そして、タイトルがなんとも微妙な事に…いや、間違ってないんだけど…。
次号 早速(騙しの)先手を打つ日本海軍
5月26日 第四艦隊、横須賀よりミッドウェーに向け出撃
5月27日 小澤中将の第一機動艦隊、並びに堀長官の第一艦隊が呉を出撃(第一機動艦隊出撃の2時間後に第一艦隊出撃)
同日 ハワイ 真珠湾軍港 太平洋艦隊司令部
「日本艦隊が動いたそうだな?」
「はい、間違いありません。昨日はヨコスカから第四艦隊が、本日はクレよりオザワの第一機動艦隊とホリの第一艦隊が、このままスケジュール通りなら、明日はオオミナトからアリューシャン方面担当の第二機動艦隊が出撃する予定です」
チェスター・ウィリアム・ニミッツ・シニア大将はHYPOのジョセフ・ロシュフォート中佐から日本海軍の動きを報告されていた。
「第四艦隊が先行…それもスケジュール通りなんだな?」
「はい、事前に出たスケジュール通りです…やはり、気になりますか?」
「当然だろう。開戦初頭のウェーク島沖、ドーリットル隊、先の珊瑚海…重要な場面で矢面に立ち、我々を邪魔してきた第四艦隊が出撃、しかも、主力より先行する形なのだ…気にもするだろう?」
「まあ、確かにここまで邪魔されましたら気にもしますな」
ニミッツ大将の言葉にロシュフォート中佐も同意する。
実際、アメリカ海軍内部では重要な場面で邪魔してきた第四艦隊には敏感で、半分悪魔の様な認識をされていた。
「それにしても…スケジュール通りか…ううむ…」
そう呟いてニミッツ大将は考え込む。
何故なら、何時もは断片でしか解らない日本海軍の動きが、今回は手に取る様に解るからだ。
それがニミッツ大将には逆に気持ち悪く、疑問を抱く要因になっていた。
「ロシュフォート中佐、もしもの話だが…我々が暗号を解読している事を日本海軍が勘付いている可能性はあるかね?」
「ニミッツ大将、その可能性は低いかと。可能性があるとすれば、5月11日の件になりますが」
『5月11日の件』とは、あの有名な『ミッドウェー島の浄水機が故障した』と次の作戦目標がミッドウェーかを判別する為に打たれた偽装電文の事だ。
「ですが、日本海軍は返信しております。疑われた可能性はありますが、今のところ、日本海軍の動きに怪しい点はありません」
ロシュフォート少佐の答えにニミッツ大将は一応納得していた…が、疑いが払拭された訳ではない。
「だが、ロシュフォート中佐。ならば、ドーリットルと珊瑚海における第四艦隊の動きは何だね? そもそも、日本近海で哨戒にあたっていた第四艦隊が何故、珊瑚海にいた? しかも、暗号情報と現場でのMO攻略部隊の編成が違っていて、ほぼ第四艦隊であった事はどう説明するのかね?」
「それについてですが、『暗号解読に気付かれてる』とは言えないかもしれません」
ここで情報参謀にして、ロシュフォート中佐の上司にあたるエドウィン・トーマス・レイトン中佐が発言する。
「どう言う事かね、レイトン中佐?」
「はい、まず結論を言いますと、『急遽実施された作戦ゆえの偶然』の可能性があります」
「…『偶然』で説明出来んと思うが?」
「いいえ、そもそも、『第四艦隊』が『日本近海で哨戒をしていた』と言うのが我々の誤解の可能性があります」
「誤解…説明の続きを」
「わかりました。MO作戦ことポートモレスビー攻略作戦は東ティモールの件とそれに伴うオーストラリア政府と我が国の対応によって急遽実施された作戦です。故にその投入戦力も急遽集められた物です。よって、我々が解読した時の戦力は『その時に決まっていた』事で間違いないでしょう」
「つまり、何かね? 第四艦隊の参加は日本海軍にとっても『イレギュラー』だった、と?」
少し驚いた様子でニミッツ大将はレイトン中佐に質問する。
「その通りです。そして、『哨戒』の件ですが、これは2つの事が考えられます。1つは何かしらの要因で我々の日本本土空襲作戦を知って哨戒にあたらせていた第四艦隊の任務解除にあわせてポートモレスビー攻略作戦に派遣した可能性です」
「ふむ…わからんでもないが、そんな突発的な事をするか?」
「ニミッツ長官、今の日本海軍トップはギャンブラーのイソロク・ヤマモトと同期で堅実なテイキチ・ホリです。ポートモレスビー攻略作戦参加部隊が寄せ集めだった事を危惧した2人が補強の為に急遽組み込む可能性は大いにあります」
「ふむ……それで、もう1つは?」
「はい、もう1つは、そもそも第四艦隊は哨戒部隊ではなく、攻略作戦参加部隊で、ハルゼー提督ら艦隊が偶々出港した第四艦隊と鉢合わせした可能性です」
「…待ってほしい。ならば、なぜ、最初から編成に入っていなかった?」
「それこそ、先程言ったヤマモトとホリの補強です。更に第四艦隊はそもそも南方方面担当、東ティモール対応で出撃していた事を考えますと、参加は妥当であると」
「なるほど…筋は通るな(だが…どうも引っ掛かる…しかし、反論する根拠も材料もない)。いや、引き留めてすまなかった、2人共。作業に戻ってくれたまえ。また、新しい情報が入ったら、報告を頼む」
そう言ってレイトン中佐とロシュフォート中佐を退室させ、2人が退室したのを確認すると、考え込む。
レイトン中佐の話を聞いても、疑いを払う事は出来なかった……むしろ、根拠は無いながらも『嫌な予感』が強くなるばかりだった。
何しろ、『暗号解読が敵にバレている』となると、只でさえ戦力的不利なアメリカ海軍に現状を打開する術がほぼ失われたに等しいからだ。
「だが……戦うしかない…か」
そう呟くとニミッツ大将は電話を手に取る。
掛ける先はフレッチャー少将…史実ならばハルゼー中将の親友であるスプルーアンス少将が指揮を執る筈が、日本本土空襲作戦失敗の追及を受けてハワイにはいなかった。
よって、ミッドウェー防衛の海上戦力と趨勢はフレッチャー少将に委ねられた形になった。
次号へ
ご意見ご感想をお待ちしております。
本作品ヒロイン(3人)とのR18シーンの有無
-
有り
-
無し