中盤→パラオ寄港予定
後半→エーディットと神鷹の駄弁り(途中からコント?)
次号 ドイツ娘とロマンティックス(R18)
何時もの如く、ブラックコーヒーor激辛料理必須
3月末12日 パラオ諸島近海 山城艦内 滝崎の部屋
「う〜〜ん……言い出しっペの法則とは言え、この類の事務仕事は座りぱっなしで身体が硬くなりそうだわ」
自室で机で書き物をしていた滝崎はそう言って伸びをする。
机にあるのは前話で話していた『通信傍受隊(仮称)』の概要計画書。
あの後、神中佐と詰めれるだけ詰めたのだが、『この類の説明は私より滝崎君の方が上手い』と言われて、滝崎が書いていた。
(なお、松島宮はこれの要望書を書いている)
「にしても…やっぱり、陸軍巻き込むよな…後々の事を考えると」
自ら書いたが故に、中身を思い出して苦笑する。
『このまま、ある程度『史実』に沿う事になる』なら、陸軍の協力は必要である。
それが史実の様にガダルカナル島だけなのか、はたまた、『オーストラリア攻略』になるのか、までは解らない……まあ、最初から巻き込んでいるから、今更な話だが。
「なーに、悪戯小僧が『やり過ぎたかな?』みたいな苦笑いしてるのよ」
そんな溜め息混じりのぶっきらぼうな言いぐさと共に山城が麦茶の湯呑みを突き出す。
「ありがとうございます…にしても、そんな顔してました?」
「してたわよ。言っとくけど、そんな顔で不埒な視線を扶桑姉様に向けたら、張っ倒すからね」
「それ、間違いなく死にます。えぇ、確実に」
基準排水量4万トンを26ノットで走らせる馬力で殴られたらどうなるか…良くて首と身体がお別れ、悪けりゃあ身体消滅である。
…うん、しないし、出来ないし、勘弁願いたい。
「で、なにエゲツい事考えてたの? 今回の関係者を閻魔様の裁判の後、地獄の鬼と地獄世界巡り過酷競争させるぐらいの報復でも考えてたの?」
「……山城さん、実は今回の件、結構激怒してます?」
「はぁ? なに言ってるのよ? 扶桑姉様は優しいから済んでるだけで、私は扶桑姉様の心情を代弁してるだけよ」
「……はあ、左様で」
うん、体よく扶桑さん使ってるけど、『私プッチンしてます』だわ、これ……当事者には同情はしよう……それ以上は無理だが。
「まあ、もしあの潜水艦が私じゃあなくて、扶桑姉様を狙って命中(不発等問わず)してたら、乗組員とアメリカも許してなかったけど…今回は不問よ」
「……止めて下さい、アメリカは置いとくとして、乗組員の件は色々と問題になります」
姉への愛が強いのは良いが、念の為に扶桑さんに1言言っておこう…と滝崎が内心思っていたところにドアがノックされる。
「滝崎、松島宮殿下が来てほしい、との事だ」
部屋の外からエーディットが用件を伝える。
「わかった、今から行くよ。お茶、ありがとうございます」
そう言って滝崎は部屋から出て行く。
残った山城は溜め息を吐きながら湯呑みを片付けていた。
暫くして 山城艦内 長官公室
「明日、パラオに寄港すると同時に『大日本航空職員達をパラオで降ろす』。だから、それに付き添え、と?」
「あぁ、お前も知っての通り、職員の監禁状況も悪く、軍医達の見立て通り、初期症状とは言え、マラリアの疑いもあるそうだ。よって、治療の為にパラオで降ろし、パラオの病院で観察入院となる」
史実でも2ヶ月以上も倉庫で監禁(食事を含めた衛生環境最悪状態)されていた為、滝崎も日本出発前に事前に出来る事には手を回していた。
そして、解放後に診断したところ、やはり、『マラリアを持った蚊に刺された可能性がある』と言われた為、職員達は随伴していた特設病院船『高砂丸』で念の為に隔離観察されていた。
「色々と引き渡しやら何やらと顔出しが必要だが…なにせ、ディリ同様、下手に私が同行する訳にもいかんし、寄港中の補給やら何やらの監督もあるからな」
「それは仕方無いよ。トップ2人が離れるのも不味いからね」
「あぁ…だが、助手役がいないと言うのも体面が悪いのでな。また、エーディットと同行してくれ」
「…え? あっ、いや、同行するのは構わんが…」
松島宮の一言に微妙な視線を滝崎に向けるエーディット。
「別に僕は構わないけど…逆にいいのかい?」
「あぁ、構わん。それにだ…パラオの病院には職員達より一足先に行って貰う必要がある。よって、エーディットと一緒に行ってくれ」
「なるほど、それは仕方無いよね」
「ちなみに…移動手段はあの時回収したハーレーだ。安田大佐ら陸戦隊が『是非に』と言って、エーディットに譲ってくれた」
「……すまん、それは初耳なんだが?」
「うん、私もいま言ったし、そもそも、譲ってくれた件も職員達の体調報告に合わせて言ってきたからな」
『私もさっき聞いた』と言いたげに答える松島宮。
「まあ、うん…明日の件はわかったよ」
「すまんが、明日は頼む。エーディットもな」
こうして、2人の明日の行動は決まった。
その後 エーディットの部屋
「えっ、明日のパラオへの寄港、滝崎大佐と一緒に上陸されるのですか?」
「と言っても職務だがな…待て、何故そんなに驚く必要があるんだ?」
部屋に戻った後、エーディットは明日の準備をしながら先の件を神鷹に話していた。
「え、えーと、とりあえず、航空職員さん達を病院に送る為に上陸するんですよね?」
「あぁ、そうだな」
「それに滝崎大佐が同行…いえ、滝崎大佐に同行されるんですよね?」
「うむ、そうだ」
「じゃあ…なんで同行される事に?」
「松島宮殿下が行けないから、代わりに助手役で行くんだが?」
「あぁ、なるほど………はい……」
「……待て、なんだ、その反応は? 私は何か間違っているか?」
「いえ、間違っていませんよ……ただ…」
「『ただ』…なんだ?」
「えっと…それは…その、見方を変えると『デート』になるのでは?」
「……いや、待て待て待て、仕事だぞ? 職務だぞ? 代理だぞ? 病人の送迎をデートとは言わんだろう?」
「まあ、そうなんですが…あの、何時終わるかはわかりませんが、終わった後はどうする予定で?」
「真っすぐ山城に帰ってくるが?」
さも当然、と答えるエーディット。
「その時、御二人だけですよね、多分?」
「そうだな」
「…あの、外見から解らないにしても、『男女がモーターバイクに二人乗りして帰ってくる』と言うのは…その、デートで無いにしても、女の子が憧れるデートの一場面…かと」
「あはは、シャル、何を言って……あっ……」
否定しようとした時、自分の両親が『どんなデートをしていたか』の話を思い出して沈黙するエーディット。
「更に言いますと…早めに終わりましたら、かなり時間が空くのでは? 滝崎大佐が『寄り道しよう』と言う可能性がまったく無い訳では無いかと」
「あっ、あー…………………」
「……エーディット様?」
気の抜けた返事の後、何も言わなくなったエーディットに不思議に思った神鷹は顔の前で自らの手をかざし、振ってみる。
それでも反応が無い為、また器用に立ったまま気絶してる事を察した神鷹はエーディットの代わりに明日の準備(軍服のアイロン掛け等)をする事にした。
……なお、エーディットが気絶から覚めたのは夕飯時だったりする。
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