっこを我慢できなくなっちゃった、ってこと?」
落ち込んだ顔をうつむかせて、フェイトは問う。しかしカイトは明るい顔でフェイトを励ました。薬の副作用は一時的なものであって、最長三日も経てば終わるのだ、と。
「……でも、それまでの三日間、私、どうすればいいんだろう」
「大丈夫だ。ちゃんと対策は用意してある。さ、今はおしっこを洗い流して、身体を綺麗にしよう」
カイトはシャワーを手に持って、蛇口をひねり、お湯を出してフェイトの下半身を洗った。半分虚脱していて自分で動けないフェイトにとって、叱りもせず冷静に処理してくれるカイトの行動は有難いことだった。
何も出来ず、為すがままにされている自分を見て、フェイトはなんとも言えない情けなさと申し訳無さ、そして羞恥心で心が一杯になっていた。しかし、その中には、ほんの少し、フェイト自身が気づかないほど少しだけ、ピンク色の興奮と喜悦が混じっていたのだ……
***
冷めた身体を温めるために、三十分ほど風呂に浸かって。
脱衣所で身体を拭いて、寝間着に着替え、フェイトの部屋に着いた所で、カイトはようやく『対策』について話すことにした。その頃にはすっかり精神の安定を取り戻すことが出来ていたフェイトだったが、カイトが持ってきた物を見て、再び驚きと不安で動悸を激しくした。
「それって……」
「分かるか?これさえあれば、不安がることもないだろう」
カイトが意気揚々として持ってきたそれは、ビニールでパッケージされた大きな包みだった。その側面にでかでかと書いてある文字と、ファンシーなイラストを見て、フェイトは疑惑を確信に変えた。
「ど、どうして、そんなものが、ここにあるの?」
それがフェイトに対し、どういうふうに使われるかなど、もはや考えるまでもなかった。しかし、もしかすると冗談なのかもしれない。そう思いたかった。
「フェイトがこうなることは事前に分かっていた。だから前もって用意していたんだ」
しかし、カイトの親身に溢れた言葉は、その可能性を瞬時に打ち壊してしまった。
「そんな……」
「嫌がることはない、フェイト。フェイトは薬の副作用でこうなってしまったんだから、これを履いたって誰にも責められはしないさ……この『紙おむつ』を」
そう。カイトが用意した『対策』というのは、おむつであった。三日間だけおむつを履くことで、副作用による不便をなくそうというのだ。
「で、でも父さん。私、もう八歳なんだよ。おむつなんて、そんな」
しかしそれは、今までカイトにたくさん
「それに私、アルフの前でそんなの履けないよ。恥ずかしいよ」
愛する父の前で、語勢は弱く、尻込みしていた。それでも、必死に反対していたフェイトだったが、カイトが一度問いかけると、とたんに言葉を詰まらせた。
「嫌なら無理には勧めないが。じゃあ、フェイト。もしおむつを履かないとしてだ。おしっこを我慢できる自信はあるのか?」
「う……それ、は……」
フェイトは、風呂場でのおもらしを思い出した。いくら必死に力を入れても、尿が止まること無く流れだしていく、あの絶望感。それを考えると、もう一回尿意が襲ってきた時に対抗できるとはとても思えなかった。意志が揺れ始めたフェイトに、カイトはさらに押しをかけてみた。
「大丈夫だ。今なら、フェイトが意図的に見せようとしない限り、アルフが気づくことはないだろう」
今のアルフは、『パラディース』という新しい環境に興味津々だ。船内の娯楽施設を紹介してやれば、三日間ぐらいはそれに夢中で、主の下半身の事情など気にすることもないだろう。 カイトがそう付け足すと、いよいよフェイトは迷ってしまう。
「え、でも、やっぱり私、おむつなんて」
「そんなに嫌なら、一度だけでいい。どちらにしろ、今夜寝る時くらいはどうにかする必要はあるし、代替策を用意するにも少し時間がかかるから」
一度だけ。人間はその言葉に弱い。一度だけ、試すだけならと、逃げ道を用意できてしまうからだ。今までの説得でぐらついているフェイトには、それの逃げ道がとどめになった。
「……一度だけ、なら……」
「分かった。じゃあ、ベッドに横になってくれ」
自分で履くのではないのか、と疑問を持ったフェイトだったが、カイトが包みから取り出したおむつを見て納得した。フェイトが想像したおむつというのは、パンツのように自分でも脱ぎ着出来るものだったが、カイトの持つそれは、テープで固定するタイプだったのだ。
……そんな。これじゃあ、私、ホントに赤ちゃんだ。おもらしして、父さんにおむつ替えられて……
「柄は二種類あるけど、どっちがいいか? なるだけ可愛くて、フェイトに似合うのを選んだつもりなんだが」
「……そんなの、どうでもいいです」
ただの世間話のようにそう聞かれながら、ズボンとパンティを脱がされた所で、フェイトの羞恥心はいよいよ限界に近くなった。カイトは、おもらししたフェイトを叱ることなく、ただ当たり前のように後片付けをして、おむつを用意しくれている。フェイトにはそれが、自分がまるでおむつをしたりお世話されているのが当たり前である、赤ちゃんのように扱われているのだ、と思えてきて、顔から火が出るくらい恥ずかしくなるのだ。
「そんなに股をぴっちり閉じていたら、履かせられない。さあ、足を開くんだ」
そう言われて、フェイトは自分が足をぴちっと閉じ、開けるまいと強ばらせていることに気づいた。確かに、これではおむつを履くことは出来ない。意を決して、足を震わせながら、フェイトは股を大きく開いた。仰向けになって、足をがに股の形にし、自分の秘所を相手に向けてこれでもかというほど露出させる。
無防備な、動物の服従姿勢を連想させるそのポーズは、フェイトを更なる羞恥と興奮に引きずり込んでいった。
この行為が、カイトの手によって行われていたら、フェイトにとってどれほど楽だっただろうか!
もしそうならば、心の奥底で、「父さんが無理やりおむつを履かせたんだ」と自分に言い訳することも出来た。しかしカイトは、自身は手を出さず、あくまでフェイト自身の意志でそれを行わせたのだ。 カイトは、フェイトの尻から尾骨の場所まで左手を入れ、下半身を持ち上げる。そして、右手で紙おむつを下半身とベッドの隙間に差し入れた。
カイト自身、何度か心の中で思い描いてきた光景だ。フェイトのように従順で、依存心が強い女の子には、おむつが似合うのではないか。自分の排尿や排便の処理を他人に委ねるというのは、完璧な依存と盲従の証としてふさわしい姿なのではないかと、カイトは考えていた。
紙おむつをフェイトの体に沿わせ、ウエストのテープを止めると、おむつはフェイトの細身の体に、ぴったりフィットしていた。本来、テープタイプのおむつには、9歳の体に合うほど大きいものは無いので、カイトはわざわざ特注品を用意してきたのである。
「フェイト。よく似合ってるぞ」
「……そうなの? わたし、赤ちゃんじゃないのに」
「ああ。大体、フェイトはおむつを履くの、初めてじゃないのか?」
そのおかしな言葉に、フェイトは首を傾げた。フェイトだって、赤ん坊の時はおむつを履いていたはずだった。
「そんなことないよ、ちっちゃかった時は、履いてたよ」
「本当か? ……いや、いいだろう。それじゃあ、お休み」
そう言い残すと、意外なほど呆気無くカイトは部屋から去っていった。
***
残されたのは、下半身におむつだけを付けたフェイトと、謎めいた問いかけのみである。
……なんで、父さんはあんなことを言ったんだろう。私だって、赤ちゃんの時は――あれ?……
フェイトは気づいた。自分には、赤ん坊の時の記憶が無いことに。必死に思い出そうとしても、どうしてだろうか、何も思い出せなかった。赤ん坊の時なんてもう忘れてしまったのだ。そう考えて納得しようとしたが、それにしても、これだけ集中して思い出せば、何か一つくらい思い出すことが出来るはずだった。
これには、きちんとした理由があった。プレシアはフェイトに、アリシアの頭脳から取り出した記憶を、プレシアの思い出という色眼鏡を通して転写していた。そこには、文字通り「プレシアとアリシアの」記憶しか無かった。
――つまり、プレシアの夫であり、アリシアの父である人物との記憶は、意図的に排除されているのだ。
彼は、プレシアと結婚し、「アリシアが生まれた時」には未だ夫婦であった。そして、「アリシアが二歳の頃に」生活のすれ違いから離婚していた。つまり、アリシアが二歳になるまでは、アリシアの側にいたのだった。プレシアは彼を憎んでもいないし、恨んでもいなかったが、それでもその記憶はプレシアにとって邪魔なものだった。だからプレシアは、アリシアの二歳までの記憶を、フェイトに転写していなかったのだ。
しかし、そんな事情を知らないフェイトには、自分の記憶がその場所でポロリと抜け落ちているように感じられた。
……『覚えてない』なんてものじゃない。きっと、私には『無い』んだ。赤ちゃんの時の思い出が。じゃあ、私は何なの? 母さんのお腹の中から、生まれてきたわけじゃ、無いの?……
そう考えた瞬間、フェイトは背筋にゾクリ、とするものを感じ、ズボンを履くのも忘れて布団に潜り込んだ。
……『母さん』? 私の母さんって、誰だっけ? ううん、私は母さんの研究が忙しくって、それで父さんに……
大切な思い出を掘り返せば掘り返すほど、その噛み合わなさがフェイトの心を悩ませた。プレシアの行った記憶改竄と、カイトの意識操作による、記憶や認識の追加と削除――父親としてのカイトを追加し、母親としてのプレシアを削除したもの――は、未だフェイトの脳内に完全に定着していなかった。それが、フェイトの記憶を混濁させているのだ。だから、フェイトが考え、なんとか辻褄を合わせようとしても、決して整合するものではなかった。
……私って、一体何なんだろう。私は、これから何を信じればいいんだろう……
わからない。今日一日で感じた、喜び、興奮、幸福、恐怖、悲しみ、羞恥がフェイトの中を駆け巡った。フェイトは、自分の生み出した果てしない思考の渦に飲み込まれ、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
***
「フェーイート、起きてよ、もうご飯の時間だよ!」
睡眠から覚醒したフェイトを迎えたのは、トントン、というよりは、ドンドン、と聞こえる荒々しいノックだった。
「あ、ごめんねアルフ、今行くよ……」
そう言って、ドアに手をかけようとした時、フェイトは自分の股間にこんもりとした感触を覚えた。そして、自分の下半身におむつが有ることを思い出し、しかもそれが、寝ている間の失禁で濡れていることに気づいた。
「ご、ごめん、ちょっと待って、待っててアルフ!」
慌てて、昨日履き忘れていたズボンを取り、勢い良く腰に上げる。
フェイトの体のラインより若干ゆったり目のサイズであるそれは、もこもこの紙おむつを隠すには調度良い衣服だった。
……でも、これ気持ち悪い……
幸い尿漏れは無かったものの、その分ぐっしょりと濡れているおむつは、フェイトが想像した以上に不快なものだった。早く替えてもらいたい、と思ったが、しかし、このおむつを替えてもらうには、大広間のテーブルで待っているカイトの所へ行かなければならない。何度かおしりの部分を触り、「大丈夫だよね」と自分を納得させ、ようやくフェイトはドアを開いた。 フェイトを待っていたアルフは、いつもと同じく、いや、いつもの数倍元気に笑っていた。昨日船内を見て回った時の興奮が、まだ残っているらしい。
「おはようフェイト!」
「お、おはようアルフ、昨日はどうだった?」
「うん、すっごく楽しかった! まだ見てないところもあるから、フェイトもさ、今日はあたしと一緒に船内探検しようよ」
「そ、そうだね、考えておくよ……」
その後も、適当に話を合わせながら、フェイトは歩いても尿をしっかりキープして、漏らさないおむつに感謝していた。もし黄色い液体が床に垂れて、それをアルフが見つけたなら。そう考えると、恥ずかしい秘密がバレる恐怖だけでなく、「見つかったら、もっともっと恥ずかしい目に逢うのかな」という想像からの興奮が、心臓の鼓動が高鳴らせ、息を激しくした。
「……どうしたの、フェイト? なんだか、変な感じがするけど」
使い魔と主を結ぶ精神リンク。一長一短の特徴があるのだが、今のフェイトにとっては呪いたいくらいに厄介なものだった。昨日こそ、アルフが探検に夢中だったために発動しなかったのだが、今日はその分嫌に冴えているらしい。
「な、なんでもないよアルフ。なんでもないったら」
「ふーん……」
顔を真赤にして否定するフェイトを、疑わしげな目線で見つめたアルフだが、大広間に近づいて、出来立ての料理の匂いを嗅いだ瞬間、たちまちその疑問を放棄した。
「うわぁ、ねえフェイト、今日のごはんも美味しそうだね!」
「あ、あはは、そうだね」
……良かったぁ、私の使い魔がアルフで……
これがリニスだったら、そのまま隠し通せはしなかった。アルフの実力と健気さは、この先幾度と無くフェイトの危機を救うことになるが、その単純さと食い意地がフェイトを救ったのは、これが最初で最後になるだろう。大広間に入ってきたフェイトは、なけなしの勇気を振り絞り、カイトに向かって念話を発した。
【……あの、父さん、その】
【わかっている。今、行こう】
フェイトの念話を途中で止めて、カイトは椅子から立ち上がり、大股でフェイトの前まで歩いて行き、ひょいっと、お姫様抱っこの形でフェイトを抱え上げた。
「アルフ。私はフェイトと話があるから、先に食べていていいよ」
「え~、何さ、あたしにも聞かせてくれよ」
「すまんが、大事な話なんでな。どうしてもというなら、後で私に聞いてくれ」
アルフは渋々ながら了解し、ならばフェイトとカイトの分まで食べきってやる、とテーブルの上に並べられた料理を征服し始めた。
その姿を確認すると、カイトはドアから出て、フェイトを抱きかかえたまま一階へと階段を下っていった。
***
一階は資材倉庫とガジェットの基地である、というカイトの言葉は間違っていなかった。通路のそこかしこに箱やなにかの装置などが置かれ、二階や三階と比べて照明も薄暗い。こんな所で、父さんは一体何をするのだろうか。フェイトは不思議に思った。確かに、ただおむつを替えるなら、フェイトの部屋へ戻ればそれで良いのだが、カイトは今のフェイトにぴったりの場所を用意していた。
船内中央を通る大きい通路の突き当り。一見只の壁のように見えるそこには、小さく丸い跡のようなものがあった。そこに、カイトはポケットから取り出したカードをタッチする。すると、音もなく壁が開き、人が2人やっと通れるくらいの通路が出来た。そこを通ると、今までの暗い道とは一転した明るく賑やかな部屋がフェイトの目に入った。
「うわぁ……」
「どうだ。今のフェイトに似合う部屋を用意したんだが」
ピンクや水色など、暖色系でまとめられている外装。高い柵があるベビーベッド。その天蓋には、動物や星や雲の形をしたメリーが吊り下がっている。戸棚やタンスには、デフォルメされたキャラクターがプリントされていて、他にもブロックやジャングルジムなどのおもちゃが置かれている。 ここは、船内の奥に設計された、カイトと少女たち専用のプレイルーム。そして今や、フェイト・テスタロッサという大きな赤ちゃんのベビールームになっていた。
フェイトは、余りの光景に呆然としていた。そして、カイトにゆっくりと降ろされて、ベビーベッドの柔らかな布団を感じたその時に、やっと自分がどういう扱いを受けているのか認識できた。
「と、父さん。だから、私は赤ちゃんじゃないって」
「そうかな?」
フェイトの訴えを、しれっと返したカイトは、今度は「意識操作」を発動して、フェイトの心の奥底を覗き始めた。
【フェイトは、赤ちゃんだった時のこと、覚えているのか? 赤ちゃんだったことが、あるのか?】
【……ううん。覚えてない。赤ちゃんだったことも、無いのかもしれない】
フェイトの心の迷いを、カイトは感じることが出来た。自分の鎌かけが、フェイトの心をきちんと揺さぶっていたことを確認し、そして更に追い込みをかけた。
【でも、そうなら私は、何なの? 『赤ちゃんの私』がいないのに、どうして今、私じゃここに居るの?】
【それはな、フェイト……お前が、ある目的のために生まれてきたからだ】
それから、カイトはフェイトの出自について、一言一言、言い聞かせるように話した。プレシア・テスタロッサが生み出した、アリシア・テスタロッサのクローンであること。そして、プレシアが望むようなものでなかったため、体の良い道具として育てられ、そしてカイトの元に「捨てられた」こと。
フェイトの覚えている思い出は、アリシアの記憶をもとにした、紛い物であるということ。
どれも、フェイトのまだ弱い精神を砕いて余りある程に残酷な真実だった。カイトが『覚えている』、フェイトの物語の一シーン――プレシアに真実を告げられ、精神を傷つけられた、あの場面のように。
【……そう、だったんだ】
しかし、フェイトは。
【だから、私、こんなに迷ってたんだ。やっと、分かった】
むしろ、『余計なもの』を捨てて、すっきり出来たかように息を吐いた。
それは何故か。フェイトは確かに真実を告げられたが、それで誰かに捨てられ、一人きりになったわけではなかったからだ。そう、フェイトの側には、カイトがいた。「私は、どこにも行かない」という言葉と、握り合っている手。それが、フェイトを奈落の底に落とさず救い上げているのだ。
これが、フェイトに対する洗脳計画の総仕上げであった。真実を隠したままでも、フェイトはカイトを愛し、従順に付き添っていくだろう。しかし些細なことから真実を知ってしまえば、カイトに対する愛情が揺らぐばかりか、もしかしたら邪推をして、カイトから離れてしまうかもしれない。それが、カイトには何より怖かった。だから、フェイトには自分の出自を受け入れさせる必要があったのだ。
フェイトの出自を隠さず、敢えて打ち明ける。それでも尚、自分に従うように誘導する。それでこそ、どんな状況でもカイトから離れることのない「フェイト・テスタロッサ」が生まれるのだ。それは、プレシアが望んだフェイトのように、唯々諾々と命令に従う人形ではない。自分の意見や主張というものを持つし、時にはカイトに反論することだって厭わないだろう。ひょっとすると、カイトの知っている「フェイト・テスタロッサ」とは、全く違う成長を遂げるのかもしれない。
しかし、フェイトの深層心理は、プレシアに対し向けられていた時よりも、ずっと強く深くカイトに向けて傾倒しているのだ。
【……父さん。そういうことだったんだよね】
フェイトの確認の言葉に、カイトは黙って頷いた。それで、フェイトにとって全てが終わり、始まったのであった。
【父さん、私ね、嬉しいよ】
【どうして?】
【だって、『要らない物』を全部捨てて、その分を、父さんとの絆で埋めることが出来るんだから】
もはや、フェイトにとってプレシアも、アリシアもどうでも良かった。父が、ここに居る。それだけでよかった。フェイトの意識と記憶は、今や彼女に都合よく再構成されていた。母とのお花見、公園、ピクニックの記憶、それら全ては頭の隅に圧縮されて置きやられ、その代わりに、これから作られるだろう父との思い出を入れるための空白が用意された。
カイトが『覚えている』中では、半年以上をかけ、様々な人の助けを借りて行われた、プレシアからの脱却。それをカイトは、僅か二日でやり遂げたのだ。
【それでね、父さん。父さんが何をしたいのかも、分かっちゃった】
【ほう】
【父さんはね、私に『赤ちゃんの思い出』をあげたかったんでしょ。そして、私をもう一度赤ちゃんから生まれ返らせようとしてたんだと思うの】
フェイトの推察は、カイトの目的をほとんど正確に見抜いていた。
カイトはフェイトに赤ん坊としての生活を――何時でも、どんな風にでも甘えられる生活をさせることによって、フェイトの心身を健やかに成長させようとしたのだ。
もちろん、こんな迂遠で変態的なものよりも、効率的で良い方法はたくさんある。
しかし、カイトはフェイトを赤ん坊にして、その姿を楽しみたいという欲望を満たすために、あえてこういうやり方を取ったのだった。
――と言うより、むしろそちらの方がメインで、フェイトのメンタル補填はついでのことだったのだが。
【流石だ。フェイトの言うとおりだよ。それで、フェイト。どうする】
【決まってるよ、父さん】
フェイトは、両手で既に冷たくなっているおむつを触り、両足を開いて、満面の笑みを浮かべた。
「パパ。フェイトのおむつ、かえて?」
【父さん、私を赤ちゃんにしてください♡】
***
『で、フェイトの様子は?』
「今は落ち着いて、ぐっすり寝込んでるよ。ナース・ロボットの話だと、熱も段々下がっていってるらしい」
一階にあるモニタ電話は、アルフの自室につながっていた。カイトの言葉に、アルフはほっと小さな胸をなでおろした。あの後、フェイトのおむつを替えて、改めて朝食を取らせたカイトは、一旦ベビールームから出て、大広間に向かった。そして、既にあらかた料理を食べ尽くしてしまっているアルフに、重々しくこう告げたのである。
――フェイトは、慣れない環境で熱を出していたらしい。
えぇっ、と驚くアルフだったが、カイトはさらにこう述べた。
――本人は無理していたんだが、俺が気づいたんでな。医務室に運んだ。今ロボットが治療してるから、安心して過ごすんだ。
そして、その場から離れると、医務室に幻影魔法を発動させ、フェイトのホログラムを作り出した。居ても立ってもいられず飛び出してきたアルフが医務室についたら、ナース・ロボットに適当な答弁をさせ、現時点では面会謝絶と言って自分と一緒に追い出させた。 それから数時間。訓練プログラムをするために自室ヘ戻ったアルフと、こうして通話をしている。
『何日ぐらい面会謝絶なんだって?』
「三日間は会えないらしい。何とかならないかと言ったが、あいつらロボットは梃子でも動かんからな」
『そっかー、じゃあ、しょうがないなぁ……』
アルフは、こちらの言う嘘を簡単に信じてくれた。これで、三日の間だけ、フェイトとアルフを引き離すことが出来た。
「俺は仕事があるから、しばらく会えない。お昼も自分で注文してくれ。やり方は分かるな」
『うん、説明書があったよ。一週間でメニュー全部制覇してやるから、覚悟しときな』
「そりゃあ、怖いな。船内には運動場もあるから、腹ごなしにトレーニングでもしてくれ。じゃあ、また夕食時に」
『ん、またね』
通信を切って、通路奥の隠しドアを開ける。すると、お帰り、とフェイトが迎えてくれた。身に纏っているのは、ピンクの縞模様をした、ニット生地のロンパース。いちごのアップリケが付いた涎掛けをつけて、頭の上には、同じくニット生地で作られているベビー帽をかぶっている。「どうせ赤ちゃんになるなら、形から入った方がいい」と欲望を丸見えにさせた説得で、ベビー服をフェイトに着させたのである。
「フェイト、可愛い、可愛いぞ。目に入れても痛くないくらいだ」
「もう、パパったら、興奮し過ぎだよ」
『赤ちゃん返り』したと言っても、フェイトの口ぶりはいつもと余り変わらない。ただ、自分をフェイトと呼び、カイトをパパと呼ぶ口調は甘くなっている。ぬいぐるみを掴み、ごっこ遊びをしているその身振り手振りも、普段よりちょっと乱暴で、大雑把になっているのかもしれなかった。
「ねぇ、パパ。パパは、フェイトのお婿さんだからね」
「分かった。お婿さんにでもなんでもなるさ、フェイトがそう望むなら」
「やった、じゃあ、私、パパのお嫁さんになる……」
その時、ロンパースと紙おむつで異様に膨らんだフェイトの尻が、ぷるっと震え、フェイトの目に大粒の涙が浮かぶ。
「ぱ、パパァ、おしっこ出ちゃった」
「そうか、フェイト、横になって」
「パパ、早くおむつかえて、気持ち悪いのいやだよぉ」
仰向けになりながら、イヤイヤをして涙を流す。この時ばかりは、赤ちゃん返りしたフェイトはいつもの落ち着きをかなぐり捨てて、それこそ赤ん坊のように泣き喚く。それは、愚直なほど素直で不器用な、フェイトの甘え方であった。その無防備かつ背徳的な仕草に、カイトは興奮し、勃起した。
ロンパースのボタンを外して、おむつを露出させる、そのテープを外すと、黄色く染まったおむつの内側が目に入った。
「フェイト、沢山でたな。いまおしりを拭いてやるから」
「早く、早くぅ」
「そう急かすな」
丸見えになったフェイトの秘所に、今すぐにでもその剛直をぶち込んでやりたかったカイトだったが、しかし、それはそれでまた別口の考えがあり、楽しみもあるのだ。
「ほら、拭き終わったから、新しいおむつを用意するぞ」
「フェイト、今度は青いぞうさんのがいい」
「分かった」
カイトは言われた通りのおむつを持って行き、手慣れた動きでおむつを着ける。すると、フェイトはすっくと立ち上がって、また何もなかったかのように遊びに行く――かと思うと、カイトの股間をじいっと見つめるのだ。
「パパ」
「な、なんだ」
予想外の行動に意表を付かれたカイトが問いかけると、フェイトは右手で、服越しにそっと膨らんだ男根を擦り始めた。
「フェイト、パパのミルクが飲みたいなぁ」
「お、おいフェイト……」
【別に、無理しなくていいんだぞ?】
カイトは、興奮した自分を気遣ったのかと思い、その必要はない、と念話で話した。
【ううん。私がしたいからするの。私が父さんに甘えるから、父さんも私に甘えるの!】
【なっ……!?】
フェイトは口を使って器用にズボンのチャックを開ける。そして、パンツの隙間からカイトのモノを引っ張り出し、その先端を口に含んだ。
「んむ、んぐっ、うむぅ……」
【父さんだって、私に色々したいんでしょう? 遠慮しないでよ】
【元より、遠慮するつもりは無いし、してもいないぞ】
【なら、私の口で気持ちよくなってよ、ねぇ?】
そう言って念話を切ると、フェイトはそのまま、右手を使って竿をしごき、左手で金玉を掴んで揉む。口は亀頭をついばむように、ちゅっ、ちゅっ、と吸い付く。
「ぐ、お、フェイトぉ」
「あはっ、パ~パ。気持ちいい?おちんちん、気持ちいいの?」
三点からの刺激に、思わずうめき声を漏らすカイト。父親に奉仕する快感か、はたまた今まで散々好き勝手にされて来たことへのささやかな復讐か。フェイトのフェラチオはどんどん激しくなっていく。
「……こうなったら、本当に遠慮はしないぞ」
「え、キャッ!」
一瞬、フェイトが手を休めた隙を突いて、カイトは体勢を変えた。自ら床に寝そべり、その上にフェイトを乗せる。フェイトのもこもこに膨らんだおしりがカイトの胸元に来る、いわゆるシックスナインの体勢であった。
「この、大きくてHな赤ちゃんめ。こうしてやる」
「え、あ、はぁん……」
突然、フェイトが脱力し、カイトに体重をかけた。ロンパースの下を脱がし、おむつ越しにフェイトの女陰を触ったのだ。
「どうした、フェイト。私が触る前からおむつが濡れていたぞ」
「それはぁ……ぁん、パパのおちんちん触って、興奮したからぁ……ゃぁん」
「まだ赤ちゃんなのに、Hな気分になるのか。いけない子だな」
「そうしたのは、パパでしょぉ……あぁぁ、そこぉ、いいよぉ」
フェイトは無意識に尻を振って、さらなる刺激を求める。カイトの目の前で、青い柄付きのおむつが左右に揺れていた。
再びカイトの性器に快感が走る。今度は、口で竿を咥え、舌と口内の粘膜を使い舐めしごいていく。
「はむっ……じゅっ……ちゅぷ……ちゅうっ……」
「フェイト……」
思えば、こうして両方共に性的行為をするのは初めてだった。二人の間にあるのは、どちらか一方からの奉仕と調教であった。
いわば、初めての愛の交歓である。二人は底知れない陶酔感を感じていた。
「んん、んんぅ、ふむっ、ちゅぱっ……」
「フェイト、ここが、気持ちいいんだろう」
「ふんぅ、うむぅ!?」
一瞬、フェイトの口撃が止んだ、どうやら、カイトが偶然淫核を見つけ、その辺りをこすっているようだ。
紙おむつの擦れる感触が、フェイトを襲った。
【ぁぁ、そこぉ、父さん、いいよぉ、気持ちいいのもっとしてぇ】
自らねだりながらも、フェイトもカイトを気持よくしようと吸い付きを強くし、再び玉を握る。
【フェイト、そうだ、そのまま、気持ちいいぞ】
互いが、互いを高め合い、絶頂へと導いていく。互いに互いの興奮を感じ、まるで混ざり合い、一つになっていくかのようだった。
カイトはさらに、強引におむつを突き破るかのような激しさで秘部をこすっていく。フェイトも、口の動きを早め、ラストスパートをかける。
「フェイト、行くぞ、口の中に出す」
【出してぇ、口の中に一杯、私も、もうダメぇ! イク! イッちゃうぅ!!】
クライマックスは、両者同時に訪れた。カイトは、思わず左手でフェイトの頭を抑え、そのまま獣のようなうめき声を上げ、勢い良く口内に射精した。
「ん゛む゛っ!? んぐぅ、んんんんんん~~~~~~!!」
襲い来る絶頂の中で口の中に精液を叩きつけられ、にっちもさっちも行かなくなったフェイトは苦悶の声を出したが、しかしその顔は歓びと嬉しさに満ちあふれていた。
「ん……んむ、ごく、ごくん……」
フェイトは竿を口から離し、頬に貯めた濃い精液をゆっくり味わって、咀嚼するように飲み込んだ。精を吐き出した後の満足感と倦怠感に浸りながら、精飲するフェイトの美しさに見入っていたカイトだったが、不意にフェイトが涙を浮かべてしゃくりあげたので、慌ててなだめようとした。
「うぅ、パパァ……」
「どうしたフェイト? 苦かったか? すまんな、抑えが効かなくて」
「そうじゃなくってぇ……おむつ、びしょびしょなの」
はっ、としてフェイトのおむつを見ると、愛液のせいで、まるでもう一度おもらしをしたかのようにびっしょりと濡れていた。
「……やれやれ。フェイト、おむつ替えるぞ」
「うん、次はくまさんのにしてね」
世間から、常識から、倫理からも逸脱したこの密室で、それでもこの二人は、世界で一番仲の良い親子になっていた。
リビドーの赴くまま書いたらこうなりました。
趣味全開です。次回からもなのフェイはやの三人でこういうニッチなことをいっぱいやっていきます。
何か書いて欲しいのがあったら感想で一言ください。それが変態的であればあるほど気力が上がります。
後、書き方も大分冒険しているというか、見境がついてないと思うので、アドバイスしてくだされば嬉しいです。