※この作品はR-18です。

大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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タイトル通りです。
なお、史実でもこの頃のアメリカ潜水艦の活動は低調なんですよね……。


次号 東ティモール到着


106 海中からの襲撃者

3月3日 バンダ海 山城艦橋

 

 

「殿下、木村少将から給油の要請が…」

 

 

「むう…やはり、動き回ると燃料は減るか」

 

神中佐からの報告に苦い顔をする松島宮。

横須賀から出航後、パラオ諸島で給油し、東ティモールに向かっていた第四艦隊。

そこに対潜哨戒を担っている第六水雷戦隊から駆逐艦の給油要請が入る。

 

 

「嫌がらせみたいに潜水艦の痕跡がちょくちょく出てくるからね…仕方無いよ」

 

苦笑いを浮かべつつ、滝崎が言う。

第六水雷戦隊の艦隊周囲警戒だけでなく、周辺対潜警戒の為に水偵・水観を飛ばしている為に『潜水艦・潜望鏡らしい痕跡』が出てくる。

その確認の為に第六水雷戦隊から駆逐艦を出して確認する為、必然的に駆逐艦の燃料消費が増えてしまう…唯でさえ燃料タンクが小さい駆逐艦の燃料が、である。

 

 

「給油艦に連絡、駆逐艦への給油を行え。水偵・水観は艦隊周囲を警戒。五航戦にも通知せよ。広戸風と那岐颪に伝達、『対潜警戒を厳に』」

 

 

「はい、通知します」

 

神中佐を通じて、対潜哨戒態勢が解かれ、第六水雷戦隊の駆逐艦達に給油艦が近づき、給油を開始する。

その間、五航戦下の駆逐艦朧と秋雲、並びに防空航空戦隊下の広戸風と那岐颪、更に九頭龍と嘉瀬がメインとなって警戒する事になる。

 

 

「給油を行っている給油艦の艦名は?」

 

 

「徴用された捕鯨母船の『第三図南丸』じゃ」

 

松島宮の問いに神中佐が答える。

 

「徴用船か…すまないが、私の名で労をねぎらっておいてほしい…ん? 滝崎、どうした?」

 

 

「あっ、いや、別に…(第三図南丸…何処かで聞いたような…)」

 

神中佐に命じつつ、滝崎が考えているのを見て声をかける松島宮と、聞いた事がある名前ながらも、思い出せないのと、エーディットが近くにいるので下手に触れないでおこうとする滝崎だった。

 

 

 

その頃 付近海中

 

 

「……見てみろ、先任」

 

サーモン型潜水艦2番艦シールの艦長ケネス・C・ハード少佐はそう言って潜望鏡を先任士官に見せる。

 

 

「…これは…凄い! まさか、戦艦2隻に空母、しかも、大型空母が2隻も…獲物が選り取りですね!」

 

 

「あぁ、しかも、敵は給油中で足が止まっている。絶好の機会だ」

 

 

「はい…で、何を狙いますか? どれも狙えますが?」

 

 

「まずは戦艦だ。空母なんて脇役は後でもいい。姿を見るに、敵戦艦は2隻ともフソウ・クラスだ。多分、ウェーク沖で煮え湯を飲ませた第四艦隊だな」

 

ハード艦長の言葉に付近の乗組員はざわめく。

太平洋艦隊主力を半数で潰した艦隊の片割れが居るとなれば仕方無いが。

 

 

「ですが、第四艦隊なら、カガ・クラスの2隻が居ないのは…?」

 

 

「まだ修理中で、完了したフソウ・クラスだけで来たんだろう。よし、狙いはフソウ・クラス、将旗を掲げてる旗艦だ。魚雷発射用意! 太平洋艦隊の敵討ちだ!」

 

 

同じ頃 上空

 

 

「…見付けた!!」

 

潜望鏡を見付けたレナータは自分専用水観を降下させる。

 

 

「一報! 潜望鏡あり!」

 

 

「は、はい!」

 

後席の搭乗員に打電を指示するとレナータは潜望鏡の位置に向かって6番(60キロ)爆弾2発を投下した。

 

 

 

少し前 山城艦橋

 

 

「広戸風より報告! 左舷方向より開閉音! 潜水艦じゃ!!」

 

 

「那岐颪、戦列離れる! あと、レナータ機から、潜望鏡発見の報あり!!」

 

警戒にあたっていた広戸風からの報告により、一気に騒がしくなる。

 

 

「水柱が上がった…レナータが爆撃したぞ!」

 

 

「周囲警戒! 特に魚雷を…」

 

 

「魚雷接近! 4本!!」

 

 

「回避する! 面舵!!」

 

エーディットの言葉に滝崎が注意を促そうとした瞬間、山城の見張り員が魚雷に気付き叫ぶ。

それを聞いた山城の艦長小畑長左衛門(おばたちょうざえもん)大佐が回避指示を出した。

 

 

「…艦長、全て避けれるか?」

 

 

「…少し厳しいかと」

 

松島宮の問いに小畑艦長は苦い顔で答える。

給油に合わせて速度を落としていた為、これは仕方無いのだが…。

 

 

「あっ…レナータ機接近! 魚雷に対して銃撃中!」

 

再び見張り員が叫ぶ。

爆撃を終えたレナータの水観が魚雷に向かって銃撃を試みる。

 

 

「…1…2…3……1本残った!」

 

 

「命中します! 衝撃に備え!!」

 

レナータ機からの銃撃は魚雷3本を処理するも、最後の1本山城に近付く。

そして、その1本が命中した………『当たり』はした。

 

 

「……エーディット、そろそろ離れてもらえると助かるんだけど?」

 

 

「…えっ? あっ! す、すまない!! わ、わざとじゃないからな!!」

 

命中衝撃に備える為、手近な物に身を預けていたエーディットは、滝崎の声に瞑っていた目を開いて確認する。

なんと、壁か何かに身を預けていたと想いきや、実は滝崎に抱きついていた。

それに気付いたエーディットは顔を真っ赤にしながら、慌て滝崎から離れる。

 

 

「……何をしているんだ、2人して? それで、魚雷は? 当たった筈だが…?」

 

 

「どうやら、不発だった様じゃっ」

 

松島宮の(ジト目で)軽いツッコミの後に魚雷の事を問うと、神中佐が山城の船体に当たり、情けなくも浮かんできた魚雷を指差して言った。

 

 

 

その頃 シール艦内

 

 

「……ファック!! こんな時にあのクソ魚雷め!!」

 

ハード中佐は潜望鏡を降ろしながら悪態を吐く。

アメリカ海軍の潜水艦用魚雷Mk 14は色々と不具合が多く、潜水艦乗組員からあまり信用されていなかったが、代替品がない為、仕方無く使っていた。

 

 

「前方よりデストロイヤー接近!」

 

 

「慌てるな! 真下に潜り込んで逃げるぞ!!」

 

シールはレナータ機の爆撃の損傷により、深くは潜れなくなっていた。

だが、潜水中の潜水艦に有効な爆雷は艦尾にしかなく、また、ソナーの都合により、敵艦の真下に潜り込み、一時的に撹乱して逃げる、と言う逃げ方は選択される場合はあった。

だが、ハード中佐らシール乗組員は知らなかった…この『駆逐艦』が相棒と共に『新造とは言え一介の大佐(?)が視察に来る』駆逐艦だった事とその理由を。

 

 

「…ん? 前方至近より着水音! 更に1発…いえ、2発!! 最後のはほぼ頭上!!」

 

 

「なっ!? 衝撃に備えろ!!!」

 

ソナー員の報告に『何でそうなったか』は解らなかったが、『敵の対潜攻撃』と気付いたハード中佐は慌て指示を出す。

次の瞬間、シールは激しく揺さぶられた。

 

 

「くっ…被害は!?」

 

 

「至近距離爆発で浸水! 勢い止まりません!」

 

 

「機関損傷! 出力落ちます!!」

 

 

「前部魚雷発射管室より、負傷者出ました!!」

 

不味い報告ばかりにハード中佐はますます険しい顔になる。

が、更に不味い事になった。

 

 

「続報! 前部魚雷発射管室より浸水発生!!」

 

 

「敵デストロイヤー、更に接近!!」

 

駆逐艦の接近より、前部魚雷発射管室の浸水にハード中佐は決断した。

 

 

「浮上! 緊急浮上だ!! 総員退艦用意!! 機密関係の処分も忘れるな!!」

 

とにもかくにも生き残る選択をとったハード中佐らシールの乗組員らは、攻撃してきた那岐颪に収容され、捕虜となった。

 

 

 

1時間後 山城艦橋

 

 

「那岐颪より、敵潜水艦乗組員を収容後、合流するとの事じゃっ」

 

 

「山城の被害もありません。なお、魚雷は回収、信管を抜いて、無力化し、帰還後に関係機関へ回すとの事です」

 

山城の被害確認を含めた後始末の報告を神中佐と小畑艦長から受ける。

 

 

「うむ…対潜迫撃砲の初実戦、となってしまったな」

 

 

「まあ、その為に建造したからね、広戸風と那岐颪は」

 

陽炎型駆逐艦の『20番艦』と『21番艦』になっている広戸風と那岐颪。

だが、2隻は兵装試験艦的意味合いが強く、主に対潜戦闘を主軸とした駆逐艦であった。

その意味合いを強めているのが、前部主砲塔と艦橋の間に、わざわざ船体を延長して設置された二式12糎『対潜』迫撃砲。

史実であれば翌年8月に制式採用される筈である陸軍の『二式12糎迫撃砲』を、これまた史実で対潜迫撃砲に使用したのを受けて、海軍が支援する形で採用を早めた、『前方投射型対潜兵装』であり、少しでも対潜戦闘能力の向上を目指す為の『対潜駆逐艦』が『広戸風』と『那岐颪』だった。

(なお、2隻は岡山県那岐山で吹く局地風の異口同名から命名された)

 

 

「さて…これは偶然か、はたまた罠か…何方にしろ、対潜警戒を厳重にして進むしかないな」

 

 

「そうだね…まあ、仕方無いよ」

 

 

 

 

……なお、別の話になるが、この時回収されたMk14魚雷は呉工廠魚雷実験部に引き渡され、ハード艦長らシール幹部らが(尋問も兼ねて)立ち会う事になるのだが、欠陥部分を散々に指摘され、『実はアメリカって魚雷冷遇してるの?』と言われる事になり、本国帰国後、これを海軍上層部に報告したところ、『利敵行為』として軍法会議に掛けられ、『シール号事件』として名を残す事になる。

 

 

 

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