と言う訳で『アメリカ軍頑張りました』な話です。
えっ、結果……さて、どうでしょうかね?
次号 アメリカ(海軍)→困惑 日本(第二機動艦隊)→次の一手
その日の夕方 ハワイ 真珠湾 太平洋艦隊司令部
「ラバウル、ブインの被害ですが、極めて甚大です。両飛行場共に機体の大半が地上破壊され、施設への被害も無視出来ません。更に敵の第二次攻撃隊はわざと時間を空ける事により、修復中の滑走路や作業中の土木機材、無事な機体を破壊する、と言う狡猾ぶりです…ラバウルの陸軍航空部隊、並びにブインの海兵隊航空部隊は航空機の補充を要請するとの事です」
ロシュフォート中佐の報告にニミッツ大将の顔が忽ち苦い表情となる。
「ニューカレドニアの件もある、そろそろ来るだろうとは思っていたが…しかも、事前偵察無しに両飛行場を同時空襲するとはな」
「その事前偵察の事ですが、やはり、『ファントム・フライングフォートレス』は日本軍の物だったのでは?」
ニミッツ大将の言葉にレイトン中佐が言う。
なお、『ファントム・フライングフォートレス』とは神雷部隊の航空偵察(133話参照)で、連山がガダルカナル島やニューブリテン島、ブーゲンビル島等に現れ、何処に問い合わせても『そんな機体(B17)が飛んだ記録が無い』と各所が返したのでつけられた名称であった。
「フィリピンで鹵獲したのを偵察に使った、と?」
「はい。その偵察の結果、邪魔になるであろうラバウルとブインの飛行場を攻撃した、と言ったところでしょう」
「なるほど…他には何かあるかね?」
「関連事項ですと、グリーン諸島へ派遣したカーティスとシービー(海軍建設工兵隊)からの連絡が途絶しました」
「…日本軍に捕捉され、撃滅された可能性があると?」
「少なくとも、通信手段を失った可能性はあります」
ロシュフォート中佐の答えにニミッツ大将はますます苦い表情になる。
「とりあえず、明日に近場からグリーン諸島へ偵察を出す予定です。偵察すれば彼らの事も解るかと」
「うむ……そうだな…」
レイトン中佐の言葉に憔悴した顔でニミッツ大将が空返事気味に返した。
同じ頃 グリーン諸島 艶鶴艦橋
「…以上、鹵獲した輸送船団と水上機母艦、並びに先遣隊と思われる上陸した米兵達の機材等を調査した結果、彼らの目的はグリーン諸島での水上機基地設置、並びに飛行場の造成である事は間違い無いでしょう」
第七水雷戦隊の調査に同行した滝崎は報告の為に艶鶴へとやって来て、一通りの概要を説明し終えた。
「測量機材を持って上陸した先遣隊、彼らの乗って来た輸送船2隻には大量の土木作業機材と水陸両用車両や関係物資が載せられていた…アメリカの物量と国力恐るべし、ですな」
「あぁ。また、残りの2隻もラバウルに武器弾薬と燃料の高オクタン価ガソリンを輸送していたそうじゃないか…燃料はもちろんですが、アメリカ製爆弾がまた手に入ったのは僥倖ですな。これからは当分、爆弾の補給先をアメリカの輸送船に切り替えた方が補給の負担軽減になるでしょう」
奥宮少佐と小田切中佐の言葉を聞いてから、角田中将は滝崎に顔を向ける。
「それでだ…君としてはどう思う?」
「我々としてはグリーン諸島を給油隊との合流場所としていたので、ここまで来た訳ですが、敵の基地設営隊が居た以上、連絡が途絶した事を怪しむ筈です。明日には状況確認の為に偵察を出すでしょう。出来る限り給油を早く終わらせ、鹵獲艦艇と捕虜を給油隊に預け、離脱した方がよいかと」
「そうだな…出来そうかね?」
「軽巡以上の艦艇はまだ余裕があります。給油を駆逐艦に限定すればいけるかと」
「…うむ、その方針でいこう。殿下にも伝えてくれたまえ」
「わかりました」
そう言って滝崎は敬礼した。
8月25日 8時頃 加賀艦橋
「駆逐艦の給油状況は?」
「給油艦風早と速吸の2隻で回してるので、あと1時間もあれば完了します」
「完了後、鹵獲艦艇と給油隊が先に離脱、その後、おいどんが離脱する予定じゃ」
滝崎と神中佐の返答にチラリと時計に視線を送る松島宮。
その表情には若干の焦りが見えた。
「うぅ゙ぅ゙む…いま下手に襲われれば、一網打尽も同然なのだが…艦隊直衛は?」
「艶鶴と神鷹から鍾馗2機づつの計4機が滞空中。更に緊急対応で上がれる様に鍾馗隊や零戦隊も待機中だ」
「そうか…うむ、やはり、何とも嫌な予感が…」
「対空電探に反応あり! 8時の方角より複数近付く!」
松島宮の不安に応えるかの様に敵機飛来が告げられる。
「くそ、やはりか! 各艦と直衛機にも通達! 対空戦闘用意!」
逆に不安が当たった事で吹っ切れたのか、松島宮の反応は早かった。
艦隊上空
『8時方角より複数機! 繰り返す! 8時方角より複数機!』
加賀の電探員の必死の叫びの繰り返しを聞きながら、磯崎飛曹長は自身とペアの僚機を8時方角に向ける。
神鷹からの2機は更に少し上を飛び、そのまま暫く南下する。
そして、敵らしき物を捕捉した。
「…あれだな…だが、何か違う…気を付けて敵に掛かれ」
僚機にそう伝え、敵機4機に向けて降下する。
敵機側も気付いたらしく、磯崎らの方へ向かってきた。
「あの形状…逆ガル翼か! 油断するな! 新型機だ! 多分速いぞ!!」
『新型機』への警告の後、互いに交差、いよいよドッグファイトに突入する。
同数ながら敵が新型機故に中々射点に付けず、場馴れしている神鷹の鍾馗2機も苦戦する。
だが、磯崎は逆に冷静だった。
単独撃墜こそ無いものの、共同撃墜や撃破などそれなりの場を経験し、控えとは言え、鍾馗隊になったパイロットである。
更に内地で鍾馗を操りながら、新人への教官も担当していたが故に敵機の動きを観察する事が出来た為に彼は気付いた。
「…敵機は高速で旋回性能も悪くは無い…が、新米みたいに機体に振り回されている様な素振りがある…機種転換したばかりで、まだ慣れていないのか」
それに気付いた磯崎飛曹長には心理的に余裕が生まれた。
一度深呼吸をすると、パイロットの操作と機体の動作の『タイムラグ』が出るのを待ち、その瞬間、一撃を加える。
この瞬間、磯崎飛曹長は『初見でF4Uコルセアを撃墜したパイロット』として、日本海軍に名を遺す事になった。
…その後、動きに慣れた鍾馗隊により、更に2機が撃墜(3機のパイロットは日本側が救助)され、最後の1機は低空に逃れたと同時にエンジントラブルが発生、給油隊の護衛で随伴していた水上機母艦神威の近くに不時着水し、神威にパイロットと機体が回収された。
なお、このF4Uコルセアは本来ブイン(ブーゲンビル島)の海兵隊航空隊所属機であり、新型機故の機体調整の為、オーストラリアで整備された物がブインに戻る途中でラエを経由した事で空襲から逃れる事は出来た……が、代わりにグリーン諸島への偵察に行った事が運の尽きであった。
この迎撃戦後、給油作業を終えた第二機動艦隊は鹵獲艦艇を含んだ給油隊を先に北上させ、一足先に逃す事にした。
だが、この迎撃戦の間にF4Uコルセアのパイロットは無線で『敵艦隊、グリーン諸島で発見』と報せており、ラバウルがこの無線を傍受、ラエとポートモレスビーへと伝えられた。
3時間後 グリーン諸島北側沖合 加賀艦橋
「対空電探に反応! 8時方角より敵大編隊で接近!」
「まるで砂糖に群がる蟻の様だな…対空戦闘用意!!」
『日本艦隊が居た』と聞いて無事なラエやポートモレスビーから攻撃隊が飛来し、その報告に松島宮は呆れながら指示を出す。
「迎撃隊と敵機種は?」
「迎撃隊は既に会敵・迎撃中、機種は戦闘機がP40、P38、P39、爆撃機がB17、B25、B26マローダー、A20ハボック…陸軍機ばかりだね」
「ふむ…急降下爆撃機とかのピンポイント爆撃が出来るものが無いだけまだマシか…後は敵爆撃機隊の護衛か?」
「いや、P40やP39は航続距離の関係で離脱し始めてるそうだ」
「…ラエから約800キロはギリギリか…まあ、敵もこの一回しか無理だろう。これさえ耐えれば問題ないな」
「そうだね…航続距離的にP38ぐらいしか護衛出来ないしね」
「なら、まだ光明があるな。いずれにしろ、被弾さえしなければ何とかなる」
密かにニヤリと笑いながら松島宮が言った。
……F4Uコルセア同様に戦況打開も兼ねて投入されたP38ライトニングやB26マローダー、A20ハボックの初陣となった『グリーン諸島沖海戦(航空戦)』は散々な結果となった。
航続距離の関係で空戦中でも次々に離脱していくP40やP39エアコブラに代わり、双発戦闘機で航続距離に余裕があったが故に矢面に立たされる事になったP38であったが、現場投入による機体の初期不良解消とパイロットの成熟が完璧でない状況で交戦した事により、零戦(+零観)とのドッグファイトに引き摺り込まれたり、機体構造上の弱点『急降下が苦手』を突いた鍾馗により次々と撃墜され、攻撃隊も大損害を被った。
戦闘機の迎撃を突破した攻撃隊であったが、『本来の任務でない』艦隊・艦艇攻撃は対空火器を増強するなどしていた第二機動艦隊と言う事もあり、対空砲火で続けて被害を被る事になった。
(一番被害が少なかったのは『水平爆撃に徹した』B17…もちろん、戦果は皆無である)
結局、『日本海軍を引き摺り込んで航空戦力をもって叩き潰し、消耗させる』と言うアメリカ軍の迎撃方針が主力たる陸軍航空部隊が(パイロット等が不足してる事に加え)艦艇攻撃訓練不足・未了と言う根本的な大問題を浮き彫りになる結果となった。
(これは陸軍側のミッドウェー海戦経験者が戦死・捕虜などで誰もいないが故の『マニュアルの作成・改訂が出来ない』からである)
対して、第二機動艦隊は被弾機・撃墜機は出たものの、撃墜機のパイロットは短慮をおこさずに脱出・全員救助されている。
また、この空戦において、磯崎飛曹長は更にP40、P39、B25、B26を一機づつ、P38、A20を2機づつ撃墜するなどをはじめ、艶鶴鍾馗隊は満足のいく初陣を飾っており、零式水観パイロットの甲木一等飛行兵はP38を2機を含む5機を撃墜するなど、各空母のパイロット達も活躍をみせている。
なお、第二機動艦隊は脱出したアメリカ側のパイロット達を救助し、北上・離脱した。
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本作品ヒロイン(3人)とのR18シーンの有無
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