小澤機動艦隊や如何に!?
次号 日本の反撃&米軍涙目
同じ頃 天城艦橋
「敵機艦隊直上!!」
見張り員の叫びに小澤中将、草鹿少将らが思わず窓の外を見上げる。
そこにはドーントレス急降下爆撃機の編隊が正に爆撃の為に急降下しようとするところだった。
「…此方に来る機体は少数の様ですな」
「あぁ…と言うより、何の因果か、大半が殿下の方に行ったな」
自らの乗艦が狙われているのにも関わらず、何処か余裕のある会話を交わす草鹿少将と小澤中将。
この時、最後に飛来したのはヨークタウンから最後に発艦したドーントレス急降下爆撃機隊だった。
このドーントレス隊は少数のベテランが多数のルーキーを面倒をみる形になり、迷わない様にわざとスピードを遅くし、編隊を組んでやって来たのでホントに最後に第一機動艦隊へ飛来した。
そして、苦労しながらもここまでやって来たドーントレス隊であった……が、最後の最後にやらかした。
彼らは『空母のみを狙え』と発艦前に指示されていたのだが、頭に血が上ったルーキー達の大半がベテランが止めるのも聞かずに将旗が靡いている加賀に向かってしまった。
この為、割り振りとしては7(加賀):1(天城):1(赤城):1(瑞鶴)となり(本来、飛龍・蒼龍に向かう機体も加賀に『吸われた』為、半場無視状態)、隊長らベテラン組の思惑は大きく狂ってしまった。
が、そんな事はともかく、狙われてる加賀はと言うと……。
加賀艦橋
「なんでいきなり加賀が狙われるんだ!?」
エーディットが訳が解らず絶叫していた。
「今までの所業故だろうな。鍾馗隊やレナータも対応しているが…すまない、松田艦長、頼む!」
「はっ、お任せあれ」
対して、『まあ、ここまで重要場面で邪魔してきたら、そりゃあ狙われるわな』と理解している松島宮は松田艦長に託し、松田艦長はそれに応える。
加賀に集中した為、鍾馗隊やレナータの水観、更に自艦と周りの僚艦の対空砲火でドーントレスを迎撃するが、投弾に成功する機体も出てくる。
だが、『雷爆撃は全て回避出来る』との持論を持つ松田艦長の操艦指示もあり、彼らの闘志とは反比例して、爆弾は虚しく海面に水柱を上げるだけに終わってしまう。
「切り抜けましたな」
「あぁ…それより、瑞鶴と小澤さんの…」
「赤城直上敵機! 急降下!!」
神中佐の呟きに松島宮が応えると同時に状況の確認をしようとした時、見張り員が叫ぶ。
迎撃を突破したドーントレス数機が赤城に向かって急降下を仕掛け、爆弾を投下する。
但し、赤城もそれに気付いており、必死に回避しようと舵を切る。
が、最後の執念とばかりに最後の1発が命中し、赤城から爆発、続けて火災と黒煙が上がる。
「赤城被弾!!」
「ちくしょう!!」
絶叫にも等しい見張り員の報告に滝崎はそう近場の壁に自らの額を打ち付ける。
「何を1人ツッコミをしている! 額をぶつけている暇があるか!」
滝崎の自傷行為に気付いた松島宮が思わず口を挟む。
「そうそう大型正規空母が沈むか! それに忘れたのか? 攻撃隊は発進した後だぞ! 今の赤城は飛行甲板も格納庫も空っぽだ!」
まるでフォローするかの様に松島宮が言う。
史実と違い、赤城の飛行甲板や格納庫には補給中・発進前の機体も装換中の爆弾・魚雷もない。
何故なら、この攻撃の10分前に米機動艦隊攻撃の第三次攻撃隊(第一次攻撃隊)は発進しており、今は第二次攻撃隊帰還前の間隙だったからだ。
更に史実と違うのが被弾したのが1発のみである事。
その証拠に赤城から立ち上る黒煙と火災は1つのみであり、史実の様な大火災は発生しておらず、飛行甲板では甲板員が手近な消火栓からホースを延ばし、消火活動にあたっており、手近の艦艇も消火活動に加わっていた。
「赤城の青木艦長より『艦中央部に被弾。火災消火中にて発着艦不能。なお、火災は激しいものの、規模は小さく、消火の見込みあり』との事じゃ」
赤城艦長の青木泰二郎大佐からの報告を神中佐が代弁、心無しか艦橋内の空気が若干軽くなる。
「…やはり、空母となると、その特性上、火災とその対応が艦の生存に関わる、と」
その空気の変化もあってか、エーディットがレポート用のメモを書き始める。
「殿下、どうやら先程の攻撃が最後の様ですな」
松田艦長の言葉に誰もが周囲を確認すると、飛んでいるのが友軍機ばかりである事に気付く。
「松島宮、小澤さんから」
「ん、あぁ、すまん」
いつの間にか仕事を再開していた滝崎にそう言われ、無線の受話器を受け取る松島宮。
『すまんな。せっかく、援護してもらったのに、最後の最後に手痛いのを受けた』
「いえ、敵も一矢報いる気でいた以上、これは仕方無いかと」
『うむ…赤城の被害はそちらでも確認したな? どうやら、格納庫内の散水消火装置も機能していて、対処は大丈夫そうだ。消火見込みが出来次第、赤城は護衛を付けて下がらせる。代わりに君等が連れて来た瑞鶴らを臨時で一航戦指揮下に入れ、攻撃隊内の赤城の機体を収容してもらう。それで此方は何とかなるだろう』
「『念の為』の措置が功を奏した、と?」
『そうだな。瑞鶴らには此方で連絡を入れる。此方の対処は我々と堀さんに任せ、第四艦隊は神鷹の機体を収容したら、敵機動艦隊を追撃しろ。下手に付近海域に居てもらうより、そちらの方が都合がいいしな』
「わかりました。現時点をもって第一機動艦隊への支援を切り上げ、敵艦隊追撃に移ります」
『うむ…無理はせんで下さいよ、殿下』
「それは心得ております。では」
そう言って通話を終えると、松島宮は皆の方に向きを変える。
「只今をもって第一機動艦隊への支援を解除。敵艦隊追撃に入る! レナータと神鷹の機体を収容し、ダメ出しの追撃を行う! 準備せよ!」
その指示に皆、敬礼で応えた。
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