※この作品はR-18です。

大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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と言いつつ、新型機に関しては内容薄目、前々回の最後に出た『とある国の決断』がメインになった形です。
(なお、全体的にリメイクオリジナル)



次号 次、オーストラリアのターン(顔が青くなる順番)


146 新型機と小国の決断

その日の夜 滝崎の部屋

 

 

「にしても、コメート(彗星)艦爆は星雲の件で知っていたが、テンザン艦攻やシデンカイ艦戦も開発していたのだな…いや、まあ、当然と言えば、当然なのだが」

 

『事情通が隣に居るから、レポートが細かく書きやすい』と言う事で滝崎の部屋に来ているエーディットが言った。

 

 

「あぁ…まあ、航空機の開発は日進月歩だ。各種艦上機の更新を含め、開発はしていた…なにせ、現行機の開発は30年後半だから、一線で運用するにはそろそろ区切りを付ける必要がある。なにせ、偶然とは言え、P38やF4Uコルセアなどが投入されているのを確認した以上、今のままでは玄人も素人も消耗し、先細りになるからね」

 

 

「確かにな…ソ連戦線でも、メッサーシュミットBf109とシュトゥーカでは苦しくなってきた…まだBf109は改良で一線にいるが、シュトゥーカはキツイものがある」

 

互いが互いに事情を知っている為にウンウンと頷き合い、滝崎はふと思い出す。

 

 

「そう言えば、星雲…彗星をドイツ本国に紹介する件はどうなったの?」

 

 

「あぁ、その話な…実は、シュトゥーカの後継機になりそうだ」

 

 

「…ある意味、妥当な話なんだろうけど…どうしたの?」

 

 

「うん…ある意味、馬鹿げた話だが…」

 

……曰く、『凝った機構を採用しようとしたが故に開発が遅れに遅れている』シュトゥーカの後継機の横から『偵察機』として持ち込まれた星雲(彗星)は『急降下爆撃機の信仰者』たるゲーリング元帥を突き動かしてしまった。

そもそも、星雲の持ち込みテスト飛行の時点でヨーロッパ圏内では長い航続距離と500キロを越える速度、単発で急降下爆撃機(採用予定)として必要な運動性は間接的な防御性に繋がり、なんと言っても液冷エンジン搭載故にエンジン装換も可能となれば、星雲・彗星のドイツでの採用(ライセンス生産を含む)は別段、足踏みする理由は無かった。(後継機が無いと言う事情もある)

無論、ユンカース社側は必死に引き留めに奔走、『爆撃搭載量がシュトゥーカに劣る』『引込脚故の脆弱性』等も挙げるも、『いつシュトゥーカの後継機は完成するのか?』と言う問いに回答出来なかった時点で、この話は終わった。

(なお、星雲のテスト飛行には『開発陣側』として、クルト・タンク技師も自ら操縦桿を握り、合格点を出し、更に改善案も提案していたりするし、ユンカース社側への反論もしている)

 

 

「……まあ、その…大変だね…」

 

 

「あぁ…まあ、ゲーリングおG…んん…ゲーリング閣下が急降下爆撃信仰者でよかった、と久々に神に感謝した。で、コメート艦爆やテンザン、シデンカイが空母搭載機の主力となるのか?」

 

 

「その為の試験的、かつ最終確認も兼ねた豊鶴の現場投入だね。実際、豊鶴は修理中に飛行甲板の延長もしている。幾らカタパルトがあると言っても、高性能化する機体に対応する為にね」

 

 

「なる程…はぁ…結局、何処もかしこも事情は似たり寄ったりか」

 

 

「だね…ただ、今回の場合、アメリカは新型機は投入しこそしたけど、焦る余りに全体的に未熟なまま投入した…それをどう評価するか…なんだよな」

 

日本側の過小評価は滝崎が口を出せば何とかなるとして、問題はアメリカ側である。

P38やF4Uコルセアは史実でも投入直後は戦慣れしていた日本側に苦戦していたが、時間の経過で徐々に押し返している。

だが、今回は更に未熟な状態で、しかも、史実以上に押されている……これをアメリカ側がどう評価するかは滝崎であっても判断が難しかった。

 

 

「……まあ、そこはイギリス経由で把握するしかないか」

 

どうせ、コルセアなどはイギリス海軍も採用・運用しているので、滝崎は落ち着いていた。

 

 

 

9月12日 イギリス ロンドン

 

 

駐英アメリカ大使はこの日、ノルウェー亡命政府からの呼び出しを受けて来ていた。

今まで、東ティモール、ニューカレドニアの件でノルウェー亡命政府からも直接抗議を受けていたが故に、先日の『パンアメリカ航空 アメリカ軍憲兵日本人・日系人移送事件』の抗議を受けるのだろう、と思い、胃がキリキリしながらノルウェー亡命政府へと出向いた。

が……要件は『抗議』では済まなかった。

 

 

「……お、お待ち、下さい…も、もう一度、お願い、します」

 

告げられた内容に駐英大使は死刑宣告を受けた罪人の様にガタガタ震えながら、真っ青な顔で何とか訊き返した。

 

 

「ふむ、駐英大使も大変だな。よかろう…我々、ノルウェー亡命政府はノルウェー商船隊での米国製物品の輸送を含めた取り扱いを停止する事をアメリカ合衆国政府に通告する」

 

目の前のノルウェー王国国王ホーコン7世陛下による直接通告に駐英大使は卒倒しそうになるのをギリギリ耐えた。

 

 

「…り、理由は…先の…移送事件が、理由で?」

 

唾を飲み込みながら、駐英大使は理由を推察し、訊き返す。

これにホーコン7世とその後ろに控えるノルウェー亡命政府閣僚陣は一斉に頷いた。

 

 

「お、お待ち、下さい…そ、それでは…ノルウェー亡命政府をはじめとした連合国軍は…我が国のレンドリースした物品を受け取れない事象が発生する事に…」

 

 

「貴国の船舶を使えばよろしいではないかな?」

 

何故か笑わず、冷たい視線のまま、ホーコン7世が言った。

この時点で駐英大使はノルウェー亡命政府が『本気』である事を悟る。

何故なら、ノルウェー亡命政府がここまで強気でいれる理由が『ノルウェー商船隊』の存在だ。

ノルウェー商船隊は第二次大戦開始時点で約1000隻の船舶と3万人の船員を有する世界屈指の歴史ある商船隊であり、ノルウェー陥落・亡命政府樹立時点で約900隻の船舶が亡命政府の指揮下に入り、連合国への物資輸送を担う大きな存在だった。

更にこの商船隊が平時からのノルウェー王国の収入源であり、ノルウェー亡命政府になっても自己収入源を確保している事から、連合国内ではイギリスやフランスに並ぶ発言権を有していた。

そんなノルウェー亡命政府がそう言って『影響を考慮しない』訳がないのだ。

 

 

「…わ、我が国は…現在…日本と交戦中で…せ、船舶のよ、余裕が…」

 

そんな事通じないと分かりつつも、駐英大使は引き絞るかの様に言う。

 

 

「そう、その『日本と交戦している』事も我が国は気に入らないでいる」

 

弾劾するかの様にホーコン7世の視線がキツくなり、言葉が続く。

 

 

「かつて、我が国がナチス・ドイツに侵攻された際、私や亡命政府、更には寄港中で逃れなかったノルウェー商船隊の船舶や海軍艦艇を救ってくれたのは、『ナチス・ドイツと共にソ連に侵攻しようとしている』と貴国が言った、日本だった。彼らは幾度のドイツからの抗議を『筋の通らん事をしてる国の抗議なんて受け付けん』と言って跳ね除けた。更に我が国と同様に侵攻されたポーランドやベルギーなどの国々にも同様に手を差し伸べ、フィンランドではソ連と戦った。危険な大西洋を『欧州巡回航路』として貨客船を出し、ユダヤ人や亡命者を救い、ドイツ・連合国間の捕虜交換と外交交渉の手助けもしている。実際、我が国も数少なくない亡命者を救ってくれた…だが、だ」

 

そう言って言葉を切るホーコン7世の視線は更に冷たく、絶対零度に近いものになる。

更に後ろの亡命政府閣僚陣、更には近場に居る護衛の兵士すら冷たい視線を駐英大使に向けていた。

 

 

「貴国は何をした? ポーランドの時も、フィンランドの時も、我々の時も…そして、今も…我々連合国にレンドリース以上の事をしたかね?」

 

ホーコン7世の言葉に駐英大使は反論せず、唾を飲み込む。

何故か、この後の発言の内容が予想出来たからだ。

 

 

「更にだ…貴国は『自由と平等』を掲げているにも関わらず、その『自由と平等』の為に戦うフランスの海外領土を不法占拠している…以前は中立国の海外領土を一時占拠したオーストラリアも支持した…そして、今回の件だ…なにかね? 貴国の『自由と平等』は『アメリカが海外でも好き勝手する』事を保証する『自由と平等』かね? その為なら、不法占拠もするし、司法権もないフランス海外領の日本人や日系人を拘束するのかね? ならば、まだ大日本帝国の方が筋も通っているが…どうかね?」

 

その問いに駐英大使は答えられない…いや、正論過ぎて『答える事も憚られた』からだ。

 

 

「…『自由と平等』を理念として掲げるのは構わんよ。だが、その理念だって人間的尊厳があって成り立つものの筈だ。大日本帝国はその人間的尊厳を敵兵である貴国の捕虜でも最大限尊重している…1カ月程前かな? 日本は『オボン(御盆)』に合わせて、日米の死者を悼む為に『チョウチン(提灯)行列』をしたと言うではないか…彼らは死者の尊厳すら尊重したのだ。対して、貴国のやっている事は何かね? 人間的尊厳を踏み荒らす行為が目立つが? 失敗に終わった東京空襲ではパフォーマンス目的で無差別爆撃の予定だったそうだね? ニューカレドニアではフランス亡命政府を騙し、更に現地の日本人や日系人を犯罪者の様に拘束…内政干渉になるが、日系人を『スパイ容疑』で同じく犯罪者の様に拘束し、不当な環境な収容施設に収容していたとか…どっちが『自由と平等』に近いのかな?」

 

ホーコン7世の『追及』に駐英大使はただジッと死刑宣告を受け入れる犯罪者の様に聞いていた…それしかなかったからだが。

 

 

「…まあ、駐英大使殿に質問しても意味はないが…我が国の通告は以上だ。大統領には宜しく頼む」

 

 

「……わかりました…陛下の言葉も合わせて…大統領にお伝えします…」

 

とにかく耐えきった駐英大使はそう言うしかなかった。

 

 

 

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