※この作品はR-18です。

大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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と言う訳で東ティモール到着。
今回は後半エーディットがメイン化します。



次号 『史実』と『思惑』なお話。(史実での今回の事件の解説を含みます)



107 ディリにて

3月4日 東ティモール ディリ沖合 山城艦橋

 

 

「…もぬけの殻、だったか」

 

 

「あぁ、オーストラリア兵どころか、オーストラリア人の1人も居なかったそうだ」

 

 

「なるほど……まあ、当然とも言うべきだな」

 

滝崎から上陸した陸戦隊からの報告を聞いた松島宮は『予想通り』と言いたげに返す。

昨日の潜水艦シール襲撃後、対潜警戒を厳重にしつつ南下、4日早朝に東ティモール、並びに周辺に索敵・偵察を行ったものの、文字通り、何処もかしこも『敵の姿無し』だった。

 

 

「とりあえず、陸戦隊は予定通りディリの掌握と大日本航空の社員の保護を実施中。これから、事情聴取を行う予定だけど…状況把握も兼ねて、自分も上陸して、対応してきていいかな?」

 

 

「んー、あ〜…そうだな、何もかも陸戦隊任せと言うのもおかしいし、お前なら大丈夫だな。うむ…だが、1人と言うのも少しまずいな」

 

滝崎の提案に顎に手をあてて了承するも、『1人はどうなん?』と思い、周囲を見渡す松島宮。

 

 

「あ、いや、下手に人を引き抜く訳にも…」

 

 

「と言って、1人歩き回って連絡つかん、と言うのもまずいだろう? 幾ら敵が居ないとは言え、戻って来ると言う可能性は捨てきれないしな」

 

 

「なら、私が同行しようか?」

 

滝崎と松島宮のやりとりにエーディットが入ってきた。

 

 

「私なら、抜けたところで支障はないし、反対に私が第四艦隊付きなのは知られているから、それはそれで動けると思うが?」

 

エーディットの言葉に滝崎と松島宮は顔を見合わせる。

そして、互いに頷き合うと、その件を了承した。

 

 

 

暫くして ディリ 陸戦隊仮設本部

 

 

 

「…では、『計画的撤退』であったのは間違いない、と?」

 

 

「うむ、撤収時は流石にドタバタしていた様だが、それ以外の混乱は少なかったそうだ」

 

上陸後、陸戦隊の仮設本部に向かった滝崎とエーディットは派遣された横須賀第五陸戦隊司令官の安田大佐と話していた。

 

 

「大日本航空の職員の方は?」

 

 

「ディリ占拠後、職員28名は拘束され、自社倉庫に監禁されていた。既に身柄は確保したが、最低限の食事しか提供されなかったらしく、栄養失調などの症状が出ている。今は治療・診断中だ。なお、旅客機誘導の為の無線誘導船が航空攻撃で『撃沈』されている。そちらは幸運にも死傷者は居ないそうだ」

 

 

「今のところ、死者が出て無いのは幸いですね…ちなみに、ポルトガル人への拘束は?」

 

 

「まだ、一部の聴取によるものだが、通信士などの一時的拘束はあったようだ。だが、機材の破壊等の後に解放されている。なお、大日本航空職員の拘束理由は『スパイ容疑』との事だそうだ」

 

 

「スパイ容疑…ですか」

 

それを安田大佐から聞いた滝崎は呆れた様に呟く。

ポルトガルが大日本航空の職員をそう言うのなら解るが、突如侵攻して来た侵攻軍がそう言うのは『何か違うだろう』とツッコミを入れたいぐらいだったからだ。

 

 

「…我が祖国は偉そうな口では言えないが、『スパイが居たから、中立国領土に侵攻した』なんて馬鹿な理由で侵攻はしないぞ」

 

横で聞いていたエーディットが代弁するかの様にゲンナリしながら言った。

 

 

「それと、先程の『手際の良い撤収』の件を含めて、ポルトガル側、並びに大日本航空職員から『気になる』証言が出てる」

 

 

「『気になる』ですか。内容は?」

 

 

「まず、当日の経過としては、オーストラリア軍機が飛来、無線誘導船を重点とした爆撃と同時に事前潜入していた小部隊により、通信施設等を奪取された。その直後、数隻の駆逐艦による威嚇射撃と共に輸送船団が入港、『オーストラリア軍』を上陸させ、ディリが占領・掌握された、と言う流れだ」

 

 

「……なるほど。それで?」

 

 

「輸送船団と駆逐艦達は一度離脱したが、2月20日に戻って来た。それと同時に各地に展開していた部隊も順次ディリに撤収・集結。そして、昨日、『何か』の報告を受け取った後、早々に撤収したそうだ」

 

 

「その『何か』の報告が受け取られた時間は?」

 

 

「正確には不明だ。だが、撤収した時間から考えるに…君ら第四艦隊が敵潜水艦を撃沈した後であるのは確実だ」

 

その返答に滝崎は少し目を閉じて、整理するかの様に考え込む。

 

 

「…手際がいいのはよいとして、どうも、最初から計画的ですね。何故か変に」

 

 

「あぁ、確かに…どうも、『カッチリ』とし過ぎているね」

 

滝崎の言葉に安田大佐が苦笑いを浮かべながら答える。

 

 

「そして、これが一番の『気になる』事だが…上陸した『オーストラリア軍』は一部の将校階級者を除けば、英語の訛りが『イギリス系』ではなかった、との証言が複数得られた」

 

 

「ふむ…その証言は誰が?」

 

 

「ポルトガル側、並びに大日本航空職員からだ。双方共に業務でオーストラリア側とやり取りしているからこそ『おや?』と思ったそうだ」

 

その話に滝崎と安田大佐の間の空気が変わる。

 

 

「…これは、ほぼ『確定』かもしれませんね。直接的な物的証拠がありませんが」

 

 

「そこが残念なところですな」

 

互いに『ウンウン』と頷きながら話す滝崎と安田大佐。

なお、『言いたい事は解るが、何故それはそれで納得出来る?』と思いつつ、その根拠が解らないので黙っておくエーディットだった。

 

 

 

暫くして

 

 

「では、我々は確認の為、大日本航空の倉庫の方に」

 

 

「あぁ…すまないね、此方で『足』を確保出来なくて」

 

 

「いえ、場所もわかりましたから、歩きながらノンビリと向かいますよ」

 

一通りの話を終え、安田大佐にそう言って仮設本部から出て行く滝崎。

すると、先に出ていたエーディットが何気無しに周囲を見回していた時、何かに気付いて、そちらに足を向けて歩き出した。

 

 

「ん? あっ、おーい、エーディット? エーディット? あ、あの、エーディット…さん??」

 

それに気付いた滝崎が声を掛けるも、聞こえていないらしく、完全無視な同行者に滝崎は困惑しながら追い掛ける。

その同行者エーディットが向かったのは仮設本部の隅にひっそりと置かれたバイク(オートバイ)だった。

しかも、膝を抱えこみ、目を輝かせて見ている。

 

 

「…えーと、この自動二輪車は?」

 

 

「はい、どうやら、オーストラリア軍が持ち込んだ物らしく、故障により放棄された様です」

 

困惑気味の滝崎の質問に、これまた困惑気味な表情で近くにいた陸戦隊員が答える。

 

 

「故障? ふむ、そうか、なら、ちょっと見てみるか」

 

そう言って懐から(ミニ)ドライバーセットを取り出し、当たりを付けて、保護用外板などのネジを馴れた手付きで、しかも、軽く鼻唄を歌いながら外していくエーディット。

 

 

「…エーディット中尉はこの類が得意なのかね?」

 

 

「私も最近知りましたが、父親がバイク好きで、本人もその影響を受けています。更に言うなら、本人は本国で志願兵啓発ポスターのバイクドライバーのモデルまでやってますので、バイク弄りは得意かと」

 

 

「…なるほど。にしても、これ、ハーレーではないかね? ほら、陸さんの『陸王』がハーレー系列だったろう?」

 

 

「あぁ、えぇ、確かに」

 

安田大佐の言葉にバイクは素人だが、素人でも『外国(アメリカ)製バイク』で耳にする名前に頷く滝崎。

そんな2人を他所に彼方此方触り、故障の原因に見当がついたのか、そこを弄り回し、スッキリした表情で保護外板を着け、ネジを締める。

 

 

「ふぅ〜、割と初期不良の様な故障だったな。久々に触れたから、嬉しくなってつい…あっ……」

 

修理が終わり、スッキリした表情のウキウキ気分で周囲を確認すると、滝崎と安田大佐どころか、気になったのか野次馬で見ていた陸戦隊員や在地オランダ人達が周囲を囲っんでいた事に気付いたエーディット。

 

 

「…………」

 

無言で助けを求め、滝崎に視線を向けるエーディット。

 

 

「ゴホン…ありがとう、エーディット。はい、皆さん。解散、解散」

 

そう言って野次馬を散らす滝崎。

 

 

「ありがとう、滝崎……ゴホン、ちなみに、先程の会話の中で『もしかしたら、実行犯はオーストラリア軍ではないのではないか?』と言う疑念があったのは間違いないか?」

 

 

「あぁ、残念ながら、『状況証拠による推測』でしかないがね」

 

 

「そうか…なら、このハーレー・ダビッドソンWLは軍用仕様なのだが、各部品番号かシリアルナンバーを記録して、イギリス経由で問い合わせてみたらどうだ?」

 

 

「問い合わせるのはいいが、多分、無駄足じゃあないか? 『それを組み込んだ車両はレンドリースされてます』、の回答が来そうだが…」

 

 

「いや、『これ』に関しては『外れ』は無い筈だ」

 

自信有りげに答えるエーディット。

 

 

「何か根拠があるのかね、エーディット中尉?」

 

 

「はい、現状、レンドリースされているアメリカ産軍用バイクはハーレーダビッドソンとライバル関係にある、インディアンモーターサイクルの471Bで、元々インディアン社がフランス軍向けに製造していたが故に転用が可能でした。ですが、ハーレーはイギリス、並びにその連邦国へのレンドリースは『まだ』されておりません。その代わり、ソ連へ大量にレンドリースされている様ですが…例え、オーストラリア軍にレンドリースされても、まだ少数です」

 

安田大佐の問いにエーディットはハッキリ答える。

 

 

「更に言うなら、これはまだ新品の部類です。多分、納品されてもまだ日が浅いかと」

 

その答えに滝崎と安田大佐は互いに頷き合う。

 

 

「なるほど…エーディット中尉、記録する時間がほしい。終わったら、『あれ』に滝崎君を乗せて向かってもいいぞ」

 

 

「……はい?」

 

 

「ありがとうございます!!」

 

『いや、そんなん了承してない』と言いたげな滝崎、嬉しそうなエーディット。

なお、滝崎はそのエーディットの反応に反論するのは止めた。

 

 

 

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