また、オリジナルより色々と盛られました。
(オリジナルではラバウルだけだった…全体的に修正しました)
次号 アメリカ軍も頑張る
8月20日 午前9時頃 トラック諸島
青天の中、第二機動艦隊は輪形陣で南方へと出撃していく。
その上空に神雷部隊18機が見事な編隊を組んで現れる。
手空きの乗組員達が『我が国にもB17に負けない機体があったんだ』等々言っている中、一番機より『貴艦隊の武運を祈る』と発光信号が送られる。
これに艦隊旗艦艶鶴からは『貴隊の健闘を祈る』と返信され、加賀からは『共に勝利を』と返信、互いに敬礼と手を振り合いながら見送っていた。
8月24日 ラバウル 午前6時
ニューブリテン島ラバウル。
史実では日本軍の一大航空拠点であったが、皮肉な事にこの世界ではオーストラリア自治政府から提供され、アメリカ軍の航空拠点となっていた。
そして、米豪遮断作戦への対抗と米軍反撃の起点……になる筈だった。
「くそ、この火山灰が鬱陶しい!」
「やめろ、整備する以上は…」
「ん? おい、なんだ、あれは?」
ダブルブル火山の火山灰への悪態とそれを諌める同僚達を遮るかの様に整備兵の1人が空の黒点に向けて指差す。
日の出の光を背に大きく、更に数を増やしていく黒点を見続けていた整備兵は思わず叫ぶ。
「ジャ、ジャップのゼロだ!!」
「ジークだ! 日本軍の攻撃だ!!」
件の整備兵達や当直の将兵が事に気付き、慌て対処しようとするも、パイロットや対空火器要員などの大半の人間は未だ寝床である。
故に邪魔者が少ないのを確認した護衛の零戦隊は演習の標的の様に並ぶ待機場の航空機の破壊と滑走路周辺に点在する対空火器の制圧に掛かる。
そうしている間に本命の艦爆・艦攻隊が到着、格納庫や滑走路、施設を鹵獲した『アメリカ製爆撃』で存分に爆撃していった。
少しして 艶鶴艦橋
「ラバウルへの攻撃隊、奇襲成功。敵機が上がる前でしたので、妨害もなく飛行場の攻撃を行えています」
「六航戦より入電。『我コレヨリ攻撃ヲ開始ス』。ブーゲンビル島のブインへの攻撃も大丈夫かと」
奥宮少佐と小田切中佐の報告に角田中将は頷く。
両目標の中間にあるグリーン諸島沖合いまで進出した第二機動艦隊は手始めにラバウル・ブインにある飛行場への攻撃を実施した。
実施にあたり、艦隊直衛等を除いた稼働機全てを投入、それぞれ第一次攻撃隊はラバウルが四航戦、ブインを六航戦で担当、帰投後の第二次攻撃隊をラバウルが六航戦、ブインを四航戦で担当する事になっている。
こうして攻撃隊を航空戦隊ごとに分ける事で各航空戦隊への負担増(主に整備面)と言うデメリットは発生するものの、ミッドウェー海戦の反省事項として出た『航空戦隊を跨ぐが故に状況把握に時間が掛かる』『突発的事態への対処能力が低い』への対応でもあった。
「隼鷹の方も上手くやっているみたいだな」
「『殿下の前で恥はかけない』と言う事もあるでしょうが、第一機動艦隊に散々鍛えられた連中です。そこは大丈夫でしょう」
角田中将の言葉に小田切中佐が言った。
「うむ…その殿下達や各戦隊から何かあったか?」
「今のところは…」
「失礼します! 加賀・扶桑の零式水観のペアと前衛の第七水雷戦隊がグリーン諸島で複数のアメリカ艦艇を確認したとの事です!」
奥宮少佐の返答を遮る様に通信士官が入ってきた。
グリーン諸島上空
環礁であり、史実では水上機や飛行艇の基地として、更に小型艇の中間地点として日本軍が占領し、1944年にアメリカ軍が奪還・飛行場造成が行われたグリーン諸島。
その上空をレナータの専用零式水観と扶桑から出された零式水観が前衛の第七水雷戦隊への航空偵察支援として送られ、グリーン諸島に来ていた。
「輸送船4、水上機母艦1ね…カツキ君はどう思う?」
『前に乗り組んでいた千歳より小さいですが、8000トンの大型だと思います』
レナータとペアを組んで飛ぶ事になった扶桑の零式水観パイロットの甲木清実(かつききよみ)一等飛行兵はそう答えた。
「輸送船はともかく、水上機母艦もか…やっぱり、考える事は同じかしら?」
『見ての通りの環礁です。水上機基地としては理想の場所ですね』
そんな会話を他所に環礁内の輸送船と水上機母艦の甲板では乗組員達が自分達の周りを旋回する水観を指差しながら騒いでいる。
そして、水上機母艦の方は搭載している火器を2機に向けていた。
『こちら、木曾の森少将だ。これより、環礁内のアメリカ艦に威嚇射撃を開始する。着弾観測を頼む』
「観測要請受諾。当てる方向で修正しますか?」
森少将の要請を聞いてレナータが確認する。
『威嚇射撃の反応次第だな。本音を言えば、戦闘艦艇同士の殴り合いでは無い以上、弱い者虐めの様な事はしたくないからな。艦長としては、拿捕して何かしらの情報を得たいそうだ』
「Ricevuto(リチェヴート 了解)! さあ、カツキ君、お仕事の時間よ」
『はい、異動後初でヘマはしませんよ』
カーティス艦橋
「用意急げ! あの水上機を追っ払え!!」
水上機母艦カーティスの艦橋で艦長が発破をかける。
カーティスは飛行艇の整備も出来る様に設計され、前線運用も想定されていた為に単装5インチ(12.7センチ)砲4門、40ミリ四連装機関砲4基とかなり重武装な専用水上機母艦である。
この時、カーティスはニューブリテン島(ラバウル)・ブーゲンビル島(ブイン)への飛行場造成・拡張優先により後回しにされたグリーン諸島への水上機基地、並びに飛行場設営の為に派遣され、その資材を積載した輸送船2隻、ラバウルへ向かう輸送船2隻と共にグリーン諸島へ昨日到着したばかりだった。
そこへ、起床ラッパと共にラバウルとブインが攻撃されたと通信を受け取り、間髪入れずに日本軍機が自分達の周りに居ると言う事態に対処しようとするも、寝起きの後と言う事もあり、その反応は鈍かった。
「機関始動急げ! 輸送船と上陸した先遣班にも連絡しろ!! 急いでここを離脱するぞ!!」
「で、ですが、先遣班の収容に時間が…」
「人員だけ回収しろ! ラバウルとブインがやられた以上、戦闘機の来援は期待出来ん! グズグズしてると、敵機に演習の的にされるぞ!!」
副長の戸惑いに艦長はそう言って周りを促す。
だが、そんな彼らに5本の水柱があがった。
「な、なに!? 何処だ!? 何処からの砲撃だ!!?」
「か、環礁外…に、西側に艦艇複数!!」
西側にある環礁の切れ目、環礁内への出入り口を指差しながら叫ぶ士官。
そこには先程砲撃したと思われる軽巡洋艦と封鎖するかの様に展開している複数の駆逐艦の姿があった。
「て、敵の駆逐艦隊です! 出入り口を抑えられました!!」
「旗艦と思われる軽巡洋艦より発光信号! 『降伏セヨ。既ニ逃場ハ無シ』です」
次々入る報告に艦長自身の顔にも絶望の広がる。
「輸送船が次々と降伏していきます!」
「か、艦長! 敵機ですか? 敵艦ですか? どちらを撃ちますか!?」
4隻の輸送船は次々に白旗を揚げ、更に信号旗のC旗(肯定を意味する)や発光信号で恭順の意を示す。
そんな中、士官の1人がどちらに発砲するか訊いてきた。
「……くそ、脱出も不可能か…本艦も降伏する…白旗とC旗を掲げてくれ」
がっくりとしながら、艦長はそう言った。
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