※この作品はR-18です。

大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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……いや〜、題名が見事にアメリカのお先真っ暗具合を示してますね……中身もその通りですが。
(ガス抜き・指揮官失踪はリメイクオリジナルです。オリジナルでは前号の『オーストラリアの苦悩』に淡い希望が付属していましたが、アメリカ側の内容が濃くなったので分けました)


次号 仕返し



148 ガス抜き失敗・淡い希望・指揮官失踪

同じ日 アメリカ ワシントンD.C 国会議事堂

 

 

『UNITED STATES CAPITOL(キャピトル)』と呼ばれるアメリカの国会議事堂内はこの日……怒号が鳴り響いていた。

 

 

「なんだ、これは! 軍事裁判でも、公聴会ではなく、魔女裁判じゃないか!!」

 

 

「当事者の話を遮るな! 我々にも聞かせろ!!」

 

 

「こんな一方的な押し付け、許されるか!!」

 

 

「現場ばかりに押しつけるな! 政府自体にも責任があるだろう!!」

 

 

「大統領が出てこい!! 自分だけ逃げ回って、卑怯だぞ!!」

 

 

「家族を返せ! クソったれ政府!!」

 

溢れ返り、別室に公聴室を複数設ける程に集まった記者達や聴衆人達がそう言って抗議の怒号を検察側や判事側に向ける。

静かにしている当事者以外の軍人達や議員達も苦悩や絶望で顔が歪んでいる。

この日、捕虜返還で帰還したキンメル大将ら、開戦時の太平洋艦隊司令部や陸海軍各現場責任者達の『軍事裁判の公聴会』が行われていた。

だが…それは検察・判事側への抗議の怒号を聞けば解る通り、最初から『結論有りき』の物であった。

実際、被告として証言台に立ったキンメル大将らに対し、『なぜ、日本海軍と交戦したのか?』や『交戦の判断に間違いは無かったのか?』等の『現場の判断・決断』が追及され、『ウェーク島の味方を救い、政府の指示である…』等と政府に関する事を発言しようとすると、検察側や判事側が証言を止め、証言を制限する露骨的な行動は、遂に記者らを含めた聴衆人達の怒りを買う結果になった。

 

 

「せ、静粛に!! 公聴を止めますよ!!」

 

慌て判事側が止めに入るが、全ては手遅れだった。

 

 

「だったら、ちゃんと仕事しろよ!! なんで政府に不味い証言を止めるんだ!!」

 

 

「現場で命を張った将兵に失礼だろうが!!」

 

 

「こんなガス抜き許されるか!! 一方的だぞ!!」

 

 

「不公平過ぎる! こんなのは裁判でも法廷でもない! それ以前の問題だ!!」

 

 

「こんなんだから、ノルウェーに拒否られたんだぞ!!」

 

……1日目の開始1時間で、軍事裁判は崩壊した。

 

 

 

 

同じ日 ヌーメア 南太平洋艦隊司令部

 

 

「…それは…本当かね?」

 

 

「はい…今までの状況を鑑みて、駆逐艦のみですが、多数の護衛を付けた大規模輸送船団をニューカレドニアへ回航する事が決定致しました」

 

スプルーアンス中将の問いに疲れ切った表情の副官が報告する。

 

 

「ふむ…護衛の駆逐艦30隻…大半がフラッシュデッカー型か…輸送船はガダルカナル島へ90隻、同じく高速輸送船20隻、オーストラリアへ向かうものが30隻…合計140隻か」

 

 

「…今までに比べれば、充分に破格な輸送船団です。これが来れれば、ガダルカナル島や付近の基地や飛行場も息を吹き返せます!」

 

 

別の副官が喜びの声を上げるが、スプルーアンス中将は現実的だった。

 

「…問題は…この内の何隻が殺られ、何隻が無事に到着するか…だ。確かに駆逐艦30隻の護衛なら、潜水艦の襲撃にも対処出来るだろうが…」

 

自虐的過ぎる、と言われそうなスプルーアンス中将の言葉ではあるが、この場の誰もそうは言わない。

何故なら、『前線艦隊司令部』として、日本軍の攻撃に遭っているが故に彼らは『現実的』であり、今までの事から『日本軍がこれを捕捉しない筈は無いし、絶対に潰す気になるだろう』と考えていた。

そして、それが解っているにも関わらず、自分達に対応出来る戦力もなく、太平洋艦隊司令部もこれが限界である、と言う現状に忸怩たる思いがあった。

 

 

(出来る事なら、この輸送船団の援護の為、注意を逸らす牽制攻撃を仕掛けたいが…その戦力も方法もない。それにしても、空母機動部隊で此方を牽制、行動を制限させ、補給路を潜水艦の大量投入で叩く…ユトランド沖海戦敗北後のイギリスの行動と先の大戦、今回の大戦でのドイツのUボート戦略の組み合わせ…双方に顔が立つ今の日本が出来る、双方のいいとこ取りな組み合わせ…なんと嫌らしくて厄介なんだ)

 

ミッドウェー海戦後の優勢を維持する為、『如何に国力が高いアメリカを苦しめるか』を考えたが故に出てきたであろう発想にスプルーアンス中将は苦々しく思う。

もっとも、滝崎からすれば『理由や形は違えど、史実でアメリカが日本にやった事を真似してるだけ』と答えたかもしれないが……それはスプルーアンス中将の知るところではなかった。

 

 

 

 

その頃 ガダルカナル島

 

 

この時、その輸送船団の目的地であるガダルカナル島は刻一刻と状況が悪化していた。

ガダルカナル島にはアメリカ海兵隊第1海兵師団(兵員1万900名)とアメリカル師団(第23師団)のノースダコタ州兵第164歩兵連隊、これに航空隊要員など、相当数の兵員を抱え込んでいた。

たが、ソロモン夜戦で輸送船と揚陸された補給物資が焼かれた結果、この兵員数がアメリカ軍を苦しめていた。

飛行場設営時からの備蓄品と焼かれなかった残存物資を切り詰めていたものの、最初が潤沢であった事と2週間の補給途絶により、2万近い人員の食糧は賄えずにいた。

(海軍の飛行艇による少量の輸送は行ったものの、人数から言ってとてもカバー出来なかった)

皮肉なのは国力を背景にした高カロリー食(当時の日本の2倍)がメインであった事により、補給途絶が急速な隊員の損耗に繋がり、史実の日本の餓島より短期間ながらも、隊員が弱体化する事態に陥っていた事である。

この為、幾ら戦闘では屈強で『決して降伏しない』と言う海兵隊と言えども、史実と違い、日本軍がいない状況ではストレスにより、他部隊(第164歩兵連隊)や隊員部隊同士の不和が発生し、それもガダルカナル島の状況を悪化させる一因になっていた。

更に最近では、飢えに我慢出来ずに食べれそうな物を探して、或いは配置場所に向かう為に行動し、迷子・行方不明になる事案も発生しており、それもまた、士気を下げる要因になっていた。

 

 

そんな状況の中、前任者から第1海兵師団を引き継いだウィリアム・リュパータス准将(海兵隊教書『ライフルマンズ クリード』の著者 史実ではペリリュー島攻略戦に参加)はそんな状況の海兵隊第1海兵師団を維持する為、各配置場所や陣地を見回っていた。

本来なら、複数の幕僚か副官、最低限従兵の1人でも付けるべきなのだが、現状が現状の為、リュパータス准将自身が拒否した。

そして、近場の海兵隊の陣地に向かう為、行き慣れたジャングルを歩く最中、彼はある物を見付けた。

それはバナナ、しかも、房で繋がったものだった。

本来なら、そんな物にホイホイ手を伸ばさなかっただろう…だが、師団長として、苦しい中にいる隊員を労ろうとした上司心で近付いてしまった。

もう直ぐで取れる…と言うところで背後から複数人に抑え込まれ、拘束された。

しかも、手慣れた様子で両手を背後にして拘束、猿轡を噛ませ、更には目隠しをさせて、しかも途中で身体を複数回回転させ、方向感覚を失わせると言う念の入れようでリュパータス准将を連行した。

そんな状況でもリュパータス准将は下手に抵抗したり、逆らったりせずに大人しく連行された。

その代わり、耳に神経を集中し、情報を集めようとしていた。

そして、何度か方向感覚を失わされた後、音の籠る空間……洞窟か何処かに連れ込まれ、椅子に案内され、座ると両手は後ろで拘束されたままながら、目隠しと猿轡が外された。

 

 

「階級章等から、海兵隊の上級幹部とお見受けします。私は日本陸軍所属の安藤輝三大尉です」

 

 

「同じく、野中四郎大尉です」

 

対座する2人の慣れた様子の英語での自己紹介、更に周囲に居る『日本兵』の顔付きの違いにリュパータス准将は彼らが普通の日本軍部隊で無い事を確信する。

 

 

「…Merlin第1海兵師団師団長のウィリアム・リュパータス准将だ。少し簡単な日本語なら出来る」

 

 

「独学ですか?」

 

リュパータス准将の返答に野中大尉が質問する。

 

 

「かつて、ChinaのShanghai(上海)租界駐在のMerlinの大隊長をしていた。JapanのMerlin部隊とも多少やり取りしていたのでね…それに元は税関監視艇局員になりたかったから、多少の他国言語も話せる」

 

 

「それはよかった。多少なりとも、日本語で話せるのはありがたい…もっとも、将官の貴方が味方に不利な事を話すとは思えないが」

 

安藤大尉の苦笑いにニヤリと笑うリュパータス准将。

 

 

「そうだ。ハーグ条約に則り、これ以上の私個人以外の味方に関する事は喋らん」

 

 

「もっとな話ですな…だが、貴方の身柄を偶然にも抑えれた事自体が我々にはとてつもない成果だ」

 

野中大尉がニヤリと笑うと、今度はリュパータス准将が苦笑いを浮かべる。

 

 

「あぁ、まったくだ…ちなみに、君等はいつの間に潜伏したんだ? 私以外にも誰かいるのか?」

 

 

「約1週間前の空襲に乗じて…それと、迷子や食糧探しの兵士数名が同じく捕らわれております。無論、条約に基づき、出来る限りの事はしておりますがね」

 

 

「クソ…自分が捕まるまで1週間も潜伏に気付かんとは…師団長失格だ」

 

リュパータス准将は苦々しく呟いた。

 

 

 

安藤・野中両大尉が率いる『独立高砂族遊撃隊』はガダルカナル島奪取の為に投入が決定され、ラバウル占領部隊に同行、第二機動艦隊との協議の結果、ガダルカナル島に対する2回目の空襲に乗じて、海軍の水上機母艦日進から陸軍船舶連隊運用のまるゆ艇(武装無し)4隻を使い、ガダルカナル島への潜入潜伏が決定した。

安藤・野中両大尉を含めた80名(まるゆ艇1隻に兵員40名)の遊撃隊は無事ガダルカナル島に到着、兵員と必要物資を揚陸させ、即時に情報収集・監視等の遊撃任務を開始し、移動で迷子になった者や食糧探しで彷徨っていた者を捕獲していた。

そして、この日、同じく罠を張っていたところ、高官であるリュパータス准将を偶然にも確保・捕虜にすると言う成果を挙げたのであった。

 

 

無論、師団長の突然の行方不明にガダルカナル島の守備隊は必死に探すのだが、ただでさえ補給の無い状態での捜索の為、海兵隊員達は悔しいながらも、早々に打ち切られる事になった。

 

 

だが……そんな事は1週間程で消し飛ぶ事になる……何故なら、事態が2箇所同時に動いたからだ。

 

 

 

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