なお、前半は軽く飯テロ話です…なに、この落差?
(9月29日 フレッチャー少将のセリフに追記)
次号 ミッドウェー島の運命……
11時50分 加賀艦橋
「祥鳳・第二機動艦隊、並びに第一機動艦隊の攻撃の結果、ワスプ撃沈、サラトガとヨークタウンは大破…やっぱい、アメリカ艦艇は硬いじゃっど」
「うむ、第二機動艦隊からの攻撃隊、更に第一機動艦隊の攻撃隊の連続攻撃で撃沈1隻に留めているだけ、損害対応力は高いな」
「ですが、サラトガとヨークタウンも大破の上、艦上機隊も壊滅しております。我々でも対処出来ると判断し、ミッドウェー島攻略に切り替える、と」
第一機動艦隊からアメリカ機動艦隊攻撃の結果を聞いた神中佐、松島宮、松田艦長ら3人が話していた。
「まあ、どちらにしろ、ミッドウェー島の拠点も潰しておかねばならないからな。副次目標とは言え、余力がある以上、着手しても問題あるまい」
「ですな…おっと、そろそろ昼飯時ですが…」
「その昼食をお持ちしましたよ」
松田艦長の言葉に合わせるかの様に滝崎がそう言ってエーディット、レナータ、更に主計科(炊事)員と共に入って来た。
「いつの間にか何処に消えたかと思っておたら、主計の所に行っていたのか」
「ちょっと頭を冷やしにね…ついでに昼食の手伝いも兼ねて」
「まったく…にしても、随分と豪勢な昼飯だな」
滝崎達が持って来た『昼食』を見て呟く。
並べられた昼食はサンドイッチ(食パン丸々&三角形のハムサンド)、ホットドッグ、パン耳ラスク、コーヒー、紅茶であった。
(サンドイッチ・ラスクは明治時代、ホットドッグは1934年の全米選抜チーム訪日と共に伝来している)
「ホットドッグは私の夜食を炊事班に見られたからだ」
「サンドイッチは私の航空食よ」
「ラスクはサンドイッチの余りの再利用。ちなみにレナータの提案です」
「そんか、故にきゅー(今日)の昼食は洋物なんじゃ」
「ホットドッグですか。アメリカでは定番でしたな」
エーディットとレナータ、滝崎の答えに神中佐と松田艦長がそう言いながら物に手を伸ばし始め、それに続いて艦橋内の人間もそれぞれ気になる物を手に取り始める。
「食パン丸々の物を小さく、更に三角形にしたのか…これ、航空機搭乗員には良さげだな。今度、神鷹の主計科に打診してみるか」
「何気にサンドイッチって食材さえあれば色々と応用効くからね。今度から、軽食か戦闘中食にしておくのもいいかも」
「ちなみに、ホットドッグのソーセージとサンドイッチのハムは私とレナータの伝手から入手した物だ。必要とあればその伝手を通じて大量購入も可能だ」
「おぉ! 目玉焼き! 目玉焼き丸々入ってる!!」
「…お前、それ、何個目だ? 食べ過ぎだぞ、レナータ」
松島宮と滝崎の会話に一部材料の入手先を告げた所でレナータの叫喚声に呆れながらツッコミを入れるエーディット。
普段の糧食(戦闘下の場合、おにぎり等の比較的に食べやすい物になる)とは違う洋物の軽食の様な昼食は物珍しさもあってか、比較的短時間に皆の腹の中に収まる。
なお、後々にバリエーションが増えていくのだが、それは別の話である。
その頃 ヨークタウン艦橋
「現状はどうだ?」
疲労感を感じる顔色ながら、フレッチャー少将は艦長と副官に確認を取る。
「何とか浸水と火災は止めました。ですが、機関の復旧は現段階では不可能との事です」
「艦隊の現状ですが、ワスプの生存者の救助は完了。サラトガですが…復旧は絶望的との事です」
フレッチャー少将の確認に艦長と副官が答える。
特に副官からのサラトガの報告にフレッチャー少将は苦い顔をする。
「…やむを得ん、サラトガは放棄。乗組員収容後、日本側に鹵獲され無い様、念の為に駆逐艦ベンハムで雷撃処分を実施。実施後に第16任務部隊は撤収。第17任務部隊はヨークタウンの曳航を準備。なお、司令部を移す…準備を頼む」
フレッチャー少将がそう指示を下す。
そのアメリカ艦隊の動きを星雲がバッチリと監視していたのを彼らは知らなかった。
約3時間後 午後3時58分 重巡アストリア艦橋
「曳航準備の方は?」
「もう間もなく完了します」
司令部を重巡アストリアに移したフレッチャー少将は状況を確認する。
「敵は我々を無力化したと判断し、ミッドウェー島の方に行った様です」
「うむ…ニミッツ大将からも今の内に撤退せよと指示が出た。ミッドウェー島の味方には申し訳無いが、ここは…」
「か、艦隊接近! カガ・タイプを確認! 敵の第四艦隊です!!」
フレッチャーと副官が話していた所に悲鳴にも似た報告が入る。
「クソ! やはり、敵が見逃す筈がないか! しかも、第四艦隊か!!」
何処かで解っていた『もしや』が最悪の形で実現した事に悪態を吐くフレッチャー少将。
だが、このハンデばかりの現状で第4艦隊を追い返すなど不可能に近かった。
「敵戦艦群発砲!!」
「曳航を急げ! 奴らの狙いはヨークタウンだ!!」
この状況ではヨークタウンを放棄する事が正解である。
だが、今や唯一の空母と言っていいヨークタウンを見捨てる事が『緩やかな滅亡』に繋がる事を自覚している為にフレッチャー少将は簡単に放棄できなかった。
が、ある意味『神は見放していた』。
「み、ミネアポリス被弾!!」
ヨークタウンを曳航する筈のミネアポリスに第4艦隊からの砲撃が命中する。
しかも、命中したのが41センチ弾であり、轟沈してもおかしく無かったものの、そうはならなかった。
だが……
「み、ミネアポリスより報告! 16インチ砲弾が命中! 大破するも機関は稼働中! で、ですが、曳航用ウィンチが被弾で切れました!!」
この報告にフレッチャー少将は『折れた』。
「……ヨークタウンを放棄する…全艦ミネアポリスを守りつつ撤退せよ…」
最後の希望を失ったかの如く、苦渋に塗れた表情でフレッチャー少将は放棄と撤退を命じた。
1時間後 加賀艦橋
「レナータ機より報告。敵残存艦隊、付近より撤退しました」
通信士官の報告に艦橋の面々が頷く。
「ヨークタウンを守る為に玉砕するかも、と考えたが…流石にそうはしなかったか」
「いくら一部を事前にやむい(退い)ていたとは言え、こけ(ここ)で戦っても、俺らの利にしかなりませんからな」
松島宮の呟きに神中佐が応える。
「それで殿下、ヨークタウンですが…どうしますか?」
「敵が曳航するなら、復旧の目処があったのだろう。ならば、ここに放置するより、我々が回収しよう」
「……つまり、我々はヨークタウン級空母3隻を揃えてしまった、と…しかも、どれも我々第四艦隊が捕まえていますね」
「「「……あっ…」」」
松田艦長の問いに松島宮が答え、それに滝崎が『それ』を指摘すると、松島宮、神中佐、松田艦長から間抜けな声が出ていた。
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